路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

 路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

【社説①】:衆院予算委員会 拙速な給付策が混乱を招いた

2021-12-15 05:03:30 | 【国会(衆議院・参議院・議運 ・両院予算委員会他・議員定数・「1票の格差」...

【社説①】:衆院予算委員会 拙速な給付策が混乱を招いた

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:衆院予算委員会 拙速な給付策が混乱を招いた

 政策目的をあいまいにしたまま、拙速に給付を決めたことが、迷走の背景にあろう。岸田首相は責任を重く受け止め、さらなる混乱の回避に努めてもらいたい。 

 衆院予算委員会で、今年度補正予算案の質疑が行われた。立憲民主党の小川政調会長は、18歳以下への10万円相当の給付について、「クーポンにこだわったことで、少なからず自治体の混乱をもたらした」と批判した。

 首相は「様々な声を受け止め、より良い制度設計を行った結果だ」と説明した。自治体が希望した場合、現金で一括給付することを認める考えを表明した。

 政府は、年内に現金5万円を給付し、確実に消費に回る効果を期待して来春に5万円分のクーポンを配布する方針だった。

 だが、クーポン印刷などの事務費に967億円がかかることがわかったうえ、自治体からも「事務が複雑になる」と反発が相次ぎ、方針撤回に追い込まれた。政府は、自治体に丁寧に説明し、円滑に手続きを進めることが大切だ。

 そもそも今回の給付は、困窮世帯支援なのか、子育て支援なのか、政策の必要性や目的がわかりにくい。親の収入に所得制限を設けたが、全体の9割が対象となり、バラマキ政策に等しい。

 2兆円の巨費を投じる施策としては、制度設計が甘かったといわざるを得ない。政府・与党が衆院選公約の実現を急いだために、拙速に陥ったのであれば残念だ。

 しかし、競って現金給付を公約とした野党の見識も問われる。

 支援を要する世帯に速やかに給付金を届けるには、行政が所得を把握し、適切に支給する仕組みが必要になる。与野党は、今後の施策に役立てるためにも、効果的な方法を建設的に議論していかなければならない。

 国民民主党の玉木代表は、憲法について「コロナを経て様々な課題が顕在化した」と述べ、緊急事態に関する議論を呼びかけた。

 現行憲法は緊急事態を想定した規定が乏しい。国会は、危機対応を含めて、国の最高法規のあり方を不断に論じる責任がある。

 野党は、石原伸晃・元自民党幹事長が代表を務める政党支部が、雇用調整助成金を受け取っていた問題を追及した。首相は「国民の理解は得られない」と述べた。

 コロナ禍で売り上げが減少した企業を想定した制度を、国費から交付金を受け取る政党の支部が利用するのは疑問だ。国会議員には高い倫理が求められる。

 元稿:讀賣新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2021年12月15日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【社説②】:SBI傘下に 新生銀は公的資金を返せるか

2021-12-15 05:03:20 | 【金融・株式・為替・投資・投機・FRB・「ドル円」・マーケット】

【社説②】:SBI傘下に 新生銀は公的資金を返せるか

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:SBI傘下に 新生銀は公的資金を返せるか

 インターネット証券大手のSBIホールディングスが、9月から実施していた新生銀行に対する株式の公開買い付け(TOB)が成立した。 

 SBIの株式の保有比率は約20%から47・77%になる。17日付で新生銀を子会社化するという。

 TOB開始後、新生銀が買収防衛策の導入を決め、TOBへの反対を表明したため、銀行業界で初の敵対的買収に発展していた。

 ところが、新生銀は11月に買収防衛策を撤回した。大株主の国が、反対の意向だと伝えられたことが影響したとみられている。

 SBIは、早期に新生銀との融和を図り、新たな経営体制に円滑に移行させることが大切だ。

 TOBの成立を受けて、新生銀は来年2月をめどに臨時株主総会を開き、社長候補の川島克哉SBI副社長と、会長候補で元金融庁長官の五味広文氏を取締役に選任する方針だ。現社長の工藤英之氏は退任するという。

 新体制の大きな課題は、公的資金の返済である。新生銀の前身である日本長期信用銀行は1998年に経営破綻し、国が資金を注入した。そのうち約3500億円が今も返済されていない。

 当時、他の大手行も国の資本注入を受けたが、完済していないのは新生銀だけだ。銀行は金融インフラとして公益性が高いものの、原資が税金である以上、返済の責任を負うのは当然である。

 SBIの北尾吉孝社長は、「10年、20年単位で金を返さないのは泥棒と一緒だ」と述べ、公的資金の返済に意欲を示してきた。今後はSBIが新生銀とともに、その責務を負うことになる。

 新生銀の企業価値を向上させ、返済を可能にするための具体策を速やかに提示してもらいたい。

 SBIは、仙台や福島などの地銀8行と次々に資本提携を結んでいる。新生銀をその中核に据え、高度な金融サービスの手法を地銀と共有するなどし、グループの収益力を高める戦略だという。

 ただ、金融業界は超低金利で厳しい経営環境にある。

 政府が公的資金の対価で取得した株式は、価値が下がっている。損失を出さずに資金を回収するには、現在2000円程度の新生銀の株価を7450円に上げる必要がある。実現は容易ではない。

 一方、SBIは、五味氏のほかにも金融庁から多くのOBをグループ内に受け入れている。国との関係に疑念を抱かれないよう、SBIと新生銀は、事業の透明性を高めることが不可欠だ。

 元稿:讀賣新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2021年12月15日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする