路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

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【2021年の記憶】:難局臨む立民小川氏「野党共闘」結果求められる参院選

2021-12-31 23:55:50 | 【選挙・衆院選、参院選、補選・都道府県市町村長・地方議会・公職選挙法・買収事件】

【2021年の記憶】:難局臨む立民小川氏「野党共闘」結果求められる参院選

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【2021年の記憶】:難局臨む立民小川氏「野党共闘」結果求められる参院選 

 ◆<2021年の記憶>

 立憲民主党の小川淳也政調会長(50)が28日、日刊スポーツのインタビューに応じ、激動の1年と党再建の責務を負う来年への意気込みを語った。10月の衆院総選挙で議席減で引責辞任した枝野幸男前代表の執行体制を引き継いだ。来年7月に迫った参院選へ向け、映画「なぜ君は総理大臣になれないのか」で知名度を上げた熱血漢が党勢復活への難局に臨む。

インタビューで心境を語る立憲民主党小川政務調査会長(撮影・たえ見朱実)インタビューで心境を語る立憲民主党小川政務調査会長(撮影・たえ見朱実)

来年の目標を1文字で表した立憲民主党小川政務調査会長(撮影・たえ見朱実)来年の目標を1文字で表した立憲民主党小川政務調査会長(撮影・たえ見朱実)

    ◇    ◇    ◇

 10月衆院選は共産党らとの野党共闘で政権交代を掲げたが、敗れた。平野博文代表代行、辻元清美副代表が落選。小沢一郎氏(当選17回)、中村喜四郎氏(当選14回)らも選挙区で敗北し、比例復活で議席を死守したが、改選前の110議席から96議席に減らし、枝野前代表は辞任に追い込まれた。

 小川氏 反対ばかりして、任せようという気にならないと地元でも言われた。政権の受け皿としては認知してもらえなかった。厳しい結果だった。

 泉健太氏が新代表となり、代表選に出馬した西村智奈美氏が幹事長、逢坂誠二氏が代表代行で、小川氏が政調会長。党内融和を優先した新執行体制で、来年7月の参院選へ臨むが、他党は着々と公認候補者の擁立を発表している。

 小川氏 代表選と新執行部の立ち上げをやっているので、最初の1歩がどうしても、遅れている。出遅れている可能性はある。

 参院選1人区での野党共闘については執行部4人で一致しているという。

 小川氏 代表選の期間中に4人で一致していたのは1人区では一本化が必須。野党共闘にもいろんな意味が含まれている。選挙区調整は大いに必要。

 泉代表が「兄弟政党」と位置づける国民民主党は衆院選後に日本維新の会と急接近。東京都知事の小池百合子氏が特別顧問を務め、参院選で候補者擁立を宣言している「ファーストの会」も国民民主党と勉強会を開催するなど第3極をにらんだ動きを加速させる。一方で立憲は維新とは距離感がある。

 小川氏 すり寄ったり、おもねたりする必要はない。野党第1党として360度外交をしなければいけない。対話の門戸を閉じる必要はない。

 来年7月の参院選まで、時間が刻一刻と迫る中で結果が求められる。

 小川氏 過酷ですよ。短期決戦、スピード勝負になる。ゴールポストが動くことはないので。そこまでにやれることは何なのか。どうやってやり切るのか。

 波乱の1年から新年への思いを込めた1文字は「歩」。

 小川氏 跳躍、飛躍しなきゃいけない、という使命感とか責任感とか、なくはない。跳びたい衝動を抑えて実直に今まで歩いてきたし。地に足をつけて。跳ぶと書きたい気持ちを抑えて、歩く。【聞き手・大上悟】

 ◆小川淳也(おがわ・じゅんや)

  1971年(昭46)4月18日、香川・高松市生まれ。東京大学法学部卒。自治省(現総務省)などを経て、03年衆院選に民主党から初出馬も落選。05年衆院選は小選挙区は落選したが、比例復活で初当選した。鳩山、菅内閣で総務政務官。民進党から希望の党、無所属を経て、旧立民入り。10月衆院選は香川1区で平井卓也前デジタル相を破り、当選6回。高校時代は野球部で内野手。家族は夫人と2女。

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【話題・「2021年」の記憶】  2021年12月29日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【2021年の記憶】:熱海土石流被害の老舗そば店に年越しそば予約殺到

2021-12-31 23:55:40 | 【災害・地震・津波・台風・竜巻・噴火・落雷・豪雪・大雪・暴風・土石流・気象状況】

【2021年の記憶】:熱海土石流被害の老舗そば店に年越しそば予約殺到

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【2021年の記憶】:熱海土石流被害の老舗そば店に年越しそば予約殺到

 ◆<2021年の記憶>

 大雨の続いた静岡・熱海市の伊豆山地区で地滑りが発生した。7月3日午前10時すぎだった。逢初川(あいぞめがわ)上流から流出した土砂が河岸の住宅をのみ込んで死者26人、行方不明者1人を出す大惨事となった。

 その土石流で店舗が壊れた老舗そば店「木むら」が12月22日に約5カ月半ぶりに営業を再開し、年越しそばの予約が殺到している。

   ◇   ◇   ◇

 創業から87年の老舗そば店が熱海市伊豆山地区で発生した土砂流につぶされた。鎌倉幕府を興す前に源頼朝と北条政子が出会った場所である言い伝えから命名された逢初橋も第1波で大破した。それから30分後の第3波までに「木むら」の店舗は土砂と押し流されたがれきに埋まってしまった。

 店主の小林和海(ともみ)さん(48)は「父から受け継いだ店だけど営業再開は無理だと感じた」と無力感でいっぱいになったと振り返った。同じ伊豆山地区にあった自宅は無事だったが、避難勧告もあって店に戻れたのは土砂流発生から2日後の7月5日だった。

 復興支援で事故現場に入っていた工事関係者からは「店に入った土砂を取り除くだけで1カ月はかかりそうだ」とも言われた。しかし、事故発生から1週間後には土砂とがれきを店外にはき出すことができた。「全国から集まった災害ボランティアのみなさんがバケツリレーで掘り出してくれた。もう感謝しかありません」と小林さんは声を震わせた。

 土砂をはき出す作業中に父の代からつぎ足しで大事にしていたそばのしょうゆダレ「カエシ」の入った壺(つぼ)も見つかった。店舗地下の倉庫にも土砂が入り込んでいた。備品のほとんどが壊れてしまったが、壺はふたの部分には泥がかぶらず「ヒビ1つ入らず無傷だった」。小林さんは驚き、店舗再開への希望の光を見いだしたという。

 店舗内外が急ピッチで改装され、今月22日から営業を再開できた。国道135号に面した店舗前は、お祝いの生花と日本酒やビールのケースで壁のようになった。「年越しそばのオーダーが殺到して、30日は配達に追われそう。例年の3倍ぐらいの件数かな。おかげさまで27日は店の営業を休んで1日まるまる仕込みにあてました」と小林さんは声を弾ませた。【寺沢卓】

22日に営業再開したそば店「木むら」店主の小林和海さん(撮影・寺沢卓)22日に営業再開したそば店「木むら」店主の小林和海さん(撮影・寺沢卓)

「木むら」のもりそば特盛り「木むら」のもりそば特盛り

 ◆熱海市伊豆山地区の大規模土石流

 7月3日午前10時半ごろ、伊豆山地区の逢初川(あいぞめがわ)で大規模な土石流が発生。南東方向に向かって海まで約1キロ流出。全半壊した家屋は128棟にのぼり、人的被害は死者26人、行方不明者1人。市内ホテル2カ所に住民153人が避難した。県の調査では起点の土地の盛り土の大部分が崩れ、土砂が下るにつれて勢いを増して土石流につながったと報告。国土地理院の測量で盛り土量は推計約5万6000立方メートルとした。

 起点の土地の新旧所有者が安全管理を怠ったとして遺族が出した告訴状を県警が受理。業務上過失致死などの容疑で捜査。県警は家宅捜索など強制捜査も行った。県警は12月6日、起点の土地の新旧所有者2人について、殺人容疑での遺族からの告訴状を受理した。告訴状は「未必の故意」があったとしている。

「木むら」隣のクリーニング店で、「流れ込んだ土砂はこのぐらいだった」と示す岡本政夫代表(撮影・寺沢卓)「木むら」隣のクリーニング店で、「流れ込んだ土砂はこのぐらいだった」と示す岡本政夫代表(撮影・寺沢卓)

 ○…「木むら」隣のクリーニング店は11月8日から営業再開できたが、店主の岡本政夫さん(70)は「土砂やがれきを撤去しても店前には軽自動車程度の大きさの岩が2つ転がったままだった。土石流の威力と怖さをあらためて知らされた」と話した。店がある集落の中心部の国道135号沿線はほぼ復旧してきたが、逢初川の上流部はまだ電気、水道のつながっていない家屋や、流されてしまった建物の再建の見通しが立っていない。

 静岡県熱海土木事務所担当者は「上流地区での生活が復元するまでの目標を2年後としているが、あくまで目標です」と話した。土石流の発生現場となった盛り土のあった場所に砂防ダムを建設し、最上流での安全が確保されてから順次整備に入るという。担当者は「ようやく土砂とがれきを撤去できた状態」と説明した。

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【話題・「2021年」の記憶】  2021年12月28日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【2021年の記憶】:空前のサウナブーム、多幸感もたらす「ととのう」とは?

