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●「民主主義社会の根幹を脅かす」大問題…【ハンター家宅捜索から1年|変わらぬ鹿児島県警の腐敗体質|隠蔽される警察庁キャリアの不正】(HUNTER)

2025年05月10日 00時00分31秒 | Weblog

(2025年04月16日[水])
民主主義社会の根幹を脅かす」(日本ペンクラブ)大問題だった。《異例の強制捜査には、日本ペンクラブが「民主主義社会の根幹を脅かす極めて深刻な事態」と声明で非難。新聞労連日本ジャーナリスト会議福岡支部などからも抗議が相次いで》(こちら特報部)いたのだが…。

   『●斎藤元彦兵庫県知事、新たなお維案件…ホイッスル・ブロワー《組織の
      不正をただす告発者が、守られる環境》が全く実現されていない悲劇
   『●鹿児島県警、呆れた…《「再審や国賠請求等において、廃棄せずに保管して
      いた捜査書類やその写しが組織的にプラスになることはありません!!」…》
    「再審法の改正を。いま何かと話題の鹿児島県警。かつて、
     鹿児島県警と言えば、原口アヤ子さんの大崎事件。そして、
     なんと言っても、志布志事件。体質は変わらない。」

   『●今西憲之さん《組織内に隠された恥部をさらす警察官を立て続けに逮捕して
     いる鹿児島県警に、「正義」はあるのか》? しかも、報道機関に家宅捜査!
   『●《警察の犯罪を中立的な立場から捜査する仕組みが存在しない》…報道
     機関を家宅捜査し、 二人のホイッスル・ブロワーを逮捕する鹿児島県警
    《これはもはやそんな次元を超えた公益通報者保護制度の破壊
     あり、報道の自由の侵害に他ならない》
    《…鹿児島県警で今何が起きているのか警察の身内の犯罪の隠蔽や
     内部告発者の逮捕メディアへの介入許していいのか
     警察の犯罪は誰が取り締まるべきなのかなどについて、この問題を
     取材しているジャーナリストの青木氏と、ジャーナリストの
     神保哲生、社会学者の宮台真司が議論した》

   『●《情報提供がもっぱら公益的な目的であり、なおかつ重大な違法行為を摘発
      する目的である場合に限り、公務員は公務員法の守秘義務が免除され…》
   『●神保哲生さん《今回、警察の内部告発者2人が…小さなネットメディアを通報
     先に選んだことを、既存のメディアは深刻に受け止める必要があるだろう》
   『●報道機関を家宅捜査し、ホイッスル・ブロワーを逮捕する鹿児島県警による
      「民主主義社会の根幹を脅かす」大問題、もっと大騒ぎすべきなのでは?

 2024年08月28日のブログ ――― 報道機関を家宅捜査し、 二人のホイッスル・ブロワーを逮捕する鹿児島県警による「民主主義社会の根幹を脅かす」(日本ペンクラブ)大問題のはずなのに…。特に、前者「報道機関を家宅捜査」について、報道機関はもっと大騒ぎすべきなのでは? (こちら特報部)《事態を受け、日本ペンクラブは6月19日、いち早く「取材源秘匿や内部通報者保護制度を脅かす」と非難する声明を発表した》。金平茂紀さん「この問題に限った話ではなく、地方メディアは地元の警察・行政と、ともすればもたれ合いの関係になりがちだ地元の新聞やテレビ局に伝えても、無駄だと思われるような状況になっていないか。私もテレビの世界に身を置いてきたので、じくじたる思いがある」。さらに、「…メディア全体の危機だこんなときこそ良い意味のメディアスクラムを組み、抗議の輪をつくらなければならない」…はずなのに?
 報道機関を家宅捜査し、 二人のホイッスル・ブロワーを逮捕した鹿児島県警。《ニュースサイト「ハンター」…代表の中願寺(ちゅうがんじ)純則さん(64)も…「不当捜査だと批判した》《「どう考えても、不当な強制捜査だ」》《取材の成果と商売道具を取り上げられた上、事件と無関係の警察内部文書の削除まで要求された》(こちら特報部)。
 《記者クラブに加盟する数多ある大手メディア既存のメディアは深刻に受け止める必要がある》(ビデオニュースドットコム)というのに、のほほんとし過ぎなのでは? 《異例の強制捜査には、日本ペンクラブが「民主主義社会の根幹を脅かす極めて深刻な事態」と声明で非難。新聞労連日本ジャーナリスト会議福岡支部などからも抗議が相次いでいる》(こちら特報部)。

 HUNTERの記事【ハンター家宅捜索から1年|変わらぬ鹿児島県警の腐敗体質|隠蔽される警察庁キャリアの不正】(https://news-hunter.org/?p=26487)によると、《鹿児島県警による家宅捜索(ガサ入れ)から1年経った。昨年4月8日の朝、株式会社ハンターの事務所となっている記者の自宅に押し掛けたのは10人の県警捜査員。現場の責任者だという警部は、県警の現職警官による情報漏洩の関係先として室内及び社有車を検索し、証拠品を押収する目的だと説明した。他社の取材や招かれた講演のたび聞かれるが、ガサ入れの妥当性や当日の状況については県警側の公表内容と当方の見解に大きな違いがある。改めてガサ入時の状況や、その後の県警の動きについてまとめた》。

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https://news-hunter.org/?p=26487

ハンター家宅捜索から1年|変わらぬ鹿児島県警の腐敗体質|隠蔽される警察庁キャリアの不正
2025/4/8
社会ガサ入れ, 不同意性交, 安部裕行警視, 家宅捜索, 強制性交事件, 情報漏えい, 捜査2課長, 捜索差押許可状, 鹿児島県医師会, 鹿児島県警

 鹿児島県警による家宅捜索(ガサ入れ)から1年経った。昨年4月8日の朝、株式会社ハンターの事務所となっている記者の自宅に押し掛けたのは10人の県警捜査員。現場の責任者だという警部は、県警の現職警官による情報漏洩の関係先として室内及び社有車を検索し、証拠品を押収する目的だと説明した。他社の取材や招かれた講演のたび聞かれるが、ガサ入れの妥当性や当日の状況については県警側の公表内容と当方の見解に大きな違いがある。改めてガサ入時の状況や、その後の県警の動きについてまとめた。


■不当な「ガサ入れ」の実態

 記者は捜索差押許可状(ガサ状)に記されていた内容を知らない。読み上げを断った記者は直接見せるように言ったが、捜査員は右手に掲げて「示した」だけでガサ状を手放そうとしなかったからだ。チラリと見たのは、屋内に入ってきた捜査員が持っていた文書――おそらくガサ状――に書かれていた当該事件の被疑者名だった。罪名と被疑者を正確に理解したのは、ガサ入れの最後に渡された「押収品目録交付書」(*下の画像参照)を見てからだった。

 ガサ入れの目的は、事件の発端となった県警の内部資料「告訴・告発事件処理簿一覧表」の現物を押さえ、被疑者と記者の関係を示す証拠を見つけることにあったはずだ。しかし、処理簿一覧表の現物は他所に預けていたため不存在。ファイルの中に数枚のコピーが残っているだけだった。県警は、今日に至るまで処理簿一覧表の現物を、見ても触れてもいない

 ガサ入れで真っ先に押さえられたのは業務用のパソコンとスマートフォン。特にスマホの押収は、弁護士に連絡しようとした記者から強引に取り上げるという乱暴なやり方だった。弁護士に連絡することを拒まれたということだ。許されたのは、固定電話で、翌日に配信予定だった記事を寄稿していたライターへの「配信不能となる可能性」を伝えることだけで、これは「業務妨害」との指摘を避けるためだったと思われる。パソコンとスマホは翌日返却されたが、これも当方が「業務妨害」を強く主張したからだった。

 そもそも、ハンターがガサ入れを受けるいわれはない。昨年2月、記者は処理簿一覧表の現物を条件付きで渡すため、県警本部を訪ねていたからだ。条件とは、情報漏えいの事実を公表し、なぜそうなったかも含めて謝罪すること。当方の狙いは、鹿児島県医師会の男性職員による強制性交事件で不当捜査が行われたことを周知させることにあった。この折県警は、処理簿一覧表に記載された関係者に内々で話をつけようと動いていた警察官への面会を求める記者の要請を頑なに拒み、「要件は取材と判断した。広報が対応する」と言い張った。これは県警が、ハンターを「取材者=報道機関」として扱っていたことを示している。

 当方の申し出を拒否した県警はその後、さらなる処理簿一覧表の流出を受け、「地方公務員法違反」での立件に向けて動きを早めていく。県警に当事者資格なしと判断した警察庁の強い指示があったことは確かだ。


■でっち上げた国家公務員法違反事件で「公益通報」潰し

 ガサ状を発行した裁判所が認めた押収物は、「地方公務員法違反事件」に関してのものだ。しかし県警は、ガサ入れで押収したパソコンにあった別の文書から県警の元生活安全部長を割り出し、「国家公務員法違反事件」をでっち上げる。その文書とは、北海道のジャーナリスト小笠原淳氏に元生安部長が郵送したもの。内容が、県警本部長による不当な捜査指揮を暴いた明らかな「公益通報」だったため、あわてた警察庁や県警が、組織内の不正隠ぺいに走らざるを得なかったと考えられる。公益通報者保護法を無視したあげく、通報者を犯罪者に仕立てて逮捕するという理不尽な事案処理だったと言えるだろう。

 元生安部長の国家公務員法違反事件は、公益通報を認めたくない警察組織による悪質なでっち上げ工作」の証左である。背景にあるのは、「威信」のためなら犯罪行為も辞さない腐った警察組織の体質だ。県警本部長は警察庁キャリア。同庁が組織の体面を守るため、なりふり構わぬ動きに出た可能性は否定できない。後述するが、この方針は、その後に起きた別の国家公務員法違反事案でも貫かれている。


■「情報漏えい」で異なる対応 ― 地元出身は逮捕、キャリア2課長は軽い処分

 鹿児島県警は今年2月、捜査2課長だった安部裕行警視(29)を知人女性に対する不同意性交の疑いで書類送検。さらに先月、同警視は、捜査情報を漏らしたとして地方公務員法(守秘義務)違反容疑でも書類送検されている。複数の女性との不適切な交際も明らかになっているが、県警の処分は「停職1カ月」という極めて軽いものに終わった。

 同じ情報漏えいでありながら、地元のたたき上げ警察官は逮捕警察庁キャリアは軽微な処分だけという著しく公平性を欠く対応は、公益通報を潰すため野川明輝前県警本部長による事件の隠ぺいを早々に否定した警察庁の姿勢に通底する。「正義」ではなく組織防衛を優先させた警察組織に対し、県民や県議会関係者からはもちろん、県警OBからも非難の声があがる状況だ。

 容認できないのは、昨年4月のハンターへのガサ入れや、逮捕された二人の元警官に関する情報漏洩事件の捜査指揮を執っていたのが2課のトップだった安部警視だったということ。正義を実現しようとして公益通報を行った警官に情報漏えいの疑いをかけ逮捕させるという異常な捜査指揮をしていた張本人が、自身の付き合い相手の女性にその捜査情報を漏らしていたというのだから開いた口が塞がらない。その安部警視が、不同意性交に加え情報漏えいという犯罪行為を重ねていながら逮捕を免れたことには、怒りさえ覚える。これで鹿児島県民の信頼が得られるはずがない。


