路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

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【社説①・10.10】:10・10空襲から80年 「国策犠牲」繰り返すまい

2024-10-10 04:00:20 | 【終戦・敗戦・第二次世界大戦・旧日本軍・広島、長崎原爆投下・原水爆禁止

【社説①・10.10】:10・10空襲から80年 「国策犠牲」繰り返すまい

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・10.10】:10・10空襲から80年 「国策犠牲」繰り返すまい 

 沖縄の島々を襲い、那覇市の9割を焼き尽くした1944年10月の10・10空襲から80年の日を迎えた。軍事施設だけではなく、住宅や学校など民間施設を狙い、民間人を巻き込む無差別攻撃だった。

沖縄戦の方向性を決定づけた10・10空襲 焦土と化した那覇を記憶する男性が伝えたいこと | OKITIVE

 罪のない民を傷つける戦争は今もウクライナ、中東で続いている。10・10空襲や沖縄戦体験から戦争の愚かさを知る県民にとって、これらの戦闘に無関心ではいられない。停戦に向けた国際社会の結束を求めたい。そして戦争ができる国づくりから戦争準備へと踏み出した日本の現状に危機感を持って臨みたい。

 10・10空襲は沖縄戦の序章であった。米軍の侵攻に対する防波堤として軍備増強が進む沖縄の島々を攻撃し、日本軍の弱体化を図った。県民が戦争遂行という国策の犠牲となる象徴的な出来事だった。

 44年3月、南西諸島を防衛する第32軍が創設され、日本軍飛行場の建設が本格化する。夏以降、日本軍の沖縄駐屯が進み、県民動員による陣地構築が加速化する。

 第32軍は沖縄の人や資源の全てを戦力化する軍方針を県民に強いた。牛島満司令官は8月、「現地物資を活用し、一木一草といえども戦力化すべし」「地方官民をして喜んで軍の作戦に寄与し進んで郷土を防衛する如(ごと)く指導すべし」と訓示している。

 日本の戦況は悪化の一途をたどっていた。7月にサイパンの日本軍が壊滅し「絶対国防圏」が崩れた。政府は作戦の足手まといとなる住民の排除と日本軍の食料確保などを目的に南西諸島の児童や女性、高齢者の九州・台湾への疎開を決めた。学童集団疎開も進めたが、日本の制海権は失われており、対馬丸事件の悲劇が起きた。

 それに続く10・10空襲は県民に強い衝撃を与えた。同時に、日本軍の軍事施設が集中する沖縄が米軍の標的となり、戦場となることが不可避であることを県民に突きつけた。対馬丸事件と並び、10・10空襲は民間人の生命を軽視し、沖縄の軍事要塞(ようさい)化を進めた国策の犠牲である。

 私たちは、この80年前の国策による県民の犠牲を過去のことと済ませるわけにはいかない。現在、政府は沖縄の島々で軍事要塞化を急速に進めているからだ。

 「台湾有事」を念頭に「南西シフト」による沖縄の島々の自衛隊増強は沖縄の戦場化を想定したものにほかならない。国民保護法に基づく宮古、八重山住民の疎開計画もその一環と言えよう。沖縄は再び中国の軍事行動に対する防波堤に据えられようとしているのだ。石破茂首相が提唱する「アジア版NATO」も警戒すべき動きである。

 国策による犠牲を繰り返してはならない。沖縄はなぜ戦場となり、4人に1人の県民の命が失われたのか。80年前の「10・10空襲」や沖縄戦を見つめ直し、「新たな戦前」と呼ばれる危機的な状況に向き合わなければならない。

 元稿:琉球新報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム【社説】  2024年10月10日  04:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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