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長谷川利行展 碧南市藤井達吉現代美術館



あなたは、長谷川利行という洋画家を知っていますか。その波乱万丈な人生から日本のゴッホと言われた画家で、戦前に生来の放浪癖から住む家を持たず、ただ絵を描くことだけに命を削り、酒におぼれ極貧のうちに療養所にて看取られることなく49歳の生涯を閉じた無頼の画家です。彼の画業を振り返る展覧会が現在碧南市藤井達吉現代美術館で開催中です。

洋画団体の二科展で樗牛賞、奨励賞を受賞しながら、出品を続けるも経済的には恵まれず、知人の画家などの家を転々としながらお金の工面するために絵を描き続けています。そんな、画家の人生でも、多くの芸術家に、多大な影響や評価を得ていました。

画商の間では、評価の高い画家でしたが、一般的にはその名を知られることは少ないです。また、僅か13年の画業人生と生前は一部のコレクターにしか作品の所蔵はなく、作品数も少ないです。

今回の展覧会は、2018年3月24日から、福島県立美術館、府中市美術館、そして今回の碧南市藤井達吉現代美術館と続き、久留米市美術館、足利美術館での新たに発見された作品を含む140点からなる大回顧展です。

自由奔放な筆致と独特の色彩感覚は長谷川の人生そのもので、貧しい生活の中で描かれるモチーフは知人の肖像画や浅草の踊り子や市井の人々がモデルであり、生活範囲を物語ように、昭和初期の浅草や新宿の原風景です。どの作品も息づく鼓動を感じます。

彼の作品をたとえるなら、マチスなどに代表されるフォービスムに共通します。僕にとっては、好きな画家の一人であるマチスの画風に似ていながら、長谷川には、生きることにもがきながらも描くことでしか人生を楽しめない不器用さ感じます。

いろいろな面で恵まれた今の日本において、こうした無頼の画家は生まれないでしょう。未だ長谷川利行の画業は未完成のままです。だからこそ、長谷川利行の存在は、広く世界にも評されるのではと思います。



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