■強制性交事件

 軽重に差はあれ、鹿児島県警の情報漏えい事件で処分されたのは元巡査長、元生安部長、前2課長の3人だ。これまで何度も言及してきたが、一連の事件の起点となったのは2021年秋に発生した鹿児島県医師会の男性職員(2022年に退職)による強制性交事件である(その事件に関する詳しい経緯は弊社の配信記事をまとめた『追跡・鹿児島県警 闇を暴け』=南方新社刊・Amazonで購入可能=をご覧いただきたい)。「強制性交」が刑法改正後に「不同意性交」と変わったことは周知の通り。皮肉というしかないが、キャリア警視の犯罪行為が表面化した原因は、知人女性に対する不同意性交=強制性交だった。

 世間知らずの29歳の若者が、捜査2課長という重責を担いながら、自身が指揮する性犯罪絡みの情報漏えい事件に関する捜査情報を漏らしていたという事実――。記者以上にやりきれぬ思いを抱いているのは、強制性交事件の被害者女性と逮捕された二人の元警察官ではないだろうか。

 ところで、その強制性交事件だが、告訴状受け取り拒否に始まった県警のデタラメ捜査とそれを追認した検察が出した答えは「不起訴」。刑事事件は終わった形となっていたが、被害女性が元男性職員に対して損害賠償を求めた民事訴訟は、思いもよらぬ展開となっている。
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●報道機関を家宅捜査し、ホイッスル・ブロワーを逮捕する鹿児島県警による「民主主義社会の根幹を脅かす」大問題、もっと大騒ぎすべきなのでは?

2024年08月28日 00時00分09秒 | Weblog

青木理さん『情報隠蔽国家』…「客観的な事実すら隠蔽し…ねじ曲げて恥じない為政者たちの姿」を報じも… ↑】


 (20240816[])
報道機関を家宅捜査し、 二人のホイッスル・ブロワーを逮捕する鹿児島県警による「民主主義社会の根幹を脅かす」(日本ペンクラブ)大問題のはずなのに…。特に、前者「報道機関を家宅捜査」について、報道機関はもっと大騒ぎすべきなのでは? (こちら特報部)《事態を受け、日本ペンクラブは6月19日、いち早く「取材源秘匿や内部通報者保護制度を脅かす」と非難する声明を発表した》。金平茂紀さん「この問題に限った話ではなく、地方メディアは地元の警察・行政と、ともすればもたれ合いの関係になりがちだ地元の新聞やテレビ局に伝えても、無駄だと思われるような状況になっていないか。私もテレビの世界に身を置いてきたので、じくじたる思いがある」。さらに、「…メディア全体の危機だこんなときこそ良い意味のメディアスクラムを組み、抗議の輪をつくらなければならない」…はずなのに?

   『●斎藤元彦兵庫県知事、新たなお維案件…ホイッスル・ブロワー《組織の
      不正をただす告発者が、守られる環境》が全く実現されていない悲劇
   『●鹿児島県警、呆れた…《「再審や国賠請求等において、廃棄せずに保管して
      いた捜査書類やその写しが組織的にプラスになることはありません!!」…》
    「再審法の改正を。いま何かと話題の鹿児島県警。かつて、
     鹿児島県警と言えば、原口アヤ子さんの大崎事件。そして、
     なんと言っても、志布志事件。体質は変わらない。」

   『●今西憲之さん《組織内に隠された恥部をさらす警察官を立て続けに逮捕して
     いる鹿児島県警に、「正義」はあるのか》? しかも、報道機関に家宅捜査!
   『●《警察の犯罪を中立的な立場から捜査する仕組みが存在しない》…報道
     機関を家宅捜査し、 二人のホイッスル・ブロワーを逮捕する鹿児島県警
    《これはもはやそんな次元を超えた公益通報者保護制度の破壊
     あり、報道の自由の侵害に他ならない》
    《…鹿児島県警で今何が起きているのか警察の身内の犯罪の隠蔽や
     内部告発者の逮捕メディアへの介入許していいのか
     警察の犯罪は誰が取り締まるべきなのかなどについて、この問題を
     取材しているジャーナリストの青木氏と、ジャーナリストの
     神保哲生、社会学者の宮台真司が議論した》

   『●《情報提供がもっぱら公益的な目的であり、なおかつ重大な違法行為を摘発
      する目的である場合に限り、公務員は公務員法の守秘義務が免除され…》
   『●神保哲生さん《今回、警察の内部告発者2人が…小さなネットメディアを通報
     先に選んだことを、既存のメディアは深刻に受け止める必要があるだろう》

 報道機関を家宅捜査し、 二人のホイッスル・ブロワーを逮捕した鹿児島県警。《ニュースサイト「ハンター」…代表の中願寺(ちゅうがんじ)純則さん(64)も…「不当捜査だと批判した》《「どう考えても、不当な強制捜査だ」》《取材の成果と商売道具を取り上げられた上、事件と無関係の警察内部文書の削除まで要求された》(こちら特報部)。
 《記者クラブに加盟する数多ある大手メディア既存のメディアは深刻に受け止める必要がある》(ビデオニュースドットコム)というのに、のほほんとし過ぎなのでは? 《異例の強制捜査には、日本ペンクラブが「民主主義社会の根幹を脅かす極めて深刻な事態」と声明で非難。新聞労連日本ジャーナリスト会議福岡支部などからも抗議が相次いでいる》(こちら特報部)。

 《曽我部真裕教授…は「鹿児島県警は『取材の自由』にどう配慮したのか、今からでも明確に説明する責任がある」と批判。捜索令状を出した裁判官の姿勢も問われるという。「令状請求の対象が代表の個人名であれば、見逃すこともあり得るが、メディアと把握した上での判断なら、令状主義の機能不全を意味する。本来は、新聞・テレビなどの既存メディアも大いに報じるべき問題だ」と指摘》(こちら特報部)。「公益通報にあたる」を認めなかった件も酷いのだが、なんで報道機関への捜索令状を出せるのか、裁判所もどうかしている。
 西田直晃記者による、東京新聞の記事【こちら特報部/「いずれ新聞社に家宅捜索が…」金平茂紀さんが鹿児島県警不祥事に感じる「行き過ぎ」とメディアへの警鐘】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/346929?rct=tokuhou)。《鹿児島県警の捜査資料漏えい事件に関連し、ニュースサイト「ハンター」が家宅捜索された問題を巡り、「民主主義社会の根幹を脅かす」として、日本ペンクラブは抗議声明を出した。他のメディアはどう受け止めるべきなのか。ペンクラブ理事で、ジャーナリストの金平茂紀さん(70)に聞いた。(西田直晃)》

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https://www.tokyo-np.co.jp/article/346929?rct=tokuhou

こちら特報部
「いずれ新聞社に家宅捜索が…」金平茂紀さんが鹿児島県警不祥事に感じる「行き過ぎ」とメディアへの警鐘
2024年8月12日 12時00分

 鹿児島県警の捜査資料漏えい事件に関連し、ニュースサイト「ハンター」が家宅捜索された問題を巡り、「民主主義社会の根幹を脅かす」として、日本ペンクラブは抗議声明を出した。他のメディアはどう受け止めるべきなのか。ペンクラブ理事で、ジャーナリストの金平茂紀さん(70)に聞いた。(西田直晃


 鹿児島県警「情報漏えい」事件 県警の元巡査長=地方公務員法違反罪で懲役1年、執行猶予3年の鹿児島地裁判決=による捜査情報の漏えい先として4月8日、福岡市のハンター事務所を家宅捜索した。押収したパソコンに保存されていた内部告発に関する文書画像を端緒に、前県警生活安全部長が国家公務員法(守秘義務)違反容疑で逮捕、同罪で起訴された。


◆「明らかに報道弾圧、公益通報を蹂躙」

 事態を受け、日本ペンクラブは6月19日、いち早く「取材源秘匿や内部通報者保護制度を脅かす」と非難する声明を発表した。金平さんは「家宅捜索に加え、入手した情報をもとに内部告発者を逮捕した。記者への強制捜査が問題となった過去の例と比べても、明らかに突出した報道機関への弾圧であり、公益通報制度の精神の蹂躙(じゅうりん)だ。行き過ぎた捜査だと、会員が共通認識を抱いた」と語る。

     (「取材源秘匿や内部通報者保護制度を脅かす」と非難した
      日本ペンクラブの声明(公式ホームページより、
      スクリーンショット))

 声明発出の前日、ペンクラブの言論表現委員会で、ハンター代表の中願寺(ちゅうがんじ)純則さん(64)の話を聞いたという。パソコンに保存されていた内部告発に関する文書画像は、ハンターで鹿児島県警の不祥事を追及していた札幌市のライターに託されたものだった。

 「なぜ、内部告発先が遠く離れた札幌市のライターだったのか。中願寺さんも言っていたが、その深刻な意味を考えるべきだ」と金平さん。「この問題に限った話ではなく、地方メディアは地元の警察・行政と、ともすればもたれ合いの関係になりがちだ地元の新聞やテレビ局に伝えても、無駄だと思われるような状況になっていないか。私もテレビの世界に身を置いてきたので、じくじたる思いがある」と続けた。


◆「おかしいものはおかしい」と声を上げることが地方紙の存在意義

 今年5月に水俣病の患者・被害者の発言を環境省職員が遮った問題では、先行して反応した地元紙が紙面で大々的に報じ、東京のメディアも追随した。地方メディアの役割について「地域に拠点を構え、いつも地元で取材しているからこそ、本来なら『おかしいものはおかしい』と声を上げられるはずだこれこそが地方紙の存在意義だと再認識してほしい」と言及した。

     (メディアの役割について語る金平茂紀さん=東京都千代田区で)

 ハンターは「調査報道を軸とするニュースサイト」と称しており、新聞・テレビなどとは異なる立ち位置を掲げている。金平さんは「現状、既存メディアと新興メディアの間には緊張感がある。『既存メディアの機能不全』を新興メディアは指摘しており、両者の関係は共存よりも分断の側面が強い」と解説する一方、「権力の監視という点では補完関係を築くべきだ」と強調する。


◆あちこちで起きている公務員による隠蔽

 「今回のケースが許されてしまえば、いずれ新聞社に家宅捜索が入ることにもなりかねないメディア全体の危機だこんなときこそ良い意味のメディアスクラムを組み、抗議の輪をつくらなければならない

 ハンターの家宅捜索後、逮捕、起訴された前県警生活安全部長は、情報を送ったのは「県警の隠蔽(いんぺい)を訴えるためで、公益通報かそれに準ずる」として無罪を主張する方針だ。

 金平さんは「兵庫県の告発文書問題在沖縄米兵の性的暴行事件も同じだが、あちこちで公務員による隠蔽が起きている。自らの利益のみを考え、他者のために生きるという倫理観がこの国から失われ、公共が溶けてしまっている」と危機感を口にした。


