4月20日から21日にかけて新潟車中泊アート旅に行ってきました。今回のアート旅は御縁を頂いた娘さんからのご招待で新潟で活躍された書家・横山蒼鳳(故人)展が目的でした。先ずは「横山蒼鳳さんの書いたことば」展のアートレビューをします。
横山蒼鳳氏は、高校時代に江川蒼竹に師事。青年期に会津八一薫陶を受け書の道に進み、病院勤務や福祉関係の要職に就きながら一貫して書の道を究めた異色の書家です。僕が横山蒼鳳さんを知ることとなったのがたまた美術商の交換会で入手した作品をインスタグラムにアップしたことでした。その作品が三女の純さんの目にとまり他の作品を知るところとなり、今回の展覧会に入手した作品を寄贈することにしました。そうしたSNSでの交流の中で、他の作品を直に感じたいと4月21日のギャラリートークに参加することにしました。
今回の展覧会は、純さんが経営する美容室での展覧会に続いて二回目の展覧会で昭和の歴史あるお屋敷、旧日本銀行新潟支店長役宅の「砂丘館」をメイン会場に古い町家の企画画廊「新潟絵屋」の二会場にわたる大規模な展覧会で、部屋中に作品があふれ出すような僕にとっては目新しさを感じる展覧会で、権威に立ち向かい、弱者を守る運動家の一面を持つ氏の奥底にある慈愛あふれる言葉の数々と自由奔放な書体に魅了されました。
会場入口に掲げられた「出杭人生」と寄贈させて頂いた作品「日本に不足 日本のこころ」福祉活動に従事し運動家でもあった氏の一面を物語る作品
自然や家族、日常を断片を切り取ったような言葉の数々に愛を感じる。
ギャラリートーク会場の「げんきでいればま、また会える」は病床の中で静かに息を引きとった父、蒼鳳の会場を訪れたる人々に出会いのメッセージ。
純さんのユーモアあふれるトークは、無邪気な親子関係を感じ心和む時間となった。
所感:自由書で有名な書家に「あいだみつを」を思い浮かぶ方も多いかと思う。書家としての一面からは自由書でにわか書家が乱立する世の中ですが、自由書は書家本来の鍛錬と基礎の中で生み出せれるものと確信している。また、書家の多くはその道を究めるのみだが、蒼鳳さんは、現実社会に生きながら社会の不条理や矛盾と戦いながら、書の世界に人生を映し出す鏡のような存在に思える。その意味で、今回の展覧会は意味のあるものでした。
ぜひ書に興味のある方、お近くに住まわている方はゴールデンウイーク中までの開催されているので「横山蒼鳳さんの書いたことば」にふれてみてください。