2021-12-31 23:55:30 | 【社説・解説・論説・コラム・連載】

【2021年の記憶】:空前のサウナブーム、多幸感もたらす「ととのう」とは?

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【2021年の記憶】:空前のサウナブーム、多幸感もたらす「ととのう」とは? 

 ◆<2021年の記憶>

 長引く新型コロナ禍の閉そく感も手伝ってか、2021年は身も心も解きほぐしてくれるサウナが、空前のブームに。

 「2021ユーキャン新語・流行語大賞」で、サウナ用語の「ととのう」がノミネートされるなど、社会現象となった。著名人や経営者など1000人以上を「ととのう」状態に導き、サウナブームの火付け役となったプロサウナー「ととのえ親方」こと松尾大さん(45)に話を聞いた。【取材・構成=沢田直人】

「ととのえ親方」こと松尾大さん(20年6月、静岡県伊豆市旅館おちあいろうで撮影、TTNE提供)「ととのえ親方」こと松尾大さん(20年6月、静岡県伊豆市旅館おちあいろうで撮影、TTNE提供)

「ととのえ親方」こと松尾大さん(TTNE提供)「ととのえ親方」こと松尾大さん(TTNE提供)

   ◇   ◇   ◇

 -「ととのう」とはどういった状態を表すのですか

 親方 「サウナ、水風呂、休憩」を繰り返すことで得られる「多幸感」。脳と体、心がリラックスしている状態を言いますね。

 -水風呂の後の「休憩」は前からありましたか

 親方 今まではサウナと水風呂を行ったり来たりしていた人が多かったです。休憩というものが出てきたことによってサウナブームができた。ここ2、3年でいろんな人が「サウナ、水風呂、休憩」が良いと言い始めた。正しい入り方が分かり、サウナが心地よいと伝わったのだと思います。

 -時間配分などサウナの入り方を教えてくれますか

 親方 僕は時計は見ないで、出たくなったら出る。(割合でいうと)サウナ4:水風呂1:休憩5くらいで考えています。サウナの後の水風呂が嫌いな人がいると思う。15~30秒ぐらいつかると、「水風呂の向こう側」(サウナ愛好家がよく使うフレーズ)があります。そこの「ととのい」を体験してもらいたい。

 -ブームをどのように感じていますか

 親方 僕はすごくうれしい。このために5年間ぐらいやってきたから。もともと「サウナー」とか「ととのう」っていう言葉は漫画「サ道」(タナカカツキ氏原作)でありました。ただ、サウナはおじさんのものというイメージ。だから僕らは若い人向けにファッションと結び付けました。女性誌とかYouTuberと組んで、20代にも届くようになりました。

 -そもそもサウナにはまったきっかけは

 親方 昔からサウナが好きで、世界のサウナに興味がありました。40カ国以上の国でサウナを探す旅をしました。12年ほど前に、アメリカのアリゾナの山奥で、5日間の断食断水後のサウナを経験しました。6キロぐらい体重が減って汗も出なかったです。そこで(熱した石に水を掛けて蒸気を発生させる)ロウリュをすると植物みたいに肌から水分を吸うんです。そういう経験をいろんな場所で話して、たくさんの人を札幌のサウナに案内してたら、いつのまにか「ととのえ親方」と呼ばれるようになりました。

 -コロナ禍でサウナはどのように変わりましたか

 親方 黙浴と言われるようになりましたよね。感染症対策だからしょうがないけど、僕はあんまり好きじゃない。(新型コロナ禍では)家からも出られないし、どこにも怒りとかぶつけられないでしょ。お風呂とかサウナはリラックスする場だと思う。早くサウナでお話しできる時代に戻って欲しいと思います。

 -サウナをどのように発展させていきたいですか

 親方 僕はウォシュレット(温水洗浄便座)やシャワーのようにしていきたい。この2つは昔はなくて、ユニットバスみたいに家庭に取り付けられるようにしていきたいですよね。

 -「プロサウナー」とは

 親方 サウナーはサウナで汗を流す人。プロサウナーはサウナのために汗を流す人。沢田君もプロサウナーだね。

 -「ととのえ親方」のように異名をもらえるように頑張ります

 親方 「新聞記者サウナダ」とか良いと思うよ(笑い)。

 ◆松尾大(まつお・だい)

 1976年(昭51)7月30日、札幌市生まれ。サウナのプロデュースをするほか、福祉施設やフィットネスクラブを経営する実業家。17年にプロサウナーの専門ブランド「TTNE PRO SAUNNER」を立ち上げた。19年に友人の医師らとサウナの最適な入り方を提唱する「日本サウナ学会」を設立。20年にはサウナの指南書「Sauunner BooK(サウナー・ブック)」(A-Works)を著作。サウナには週に14回ほど入る。

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【話題・「2021年」の記憶】  2021年12月26日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【2021年の記憶】:五輪「非公式競技」ピントレード、コロナ禍でマニア苦戦

2021-12-31 23:55:20 | 【スポーツ全般・屋内外の競技種目・オリパラピック・国民スポーツ大会】

【2021年の記憶】:五輪「非公式競技」ピントレード、コロナ禍でマニア苦戦

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【2021年の記憶】:五輪「非公式競技」ピントレード、コロナ禍でマニア苦戦

 ◆<2021年の記憶>

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で、海外からの観客受け入れが見送られる異例の形で開催された東京オリンピック(五輪)・パラリンピック。長年、五輪の「非公式競技」として続いてきた記念ピンバッジの交換会「ピントレード」は、どのように行われていたのか。

<2021年の記憶>

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で、海外からの観客受け入れが見送られる異例の形で開催された東京オリンピック(五輪)・パラリンピック。長年、五輪の「非公式競技」として続いてきた記念ピンバッジの交換会「ピントレード」は、どのように行われていたのか。

東京五輪・パラリンピックに関連するピンバッジに囲まれ笑顔を見せる玉井政道さん(本人提供)東京五輪・パラリンピックに関連するピンバッジに囲まれ笑顔を見せる玉井政道さん(本人提供)

玉井政道さんが東京五輪の開催期間中に海外メディアと交換して集めたピンバッジ(本人提供)玉井政道さんが東京五輪の開催期間中に海外メディアと交換して集めたピンバッジ(本人提供)

 「海外の有名なトレーダーが来ない。マニアにとって『地獄の五輪』になりそうです」。98年長野五輪からピンバッジ収集を20年以上続けてきた長野市の愛好家玉井政道さん(69)は開幕前、ほぼ絶望していた。男子体操や女子テニスなど、競技チケットを8枚持っていたが、無観客での開催が7月に決定。世界中のファンと交流できるはずだった会場での観戦ができなくなった。

コカ・コーラが88年カルガリー冬季五輪から設置してきた専用スペース「ピントレーディングセンター」も中止された。それでも、玉井さんはファイザー製のワクチン接種を2回済ませ、競技場が集まる東京・有明にホテルを予約。開幕1日前から約2週間滞在した。狙いは外国人メディアやボランティア。大会期間中は、ホテルと国際放送センターの行き来を繰り返し、五輪関係者に「ピンバッジチェンジ」と声を掛け続け、大会期間中で150種類ほど集めたという。

オンラインで集めた人もいる。五輪関連のピンバッジを5000個ほど持つ東京ピンクラブの寺島喜之代表幹事は、東京大会期間中はフェイスブックなどを経由して海外のトレーダーと交流し、約100個集めたという。北京五輪のピントレードはオンラインではすでに始まっている。寺島さんは10月ごろから30個ほど集めたという。