【関連記事】「取材源の秘匿」脅かした鹿児島県警の捜査手法はありなのか? ネットメディアへ異例の家宅捜索
【関連記事】鹿児島県警に取材データを奪われたメディア代表の憤り「組織防衛のため、内部告発への見せしめだ」
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●神保哲生さん《今回、警察の内部告発者2人が…小さなネットメディアを通報先に選んだことを、既存のメディアは深刻に受け止める必要があるだろう》

2024年08月27日 00時00分32秒 | Weblog

青木理さん『情報隠蔽国家』…「客観的な事実すら隠蔽し…ねじ曲げて恥じない為政者たちの姿」を報じも… ↑】


(20240805[])
報道機関を家宅捜査し、 二人のホイッスル・ブロワーを逮捕した鹿児島県警。《ニュースサイト「ハンター」…代表の中願寺(ちゅうがんじ)純則さん(64)も…「不当捜査だと批判した》《「どう考えても、不当な強制捜査」》《取材の成果と商売道具を取り上げられた上、事件と無関係の警察内部文書の削除まで要求された》(こちら特報部)。
 《記者クラブに加盟する数多ある大手メディア既存のメディアは深刻に受け止める必要がある》(ビデオニュースドットコム)というのに、のほほんとし過ぎなのでは? 《異例の強制捜査には、日本ペンクラブが「民主主義社会の根幹を脅かす極めて深刻な事態」と声明で非難。新聞労連日本ジャーナリスト会議福岡支部などからも抗議が相次いでいる》(こちら特報部)。

 《曽我部真裕教授…は「鹿児島県警は『取材の自由』にどう配慮したのか、今からでも明確に説明する責任がある」と批判。捜索令状を出した裁判官の姿勢も問われるという。「令状請求の対象が代表の個人名であれば、見逃すこともあり得るが、メディアと把握した上での判断なら、令状主義の機能不全を意味する。本来は、新聞・テレビなどの既存メディアも大いに報じるべき問題だ」と指摘》(こちら特報部)。「公益通報にあたる」を認めなかった件も酷いのだが、なんで報道機関への捜索令状を出せるのか、裁判所もどうかしている。

 警察の不祥事を告発したホイッスル・ブロワー組織の不正をただす告発者》・鹿児島県警元警視正(生活安全部長は〝たたき上げ〟のトップらしい)を逮捕。しかも、もう一人のホイッスル・ブロワー(鹿児島県警曽於署の藤井光樹巡査長)に関する別件とはいえ、(警察の不祥事を告発し続けていた)福岡の報道機関「ハンター」にガサ入れするという前代未聞の行動をとり、たまたま、このこの報道機関にその内部告発が北海道から〝回ってきていた〟ためにホイッスル・ブロワー(元生活安全部長・本田尚志氏)の情報が漏れてしまい、鹿児島県警が逮捕…。マスコミは、もっと大騒ぎすべきと思うのですが? (神保哲生さん)《今回、警察の内部告発者2人が、記者クラブに加盟する数多ある大手メディアではなく小さなネットメディアを通報先に選んだことを、既存のメディアは深刻に受け止める必要があるだろう》。そし て、《弁護人は「公益通報にあたる」と主張したが、裁判所は勾留の取り消しを認めなかった》という鹿児島簡裁も正気だろうか? 家宅捜査を受けた「ハンター」の代表・中願寺純則氏は「鹿児島県警は、メディアに情報を漏らしたといって身内を続けて逮捕していますが、本来逮捕すべきは誰なのか、よく考えてほしい」と。

 西田直晃記者による、東京新聞の記事【こちら特報部/「取材源の秘匿」脅かした鹿児島県警の捜査手法はありなのか? ネットメディアへ異例の家宅捜索】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/345250?rct=tokuhou)。《捜査情報を漏えいしたとして地方公務員法違反罪に問われた元鹿児島県警巡査長の判決が5日、鹿児島地裁で言い渡される。この事件では漏えい先としてニュースサイト「ハンター」(福岡市)を家宅捜索した鹿児島県警の異例の捜査手法が疑問視されている。代表の中願寺(ちゅうがんじ)純則さん(64)も本紙の取材に「不当捜査だと批判した。(西田直晃)》。
 西田直晃記者による、東京新聞の記事【こちら特報部 鹿児島県警に取材データを奪われたメディア代表の憤り「組織防衛のため、内部告発への見せしめだ」】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/345235)。《「どう考えても、不当な強制捜査だ」。鹿児島県警の元巡査長が逮捕、起訴された捜査資料漏えい事件の「関係先」として、福岡市の事務所を捜索されたニュースサイト「ハンター」代表の中願寺純則さん(64)は憤りを隠せない。取材の成果と商売道具を取り上げられた上、事件と無関係の警察内部文書の削除まで要求された。事件の経過を振り返りながら、浮かび上がった問題点を考えた。(西田直晃、写真も)》。

 《これはいずれも組織内の違法行為を告発するもので、明らかに公益通報の範疇に入るものだったが、鹿児島県警は内部告発者を逮捕し、ハンターの事務所を家宅捜索した》、《この問題を取材しているジャーナリストの青木氏は、藤井氏の行動は公益通報以外の何物でもないと指摘する》、《加えて、今回の強権発動警察という組織では決して内部告発は許さないという強い意志を示すことが目的だと思われるが、そのために内部告発した警察職員を様々な理由をつけてあれは公益通報には当たらないと決めつけ逮捕までしていること》(ビデオニュースドットコム)。

   『●斎藤元彦兵庫県知事、新たなお維案件…ホイッスル・ブロワー《組織の
      不正をただす告発者が、守られる環境》が全く実現されていない悲劇
   『●鹿児島県警、呆れた…《「再審や国賠請求等において、廃棄せずに保管して
      いた捜査書類やその写しが組織的にプラスになることはありません!!」…》
    「再審法の改正を。いま何かと話題の鹿児島県警。かつて、
     鹿児島県警と言えば、原口アヤ子さんの大崎事件。そして、
     なんと言っても、志布志事件。体質は変わらない。」

   『●今西憲之さん《組織内に隠された恥部をさらす警察官を立て続けに逮捕して
     いる鹿児島県警に、「正義」はあるのか》? しかも、報道機関に家宅捜査!
   『●《警察の犯罪を中立的な立場から捜査する仕組みが存在しない》…報道
     機関を家宅捜査し、 二人のホイッスル・ブロワーを逮捕する鹿児島県警
    《これはもはやそんな次元を超えた公益通報者保護制度の破壊
     あり、報道の自由の侵害に他ならない》
    《…鹿児島県警で今何が起きているのか警察の身内の犯罪の隠蔽
     内部告発者の逮捕メディアへの介入許していいのか
     警察の犯罪は誰が取り締まるべきなのかなどについて、この問題を
     取材しているジャーナリストの青木氏と、ジャーナリストの
     神保哲生、社会学者の宮台真司が議論した》

   『●《情報提供がもっぱら公益的な目的であり、なおかつ重大な違法行為を摘発
      する目的である場合に限り、公務員は公務員法の守秘義務が免除され…》


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https://www.tokyo-np.co.jp/article/345250?rct=tokuhou

こちら特報部
「取材源の秘匿」脅かした鹿児島県警の捜査手法はありなのか? ネットメディアへ異例の家宅捜索
2024年8月5日 06時00分

 捜査情報を漏えいしたとして地方公務員法違反罪に問われた元鹿児島県警巡査長の判決が5日、鹿児島地裁で言い渡される。この事件では漏えい先としてニュースサイト「ハンター」(福岡市)を家宅捜索した鹿児島県警の異例の捜査手法が疑問視されている。代表の中願寺(ちゅうがんじ)純則さん(64)も本紙の取材に「不当捜査だと批判した。(西田直晃


 鹿児島県警「情報漏えい」事件 ニュースサイト「ハンター」に捜査資料を漏らしたとして、鹿児島県警は2024年4月、元巡査長=地方公務員法違反の罪で起訴、5日判決=を逮捕。ハンターの事務所を家宅捜索した。先月の初公判で元巡査長は起訴内容を認めながら警察組織を変えたかったとの動機もあったと説明した。押収データを端緒に県警は5月末に前生活安全部長の本田尚志被告=国家公務員法違反の罪で起訴=を逮捕した。

     (ハンターの事務所。パソコン返却後に
      県警内部資料のデータ消去が行われ

 鹿児島県警は4月、元巡査長による捜査情報の漏えい先と判断し、ハンター事務所を捜索。中願寺さんのパソコンや携帯電話などを押収した。パソコンのデータには別の内部告発に関する文書画像もあり、5月に情報漏えいの疑いで前県警生活安全部長を逮捕した事件のきっかけとされる。

 中願寺さんは「メディアの家宅捜索がなぜ必要だったのか。目的は『内部告発者を許さない』という県警の組織防衛ではないのか」と疑問視する。

 異例の強制捜査には、日本ペンクラブが「民主主義社会の根幹を脅かす極めて深刻な事態」と声明で非難。新聞労連日本ジャーナリスト会議福岡支部などからも抗議が相次いでいる。

 過去の判例でも「取材の自由」は憲法上の権利として尊重されており、京都大の曽我部真裕教授(憲法)は「鹿児島県警の捜索は問題が大きい」と言う。捜査機関にも「取材源の秘匿を侵害しないよう配慮が求められている。県警側は「取材の自由は理解している」と強調するが、曽我部氏は「鹿児島県警は『取材の自由』にどう配慮したのか、今からでも明確に説明する責任がある」と批判。

 捜索令状を出した裁判官の姿勢も問われるという。「令状請求の対象が代表の個人名であれば、見逃すこともあり得るが、メディアと把握した上での判断なら、令状主義の機能不全を意味する。本来は、新聞・テレビなどの既存メディアも大いに報じるべき問題だ」と指摘した。


【関連記事】鹿児島県警に取材データを奪われたメディア代表の憤り「組織防衛のため、内部告発への見せしめだ」
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https://www.tokyo-np.co.jp/article/345235

こちら特報部
鹿児島県警に取材データを奪われたメディア代表の憤り「組織防衛のため、内部告発への見せしめだ」
2024年8月5日 06時00分

 「どう考えても、不当な強制捜査だ」。鹿児島県警の元巡査長が逮捕、起訴された捜査資料漏えい事件の「関係先」として、福岡市の事務所を捜索されたニュースサイト「ハンター」代表の中願寺純則さん(64)は憤りを隠せない。取材の成果と商売道具を取り上げられた上、事件と無関係の警察内部文書の削除まで要求された。事件の経過を振り返りながら、浮かび上がった問題点を考えた。(西田直晃、写真も)


◆令状の中身は見せない、弁護士も呼ばせない

 インターホンが鳴ったのは4月8日午前8時半ごろ。中願寺さんがドアを開けると、警察手帳を取り出した若い捜査員は「分かってますよね」と告げたという。示された捜索令状に「地方公務員法違反」と書いてあったが、その中身を見せるべきだという訴えは拒まれ、読み上げもなかった

 「言葉は丁寧だったが、やはり強く出てくるなと思った」と中願寺さん。手にした携帯電話で弁護士に連絡を試みると、近づいた捜査員に取り上げられ、「身に着けているものを押収していいことになっている」と説明を受けた。10人ほどの捜査員が約5時間かけて家宅捜索。差し押さえられたのは、パソコンや携帯電話のほか、取材ノート、これまでにハンターが「県警がもみ消した強制性交」として追及してきた事件の関係者の名刺などだった。

