映画館で観れなかった作品をDVDで観るシリーズ。今回は、写真家としても活動してきた長谷井宏紀の第一回監督作「ブランカとギター弾き 」です。
今回の作品は、世界中を旅して歩いてきた日本人写真家が、スラムの人々共に築き上げた映画で、ヴェネチアヴィエンナーレとヴェネチア映画祭の全額支援を受けています。
マニラの孤児ブランカが、母親を買うことを思いつき、盲目のギタリスト老人と母親探しの旅に出るという物語は、スラムに住む実在の人物もキャスティングしています。また主人公のブランカは、YouTubeで国内外で話題となった歌姫で、今回が映画初出演ながら、その澄んだ歌声と共に高い演技力を感じます。また、盲目のギター弾きの老人は、路上のギタリストとして名高いサイデル・カブテロ。少女に生きる術を教える重要な役柄です。
人身売買やスラムなど貧困問題を抱えるフィリピンのリアルな実情を、そこに暮らす人々が演じてることで貧しい国が抱える共通の問題を突きつける静かな説得力があります。
写真家として紛争地域や貧困地域に取材した長谷井宏紀だからこそ、初監督にして高い評価を受ける感動の社会派ドラマです。