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幻の横浜焼 東京焼 岐阜県現代陶芸美術館・会期終了



先日、明治の陶工たちの超絶技巧を観に出かけました。今回の展覧会は「幻の横浜焼・東京焼」展で茨城、横浜、兵庫、岐阜と巡回、明年3月21日より滋賀県立陶芸の森での完了となる展覧会です。
 
近年、注目を浴びている明治の超絶技巧の作家たち。京都の清水三年坂美術館がその人気の起因となっています。過去の展覧会をのぞいてみると、主に当館の所蔵品で構成されることが多いのですが、今回の展覧会は、明治の一時期に隆盛を極めながら時代と共に消えた幻の横浜焼と東京焼のコレクターである田邉哲人の所蔵品を中心に構成された貴重な展覧会でした。
 
明治の超絶技巧の作家たちが国際的な評価を得たのは、パリ万博によるところが強いのですが、今回の横浜、東京焼はそれより以前の万博で評価を得た先駆者的な陶磁器です。
横浜焼・東京焼といわれる由縁は、万博を機に人気を得た日本の陶磁器を海外に輸出するための主要な港として、横浜、東京があり日本の主要な窯産地から絵付師を呼び寄せ商社が海外への流出の担い手となったそうです。その点での今の商社の先駆けともいえます。
 
その作品は、外国人の好みに応じて変化し日本的なものから、ヨーロッパの美術傾向に応じて作られ、その図柄は多岐にわたっています。なかでも、注目は明治の超絶技巧の代表作家である宮川香山の作品で、欧米で流行していた薩摩焼にかわる陶磁器として金で表面を浮き彫りにした薩摩焼にかわる高浮彫といわれる新しい陶磁器である真葛焼による作品がずらりと並び、派手やかな金彩色の薩摩焼とは好対照で立体的な表現はリアルで重厚感がありました。他にも白磁に施された繊細な描写は独特な趣をもっていました。
 
当時から欧米での人気が高かったのは、この時代の作家たちの細密な描写力が十二分に生かされ、さらに古さを感じさせない魅力があったからではないでしょうか。明治の超絶技巧に関し新しい発見があった展覧会でした。ぜひ滋賀での最後の展覧会をお近くの方は楽しんでみてはどうでしょう。

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