     (家宅捜索で押収されたパソコン)

 ハンターは2011年3月に発足。「記者クラブとは一線を画し、調査報道を軸とするニュースサイト」と位置付け、国会議員秘書の経歴がある中願寺さんが1人で運営し、外部ライターとともに記事を執筆してきた。

 県警の不祥事を追及する記事を書くに当たり、取材や告発を経て入手した内部文書を昨年から、自社のサイトに掲載。県警の事件捜査に疑問を呈するため、内部文書の「告訴・告発事件処理簿一覧表」のほか、「刑事企画課だより」の画像を公開。速やかな事件記録の廃棄を促す記述などを問題視してきた


◆「まさか報道機関に捜索に入るとは」

 今年2月には、県警本部に処理簿一覧表を持参し、県民に謝罪するよう迫ったことも。3月、県警は「約100事件分の処理簿一覧表が外部に流出した」と発表。その数日後、中願寺さんに「情報漏えいの調査のために話を聞きたい」と捜査員から電話がかかってきたが、日程の調整で折り合わないうちに、家宅捜索を受けたという。

 「任意の事情聴取は警戒していたが、まさか報道機関に捜索に入るとは」。万が一を想定し、重要資料の原本は弁護士に預けていたものの、パソコンや携帯電話を押収されれば、配信業務や連絡にも支障が出る。近くの警察署でその日から始まった任意聴取では「取材過程やニュースソースについては一切話さないと黙秘の意向を伝えた。2回目の聴取の前、「被疑者としての取り調べに変更する」と捜査員に言われた。

     (東京新聞のインタビューに応じた中願寺純隆さん。
      今後の取材に支障が出るため顔出しはNGという
      =いずれも福岡市で)

 取調官からは、元巡査長との通話の内容、内部文書の受け渡し方法などを聞かれたほか、「記事のようなキレがないですね」「世間話ならいいでしょう」と水を向けられたが、一度も供述調書にサインしなかった。警察官に尾行されている気配も感じ、「一時は逮捕も覚悟した」と振り返る。

 ハンターの家宅捜索について、県警の野川明輝本部長は6月の会見で「元巡査長の供述や客観証拠などを踏まえて行われた」「取材の自由は理解している」と述べた。「元巡査長が認めているのに、メディアの家宅捜索がどうして必要なのか」と中願寺さんはいぶかしむ。「情報漏えいの教唆という理屈だろうが、正当な取材活動の成果だ。鹿児島県警の組織防衛、ハンターつぶしではないのか」


◆パソコンからデータ削除させられた

 中願寺さんの憤りはそれだけではない。

 家宅捜索の翌日、押収品の一部は自宅に戻ったが、「処理簿一覧表」「刑事企画課だより」のデータをパソコンから削除するように求められた。「流出すると大変なことになる」と説得されたという。

 「後者は特に元巡査長の事件と直接の関係はなく、データを消去させる理由がないはずだ。数年前には、県内の警察署で誰もが目にすることができた。『おかしいだろ』と抵抗したが、任意ではなく強制と思い込んでいたので、従わざるを得なかった」

     (ハンターの事務所。パソコン返却後に県警内部資料の
      データ消去が行われた

 刑事企画課だよりの原本は別に保管していたが、このパソコンには、中願寺さんが別の記者から送られた、鹿児島県警を巡る内部告発の手紙のデータも保存されていた。県警は家宅捜索を契機として、5月にの情報漏えいの疑いで、前県警生活安全部長の本田尚志被告も逮捕した。メディアへの強制捜査を端緒に別の証拠を押収し、内部通報者を特定した形になる。本田被告は今後の公判で、情報を送った行為は「県警の隠ぺいを訴えるためで、公益通報かそれに準ずる」として、無罪を主張する方針を示している。

 中願寺さんは「本田さんの逮捕にしても、内部告発者は絶対に許さないという見せしめだ。鹿児島県警が守っているのは、県民ではなく県警そのものそのためには何だってや。本来であれば、地元メディアが権力の暴走を監視し、声を大にして『おかしいことはおかしい』と言わなければならない」と強調する。

 記者の「取材源の秘匿」「情報漏えい教唆」に焦点が当たった強制捜査は、過去にもあった。


◆過去の例と比べても異質「あってはならないこと」

 1957年の売春汚職事件では、読売新聞の故立松和博記者が「召喚必至」と立件を名指しした国会議員への名誉毀損(きそん)容疑で逮捕された。背景には検察内部の派閥抗争があったとされ、日本新聞協会即時釈放を求めた。1971年の沖縄返還日米密約を巡る外務省機密漏えい事件で、情報提供者の女性事務官とともに逮捕された毎日新聞の故西山太吉記者のケースもある。

     (鹿児島県警のパトカー(資料写真))

 だが、こうした例と比べてもハンターの家宅捜索は特異という。上智大の奥山俊宏教授(メディア法)は「立松、西山両記者は自分自身が被疑者となったが、ハンターは捜索段階では第三者の『関連先』でしかなかった。逮捕された巡査長と極めて近い存在だったわけでもない」と前置きし、「報道の目的を逸脱して利用されたり、公共性や公益性がないのにネット公開されたりするのは問題だが、正当な取材で得られた資料について、探索的に情報源関連の資料を家宅捜索し、差し押さえるという行為は前例がないあってはならないことだ」と続ける。

 「取材・報道の目的で個人情報をメディアに提供する行為は、個人情報保護法でも考慮されている。社会的に是認されるべきだ」


◆名ばかりの公安委員、チェック機能果たされず

 今回の事件を別の角度から検証すべきだ、とする声もある。立正大の石塚伸一客員教授(刑事政策)は「本来、県公安委員会が経緯を調査し、事後だとしても県警にしっかり報告を求め、再発防止の措置を取らないといけない」と指摘する一方、「それがなかなか難しい。都道府県の公安委員には地域の名士が選ばれるが、警察行政の素人ばかりで実質的には名誉職となっている。警察の民主的な運営をチェックするという機能が果たされていない」と話す。

 「今回の家宅捜索のような問題が続けば、第三者の市民が都道府県警を日常的に注視する新たな組織が必要かもしれない。鹿児島だけの問題ではない」と述べた。


◆デスクメモ

 兵庫県知事の疑惑を告発して亡くなった幹部の男性も今回の前部長も60歳退職を迎える中での行動。部下に迷惑をかけまいとしたかもしれない、資料を押収された中願寺さんの苦悩も想像する。不正の告発に組織による報復は許されない警察のように強大な権力ならばなおさらだ。(恭)


【関連記事】「取材源の秘匿」脅かした鹿児島県警の捜査手法はありなのか? ネットメディアへ異例の家宅捜索
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●《情報提供がもっぱら公益的な目的であり、なおかつ重大な違法行為を摘発する目的である場合に限り、公務員は公務員法の守秘義務が免除され…》

2024年08月26日 00時00分11秒 | Weblog

青木理さん『情報隠蔽国家』…「客観的な事実すら隠蔽し…ねじ曲げて恥じない為政者たちの姿」を報じも… ↑】


(2024年08月02日[金])
神保哲生さんのビデオニュースドットコムは、「ディスクロージャー(第22回)」は《行政機関の公益通報をめぐる諸問題》について。《その情報提供がもっぱら公益的な目的であり、なおかつ重大な違法行為を摘発する目的である場合に限り公務員は公務員法の守秘義務が免除され公益通報者保護制度の下でその身分を保護されることになっている》。しかし、《公益通報者保護制度というのは、公益的な目的で組織の不正などを通報した者に対して、その後、制裁を加えたり人事面で不利な扱いをすることを禁止する制度》であるにもかかわらず、ことごとく機能していないようだ。つまり、公益通報者が保護されていないのが現状。鹿児島県警問題しかり、《兵庫県の斎藤元彦知事のパワハラ問題》では悲劇が起きている。
 《これはいずれも組織内の違法行為を告発するもので、明らかに公益通報の範疇に入るものだったが、鹿児島県警は内部告発者を逮捕し、ハンターの事務所を家宅捜索した》、《この問題を取材しているジャーナリストの青木氏は、藤井氏の行動は公益通報以外の何物でもないと指摘する》、《加えて、今回の強権発動警察という組織では決して内部告発は許さないという強い意志を示すことが目的だと思われるが、そのために内部告発した警察職員を様々な理由をつけてあれは公益通報には当たらないと決めつけ逮捕までしていること》(ビデオニュースドットコム)。

   『●斎藤元彦兵庫県知事、新たなお維案件…ホイッスル・ブロワー《組織の
      不正をただす告発者が、守られる環境》が全く実現されていない悲劇
   『●鹿児島県警、呆れた…《「再審や国賠請求等において、廃棄せずに保管して
      いた捜査書類やその写しが組織的にプラスになることはありません!!」…》
    「再審法の改正を。いま何かと話題の鹿児島県警。かつて、
     鹿児島県警と言えば、原口アヤ子さんの大崎事件。そして、
     なんと言っても、志布志事件。体質は変わらない。」

   『●今西憲之さん《組織内に隠された恥部をさらす警察官を立て続けに逮捕して
     いる鹿児島県警に、「正義」はあるのか》? しかも、報道機関に家宅捜査!
   『●《警察の犯罪を中立的な立場から捜査する仕組みが存在しない》…報道
     機関を家宅捜査し、 二人のホイッスル・ブロワーを逮捕する鹿児島県警
    《これはもはやそんな次元を超えた公益通報者保護制度の破壊
     あり、報道の自由の侵害に他ならない》
    《…鹿児島県警で今何が起きているのか警察の身内の犯罪の隠蔽
     内部告発者の逮捕メディアへの介入許していいのか
     警察の犯罪は誰が取り締まるべきなのかなどについて、この問題を
     取材しているジャーナリストの青木氏と、ジャーナリストの
     神保哲生、社会学者の宮台真司が議論した》

 神保哲生さんのビデオニュースドットコム【行政機関の公益通報者保護制度が行政運営の健全化を阻害している/ディスクロージャー (第22回)】(https://www.videonews.com/disclosure_discovery/22)。《それは国家公務員も地方公務員も、それぞれの公務員法によって守秘義務が課されていることだ。守秘義務を課された公務員が、業務上知り得た情報を外部に漏らせば、本来は公務員法違反となる。しかし、法律の建て付けでは、その情報提供がもっぱら公益的な目的であり、なおかつ重大な違法行為を摘発する目的である場合に限り公務員は公務員法の守秘義務が免除され公益通報者保護制度の下でその身分を保護されることになっている。通報内容がもっぱら公益目的」、かつ重大な犯罪でなければ公務員法違反となってしまうのだ。そして、公益通報を行う公務員が乗り越えなければならないハードルは、警察官でも同じだ第1215回のマル激で扱った鹿児島県における警察幹部による警察官の犯罪の隠蔽の摘発も、この問題が関係してくる。…行政機関の公益通報をめぐる諸問題について、情報公開クリアリングハウス理事長の三木由希子とジャーナリストの神保哲生が議論した》。