24年パリ五輪まであと2年7カ月。コロナは収束しているだろうか。玉井さんは、パリ五輪のボランティアにすでに申し込んでおり、現地での交流を待ち望んでいる。【沢田直人】

◆ピントレーディング 近代五輪の第1回大会である1896年アテネ五輪で、選手や大会役員、報道関係者などを判別するために、バッジが制作され「友好の証」として交換したことが始まりといわれている。次第に一般客にもピントレードの輪が広がり、海外のコレクターも多い。各国・地域の組織委員会が制作するNOCピン、種類が豊富なスポンサーピンや、テレビ局などのメディアが制作するピンが愛好家からの人気が高い。希少なピンは高値で取引されることもある。

 「海外の有名なトレーダーが来ない。マニアにとって『地獄の五輪』になりそうです」。98年長野五輪からピンバッジ収集を20年以上続けてきた長野市の愛好家玉井政道さん(69)は開幕前、ほぼ絶望していた。男子体操や女子テニスなど、競技チケットを8枚持っていたが、無観客での開催が7月に決定。世界中のファンと交流できるはずだった会場での観戦ができなくなった。

 コカ・コーラが88年カルガリー冬季五輪から設置してきた専用スペース「ピントレーディングセンター」も中止された。それでも、玉井さんはファイザー製のワクチン接種を2回済ませ、競技場が集まる東京・有明にホテルを予約。開幕1日前から約2週間滞在した。狙いは外国人メディアやボランティア。大会期間中は、ホテルと国際放送センターの行き来を繰り返し、五輪関係者に「ピンバッジチェンジ」と声を掛け続け、大会期間中で150種類ほど集めたという。

 オンラインで集めた人もいる。五輪関連のピンバッジを5000個ほど持つ東京ピンクラブの寺島喜之代表幹事は、東京大会期間中はフェイスブックなどを経由して海外のトレーダーと交流し、約100個集めたという。北京五輪のピントレードはオンラインではすでに始まっている。寺島さんは10月ごろから30個ほど集めたという。

 24年パリ五輪まであと2年7カ月。コロナは収束しているだろうか。玉井さんは、パリ五輪のボランティアにすでに申し込んでおり、現地での交流を待ち望んでいる。【沢田直人】

 ◆ピントレーディング

 近代五輪の第1回大会である1896年アテネ五輪で、選手や大会役員、報道関係者などを判別するために、バッジが制作され「友好の証」として交換したことが始まりといわれている。次第に一般客にもピントレードの輪が広がり、海外のコレクターも多い。各国・地域の組織委員会が制作するNOCピン、種類が豊富なスポンサーピンや、テレビ局などのメディアが制作するピンが愛好家からの人気が高い。希少なピンは高値で取引されることもある。

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【話題・東京五輪・パラリンピックは史上最多のメダル獲得数を更新した結果だけでなく、未来に継承する「レガシー」(遺産)】  2021年12月25日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【2021年の記憶】:東京五輪の「レガシー」夢広がるパークと恒久赤字施設

2021-12-31 23:55:10 | 【スポーツ全般・屋内外の競技種目・オリパラピック・国民スポーツ大会】

【2021年の記憶】:東京五輪の「レガシー」夢広がるパークと恒久赤字施設

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【2021年の記憶】:東京五輪の「レガシー」夢広がるパークと恒久赤字施設

 ◆<2021年の記憶>

 東京五輪・パラリンピックは史上最多のメダル獲得数を更新した結果だけでなく、未来に継承する「レガシー」(遺産)にも注目が集まる。新競技スケートボードの日本勢活躍の余波もあり、来年秋の完成を目指して東京・江東区に「スケートボードパーク」建設が決定。東京・晴海の選手村跡地は再開発され、24年3月までに新たな街に生まれ変わる。一方で、東京2020大会で新設された試合会場などの施設は、今後の赤字運用が見込まれ、“負のレガシー”となりかねない状況だ。【取材・構成=鎌田直秀】

スケートボードパーク建設予定地の江東区夢の島総合運動場(江東区広報広聴課提供)スケートボードパーク建設予定地の江東区夢の島総合運動場(江東区広報広聴課提供)

    ◇    ◇    ◇

 1年延期で閉幕した東京五輪・パラリンピックは何を残したか。女子ストリート西矢椛(もみじ)が史上最年少13歳の金メダリストとなり、「ゴン攻め」などの言葉も注目されるなど、大いに盛り上がった新競技スケボーでは、来年11月、夢の島総合運動場内にスケボーパークがオープン予定だ。来春着工し、同10月に完成予定。区は初期費用として補正予算案に468万円を計上。約2500平方メートル規模で総工費は今後の設計などで決まるが、着実に実現へ歩みを進めている。

 維持費を含めて、ふるさと納税を活用したクラウドファンディングで資金を募ることも検討。五輪会場「有明アーバンスポーツパーク」も国際大会や上級者用として存続予定だ。山崎孝明区長は「こちらは初心者や中級者向けで、両方がうまくいくように活用してもらいたい」と期待した。

 男子ストリート金メダル獲得の堀米雄斗が生まれ育った同区担当者は「施設を整備し、教室の開催やマナー啓発に取り組むことで、東京大会のレガシーとして競技の裾野を広げ、発展につなげていく」。多くの公園などで禁止されるなど、恵まれない競技環境を変えるレガシーとなりそうだ。

 一方、13年の立候補ファイルでは7340億円だった経費について、東京オリンピック・パラリンピック組織委員会は22日に総額1兆4530億円となる見通しと発表した。組織委の収入と支出は同額で、都や国の公費追加負担はないとしている。しかし、都が別途計上した暑さ対策などの関連経費は含まれていない。最終決算は来年6月ごろとみられ、まだ詳細な説明はなされていない。

 都内に新設された6つの恒久施設も、今後の黒字試算は「有明アリーナ」のみ。水泳の「東京アクアティクスセンター」や「カヌー・スラロームセンター」「海の森水上競技場」など、計5施設で年間11億円程度の赤字運用が見込まれている。都はネーミングライツ(命名権)販売なども検討しているが、こちらも具体化には至っていない。

 64年東京五輪は、東海道新幹線開通などのインフラ整備、カラーテレビの普及など今も生活に欠かせないレガシーが残る。今回は大会前に組織委幹部の女性蔑視発言や、開閉会式に携わる演出家らがタレントの容姿を侮辱するような提案をしていたり、障がい者らに対する過去のいじめが発覚するなど、人権侵害の問題も浮上。ジェンダーや多様性などを考えさせられるきっかけとなった。これも1つのレガシーとなるのかもしれない。【鎌田直秀】

 ○…選手らが使用していた宿泊棟は、21棟のマンションに改装される。東京都都市整備局の大久保雅典選手村整備調整担当課長は「子育て、高齢者、外国人など多様な人々が住める街づくり。水素を街のエネルギーとして先導的に導入します」。小中学校、商業施設に加え、水素ステーションも新設。交通網も新橋や虎ノ門と結ぶ東京BRT、都営バス、中央区コミュニティーバスが整備される。年明け着工の2つの地上50階タワー棟以外は、24年3月末までに居住空間が完成する。

 全5632戸で約1万2000人が暮らす見込みの「晴海五丁目西地区市街地再開発事業」が、25年度末までには完了する。すでに2LDK~4LDKの1571戸を販売。特定建築者の1社となる三井不動産の担当者は「幅広い年代層、家族構成の方にご購入いただいている」。段差が少なくバリアフリーな歩行空間や、緑地環境など、快適性が人気を博している。

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【話題・東京五輪・パラリンピックは史上最多のメダル獲得数を更新した結果だけでなく、未来に継承する「レガシー」(遺産)】  2021年12月24日  04:45:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【中山知子の取材備忘録・11.28】:大谷翔平が辞退した国民栄誉賞 安倍晋三元首相がかつて語った「判断基準」

2021-12-31 23:52:10 | 【社説・解説・論説・コラム・連載】

【中山知子の取材備忘録・11.28】:大谷翔平が辞退した国民栄誉賞 安倍晋三元首相がかつて語った「判断基準」

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【中山知子の取材備忘録・11.28】:大谷翔平が辞退した国民栄誉賞 安倍晋三元首相がかつて語った「判断基準」 

 大リーグエンゼルス大谷翔平(27)に、政府が国民栄誉賞授与を打診をしたものの、大谷が辞退していたことが、今月22日、明らかになった。松野博一官房長官の記者会見冒頭、松野氏自身が明かした。二刀流で残した今季の活躍は、ア・リーグMVP受賞に象徴される偉業の数々。MVP受賞決定の当日、岸田文雄首相が国民栄誉賞の検討の是非を問われ「お祝いの気持ちどのような形で示すのか、これから考えてみたい」とにおわせていたが、そこからわずか3日で「辞退」のスピード発表になってしまった。

