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映画 スパイの妻

スパイの妻<劇場版>

黒沢清監督、蒼井優と高橋一生が共演の映画「スパイの妻」を鑑賞してきました。

ただいま、映画館で鬼滅の刃の熱気でムンムンですが、そんな中で静かに人気をあげている作品が今回のスパイの女。黒沢清監督が8K撮影に挑みNHKのBS8Kで6月にテレビ放送され、その後第77回のヴェネチア映画祭で銀獅子賞を受賞し、現在劇場公開されています。

1940年太平洋戦争前夜の神戸。商社の社長の高橋一生演じる福原優作は仕事で満州に赴いていたが、帰国後に彼が連れてきた女が殺害されたことを幼なじみで憲兵の東出演じる津森から知らされる。嫉妬と犯人の疑念を持つ妻の蒼井優演じる聡子。実はそこには、日本軍が秘密裡に行っていた細菌兵器の人体実験は絡んでいた。優作は入手した機密文書と現地で撮影されたフィルムをもってアメリカに向け告発しようと計画していた。

今回の作品は、僕も過去に読んだ森村誠一の731部隊の歴史的な背景がベースにあるようです。戦争で今なお禁止されている細菌兵器。その悪魔の所業に手を染めようとした日本軍の事実が衝撃でした。現在でもそのことはタブー視され一部の告発証言はあっても、関係者は口を閉ざしています。そうした部分にあえて挑んだ意義は大きいです。エンドロールでは、優作と聡子が実在の人物のように紹介されていますが、おそらくは構成上のフィクションだと思います。しかしながら、もし優作と聡子のような夫婦がいたなら、その後の日本の悲惨な状況も回避できたかもしれません。

戦争に突入し、敵国外国人との取引の商社の社長として憲兵に監視されるなかで自由と平等を謳歌する優作、妻として一途に優作を愛する聡子、聡子に慕い自らの立場で彼女を守ろうとする津森。三者の異なる思いが交錯する恋模様も作品の中にうまくいかされていて、それぞれの異なる信念が戦争に翻弄される人々の象徴となって強く印象つけられました。

この作品は、戦争へのアンティテーゼや夫婦愛、自由な社会と統制された社会など様々な側面で楽しむことができる映画です。大人が楽しめるスパイの妻を鑑賞してみませんか。

スパイの妻<劇場版>

スパイの妻<劇場版>


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