 警察の不祥事を告発したホイッスル・ブロワー組織の不正をただす告発者》・鹿児島県警元警視正(生活安全部長は〝たたき上げ〟のトップらしい)を逮捕。しかも、もう一人のホイッスル・ブロワー(鹿児島県警曽於署の藤井光樹巡査長)に関する別件とはいえ、(警察の不祥事を告発し続けていた)福岡の報道機関「ハンター」にガサ入れするという前代未聞の行動をとり、たまたま、この報道機関にその内部告発が北海道から〝回ってきていた〟ためにホイッスル・ブロワー(元生活安全部長・本田尚志氏)の情報が漏れてしまい、鹿児島県警が逮捕…。マスコミは、もっと大騒ぎすべきと思うのですが? (神保哲生さん)《今回、警察の内部告発者2人が、記者クラブに加盟する数多ある大手メディアではなく小さなネットメディアを通報先に選んだことを、既存のメディアは深刻に受け止める必要があるだろう》。そして、《弁護人は「公益通報にあたる」と主張したが、裁判所は勾留の取り消しを認めなかった》という鹿児島簡裁も正気だろうか? 家宅捜査を受けた「ハンター」の代表・中願寺純則氏は「鹿児島県警は、メディアに情報を漏らしたといって身内を続けて逮捕していますが、本来逮捕すべきは誰なのか、よく考えてほしい」と。

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https://www.videonews.com/disclosure_discovery/22


https://youtu.be/CqDNXkcGWzc


2024年07月27日公開
行政機関の公益通報者保護制度が行政運営の健全化を阻害している
ディスクロージャー(第22回)

司会 三木由希子 神保哲生


概要

 第22回のディスクロージャーは行政機関の公益通報者保護が正常に機能していない問題を取り上げた。

 公益通報とは、組織内で不正や違法行為があった時、組織の構成員がその情報を組織内の適切な部署や行政機関、さらには外部の報道機関などに提供すること。その通報を通じて、組織の健全な運営を図ることを目的としている。そして、公益通報者保護制度というのは、公益的な目的で組織の不正などを通報した者に対して、その後、制裁を加えたり人事面で不利な扱いをすることを禁止する制度だ。2006年から法律が施行されている。

 公益通報は組織内の情報を組織の構成員が公益的な動機から外部に提供する行為であり、外部から情報の開示を求める情報公開請求とは表裏一体の関係にある。外部から情報公開請求を行うだけでは、実際に組織内でどのような不正行為が行われていたのかや組織が正常に機能していたのかどうかをうかがい知ることは容易ではない。また、外部からはその組織がどのような情報を保有しているかもわからないが、内部の人間はそれをすべて知っている

 公益通報者保護法は行政、民間を問わずあらゆる組織に適用される法律であり制度だが、民間の企業や組織と比べた時、行政機関には乗り越えなければならない高いハードルがある。それは国家公務員も地方公務員も、それぞれの公務員法によって守秘義務が課されていることだ。守秘義務を課された公務員が、業務上知り得た情報を外部に漏らせば、本来は公務員法違反となる。しかし、法律の建て付けでは、その情報提供がもっぱら公益的な目的であり、なおかつ重大な違法行為を摘発する目的である場合に限り公務員は公務員法の守秘義務が免除され公益通報者保護制度の下でその身分を保護されることになっている。通報内容がもっぱら公益目的」、かつ重大な犯罪でなければ公務員法違反となってしまうのだ。

 そして、公益通報を行う公務員が乗り越えなければならないハードルは、警察官でも同じだ第1215回のマル激で扱った鹿児島県における警察幹部による警察官の犯罪の隠蔽の摘発も、この問題が関係してくる。

 鹿児島県警は県警の警察官や警察関係者による犯罪行為に関する捜査資料を外部のジャーリストに情報提供したことが、公務員法の守秘義務違反に当たるとして、警察官2人を逮捕している。そのうちの1人は直前に鹿児島県警の生活安全部長を定年退官したばかりの、上級幹部だった。

 逮捕にあたり鹿児島県警のトップである野川明輝本部長は記者会見で、元生活安全部長の警察職員によるメディアへの情報提供は「公益通報には当たらない」との考えを示した。その理由として、警察職員が提供した情報の中には、被害者情報など犯罪の摘発に直接関係のない情報が含まれていたことなどがあげられている。

 つまり、メディアに提供された情報のうち、犯罪に直接関わる部分については公益的通報に当たる可能性があるが、それ以外の情報も含まれていた瞬間に、それは違法行為となるというのが、鹿児島県警の認識ということになる。

 しかし、犯罪行為を提供する際に、その周辺情報を一切含まない形で摘発するというのは、必ずしも現実的ではない。特に今回のように、提供された捜査資料の中に被害者の個人情報が含まれていたことが問題視されることになると、情報提供を受けたメディアは、その情報の裏取り、つまり事実確認さえできなくなってしまう

 鹿児島県警以外では、兵庫県の斎藤元彦知事のパワハラ問題に関して、告発を行い誹謗中傷やパソコンの私的利用を理由に懲戒処分を受けた元西播磨県民局長が自死するという事態が起きている。これは県が知事の違法行為を摘発する公益通報を行った職員のパソコンを押収した上で、パソコン内にあった職員のプライバシーに関わる情報を他者に開示するなどして、告発をした職員に圧力をかけた結果だったと考えられている。これもまた、行政機関内の公益通報者保護が徹底されていない結果起きた悲劇だった可能性が高い。

 つまるところ、公益通報者保護制度は地方自治体や官庁ではほとんどまともに機能していないようだ。公務員法の守秘義務というハードルのため、公益通報者が逮捕されたり懲戒処分を受けたりすることが頻発しているのだ。民間企業はもとより税金で運営されている行政機関こそ、違法行為が隠蔽されるようなことがあってはならないことは論を俟たない。より公益通報者保護制度が機能してくれなければ困る行政機関内で、公益通報が難しくなっている現状は変わってくれなければ困る。

 現行の公益通報者保護制度の最大の弱点は、この制度が元々、消費者保護を目的とした消費者行政の延長線上にあり、行政の健全な運営を担保するための制度ではないことだ。そのため管轄官庁も消費者庁になっている。無論、消費者保護は重要だが、行政機関の健全な運営のためには、現行の公的通報者保護制度を強化するか、もしくは消費者保護とは切り離した形で、行政機関を対象とする新たな公的通報者保護制度を定める必要があるのではないか。

 行政機関の公益通報をめぐる諸問題について、情報公開クリアリングハウス理事長の三木由希子とジャーナリストの神保哲生が議論した。
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●《警察の犯罪を中立的な立場から捜査する仕組みが存在しない》…報道機関を家宅捜査し、 二人のホイッスル・ブロワーを逮捕する鹿児島県警

2024年07月31日 00時00分01秒 | Weblog

青木理さん『情報隠蔽国家』…「客観的な事実すら隠蔽し…ねじ曲げて恥じない為政者たちの姿」を報じも… ↑】


(2024年07月28日[日])
《鹿児島県警で今何が起きているのか》(神保哲生さんのビデオニュースドットコム)? 《警察の腐敗も深刻だが、警察とメディアとの癒着も底なし沼だ》、あぁ…。

   『●鹿児島県警、呆れた…《「再審や国賠請求等において、廃棄せずに保管して
      いた捜査書類やその写しが組織的にプラスになることはありません!!」…》
    「再審法の改正を。いま何かと話題の鹿児島県警。かつて、
     鹿児島県警と言えば、原口アヤ子さんの大崎事件。そして、
     なんと言っても、志布志事件。体質は変わらない。」

   『●今西憲之さん《組織内に隠された恥部をさらす警察官を立て続けに逮捕して
     いる鹿児島県警に、「正義」はあるのか》? しかも、報道機関に家宅捜査!

 警察の不祥事を告発したホイッスル・ブロワー組織の不正をただす告発者》・鹿児島県警元警視正(生活安全部長は〝たたき上げ〟のトップらしい)を逮捕。しかも、もう一人のホイッスル・ブロワー(鹿児島県警曽於署の藤井光樹巡査長)に関する別件とはいえ、(警察の不祥事を告発し続けていた)福岡の報道機関「ハンター」にガサ入れするという前代未聞の行動をとり、たまたま、このこの報道機関にその内部告発が北海道から〝回ってきていた〟ためにホイッスル・ブロワー(元生活安全部長・本田尚志氏)の情報が漏れてしまい、鹿児島県警が逮捕…。マスコミは、もっと大騒ぎすべきと思うのですが? (神保哲生さん)《今回、警察の内部告発者2人が、記者クラブに加盟する数多ある大手メディアではなく小さなネットメディアを通報先に選んだことを、既存のメディアは深刻に受け止める必要があるだろう》。そして、《弁護人は「公益通報にあたる」と主張したが、裁判所は勾留の取り消しを認めなかった》という鹿児島簡裁も正気だろうか? 家宅捜査を受けた「ハンター」の代表・中願寺純則氏は「鹿児島県警は、メディアに情報を漏らしたといって身内を続けて逮捕していますが、本来逮捕すべきは誰なのか、よく考えてほしい」と。

   『●斎藤元彦兵庫県知事、新たなお維案件…ホイッスル・ブロワー《組織の
      不正をただす告発者が、守られる環境》が全く実現されていない悲劇

 原口アヤ子さんの大崎事件、そして、なんと言っても、志布志事件。さらには、先日の、「鹿児島県警、呆れた…《「再審や国賠請求等において、廃棄せずに保管していた捜査書類やその写しが組織的にプラスになることはありません!!」…」。どこまで腐っているのか?
 今西憲之さん《身内の犯罪行為を隠蔽しようとする姿に失望した――。鹿児島県警内部の情報を漏らしたとして逮捕された県警元警視正の法廷での発言が世間を騒がせている。この元警視正のほかにも守秘義務違反で県警に逮捕された警察官がいた。組織内に隠された恥部をさらす警察官を立て続けに逮捕している鹿児島県警に、「正義」はあるのか。》

 是非、ご一読ください。様々な意味で、闇の深さが理解できます。
 神保哲生さんのビデオニュースドットコムの映像記事【公益通報者を逮捕し報道機関にまでガサ入れをする鹿児島県警をどう裁くべきか/マル激トーク・オン・ディマンド (第1215回) ゲスト 青木理】(https://www.videonews.com/marugeki-talk/1215)。《日本には本来は先進国であれば必ず備わっていなければならない警察の犯罪を中立的な立場から捜査する仕組みが存在しないことをご存じだろうか。…鹿児島県警で今何が起きているのか警察の身内の犯罪の隠蔽内部告発者の逮捕メディアへの介入許していいのか、警察の犯罪は誰が取り締まるべきなのかなどについて、この問題を取材しているジャーナリストの青木氏と、ジャーナリストの神保哲生、社会学者の宮台真司が議論した》。

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https://www.videonews.com/marugeki-talk/1215


 (https://youtu.be/B_B8KHniRCY


2024年07月20日公開
公益通報者を逮捕し報道機関にまでガサ入れをする鹿児島県警をどう裁くべきか
マル激トーク・オン・ディマンド マル激トーク・オン・ディマンド (第1215回)

ゲスト
青木理 (あおき おさむ)
ジャーナリスト
1966年長野県生まれ。90年慶應義塾大学文学部卒業。同年共同通信社入社。大阪社会部、成田支局、東京社会部、外信部、ソウル特派員などを経て2006年退社。著書に『日本の公安警察』、『国策捜査』、『絞首刑』など。