エンゼルス大谷翔平(2021年11月15日撮影)

    エンゼルス大谷翔平(2021年11月15日撮影)

 「広く国民に敬愛され、社会に明るい希望を与えることに顕著な業績があった者について、その栄誉を讃えることを目的とする」が判断基準とされる国民栄誉賞だが、授与の判断はあいまいで、時の政権の腹づもり1つだ。最も多く輩出したのは、7年8カ月の長期政権となった第2次安倍政権の7人。腹づもりと引き換えに「人気者の政治利用」との批判が出る場合も多く、タイミングや対象人物に、かなりの慎重さが求められるのも事実だ。

 イチロー氏は過去に3度、打診を辞退している。賞に対する価値観も、人それぞれだろう。

 国民栄誉賞を贈る判断について「なるほど」と感じたのは、安倍晋三元首相の対応だった。安倍氏が初めて国民栄誉賞を授与したのは第2次政権で、元横綱大鵬の納谷幸喜さん。死去から約1カ月後だった。そして、その3カ月後に授与したのが、長嶋茂雄氏と松井秀喜氏。その際に安倍氏にインタビューする機会があった。

 安倍氏は、それまで長嶋氏に国民栄誉賞が授与されていなかったことが「気になっていた」と話した。「長嶋さんに贈られていなかったのは、むしろおかしい。時期を逃すと(死後に授与された)大鵬さんのようになってしまう」。松井氏が現役引退を決めたタイミングに合わせて、師弟関係にある長嶋氏への授与にも踏み切った。

 1977年に第1号となった王貞治氏に贈られて以来、国民栄誉賞は26人と1団体に授与されたが、亡くなった後の受賞者は12人いる。当時聞いた安倍氏の言葉からは、授与するなら可能な限り、生きている間に…というニュアンスを感じたことを覚えている。その「判断基準」が、誰もが認める戦後のスーパースター長嶋氏に歴代政権が国民栄誉賞を授与してこなかった問題に、自ら区切りをつける結論を導いたのではないかと思っている。

 実際、納谷さんへの授与を決めた際に、政府には「長嶋さんにも国民栄誉賞をあげてほしい」との声が、当時多く寄せられたと聞いた。納谷さんと長嶋氏は、その偉大さを表現した言葉「巨人、大鵬、卵焼き」を体現した2人。国民栄誉賞授与には、多くの人が納得感を持ったと思う。

 翻って、今回の大谷への国民栄誉賞授与問題。松野官房長官は「政府としての祝意を表したいということから検討、打診した」と述べたが、選手としてまだまださらに前進することを公言している大谷を対象とするのは、ちょっとタイミングが早かったのではないか、という声も聞いた。むしろ、今年大谷が残した記録からこの先、どこまで進化が続いていくのか、楽しみが増える機会になったのかもしれない。【中山知子】

中山知子の取材備忘録

中山知子の取材備忘録

◆中山知子(なかやま・ともこ) 日本新党が結成され、自民党政権→非自民の細川連立政権へ最初の政権交代が起きたころから、永田町を中心に取材を始める。1人で各党や政治家を回り「ひとり政治部」とも。現在、日刊スポーツNEWSデジタル編集部デスク。福岡県出身。青学大卒。

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【話題・コラム・政局・「中山知子の取材備忘録」】  2021年11月28日  11:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【中山知子の取材備忘録・11.21】:過去には「山猫」や苦労話も 立憲民主党代表選、投票直前演説がカギ握る?

2021-12-31 23:52:00 | 【政党・自民・立憲・維新の会・公明・国民民主・共産・社民・れいわ・地域政党他】

【中山知子の取材備忘録・11.21】:過去には「山猫」や苦労話も 立憲民主党代表選、投票直前演説がカギ握る?

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【中山知子の取材備忘録・11.21】:過去には「山猫」や苦労話も 立憲民主党代表選、投票直前演説がカギ握る? 

 立憲民主党の代表選が告示されたが、まだ、いまひとつ盛り上がらない。告示された19日はメジャーリーグ大谷翔平のア・リーグMVP決定や紅白歌合戦出場歌手などのニュースが重なり、話題的に隠れてしまったような印象も受けた。立憲民主党が流れをくむ旧民主党の代表選は、今よりも関心を引いていたような記憶がある。

立憲民主党代表選に立候補した、左から西村智奈美氏、泉健太氏、小川淳也氏、逢坂誠二氏(21年11月19日撮影)

  立憲民主党代表選に立候補した、左から西村智奈美氏、泉健太氏、小川淳也氏、逢坂誠二氏(21年11月19日撮影)

 党を立ち上げた枝野幸男氏という「党内1強」の創業者が、衆院選敗北の責任をとって追われるように退場。旧民主党時代から役職に携わった顔ぶれたちによる役職の「たらい回し」への批判は根強く、そういったメンバーの出馬がはばかられた空気がある。野党第1党のトップ選びだが、現段階では世の関心を集めるほどのパーツがそろっていないという感じもある。

 4人乱立の大混戦は、党の刷新や世代交代が1つのテーマになっている。4候補にはそれぞれ20人以上の推薦人がつき、国会議員の動向はある程度固まっている。それだけに、誰が代表に選ばれるのか、党員やサポーターの動向がカギを握るといわれるが、もうひとつあるのではないかと思う。投票日当日、議員の投票直前に予定される最後の演説だ。

 立憲民主党に連なる旧民主党と自民党総裁選の違いは、この投票日当日の「最後の訴え」があるかないかだ。自民党はいきなり投票に入るが、旧民主党は各候補者が短い演説を行い、今回も予定されている。過去にはその演説が、当初予想された結果を覆したといわれた戦いもあった。

 2005年の代表選は、菅直人氏と当時はまだ若手の前原誠司氏(現国民民主党)が戦った。この時、前原氏は、中学時代に父親を亡くして奨学金を得ながら学生生活を送った苦労話を盛り込みながら「努力が報われる社会を」と訴え、しがらみにとらわれない党改革を主張。完全に菅氏のスピーチを圧倒した。

 この時の代表選は、党創業メンバーの1人菅氏に若手前原氏が「刷新」をテーマに挑んだ。構図は違うものの、今回と雰囲気はやや似ている。投票前には、主要グループの支持を取り付けた菅氏がリードしていたが、結果は前原氏が逆転し、わずか2票差で代表に選ばれた。「投票前の演説が効いた」と、多くの議員に言わしめた。

 前原氏は当時43歳。それまで幹事長代理しか経験しておらず、世代交代や刷新感への期待は集まったが、前原氏は結局その後、いわゆる「偽メール問題」で半年あまりで辞任。その後は再び、ベテラン組が代表に就く時代が続いた。

 その前原氏が辞任した後の代表選では、投票直前の演説で、イタリア映画「山猫」の一節「変わらずに生き残るためには、変わらなければならない」と訴えた小沢一郎氏が圧勝した。その小沢氏と菅氏が壮絶な激戦を展開した与党時代2010年代表選では、2人がともに「僕には夢がある」「私には夢がある」と、かぶりフレーズで呼びかけたこともある。

 旧民主党では代表選後、時に党内対立が激化。菅氏に敗れた小沢氏もその後しばらくして党を割った。立憲民主党としては初めてとなる、今回のトップ選び。旧民主党時代から続いてきた、党内の路線対立という流れを「刷新」できるかも、大きなテーマの1つになるはずだ。【中山知子】

中山知子の取材備忘録

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◆中山知子(なかやま・ともこ) 日本新党が結成され、自民党政権→非自民の細川連立政権へ最初の政権交代が起きたころから、永田町を中心に取材を始める。1人で各党や政治家を回り「ひとり政治部」とも。現在、日刊スポーツNEWSデジタル編集部デスク。福岡県出身。青学大卒。

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【話題・コラム・政局・「中山知子の取材備忘録」】  2021年11月21日  11:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【衆院選2021】:野党共闘競り負け ■こんな自民党政権が続く痛恨と絶望<下>

2021-12-31 23:51:30 | 【選挙・衆院選、参院選、補選・都道府県市町村長・地方議会・公職選挙法・買収事件】

【衆院選2021】:野党共闘競り負け ■こんな自民党政権が続く痛恨と絶望<下>

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【衆院選2021】:野党共闘競り負け ■こんな自民党政権が続く痛恨と絶望<下>

