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ジャン・フォートリエ展 豊田市美術館

豊田市美術館で開催中のジャン・フォートリエ展を鑑賞。

郵送された展覧会チラシが3種類。一人の名前も聞いたことのない画家の作品が異なる手法で描かれていました。日本初の回顧展となる展覧会の力の入れようが強く感じられ、ジャン・フォートリエなる画家の実態を探りたい気持ちを抱きました。しかしながら、その重々しい作品のイメージからしばらく遠ざかってしまい今回の鑑賞となりました。

ジャン・フォートリエは、戦後のフランス絵画の切り拓いた男として異色の存在です。フランス絵画の歴史の中で過去のイメージを覆す画家はいなかったでしょう。正にその存在は孤高と言えます。

初期の写実的に表現された人物や静物でさえ、もの重しさが漂い次第にその表現は細部がはがされるように省略され自らが黒の時代と呼ぶように重厚感を増していきます。

フランスの作家で後に文化相を務めたアンドレ・マルロー氏に評価されながら、ある事件をきっかけに第二次大戦の始まるなか制作を断つなど不遇の時代を得て、戦後にドイツのゲシュタボニによる拘束を機に「人質」の連作を発表。一部をはぎ取られた厚塗りの頭部は、抑圧された人々の苦悩が端的に表現されていました。彼が20世紀絵画の証言者といわれる所以も明らかな作品群です。

彼の抽象画は、日本人が愛した抽象とて取り上げれています。その作品は他の抽象画家とは違う独特な荒々しさがありました。その抽象画はアンフォルメル(非定形)といわれるもので20世紀のフランス、ヨーロッパの抽象表現の潮流として評価されました。日本でもジャン・デュ・ビュッフェがよく知られていますが、フォートリエの作品は1959年の日本での初個展によりもたらされたそうです。

今回の回顧展は、かなり異色の展覧会で心象的な要素が強く美しさとはかけ離れた存在でしょう。しかしながら、既存の芸術を否定し芸術の存在を違う側面で知らしめるフォートリエの作品は観る人に強く印象付けることは間違いないと感じました。


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