概要

 日本には本来は先進国であれば必ず備わっていなければならない警察の犯罪を中立的な立場から捜査する仕組みが存在しないことをご存じだろうか。

 鹿児島県警は警察関係者の犯罪を内部告発した元幹部を逮捕し、その情報提供先となったネットメディアの事務所に家宅捜索に入った。どんな組織にでも多少は身内贔屓はあるかもしれないが、これはもはやそんな次元を超えた公益通報者保護制度の破壊であり、報道の自由の侵害に他ならない。

 鹿児島県警は今、2つの内部通報に揺れている。1つは元県警生活安全部長の本田尚志氏が警察による隠蔽が疑われる事件について告発文を送ったというもの。もう1つは同じく県警元巡査長の藤井光樹氏が不正捜査が疑われる事案について資料などを提供したというものだ。いずれも警察の不正を内部から告発するもので、福岡県をベースにネットでニュースを配信している「ハンター」とそこに寄稿しているフリーのジャーナリストに情報は提供されていた。これはいずれも組織内の違法行為を告発するもので、明らかに公益通報の範疇に入るものだったが、鹿児島県警は内部告発者を逮捕し、ハンターの事務所を家宅捜索した。

 藤井氏は県警の「告訴・告発事件処理簿一覧表」などの資料をハンターに提供したとして4月8日、地方公務員法違反(守秘義務違反)の疑いで逮捕され、5月20日に起訴されたが、その処理簿には2021年の強制性交事件に関する情報などが含まれていた。これは医師会の職員による看護師に対する強制性交事件で、被害者の度重なる訴えにもかかわらず事件化されていなかったが、その職員の父親は鹿児島県警所属の警察官だった

 藤井氏は7月11日に鹿児島地裁で行われた初公判で起訴内容を認め、争わない姿勢を示しているが、同時に強制性交事件の捜査に疑問を感じたことが告発の動機だったとも述べている。この問題を取材しているジャーナリストの青木氏は、藤井氏の行動は公益通報以外の何物でもないと指摘する。

 県警はハンターの事務所を家宅捜査した際に、パソコンやハンターの代表者である中願寺純則氏の携帯電話を押収しているが、その中にあったデータから藤井氏の他にも内部告発者がいることを突き止め、藤井氏に続いて元生活安全部長の本田氏が逮捕された。

 本田氏もまた鹿児島県警の職員によるストーカー事件や盗撮事件に関する情報を提供していたが、いずれの事件も事件化しておらず、警察による身内の隠蔽が疑われるものだった。本田氏は告発文の中で「闇をあばいてください」と訴えていた。

 今回露呈した問題は大きく分けて3つある。まず警察官による犯罪は県警のトップである本部長の直轄案件となるため、本部長自らが隠蔽を指示していた疑いが濃いということ。犯罪の隠蔽、しかも被害者が存在する犯罪の隠蔽ということになれば、身内贔屓で済まされる問題ではない。加えて、今回の強権発動警察という組織では決して内部告発は許さないという強い意志を示すことが目的だと思われるが、そのために内部告発した警察職員を様々な理由をつけてあれは公益通報には当たらないと決めつけ逮捕までしていること。そして、3つ目が、内部告発者を特定する目的で情報の提供先となったメディアに強制捜査にまで入ったことだ。言うまでもなく1つ目は警察という組織の信頼の根幹を揺るがすものだし、2つ目は公益通報者保護制度を根底から破壊する行為、そして3つ目は報道の自由を侵害する憲法違反に他ならない

 実際、警察官による犯罪が疑われる行為は表沙汰になったものだけでも非常に多い。一般市民で得られない情報を得られる立場にあり、強大な権力を持った警察官は、よほど規律を厳しく徹底しないと、容易に犯罪に手を染めかねない立場にいる。しかも、警察が警察官を逮捕することは希だし、仮に捕まっても自身の経歴に傷を付けたくない県警本部長の温情と身内贔屓の体質故に、罪に問われずに処理されてしまう場合が多い。しかし、今回鹿児島で起きたような内部告発が許容されれば、どこの警察にも正義感を持った警察官が多少なりともいるだろうから、下手をすると日本中の警察で内部告発が乱発され、収拾が付かなくなるおそれがある。少なくとも鹿児島県警の野川明輝本部長がそう考えたとしても不思議はないだろう。

 今回、警察の内部告発者2人が、記者クラブに加盟する数多ある大手メディアではなく、小さなネットメディアを通報先に選んだことを、既存のメディアは深刻に受け止める必要があるだろう。藤井元巡査長も本田元生活安全部長も、記者クラブに加盟する大手メディアに情報を提供しても報道されないばかりか、下手をすると彼らの情報提供の事実が警察に通報されることを恐れた。警察の内部事情や日頃の警察と記者クラブとの関係をよく知る元警察官だからこそ、警察官の犯罪を告発する対象としては既存のメディアがまったくあてにならないことを熟知していたはずだ。実際に今回内部告発者の警察官が逮捕された事件も、一部で報道はされているが、事態の深刻さを考えると、その報道量はまったく足りていない

 極めつけは藤井氏がハンターに提供した一連の情報の中にあった、警察内で回覧されている「刑事企画課だより」という資料だ。これには、事件記録を速やかに廃棄するよう促す内容が記された上で、「再審や国賠請求において、廃棄せずに保管していた捜査書類やその写しが組織的にプラスになることはありません!!」などと書かれていた。後に警察に不利になりそうな資料はあらかじめ全部廃棄しておけという警察内の指令だ。一体、警察はどこまで腐ってしまったのだろうか

 一連の事件が露わにしているものは、警察の隠蔽体質はもとより、そもそも犯罪を取り締まる立場にある警察の犯罪は誰が取り締まるのかという問題が日本では未解決となっていることだ。泥棒に泥棒が捕まえられるわけがない。日本では本来は国家公安委員会と各都道府県に設けられた公安委員会がその任にあたる立場にあるが、歴史的に公安委員会は警察によって骨抜きにされ、本来の機能を期待すべくもないお飾りの組織に成り下がっている。しかも、青木氏によると、年収2,000万円を超える公安委員会の委員には大手報道機関のOBにまで指定席が用意されているという。警察の腐敗も深刻だが、警察とメディアとの癒着も底なし沼だ

 鹿児島県警で今何が起きているのか警察の身内の犯罪の隠蔽内部告発者の逮捕メディアへの介入許していいのか、警察の犯罪は誰が取り締まるべきなのかなどについて、この問題を取材しているジャーナリストの青木氏と、ジャーナリストの神保哲生、社会学者の宮台真司が議論した。
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●今西憲之さん《組織内に隠された恥部をさらす警察官を立て続けに逮捕している鹿児島県警に、「正義」はあるのか》? しかも、報道機関に家宅捜査!

2024年07月30日 00時00分00秒 | Weblog

青木理さん『情報隠蔽国家』…「客観的な事実すら隠蔽し…ねじ曲げて恥じない為政者たちの姿」を報じも… ↑】


(2024年07月27日[土])
《鹿児島県警で今何が起きているのか》(神保哲生さんのビデオニュースドットコム)?

   『●鹿児島県警、呆れた…《「再審や国賠請求等において、廃棄せずに保管して
      いた捜査書類やその写しが組織的にプラスになることはありません!!」…》
    「再審法の改正を。いま何かと話題の鹿児島県警。かつて、
     鹿児島県警と言えば、原口アヤ子さんの大崎事件。そして、
     なんと言っても、志布志事件。体質は変わらない。」

 「いま何かと話題の鹿児島県警」、なぜか? 警察の不祥事を告発したホイッスル・ブロワー組織の不正をただす告発者》・県警元警視正(生活安全部長は〝たたき上げ〟のトップらしい)を逮捕した鹿児島県警。しかも、もう一人のホイッスル・ブロワー(鹿児島県警曽於署の藤井光樹巡査長)に関する別件とはいえ、(警察の不祥事を告発し続けていた)福岡の報道機関「ハンター」にガサ入れするという前代未聞の行動をとり、たまたま、このこの報道機関にその内部告発が北海道から〝回ってきていた〟ためにホイッスル・ブロワー(元生活安全部長・本田尚志氏)の情報が漏れてしまい、逮捕…。マスコミは、もっと大騒ぎすべきと思うのですが? そして、《弁護人は「公益通報にあたる」と主張したが、裁判所は勾留の取り消しを認めなかった》という鹿児島簡裁も正気だろうか? 家宅捜査を受けた「ハンター」の代表・中願寺純則氏は「鹿児島県警は、メディアに情報を漏らしたといって身内を続けて逮捕していますが、本来逮捕すべきは誰なのか、よく考えてほしい」と。

   『●斎藤元彦兵庫県知事、新たなお維案件…ホイッスル・ブロワー《組織の
      不正をただす告発者が、守られる環境》が全く実現されていない悲劇

 原口アヤ子さんの大崎事件、そして、なんと言っても、志布志事件。さらには、先日の、「鹿児島県警、呆れた…《「再審や国賠請求等において、廃棄せずに保管していた捜査書類やその写しが組織的にプラスになることはありません!!」…》」。どこまで腐っているのか?
 dot,の記事【今西憲之/鹿児島県警「本部長の犯罪隠蔽」に「失望した」元警視正の“告発” 内部資料送られたジャーナリストが訴える「ずさん捜査」】(https://dot.asahi.com/articles/-/224707)。《身内の犯罪行為を隠蔽しようとする姿に失望した――。鹿児島県警内部の情報を漏らしたとして逮捕された県警元警視正の法廷での発言が世間を騒がせている。この元警視正のほかにも守秘義務違反で県警に逮捕された警察官がいた。組織内に隠された恥部をさらす警察官を立て続けに逮捕している鹿児島県警に、「正義」はあるのか。》

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https://dot.asahi.com/articles/-/224707

鹿児島県警「本部長の犯罪隠蔽」に「失望した」元警視正の“告発” 内部資料送られたジャーナリストが訴える「ずさん捜査」
2024/06/09/ 17:30
今西憲之

     (身内の犯罪を隠蔽したと告発された
      鹿児島県警の野川明輝本部長)

 身内の犯罪行為を隠蔽しようとする姿に失望した――。鹿児島県警内部の情報を漏らしたとして逮捕された県警元警視正の法廷での発言が世間を騒がせている。この元警視正のほかにも守秘義務違反で県警に逮捕された警察官がいた。組織内に隠された恥部をさらす警察官を立て続けに逮捕している鹿児島県警に、「正義」はあるのか

     (【写真】ジャーナリストに送られた県警内部文書の一部)

「私がこのような行動をしたのは、鹿児島県警職員が行った犯罪行為を、野川明輝本部長が隠蔽しようとしたことが、どうしても許せなかったからです」

 鹿児島県警内部の情報を漏らしたとして国家公務員法違反(守秘義務違反)容疑で逮捕された県警元警視正の本田尚志・前生活安全部長(60)がこう発言し、法廷に衝撃が走った。

 本田前部長は、警察官らの個人情報が記された文書を3月下旬に札幌市在住のジャーナリスト、小笠原淳氏に送り、職務上知りえた情報を漏洩したとして、5月31日に逮捕された。