 ◆「成長」も「分配」もできない岸田政権が続ける安倍菅政治

 この先、自公政権の経済政策はどうなるのか。もし、自民党が大敗し、単独過半数を下回っていたら、経済政策もドラスチックに変わる可能性があった。しかし、自公の“安定多数”という結果になったことで、従来の政策が継続されるのは間違いない。

 この総選挙は、貧富の格差を拡大させたアベノミクスを転換する絶好の機会だったのに、有権者はチャンスを生かせなかった格好だ。

悪政は続く(安倍元首相)/(C)日刊ゲンダイ

   悪政は続く(安倍元首相)/(C)日刊ゲンダイ

 「岸田首相は“新しい資本主義”“成長と分配による好循環”などとキャッチフレーズを並べ立てていますが、いまだに具体的な経済政策を示していません。確固たる信念や独自の経済政策はないのだと思います。となると、多少、形は変わっても、このままアベノミクスが続くことになるでしょう。最悪なのは“分配”も“成長”も実現しない恐れが強いことです。当初、岸田首相は“まず分配”と訴えていましたが、途中から口にしなくなり、分配のための財源を捻出するのに必要だった“金融資産課税”の強化も撤回してしまった。分配は断念したのでしょう。まして“成長”は絶望的です。アベノミクスはいまだに3本目の矢である“成長戦略”が出てこない。10年経っても見つからないのに、岸田政権から成長戦略が出てくるとは思えません」(経済評論家・斎藤満氏)

 アベノミクスを10年間続けた結果、賃金は上がらず、GDPも拡大せず、日本経済は「低位安定」を続けている。上向いたのは株価と大企業の業績だけだ。

 「来年夏には参院選があるので、これから強まるのはバラマキでしょう。バラマキは野党も反対しづらい。ただし、GoToのように富裕層向けのバラマキになるのではないか。維新の会が躍進したことで、岸田政権が新自由主義路線を強めることも考えられます」(斎藤満氏=前出)

怒りの矛先は自民党全体には向かわなかった…(C)共同通信社

 怒りの矛先は自民党全体には向かわなかった…(C)共同通信社

 ◆安倍・菅・岸田政権の継続がこの国と国民には痛恨となるだろう

 自民党に決定的な打撃を与えられなかった選挙結果は、いずれ国民にツケとなって返ってくるだろう。

 過去3回の総選挙のように、最初から自民大勝が予想されていれば、「こんなものか」という受け止め方もあっただろうが、野党共闘が成立し、多くの選挙区でギリギリまで自民候補を追い詰めただけに、「もう一歩だったのに」と歯ぎしりしている有権者も多いのではないか。

 自民党が261議席という“絶対安定多数”を確保したことで、自民党の傲慢な政治が続くことになってしまった。

 甘利が“落選”したのは、有権者の怒りの表明だろう。一票で意思表示したということだ。他にも問題を起こした大物議員が、有権者からノーを突きつけられている。

 ただし、怒りの矛先は個別議員にとどまり、自民党政治全体には向かわなかった。それがこの選挙の限界だった。

 立正大名誉教授の金子勝氏(憲法)がこう言う。

 「この10年間、なにがあったのかを思い起こせば、怒りの矛先は個別議員ではなく、自民党全体に向かったはずです。もし、自民党が過半数を割り込む大敗を喫していたら、さすがに自民党も危機感を強め、アベ政治リセットを迫られたはず。モリカケ桜や1億5000万円問題についてもスルーはできなかったのではないか。野党がそれなりの数を奪っていれば、政治に緊張が生まれ、国会運営にしても、これまでのような横暴なことはできなかったでしょう。でも、“魔の3回生”も続々と国会に戻り、自公で絶対安定多数を確保したことで、自民党は“やっぱり自分たちは支持されている”と反省もしないはずです」

 国民の多くが望んでいる「夫婦別姓」や「自然エネルギー拡大」は無視され、「防衛費2倍」「敵基地攻撃」「原発再稼働」が一気に進められるだろう。まんまと安定多数を握った自民党は、この先4年、解散をせずに権力握り続ける可能性が高い。自民党勝たせてしまったツケは、あまりに大きい。

巻頭特集<上>【首都圏は野党が一矢報いたが結局「絶対安定多数」のやりきれなさ】

巻頭特集<中>【いろいろ大メディアは書き立てるだろうが、野党共闘の成果はあった】

 元稿:日刊ゲンダイ 主要ニュース 政治・経済 【政局・自民党・衆院選2021】  2021年11月01日  17:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【衆院選2021】:野党共闘競り負け ■こんな自民党政権が続く痛恨と絶望<中>

2021-12-31 23:51:20 | 【選挙・衆院選、参院選、補選・都道府県市町村長・地方議会・公職選挙法・買収事件】

【衆院選2021】:野党共闘競り負け ■こんな自民党政権が続く痛恨と絶望<中>

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【衆院選2021】:野党共闘競り負け ■こんな自民党政権が続く痛恨と絶望<中>

 ◆いろいろ大メディアは書き立てるだろうが、野党共闘の成果はあった

 全289小選挙区の7割強にあたる217選挙区で野党候補が一本化した結果は、野党の62勝だった。立憲民主党共産党社民党れいわ新選組の野党4党が政策協定を結んだことに対し、自民党は「立憲・共産主義」などとイチャモン批判を展開。

 それに乗っかった大メディアは立憲の敗北について、いろいろ書き立てるだろうが、野党共闘に一定の成果があったのは間違いない。

 代表例は東京8区だ。野党統一候補の立憲・吉田晴美が、自民党で幹事長まで務めた派閥領袖の大物・石原伸晃を、比例復活を許さないほどにノックアウト。それも、投票箱が閉まった直後のいわゆる「ゼロ打ち」で当選確実が出る快挙だった。

2年ぶりの国政復帰(れいわ新選組の山本太郎代表)/(C)日刊ゲンダイ

 2年ぶりの国政復帰(れいわ新選組の山本太郎代表)/(C)日刊ゲンダイ

 れいわの山本太郎代表がいったん、同区からの出馬を決めたものの、野党共闘を優先して吉田に譲った。これを受け、共産も候補者を取り下げ、吉田が統一候補となったことで全国的な注目区となり、一気に石原を追い詰めたのだった。

 他にも、都市部の東京5区、千葉1区、地方でも宮城2区、福島4区、茨城1区などで、前回は小選挙区で敗れた野党候補が、一本化によって競り勝った。

 「4年前もそうですが、安倍政権時の選挙で自民党の圧勝を許してきたのは野党候補の乱立が原因でした。今回、自民は15議席減らした。与党の独走を許さないという意味で野党一本化の効果はあった。自民党が時代錯誤の共産主義批判に走ったのも、野党共闘を恐れてのこと。そう考えると、次につながる共闘であり、今後も進化させていくべきでしょう」(政治評論家・野上忠興氏)

 野党の救いは、比例東京ブロックでれいわが議席を獲得し、身を捨てて野党共闘を優先した山本太郎が国会に戻って来ることだ。与野党双方にとって、台風の目になるかもしれない。

 ◆今後気を付けなければならないのは「ゆ党維新怪しい動き 

 勝者なき総選挙で唯一、躍進したのが日本維新の会だ。大阪府内の19選挙区のうち、自民と対決した15選挙区で全勝。立憲民主ベテランの辻元清美副代表も吹き飛ばし、公示前の4倍近い41議席を獲得。単独で法案提出が可能な21議席を大きく上回り、自民、立憲に次ぐ衆院第3党に躍り出た。

吉村人気が後押し(会見する吉村洋文副代表と松井一郎代表=左)/(C)日刊ゲンダイ

 吉村人気が後押し(会見する吉村洋文副代表と松井一郎代表=左)/(C)日刊ゲンダイ

 副代表を務める大阪の吉村府知事のちょっと不気味なアイドル的人気もさることながら、議席大幅増を後押ししたのは、岸田政権の中途半端さ、どっちつかずのスタンスだ。

 維新関係者は言う。

 「岸田総理は〈『改革』には弱肉強食の冷たいイメージがついている〉と言って、選挙戦では大阪以外で『改革』を口にしなかった。『身を切る改革』を訴えるウチには、総理の煮え切らない姿勢は好都合。自民とも違い、野党共闘にもくみしない維新カラーを前面に押し出せ、閉塞感を抱く有権者の支持を集められた。公明を上回る目標も達成できた」(維新関係者)

