パート・ド・ベールガラス。この言葉を知っている方は少ないと思います。では、アールヌーボガラスと言えばわかる方も多いのではと思います。ガラス工芸の世界で、多くの技法を生み出したのが19世紀末のアールヌーボの時代、ガレやドームなど世界的にも有名なガラス作家及び工房が知られています。
今回のパート・ド・ベールガラス展は、その時代に生まれ第二次大戦後に途絶えた幻の技法でした。その技法を戦後いち早く再現したのが今回の展覧会の作家・内田邦太郎氏です。
制作方法は、蝋または粘土で原型を作り石膏により型をとり型の中にガラスに色粉を混ぜるという成形技法で、内田氏の作品は混色や濃淡に卓越した技術と感性で創造性の高い作品が生み出されています。
その色彩感覚は無限で、ひとつひとつの作品は独創的で優雅です。今回の展覧会は、東海地方において縁の深い古川美術館ならびに爲三郎記念館を運営する財団の30周年を記念展として実現しました。
独特な光と色彩をたたえながら雅の建築の中で展示された空間は、雅の空間に見事に重なりあいアールヌーボの美術が影響を受けたジャポニズムの源流を再認識しました。
内田邦太郎氏は、パート・ド・ヴェールガラスを世の中に広めてほしいとの思いですべての作品の撮影を許可。ぜひ、数寄屋造りの見事な空間美と幻のガラス工芸の世界を堪能してほしいです。インスタ映えなる言葉通り、SNSのツ―ルで日本人によって蘇った幻のガラス工芸の唯一無二の美しさを広めてほしいです。