 6月5日、本田前部長の勾留理由開示手続きが鹿児島簡裁であり、そこでの意見陳述だった。

 本田前部長の陳述は、昨年12月に枕崎市であった盗撮事件に触れて、こう続いた。

「この事件は、現職の警察官の犯行ということで、野川本部長指揮の事件となりました。生活安全部長として、この事件の報告を受けた私は、現職の警察官がこのような犯罪を行ったということに強い衝撃を受けました。県警の現状に危機感を抱くとともに、県民の皆様に早急に事実を明らかにして、信頼回復に努めなければならないと思いました」
「私は、捜査指揮簿に迷いなく押印をし、野川本部長に指揮伺いをしました。しかし、野川本部長は、最後のチャンスをやろう』『泳がせようと言って、本部長指揮の印鑑を押しませんでした。本部長が警察官による不祥事を隠蔽しようとする姿がく然とし、失望しました」

 そして、

「この不祥事をまとめた文書を、とある記者に送ることにしました」

と語った。そこで、小笠原氏の名前が出たという。

 本田前部長の弁護人は「公益通報にあたる」と主張したが、裁判所は勾留の取り消しを認めなかった

     (逮捕後の法廷で県警本部長を告発した
      本田尚志・前生活安全部長)


■「闇をあばいてください。」

 小笠原氏は4月3日に本田前部長の「文書」を受け取った。小笠原氏によると、手紙には鹿児島中央郵便局の消印があったが、差出人が無記名だったので、そのときは本田前部長が送ったとはわからなかった。84円切手が貼られていたが、料金不足で小笠原氏が10円を負担して受け取ったという。

 文書の1ページ目には、
闇をあばいてください。〉
とパソコンで打たれていた。続く2ページ目には、

鹿児島県警の闇
1 霧島署員による警察の保有する情報を悪用したストーカー事案
2 枕崎署員による盗撮事案の隠蔽
3 警視による超過勤務詐取事案の隠蔽
4 署員によるストーカー事案2件を発生させた霧島署長、M警視の
   警視正昇任とストーカー取締部署である生活安全部長着任

などと整理されて、県警の元巡査部長による盗撮事件のあらましなどの不正事案が記されていた。また、「本件問い合わせ」として、3月まで刑事部長だったI氏の住所と電話番号が記載されていた。

 文書のほかには、県警内部で閲覧される、2023年10月発行と11月発行の「刑事企画課だより」が計2部入っていた。そこには、「県内において、捜査書類の紛失・誤廃棄事案が多発しています」などと記載されていた。

 小笠原氏は、こう話す。

「内部告発は信ぴょう性が高いと思ったが、裏取りするにも高度な個人情報が含まれていることもあり、見合わせていた。これが事件に関連する内部告発だと知ったのは、本田さんの勾留理由開示の法廷の後です。当然ですが、本田さんのことはまったく知りません」

 そして、こう続ける。

「事件になって、鹿児島県警から連絡があり、私を取り調べたいとのことでした。仮に私に届いた内部告発が法に触れるというなら、本田さんを逮捕する前に捜査すべきでしょう。内部告発の原本や手紙が本当にあったのかどうか、私に確認もせずに本田さんを逮捕するなんて、あまりにずさんな捜査ではないですか。鹿児島県警は不祥事や隠蔽続きですから、私も罪をでっちあげられるかもしれないと思うと恐ろしい」

     (小笠原氏が受け取った鹿児島県警の「刑事企画課だより」)

 本田前部長の逮捕後、小笠原氏は福岡県を本拠にするニュースサイト「ハンター」で、「鹿児島県警『情報漏洩』の真相」と題した記事を発信して、鹿児島県警が身内による盗撮事件を隠蔽した内幕などを告発している。

 そもそも、本田氏が小笠原氏に手紙を送ったのは、この「ハンター」に記事を書いていることを知っていたからだったようだ。「ハンター」では、昨年秋ごろから、鹿児島県警の不祥事を追及する記事を続発している。


もう一つの「情報漏洩事件」

「警察の腐敗は日本全国であるのだろうが、鹿児島県警はすさまじいものがある

 そう語るのは「ハンター」の代表、中願寺純則氏だ。

 中願寺氏は、本田前部長の事件には、鹿児島県警曽於署の藤井光樹巡査長(49)が4月に地方公務員法違反(守秘義務違反)容疑で逮捕され同罪で起訴された、もう一つの「情報漏洩事件」と県警の隠蔽体質が密接に関係していると話す。

 藤井被告は、県警が扱った事件の被害者や被疑者の氏名、処理状況などが記載された「告訴・告発事件処理簿一覧表」を第三者に郵送したなどとして逮捕・起訴された。藤井被告が漏らした資料は、県警が犯罪を正当に捜査せず隠蔽してきたことがわかるものだったという。

 中願寺氏は、この件で県警から捜査も受けたと言い、こう語る。

「ここまでくれば語るしかない。鹿児島県警は犯人が目の前にいるのに、なんら動かないどころか隠蔽を図る。被害者は泣き寝入りするしかない。藤井さんはそれを正そうと立ち上がったのでしょう。それを見て、本田さんも危険を承知で動いたのではないかと思います」


■「被疑者の父親は県警OBだった」

 中願寺氏の取材によれば、藤井被告が我慢ならなかったのは、病院で働く女性スタッフが被害に遭った強制性交事件だったという。

     (小笠原氏に送られた文書の1枚目)

 2021年9月、新型コロナウイルス関連の仕事に従事していた女性スタッフが、鹿児島県医師会の元職員から性的な暴行を受けたという。女性スタッフは悩んだ末、勤務していた病院の上司に相談し、22年1月に刑事告訴した。中願寺氏が説明する。

「犯人は元職員と特定されており、被害女性の代理人に謝罪文を書いて、『自らの理性を抑えることが出来ず、衝動的な行動に至ってしまいました。私が、今回犯してしまった罪は、どのような理由があっても決して許されるものではありません』と認めていました。私は被害女性らに寄り添っていて、すぐにでも逮捕に至ると思っていました。それなのに22年1月、鹿児島県警はいったん告訴状の受け取りを拒否し、弁護士がねじ込んだ末、なんとか受理された。その過程で、この元職員の父親が鹿児島県警のOBであることが判明したんです。実際にOBの父親は、複数回警察署にまで行っている」

 その後も不可解なことが続いたと、中願寺氏が怒りを抑えられない表情で話す。

「事件は鹿児島西署の管轄なのに、鹿児島中央署に移されました。被害女性の事情聴取もなかなか行われず、22年11月と事件から1年以上も経過してからだった。警察が組織ぐるみで事件をなかったことにしようというたくらみが透けて見えました。県医師会も、『同意があったから事件ではない』と女性スタッフの訴えを踏みにじるような主張をはじめる。裏で鹿児島県警と連携しているようにみえた」

 2023年12月、鹿児島地検は元職員の不起訴処分を決定。現在、女性スタッフ側が検察審査会に申し立てをしているという。

 この事件について「ハンター」は、情報公開などによって資料を集め、鹿児島県警の身内をかばう捜査への批判を展開。その取材過程で、「告訴・告発事件処理簿一覧表」にたどり着いたという。

 中願寺氏はこう話す。

「まだ藤井さんの裁判が始まっていないので詳細は語れないが、私は鹿児島県警の心ある人が、ハンターを読み、強制性交事件について内部告発をしてくれたと思っています。鹿児島県警は私が藤井さんにカネでも払って情報を出させたのだろうという筋書きで捜査にきましたよ。『告訴・告発事件処理簿一覧表』は入手し、強制性交事件のことが詳しく書かれていたので、情報源や個人情報を特定されないように取材をしてハンターで報じました。警察の筋書きはまったくの的外れ」

 そして中願寺氏は、本田前部長の事件で小笠原氏に文書が送られたことについて、こう語る。

「小笠原さんはハンターで北海道警の批判などを真正面から書いていたので、それを見て信用できると、本田さんが送付したようだとの情報には接しています」


■「本来逮捕すべきは誰なのか

 本田前部長に「犯罪を隠蔽した」と名指しされた野川本部長は、6月7日に会見し、

「私が隠ぺいの意図を持って指示を行ったと言うことは一切ございませ

隠蔽を否定している。

 中願寺氏は言う。

鹿児島県警に正義はありませんまったく何も信用できません。犯人を隠蔽された被害者の女性スタッフは、今も心を病んで苦しんでいます。強制性交事件や警察官の犯罪を鹿児島県警が組織ぐるみで隠蔽せず、適正な捜査をしていれば、藤井さんも本田さんも内部告発に動く必要もなく、当然、逮捕なんてことはなかった。鹿児島県警は、メディアに情報を漏らしたといって身内を続けて逮捕していますが、本来逮捕すべきは誰なのか、よく考えてほしい

AERA dot.編集部・今西憲之


今西憲之 大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。
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●鹿児島県警、呆れた…《「再審や国賠請求等において、廃棄せずに保管していた捜査書類やその写しが組織的にプラスになることはありません!!」…》

2024年07月12日 00時00分05秒 | Weblog

[↑ 飯塚事件 冤罪で死刑執行「再審請求…08年死刑執行」(朝日新聞 2024年06月3日[月])]


(20240616[])
再審法の改正を
 いま何かと話題の鹿児島県警。かつて、鹿児島県警と言えば、原口アヤ子さんの大崎事件。そして、なんと言っても、志布志事件。体質は変わらない。

   『●『冤罪File(2009年12月号)』読了(1/2)
   『●GPJ「クジラ肉裁判」と検察審査会
   『●それは、職業裁判官の怠慢にすぎない
    「…など職業裁判官の怠慢の例は
     数え上げたらきりがありません。ましてや、福岡事件西武雄さん
     飯塚事件久間三千年さんといった無罪な人を死刑・私刑にして
     しまった可能性(控え目に表現しています)さえあります。村木厚子さん
     志布志事件の裁判結果などは極々稀な例です」

   『●『検察に、殺される』読了
    「『検察に、殺される』…。粟野仁雄著。…ガタガタの特捜。
     志布志事件…、氷見事件…。甲山事件…(松下竜一さん
     『記憶の闇』)。高知白バイ事件…。布川事件…。足利事件…。
     袴田事件…。村木厚子さん冤罪・証拠捏造事件…。」

   『●冤罪(その2/2): せめて補償を
    「飯塚事件久間三千年さんは、冤罪であるにもかかわらず、
     死刑を執行された。これは、被害者の遺族に対する、
     何と表現して良いのかわからないが……遺族の方たちも
     複雑な感情を抱いてしまうはずだ。/どんな背景や力学が
     働いたのかはそれぞれの事件によって異なるが、布川事件
     氷見事件東電OL殺害事件志布志事件村木厚子氏冤罪事件
     足利事件……、せめて賠償で報いる以外に方法が無いのではないか。
     しかし、その扉は当方もなく厚い。」