 共同通信の出口調査では全体の10%を占める無党派層のうち、比例代表の投票先は維新20%。自民17%を上回り、トップの立憲24%に迫る勢いだった。安倍政権時代は自民の補完勢力という立ち位置だったことを考えれば、隔世の感だ。

 安倍・菅政権で築いた自民中枢との蜜月は岸田政権でご破算となったが、この先は分からなくなってきた。

 代表の松井大阪市長は岸田政権との関係について「いいことはいい、ダメなものはダメのスタンスで臨みたい」とし、いつもの「是々非々」を強調したが、タイミングを計って政権絡みついていくこと必至だ。

 「選挙区で落選した自民の甘利幹事長の辞任に伴い、近く党役員と閣僚人事が行われる。その玉突きを利用し、維新の“生みの親”でもある橋下徹元大阪市長が民間大臣として入閣するのではないか。そうした見立てが急浮上しています。実現すれば事実上、維新も連立政権入りを果たしたことになる」(与党関係者)

 いよいよ「ゆ党」の本領を発揮し、永田町でも存在感を強めていくのは間違いない。

 ◆こんな自民を下野させられない野党の責任

 立憲の枝野代表(埼玉5区)が当選確実となったのは、日付が変わった1日未明のことだった。そこまでずれ込んだのは、自民候補とわずか6083票差の大接戦になったからだ。

責任問題に波及(公示前の109から13減の96議席にとどまり会見する枝野幸男代表)/(C)日刊ゲンダイ

 責任問題に波及(公示前の109から13減の96議席にとどまり会見する枝野幸男代表)/(C)日刊ゲンダイ

 本来なら“横綱相撲”のはずの野党第1党の党首が苦戦を強いられたことこそ、立憲の敗北を象徴している。

 下馬評では、立憲は140議席まで伸ばすという予想もあったが、自公政権への批判票は日本維新の会へ行ってしまい、立憲は結局、公示前の109から13減の96議席にとどまった。

 野党共闘による候補者の一本化には一定の成果があったものの、与党に絶対安定多数(261議席)を許した。与党は、衆院の常任委員会すべてで委員長を出し、過半数の委員を確保できる。自公政権が公文書を改ざんしても、国会答弁で嘘をついても、多数で守られるわけで、これまでと変わらぬペテン政治が横行することになる。

 世論の7割は「安倍菅政権からの転換」を求めていたのに、なぜ自公を下野させられなかったのか。

 「やっぱり、枝野代表と福山幹事長という『党の顔』が代わらなきゃダメなんじゃないでしょうか。立憲民主党に風が吹いた4年前の総選挙をそのまま引きずり、栄光にすがっていては、有権者に呆れられるだけです。硬直化した党執行部の体制を表紙を含めて刷新し、政策的にも、もっと有権者にアピールできるものにする必要がある」(野上忠興氏=前出)

 野党第1党が、政権批判票の受け皿になれなかった責任は大きい。多くの国民が、安倍菅政権への怒りや新型コロナ対策への不満を抱いていたのに、立憲の支持率はずっと1ケタにとどまったまま。「自公は嫌だけど立憲も嫌」と有権者にソッポを向かれ、“ゆ党”の維新を躍進させてしまった。

 枝野は引責の代表辞任が必至である。

 元稿:日刊ゲンダイ 主要ニュース 政治・経済 【政局・自民党・衆院選2021】  2021年11月01日  17:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【衆院選2021】:野党共闘競り負け ■こんな自民党政権が続く痛恨と絶望<上>

2021-12-31 23:51:10 | 【選挙・衆院選、参院選、補選・都道府県市町村長・地方議会・公職選挙法・買収事件】

【衆院選2021】:野党共闘競り負け ■こんな自民党政権が続く痛恨と絶望<上>

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【衆院選2021】:野党共闘競り負け ■こんな自民党政権が続く痛恨と絶望<上>

 ◆首都圏は野党が一矢報いたが結局「絶対安定多数」のやりきれなさ

 31日に投開票が行われた衆院選は、何とも煮え切らない結果に終わった。自民党は議席を減らしたが、立憲民主党も公示前勢力を下回った。自民重鎮が選挙区で負けるなど小波乱はあったものの、結局は自民単独で「絶対安定多数」という結末をどう評価、分析するべきなのか。ハッキリしているのは、有権者が安倍・菅・岸田政権の継続を選んだことが、この国の未来に重くのしかかってくるという暗い現実だ。

大物、ベテランが相次ぎ退場(自民党本部開票センターでの岸田首相と甘利幹事長=右)。スッタモンダで東京8区を制した立憲民主の吉田晴美氏(C)日刊ゲンダイ

 大物、ベテランが相次ぎ退場(自民党本部開票センターでの岸田首相と甘利幹事長=右)。スッタモンダで東京8区を制した立憲民主の吉田晴美氏(C)日刊ゲンダイ

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 開票前は、「自民党単独過半数割れ」も囁かれていたのに、終わってみれば自民党は、単独で過半数(233議席)どころか、17の常任委員会すべてで委員長を出したうえで、過半数の委員を確保できる「絶対安定多数」の261議席に達した。

 今後も、国会運営はラクラクだ。野党の声は無視され、最後は強行採決で何でも決めてしまう。国会審議は形骸化。おなじみの光景が繰り返されることになる。

 「これでは選挙前と何も変わりません。政権交代が起きなくても、自民が単独過半数割れなら、これまでのような好き勝手はできなかった。与野党勢力が伯仲すれば議会に緊張感が生まれ、与党側もむちゃはできなくなります。せっかく悪辣自民の息の根を止めて、民主主義を取り戻すチャンスだったのに、国民はこれだけ悪政に虐げられても変化を望まないということでしょうか。安倍菅政権から続く独裁体制が維持される結果になり、やりきれません」(政治評論家・本澤二郎氏)

 野党は、首都圏など都市部では善戦して一矢報いたが、地方ではバタバタと競り負けた。接戦に持ち込んだ選挙区の多くであと一歩及ばず、与党候補に敗れてしまった。

 「投票率が低いと、組織票で自公が有利なのは分かり切ったことです。投票権を行使しない有権者も不甲斐ないし、大メディアの責任も大きい。自民党内のイベントである総裁選では連日、大騒ぎしていたテレビも、国民にとって、もっと大事な衆院選の扱いは小さかった。政治の私物化やコロナ対策など、この4年間の自公政治への審判だと明確に問うこともしませんでした。狡猾な自民はさっそく追加公認で“カサ増し”し、数の力を頼んだ独裁体制を強化しにかかっています」(本澤二郎氏=前出)

 投票率は55・33%前後とみられ、前回2017年の53・68%をわずかに上回ったが、戦後3番目の低水準だった。

 有権者の関心の低さが、岸田自民の高揚感なき勝利につながった。

公明党は東京12区を死守(太田昭宏・前公明党代表〈左〉の地盤を引き継いだ岡本三成氏=中央)/(C)日刊ゲンダイ

  公明党は東京12区を死守(太田昭宏・前公明党代表〈左〉の地盤を引き継いだ岡本三成氏=中央)/(C)日刊ゲンダイ

 ◆いくら居直っても議席減で問われる岸田の求心力

 「衆議院選挙は、いつの選挙も政権選択選挙。与党で過半数が目的だということは、従来からも申し上げてきた。信任をいただいたと受け止めたい」

 勝利宣言でも岸田首相に笑顔はなかった。それも当然で、自民にとっても狐につままれたような勝ち方だったからだ。

 「当日まで『自民苦戦』と報じられていたし、50議席減もあり得ると思っていた。なぜこれほど勝てたか分からない」(閣僚経験者)

 不人気の菅前首相から表紙を代えて選挙に臨んだものの、期待したご祝儀相場もなく、風も吹かず、野党共闘で激戦区が一気に増えた。低投票率に助けられた勝利だった。

 コロナ禍で多くの国民が苦しみ、政府の対応に不満を抱いても投票率が上がらなかったのは、政治不信が根強いことの表れでもある。それに、勝ったとはいえ議席を減らしたことには変わりない。果たして岸田自民は踏みとどまったと言えるのか。

 そもそも岸田は「選挙の顔」として弱い。演説にも有権者を引き付ける力がない。党内には不安が残り、総裁選から続く抗争の火種もくすぶったままだ。

 選挙を経て多少なりとも顔ぶれが入れ替わり、党内の権力構造に変化が生じる。甘利幹事長の選挙区落選で「3A」の一角が崩れたが、安倍元首相、麻生副総裁の顔色をうかがいながらの政権運営になれば、国民の支持も得られないだろう。

