65オヤジのスタイルブック

DVD・顔のないヒトラーたち

映画館で観れなかった作品をDVDで観るシリーズ。今回は、アウシュヴィッツ裁判の経緯が描かれた実話に基づく作品「顔のないヒトラーたち」です。

 

たびたび、メディアでも取りあがられるドイツのアウシュビッツ裁判。ユダヤ人虐殺に加担した国民を探し出し、自国の手で裁判を行う宿命的な行為にドイツの清廉さを感じます。実はそのアウシュビッツ裁判に至る経緯は、知る由もなかったのですが、戦後70年。本作において、その経緯が明らかとなりました。

本作は、1958年のフランクフルト。ナチの親衛隊員だった男が規則に反し教師をしていることを突き止めた若きジャーナリストと担当検事により、元党員のアウシュビッツの悪行が次々と明らかになり、自らの家族や恋人や仲間との亀裂や社会との軋轢や抵抗の中で、挫折を乗り越えて、1963年の初公判へと導く姿を描いた人間ドラマです。

若き検事を演じるアレキサンダー・フェイリングは、長身で端正な顔立ちとクールな眼差しを持つハンサムな青年。その柔らかな物腰やしぐさの奥に正義感あふれる強い意志を感じ、誰もほれ込んでしまう存在感を持っています。また、恋人役のフリーデリーケ・ベヒトは、ナチのアイヒマン裁判レポートで有名なユダヤ人哲学者を描いた「ハンナ・アーレント」で若き日の彼女を演じた女性で、その美貌と確かな演技が魅力的でした。ほかにも、ドイツ、ヨーロッパを代表する俳優が脇を固めています。

先日のG7でも、女性首相として来日したドイツのメルケル首相は、2015年のユダヤ人虐殺の追悼式典でこう述べられています。「私たちドイツ人は、恥の気持ちでいっぱいです。何百万人もの人々を殺害した犯罪を見て見ぬふりをしたのはドイツ人自身だったからです。私たちドイツ人は過去を忘れてはならない。数百万人の犠牲者のために、過去を記憶していく責任があります。」と。過去の負の遺産に誠実に向き合い、誇りをもって責任を果たす。アウシュビッツ裁判による信念は、今も未来も受け継がれ、その行為ドイツ人としての誇りとなっているように感じます。


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