日本の歌謡界で今もなお、真のアイドルと言えるのは男性では郷ひろみ、女性では真松田聖子だ。そのアイドルとして、ぶれない生き方が、時代を超えて支持されるているのだと思います。
小学生から中学生にかけて、僕たちの世代は歌謡曲のど真ん中にいました。当時の郷ひろみ、西城秀樹、野口五郎の新御三家の中で、一番の人気を誇っていたのが郷ひろみ。男の子にとって、郷ひろみの存在は、女子の憧れの中で、羨望の的であり、憎々しい存在でした。
成熟から遅い男子は、後に山口百恵、桜田淳子、森昌子の花の中三トリオから、スター誕生から生まれる女性アイドルにより、憧れの存在を見つけていきます。
歌謡曲からJポップへ時代がシフトする中で、かつてのアイドルたちはジャニーズを除き、その存在を青春の記憶へと追いやり、時代から消え失せていく中で、その輝きを増していくのが郷ひろみと松田聖子でした。
昨日のドキュメンタリ番組「郷ひろみという生き方」は60歳にしてアイドルであり続ける彼の生き方をくまなく示した貴重な番組でした。1981年の休業宣言でのNY生活で得た声を通して確信したと言うアイドルとしての自らの存在を証明するストイックな生活に、独特な歌唱と声質の裏にあるソプラノ歌手を彷彿とさせる発声法、秘密裏に行われた歌手としての宿命ともいえるポリ―プ切除と治療、2015年2月に行われたサントリーホールでのオーケストラをバックに行われたコンサートの舞台裏など、郷ひろみが郷ひろみであり続ける魅力の秘密が詰まっていました。
60を超えてなお、エンターティナ―の王道を歩き続ける郷ひろみ。いよいよ日本の歌謡史に唯一無二の存在としてその輝きを増していくに違いないと思います。