 参院選前に「岸田では戦えない」という声が上がり、岸田降ろしが起きてもおかしくない。

 「この衆院選は岸田首相の力で勝ったわけではないので、選挙を経て求心力が高まったとは言えません。しかし、自民単独で絶対安定多数を確保したため、与野党の関係も、自民党内の政局も膠着状態でしょう。岸田首相は基本的に内閣と党執行部の布陣は替えないと言っているので、辞意を表明した幹事長だけは交代しても、現状維持でズルズル続いていく可能性が高い」(政治ジャーナリスト・山田厚俊氏)

 4年ぶりの衆院選でも自民党は変わらない。政治も変わらない。あまりに不毛だ。

 ◆どのツラ下げてTV出演? 甘利幹事長の赤っ恥

復権も“三日天下”(「現職幹事長の落選」となった甘利明氏)/(C)JMPA

 復権も“三日天下”(「現職幹事長の落選」となった甘利明氏)/(C)JMPA

 総選挙の責任者がマサカの落選。

 口利きワイロ疑惑を抱えながらデカい顔でのさばってきた自民の甘利(神奈川13区)は「現職幹事長の落選」という結党以来の赤っ恥だ。さすがに岸田に辞意を伝えている。

 ロートル軍団「3A」の一角を占め、岸田政権誕生の立役者として厚かましく復権した甘利は、選挙戦序盤こそ、〈選挙期間中地元に入れるのは今日の2時間だけ。よってタスキをかけるのもこの2時間だけ。コスパの悪い選挙備品だね。でもその分、同志の応援に全国を走り抜けます〉と余裕のツイート。

 ところが、ラスト3日間は選挙区にベタ張り。ビールケースに乗って「私は未来を見通せる」「私がいなくなれば大変なことになる」と錯乱状態で叫び散らしていたのだから、情けない。

 投開票日も見苦しさを全開。テレビ各局をハシゴし、「国会議員って大きなビジョンで日本の未来を語るんですけど、私が個々に話す人には好感をもって受け止めていただくんですけど、それがみんなに伝わっていかない」などと持論を展開。

 大臣室で50万円の現ナマを受け取ったことが発覚後、睡眠障害理由国会長期欠席したくせに、「不整脈を抱えていましたから。ストレスで不整脈が出るということで、医者からもですね、少し休んだ方がいいとアドバイスを受けておりました」と言いだす始末。錯乱状態から抜け出せないのか。

 政治ジャーナリストの角谷浩一氏は言う。

 「政治とカネの問題を象徴するひとりである甘利幹事長の選挙区落選はインパクトが非常に大きい。安倍・菅政権の負の遺産をリセットできない岸田政権独り善がりのオッサン政治に有権者もいい加減うんざりしたのでしょう

 甘利はしぶとく比例復活したものの、国会にどのツラ下げて出てくるつもりか。

 元稿:日刊ゲンダイ 主要ニュース 政治・経済 【政局・自民党・衆院選2021】  2021年11月01日  17:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説】:暮れゆく一年 安心な日常生活へ手探り

2021-12-31 16:00:30 | 【社説・解説・論説・コラム・連載】

【社説】:暮れゆく一年 安心な日常生活へ手探り

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説】:暮れゆく一年 安心な日常生活へ手探り 

 どうか日常を取り戻したい-。切な願いが届かぬまま、新型コロナウイルス禍に覆われた2年目が暮れようとしている。

 世界で感染者2億8千万人、死者は540万人を超えた。

 日本国内も、強さと勢いを増す感染の波に繰り返し襲われた。

 夏の第5波では「感染爆発」に医療が対応しきれず、全国で13万人超が自宅療養する中で死亡が相次ぐ事態となった。

 コロナ禍は私たちの社会や暮らしの脆弱(ぜいじゃく)さをあぶり出した。迫る変異株「オミクロン株」の波に備え、いかに安心な日常を築き直すか模索は続く。

 感染の波が高まるたび、政府は非常事態宣言などで営業制限や外出自粛を求めたが、泥縄式で後手後手だった。

 春以降、ワクチン接種の遅れ挽回に総力を注ぐ一方、患者急増に対応できる病床・人材確保の不足が、第5波で医療崩壊を招いたことは重大な反省点だ。

 その緊急事態下で開催に賛否が分かれる中、東京五輪・パラリンピックが「強行」された。選手たちの奮闘は人々の心に刻まれたが、ほぼ無観客で、交流もない五輪の意義が問われた。

 五輪期間に新規感染は3倍に増えたが、菅義偉前首相は因果関係を否定し続けた。政策の不手際を認めず、根拠も説明もなしに押し通す政治姿勢こそが、国民の不信と事態の悪化を招いたのは間違いないだろう。

 不安と不満が渦巻き、内閣支持率が落ち込む中、菅氏は9月、続投を断念すると突然表明し、在任1年で退陣した。

 自民党総裁選で後任の座を得て、岸田文雄政権が10月に発足、直後の衆院選で勝利した。9年近い安倍晋三・菅両政権の強引な政治手法やアベノミクスの弊害を見直すとし、政権批判をかわしたといえる。

 臨時国会の答弁で「丁寧さ」は見えたが、子どもへの10万円相当給付などで迷走した。分配重視を掲げる「新しい資本主義」の具体化が問われよう。

 コロナ禍の長期化は日本経済の足かせとなった。海外需要で好調な製造業の一方、営業制限が繰り返された飲食、運輸などの苦境が深まり二極化した。秋から外食や旅行も回復傾向だったが、変異株への懸念が浮上。世界的な部品不足や輸入品の値上がりで、個人消費や生産活動への影響も予断を許さない。

 非正規雇用をはじめ仕事や収入の減少が続く中で困窮に陥る人が増えている。「巣ごもり」に伴う孤立・孤独、家庭内暴力、虐待対策などにも支援を手厚くする必要がある。

 世界ではバイデン米政権が誕生し、パリ協定などで国際協調に復帰した。強権化する中国と激しく覇権を争う一方、気候変動対策や途上国へのワクチン分配などで協力の道を探ってもらいたい。

 ミャンマーの軍事クーデターや香港の民主派排除など、紛争や圧政、人権侵害が続く現実からも目を離してはなるまい。

 今年1月、核兵器を違法とする初の国際条約「核兵器禁止条約」が批准50カ国以上で発効した。広島、長崎の被爆者らの訴えが結実した「核なき世界」への国際潮流にどう向き合うか、日本政府の姿勢が問われる。

 元稿:京都新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2021年12月31日  16:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

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【政界地獄耳】:公開文書が明かす外務省のご都合/12.24

2021-12-31 09:09:00 | 【外交・外務省・国際情勢・地政学・国連・安保理・G7サミット・G20】

【政界地獄耳】:公開文書が明かす外務省のご都合/12.24

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【政界地獄耳】:公開文書が明かす外務省のご都合/12.24 

 ★22日、外務省は1990年ごろの外交文書ファイル計18冊を公開した。91年の湾岸戦争前後の外交交渉の記録が明らかになった。イラクのクウェート侵攻に端を発した湾岸危機を受けた90年9月29日、米ニューヨークで行われた日米首脳会談で当時のジョージ・H・W・ブッシュ大統領(いわゆるパパブッシュ)が自衛隊の派兵を強く求めていたことは当時から言われていたが、今回の外交文書で明らかになった。

 ★当時の首相・海部俊樹はハト派で国連平和協力法制定による「人的貢献」を「非戦闘・非軍事の範囲内でのあらゆる協力」と意欲を見せたが、訪米前の野党党首会談で社会党や公明党の強い反対や自民党内ハト派、世論の反対などもあって実現しなかった。思えば当時の自民党幹事長は小沢一郎。海部の慎重論に対して小沢は派遣積極派とみられていた。結局130億ドルの拠出で落ち着いた。

 ★当時は世論、マスコミ、与野党に戦中派の論客が多数いたこともあり、今の自公政権のような強引なまとめ方はなかったが、この文書を見て不思議に思うのは外務省立ち位置だ。省内は派兵派のいわゆるオンザブーツ派とアジア諸国の理解が得られないという穏健派拮抗(きっこう)していたかもしれない。米国の「軍隊派遣」要求は機密扱いになったが。当時同省北米1課は「自衛隊の派遣をわが方に要請したとの事実はない」と声明を出し完全否定だった。そこで思い出されるのが10年4月19日、民主党政権時の、防衛、外務の官僚が首相・鳩山由紀夫を訪ねて「アメリカ大使館と交渉」して米軍基地の沖縄県外への移設は無理と報告。県外移設断念が決まったが、これもでっち上げだった。外務省都合とは何か。(K)※敬称略

