拝啓 佐野研二郎様
一連の騒動で、悩み心を痛めてみえることと思います。
同様に、あなたの才能を強く支持している人々も心を痛めています。僕も、その一人です。そして、反論したくてもできない状況に置かれているのも事実です。
次から次へ発見されるパクリ疑惑デザイン。ここぞとばかりに登場する名もなきデザイナーたちの非公式エンブレム。もし、今回のことがなければ、このような現象は起こりえないと思いました。そして、マスコミも、コメンテーターも、そしてデザイナーたちも、我々が善意の代表者のごとく振る舞い、火に油を注ぎ、事態を大きくしているように思えてならないです。
しかし、こうした状況を憂いている僕でさえ、あなたの公式エンブレムを良いと思っていても、オリンピックの負の遺産になりかねない状況から、あなたの手から離れた作品は、組織委員会によって白紙撤回するしかないと思っています。
あなたを支持する人、支持していない人々の中の大部分の人たちは、オリンピックが、日本人に勇気と希望を与えてくれる方向に早く向いてほしい思っています。
今、あなたができることは、トレースなどと言う曖昧な業界用語で言葉を濁さず、疑惑をもたれている各々のデザインの真意を明確にして、大衆の意見に耳を傾け、認めるべきことは素直に認め、たとえ自分の地位と名誉が脅かされる状況になっても、真摯に自らの主張を述べることです。
あなたの作り上げた過去の優秀な子供たちを、オリンピックエンブレムのような悲劇の子供にしてはいけません。
あなたのデザインを支持する人々は、あなたの復活を願っています。
