【衆院選2021】:野党共闘競り負け ■こんな自民党政権が続く痛恨と絶望<下>
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【衆院選2021】:野党共闘競り負け ■こんな自民党政権が続く痛恨と絶望<下>
◆「成長」も「分配」もできない岸田政権が続ける安倍菅政治
この先、自公政権の経済政策はどうなるのか。もし、自民党が大敗し、単独過半数を下回っていたら、経済政策もドラスチックに変わる可能性があった。しかし、自公の“安定多数”という結果になったことで、従来の政策が継続されるのは間違いない。
この総選挙は、貧富の格差を拡大させたアベノミクスを転換する絶好の機会だったのに、有権者はチャンスを生かせなかった格好だ。
悪政は続く(安倍元首相)/(C)日刊ゲンダイ
「岸田首相は“新しい資本主義”“成長と分配による好循環”などとキャッチフレーズを並べ立てていますが、いまだに具体的な経済政策を示していません。確固たる信念や独自の経済政策はないのだと思います。となると、多少、形は変わっても、このままアベノミクスが続くことになるでしょう。最悪なのは“分配”も“成長”も実現しない恐れが強いことです。当初、岸田首相は“まず分配”と訴えていましたが、途中から口にしなくなり、分配のための財源を捻出するのに必要だった“金融資産課税”の強化も撤回してしまった。分配は断念したのでしょう。まして“成長”は絶望的です。アベノミクスはいまだに3本目の矢である“成長戦略”が出てこない。10年経っても見つからないのに、岸田政権から成長戦略が出てくるとは思えません」(経済評論家・斎藤満氏)
アベノミクスを10年間続けた結果、賃金は上がらず、GDPも拡大せず、日本経済は「低位安定」を続けている。上向いたのは株価と大企業の業績だけだ。
「来年夏には参院選があるので、これから強まるのはバラマキでしょう。バラマキは野党も反対しづらい。ただし、GoToのように富裕層向けのバラマキになるのではないか。維新の会が躍進したことで、岸田政権が新自由主義路線を強めることも考えられます」(斎藤満氏=前出)
怒りの矛先は自民党全体には向かわなかった…(C)共同通信社
◆安倍・菅・岸田政権の継続がこの国と国民には痛恨となるだろう
自民党に決定的な打撃を与えられなかった選挙結果は、いずれ国民にツケとなって返ってくるだろう。
過去3回の総選挙のように、最初から自民大勝が予想されていれば、「こんなものか」という受け止め方もあっただろうが、野党共闘が成立し、多くの選挙区でギリギリまで自民候補を追い詰めただけに、「もう一歩だったのに」と歯ぎしりしている有権者も多いのではないか。
自民党が261議席という“絶対安定多数”を確保したことで、自民党の傲慢な政治が続くことになってしまった。
甘利が“落選”したのは、有権者の怒りの表明だろう。一票で意思表示したということだ。他にも問題を起こした大物議員が、有権者からノーを突きつけられている。
ただし、怒りの矛先は個別議員にとどまり、自民党政治全体には向かわなかった。それがこの選挙の限界だった。
立正大名誉教授の金子勝氏(憲法)がこう言う。
「この10年間、なにがあったのかを思い起こせば、怒りの矛先は個別議員ではなく、自民党全体に向かったはずです。もし、自民党が過半数を割り込む大敗を喫していたら、さすがに自民党も危機感を強め、アベ政治のリセットを迫られたはず。モリカケ桜や1億5000万円問題についてもスルーはできなかったのではないか。野党がそれなりの数を奪っていれば、政治に緊張が生まれ、国会運営にしても、これまでのような横暴なことはできなかったでしょう。でも、“魔の3回生”も続々と国会に戻り、自公で絶対安定多数を確保したことで、自民党は“やっぱり自分たちは支持されている”と反省もしないはずです」
国民の多くが望んでいる「夫婦別姓」や「自然エネルギー拡大」は無視され、「防衛費2倍」「敵基地攻撃」「原発再稼働」が一気に進められるだろう。まんまと安定多数を握った自民党は、この先4年、解散をせずに権力を握り続ける可能性が高い。自民党を勝たせてしまったツケは、あまりに大きい。
巻頭特集<上>【首都圏は野党が一矢報いたが結局「絶対安定多数」のやりきれなさ】
巻頭特集<中>【いろいろ大メディアは書き立てるだろうが、野党共闘の成果はあった】
元稿:日刊ゲンダイ 主要ニュース 政治・経済 【政局・自民党・衆院選2021】 2021年11月01日 17:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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