 ◆政界地獄耳

 政治の世界では日々どんなことが起きているのでしょう。表面だけではわからない政界の裏の裏まで情報を集めて、問題点に切り込む文字通り「地獄耳」のコラム。けして一般紙では読むことができません。きょうも話題騒然です。(文中は敬称略)

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【コラム・政界地獄耳】  2021年12月24日  09:40:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【政界地獄耳】:「アベノマスク」廃棄 岸田文雄の勢い、安倍不要論に拍車/12.23

2021-12-31 09:08:50 | 【社説・解説・論説・コラム・連載】

【政界地獄耳】:「アベノマスク」廃棄 岸田文雄の勢い、安倍不要論に拍車/12.23

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【政界地獄耳】:「アベノマスク」廃棄 岸田文雄の勢い、安倍不要論に拍車/12.23 

 ★20日、米国と英国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドの5カ国の外相は香港の新選挙制度と香港立法会(議会)選で親中派圧勝という結果を受け「意味ある政治的反対派排除した」「民主主義的な要素を侵食している」とした「重大懸念」の共同声明を出した。日本政府も翌21日、官房副長官・木原誠二が「幅広い政治的意見を代表する候補者を含む公正な形で実施されることが重要だ」と強い懸念を表明した。

 ★この選挙結果は米国と主要国の北京冬季オリンピックの外交的ボイコットよりも深刻だ。ところが元首相・安倍晋三は20日発売の月刊誌の対談で、中国の新疆ウイグル自治区などへの人権侵害を非難する決議案について「政府は外交的判断から思い切った行動が取れないことがある。議会で意思を示すことも重要。党でも意思を明確にしていく必要がある」と少しずれた中国攻撃を強める。

 ★21日、首相・岸田文雄は国会閉会の会見で保管費用が6億円以上かかっている「アベノマスク」について「財政資金、効率化の観点から、布製マスクの政府の在庫について、ご希望の方に配布し、有効活用を図ったうえで、年度内めどに廃棄」とし懸案の日中関係は「言うべきことは言いながら安定的な関係を実現すべく努力を続けていく」「来年は日中国交正常化50年」とし、来年は積極的に外交を行うことも宣言した。また自民党「憲法改正実現本部」にも出席し、強い意欲を示した。自民党ベテラン議員は「これでは安倍出番何もなくなるアベノマスク失敗と言っているようなものだし、ますます党内安倍不要論拍車がかかる」と岸田勢いを巻く。党副総裁・麻生太郎、幹事長・茂木敏充との3派連合も盤石で安倍外しが進む。(K)※敬称略

 ◆政界地獄耳

 政治の世界では日々どんなことが起きているのでしょう。表面だけではわからない政界の裏の裏まで情報を集めて、問題点に切り込む文字通り「地獄耳」のコラム。けして一般紙では読むことができません。きょうも話題騒然です。(文中は敬称略)

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【コラム・政界地獄耳】  2021年12月23日  08:35:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①】:年末の株高 実体経済映していない

2021-12-31 08:30:55 | 【金融・株式・為替・投資・投機・FRB・「ドル円」・マーケット】

【社説①】:年末の株高 実体経済映していない

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:年末の株高 実体経済映していない 

 今年最後の取引となる大納会を迎えたきのうの東京株式市場で、日経平均株価の終値は2万8791円だった。年末の株価としては32年ぶりの高値である。

 今年は2月に3万円台を回復するなど、バブル崩壊後の最高値を何度も更新した。一時1万6000円台まで下げた昨年に比べ、総じて堅調だったと言える。

 だがコロナ禍の今、高い株価に見合う生活実感を抱いている国民がどれだけいるだろう。

 7~9月期の実質成長率は前期比年率マイナス3・6%だった。苦境にある人はなお多く、燃料などの物価高が追い打ちを掛ける。

 株高は期待先行の面が大きく、実体経済を映しているとは言い難い。足元では変異株「オミクロン株」が拡大している。蔓延(まんえん)すれば経済は収縮し、株価も急落しかねない。十分な警戒が必要だ。

 株高の背景には、コロナ禍を受けて各国が行った財政出動や、中央銀行による金融緩和がある。

 ただ、危機対応の金融政策は世界的に正常化へと向かっている。

 とりわけ、基軸通貨ドルを担う米連邦準備制度理事会(FRB)の動向に注意したい。

 インフレ抑制を掲げて量的緩和縮小を加速させており、来年前半にも事実上のゼロ金利を解除して利上げする構えだ。

 政策の正常化は必須だが、景気後退や新興国からの資金流出を招くリスクもある。FRBは、日本の株価を含む世界経済に打撃を与えぬよう慎重に進めてほしい。

 日銀は大規模緩和の一環として行ってきた上場投資信託(ETF)購入を大きく減らしている。株価をゆがめるとの批判を考慮したのだろう。だが既に購入した分が3月末の時価で50兆円を超す。

 購入終了の時期・手法を誤れば株価が暴落しかねない。黒田東彦総裁は「緩和を粘り強く続ける」と繰り返すだけでなく、具体的な出口戦略を示してもらいたい。

 株高が富の集中と格差拡大を招いているのは深刻な問題だ。

 岸田文雄首相は格差是正に向けた富の再分配を掲げる。ならば、株式売却益などへの課税強化を早急に手がけなければならない。

 株式市場や経済界への配慮から躊躇(ちゅうちょ)しているようでは困る。

 経営者は株高を狙って配当など株主還元に力を入れるだけでなく、賃上げも進めるべきだ。賃金を「人への投資」ととらえたい。

 格差を正し、誰もが安心して暮らせる社会にならなければ、経済全体は力強く成長しない。

 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2021年12月31日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②】:在外投票制度 平等な権利確保が必要

2021-12-31 08:30:50 | 【選挙・衆院選、参院選、補選・都道府県市町村長・地方議会・公職選挙法・買収事件】

【社説②】:在外投票制度 平等な権利確保が必要

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:在外投票制度 平等な権利確保が必要 

 今年10月の衆院選は解散から投開票までの日数が戦後最短の17日間となった影響などで在外投票制度の問題点が浮き彫りになった。

 コロナ禍による国際郵便事情の悪化も重なり、手続きに日数を要する郵便投票を断念した有権者もいる。確実に投票を行うために、多額の交通費と移動時間をかけて在外公館で投票した人もいた。

 投票は憲法で保障された権利で、民主主義の根幹を成す。来夏の参院選に向け、海外の有権者が不便を感じずに投票権が行使できるよう制度を見直すことが必要だ。

 公職選挙法では、海外にいる有権者のうち、在外選挙人名簿に登録した人に郵便と在外公館での投票を認めている。

 海外の有権者は100万人以上いると推定され、このうち在外名簿登録者は約10万人いる。今回の衆院選での比例代表の投票率は20・25%だった。全体の投票率より35ポイント下回った。

 在外投票制度は2000年の衆院選から始まり、一貫して投票率は低い。煩雑さが一因であるのは間違いないだろう。

 郵便投票は居住していた自治体の選管への投票用紙請求が必要だ。用紙を受け取って記名後に、再び選管に発送する。

 今回は岸田文雄首相の選挙日程表明から数えても投開票まで1カ月弱しかなかった。投票用紙請求だけで約2週間かかる例もある。有権者と選管で1往復半かかる手続きを簡素化できないものか。

 公館の投票も、公選法の規定で最も長い場合でも投開票日の6日前までとされる。日数の限定は、遠隔地から出向く有権者には負担を増すことになる。

 こうした投票環境の是正に向け、総務省の研究会は2018年に在外投票でのインターネット活用を提案した。

 システムの安定稼働やデータ改ざん防止、本人確認などが課題であり、万全を期すのは当然だ。

 ただ政府はデジタル庁を設置し、情報化社会の推進を目指す。まず在外有権者に限りネット投票の検討を加速させてもいいだろう。

 在外投票者を増やすには、在外選挙人名簿の登録者数の拡大も欠かせない。登録は出国前に自治体で行うか、在外公館に出向いての申請に限られる。ネットの手続きができるよう検討すべきだ。

 衆院の解散・総選挙の日程は、時の首相の意向次第で決まる。岸田首相は就任直後の勢いで短期決戦に踏み切ったが、十分な周知期間を取るのが本来の姿だ。

 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2021年12月31日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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