   『●「戦後70年 統一地方選/その無関心が戦争を招く」 
              『週刊金曜日』(2015年4月3日、1034号)
       「山口正紀さん【「可視化」口実の盗聴法大改悪 
        「刑事司法改革」法案】、「志布志事件の川畑幸夫さん
        …足利事件菅家利和さん…布川事件桜井昌司さん
        …冤罪被害者が声をそろえて「全面可視化を」と訴えた。
        …日弁連執行部の賛成で批判記事を書きにくいのかも
        しれないが、メディアは「冤罪をなくし、人権を守る」視点から、
        法案の危険性を是非伝えてほしい」。青木理さん「刑事司法改革
        …端緒は郵便不正事件・・・法務省に都合よく集約…
        日本の司法は中世なみ

   『●《黒田さんは「差別」と「戦争」を最も憎んだ。人々の幸福実現が
     新聞の最大の使命なら、それを最も阻害するのが差別と戦争だからだ》
    《…志布志事件の被害者川畑幸夫(さちお)さんの聞き書き
     「一歩も退(ひ)かんど」…》

   『●《冤罪事件というのは、最終的に再審などで無罪が証明されたと
     しても、その間に失われた時間は二度と取り戻せない。桜井昌司氏は…》
    《布川事件の再審無罪決定と相前後して、足利事件氷見事件
     志布志事件、そして村木厚子さんの郵便不正事件などで次々と
     衝撃的な冤罪が明らかになったことを受けて、公訴権を独占する
     上に、密室の取り調べが許される検察の暴走が冤罪を生んでいる
     との批判が巻き起こり、2009年に民主党政権下で刑事訴訟制度の
     改正論議が始まった。しかしその後、政権が自民党に戻る中、
     一連の制度改正論議の結果として行われた2016年の刑事訴訟法の
     改正では、むしろ検察の権限が大幅に拡大されるという
     信じられないような展開を見せている

   『●《首相の演説にやじを飛ばしただけで、警官に排除される時代…
                 こんな「表現の不自由」な社会を誰が望んだ》?
    「桐山桂一さんの仰る通り、《今日では既に、首相の演説にやじを
     飛ばしただけで、警官に排除される時代である。
     こんな表現の不自由な社会を誰が望んだであろうか》?」
    「《鹿児島県警から任意の「捜査関係事項照会」と呼ばれる依頼を受け、
     うち4図書館で利用者の個人情報が提供》…。
     《警察は政党の手先ではない訳がないし警察は正義の味方
     呼ぶこと》もできない…悲惨な社会。最「低」裁を頂点とした司法も、
     検察や警察も、いまやアベ様に忖度する時代。
     《岸の末裔が首相では日本に未来はない》。」

   『●大崎事件冤罪・原口アヤ子さん「あたいはやっちょらん」「やっちょ
      らんもんはやっちょらん」「ちゃんと認めてもらうまでは死ねない」
    「元鹿児島県警捜査員「適正捜査だった」「自白偏重はだめだと徹底的に
     言われた時代。決して自白の強制はなかった」…本当だろうか?
     原口アヤ子さん以外の3人 (一郎氏・二郎氏・太郎氏) が、
     無実なのに「自白」するだろうか? 志布志事件では何が起きたか?
     在りもしなかった事件を、鹿児島県警から
     「強制的に自白させられた」…。」

 東京新聞の【<社説>捜査書類の管理 冤罪招く「廃棄の助長」】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/333457?rct=editorial)。《鹿児島県警が昨年、捜査書類の速やかな廃棄を促す内部文書を捜査員らに配布していたことが明らかになった。後に訂正されたが、「即時廃棄されると再審請求などで被告に有利な証拠が失われる可能性があり、冤罪(えんざい)を招きかねない文書だった。同県警ではほかにも不祥事が続発しており、迷走する組織の立て直しが必要だ。文書は昨年10月、「刑事企画課だより」と題した公文書で、県警本部各部や各署を通じて、捜査員にメールで送られた。再審請求などで、警察にとって都合の悪い書類だったので(検察に)送致しなかったのではないか、と疑われかねないため、未送致書類であっても、不要な書類は適宜廃棄する必要があります」などと記載されていた。また、末尾では「再審や国賠請求等において、廃棄せずに保管していた捜査書類やその写しが組織的にプラスになることはありません!!と捜査員らに呼びかけていた》。

 (鈴木耕さん)《日本司法の異常さが世界からの批判の的になっているということを、国連ですら認めているのだ。よく言われるように「日本の常識は世界の非常識」の実例である》…それ故の犠牲者がまたしても。再審法改正も進まず。低「民度」なニッポンの《刑事司法はおそろしいほどに後進的代用監獄人質司法》…さらに、司法取引…。

   『●事件から五十七年。無実を訴え続けても、なぜこんなに歳月を費やしたのか。
     刑事訴訟法の再審規定(再審法)が大きな欠陥を抱えつつ放置されているからだ
   『●《冤罪を起こしてはならない。再審法の改正が待たれる。杉山さんや桜井
       さんらが残した人間の笑い泣き、そして袴田さんの思いを見逃すまい》
   『●再審法の改正を…桐山桂一さん《冤罪ほど人生や人権を踏みにじる不正義
     はない。…袴田巌さんの再審が決まった…大崎事件は…冤罪が疑われる》
   『●ニッポンの《刑事司法はおそろしいほどに後進的…代用監獄…人質司法》
       …《法曹三者が「冤罪を学び、冤罪から学ぶ」こと》が重要だが…
   『●人質司法…《保釈請求…東京地裁も却下。否認を貫く相嶋さんに妻が「うそ
     をついて自白して、拘置所から出よう」と頼んだが、首を縦に振らなかった》
   『●大川原化工機でっち上げ事件《勾留後に亡くなった1人》…《無罪主張
       するほど保釈されない「人質司法」》の問題点が最悪の形で顕在化
   『●《恣意的な捜査がえん罪を引き起こした》大川原化工機でっち上げ事件…
     《取調官は「知ったこっちゃないですよ。組織の方針に従うだけですよ」》
   『●大川原化工機でっち上げ事件《勾留後に亡くなった1人》…《無罪主張
       するほど保釈されない「人質司法」》の問題点が最悪の形で顕在化
   『●《恣意的な捜査がえん罪を引き起こした》大川原化工機でっち上げ事件…
     《取調官は「知ったこっちゃないですよ。組織の方針に従うだけですよ」》
   『●大川原化工機でっち上げ事件の国家賠償訴訟・東京高裁控訴審…《原告側
           は事件そのものを「捏造」》《社長らは「真相を明らかにする」》と

 これも、何度でも、書く。飯塚事件…既に死刑執行してしまった。山口正紀さんの記事《「飯塚事件」をご存知だろうか。1992年、福岡県飯塚市で起きた2女児殺害事件で逮捕され、無実を訴えていた久間三千年(くま・みちとし)さんが死刑判決を受け、2008年に死刑が執行された(当時70歳)。…オンライン集会は、この第2次再審請求の意義・内容を報告し、支援の輪を広げていこうと企画され、飯塚事件再審の実現に向けて尽力してきた九州大学の大出良知・名誉教授、再審法改正をめざす市民の会木谷明代表(元裁判官)、布川事件の冤罪被害者・桜井昌司さんら幅広い支援者たちの呼びかけで開催された。…布川事件冤罪被害者桜井昌司さん…「こんなことを優秀な裁判官がなぜわからないのか日本の警察はこれまでも証拠を捏造してきました。そうして、どれだけの人が刑務所に入れられ、殺されてきたか。すべてが無責任です。冤罪事件で国家賠償しても、だれも懐が痛まない。そのお金も税金です。足利事件、布川事件、ゴビンダさんの事件東電事件)、東住吉事件だれもその責任を追及しない。再審法を改正しないといけない。税金で集めた証拠を法廷に出すのは当たり前じゃないですか。久間さんの無念は必ず果たせると確信しています。必ず勝ちます。一緒にがんばりましょう。無惨に殺された人の無念を晴らす殺したのは誰か検察庁です」》。

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https://www.tokyo-np.co.jp/article/333457?rct=editorial

<社説>捜査書類の管理 冤罪招く「廃棄の助長」
2024年6月14日 07時48分

 鹿児島県警が昨年、捜査書類の速やかな廃棄を促す内部文書を捜査員らに配布していたことが明らかになった。後に訂正されたが、「即時廃棄されると再審請求などで被告に有利な証拠が失われる可能性があり、冤罪(えんざい)を招きかねない文書だった。同県警ではほかにも不祥事が続発しており、迷走する組織の立て直しが必要だ。

 文書は昨年10月、「刑事企画課だより」と題した公文書で、県警本部各部や各署を通じて、捜査員にメールで送られた。

 再審請求などで、警察にとって都合の悪い書類だったので(検察に)送致しなかったのではないか、と疑われかねないため、未送致書類であっても、不要な書類は適宜廃棄する必要があります」などと記載されていた。また、末尾では「再審や国賠請求等において、廃棄せずに保管していた捜査書類やその写しが組織的にプラスになることはありません!!と捜査員らに呼びかけていた

 この文書が一部、ネットに流出して県警内部でも問題視され、11月に「国賠請求や再審請求への対応に必要な文書は廃棄せずに保管管理する必要がある」といった内容に改められた。県警はこうした経緯を公表していなかったが、最近、報道で明らかになった。

 刑事裁判で検察側は、自らに有利な証拠だけを法廷に提出して有罪を立証するケースが大半だ被告に有利な証拠は、検察は基本的に開示せず、そもそもそうした証拠は警察から検察に送られずに眠っていることも少なくない

 名張毒ぶどう酒事件(第11次再審請求を準備中)の鈴木泉弁護団長は「警察当局が組織的に証拠を廃棄させようとするのは、『全ての証拠開示』を求める私たちにとって、無罪立証の機会を奪う行為ではないか」と憤る。

 鹿児島県警では最近、捜査情報を流出させた疑いで巡査長、続いて同様事案で前生活安全部長が逮捕されている。さらに、この前部長が裁判手続きの中で、その後、盗撮容疑で逮捕された巡査部長の捜査中に、「(その事案を)県警本部長が隠蔽(いんぺい)しようとした」と告発。本部長は否定したが、警察庁が監察を行う方針を示している。

 警察組織にあるまじき組織の混乱だ。文書廃棄を求める文書がどんな指示に基づいて出されたのかも含め、徹底した監察で背景を洗い出さなければならない。
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●「2大ファシスト」「独裁者」のための憲法違反の「ト」な「デモ封じ条例」=東京都迷惑防止条例壊悪案

2018年04月07日 00時00分33秒 | Weblog

[※ 東京「ト」迷惑防止条例壊悪案 (『サンデーモーニング』2018年3月25日)↑]



日刊ゲンダイの記事【都議会で可決の“デモ封じ条例” 「憲法違反」と学者が批判】(https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/225674)。
リテラの記事【官邸前で「安倍は嘘つき」と声をあげたら逮捕? 東京都でデモや直撃取材を取り締まれる恐ろしい条例が成立寸前!】(http://lite-ra.com/2018/03/post-3899.html)。

 《たった1時間の審議で小池都知事がスピード成立をもくろむ「デモ封じ条例」こと、都迷惑防止条例の改悪。22日、都議会の警察・消防委員会で、11対1の大差で可決された。都民ファースト(都F)や公明、自民など大半が賛成し、反対は共産だけ。小池知事は29日の本会議で一気に成立させるつもりだが…この条例案は明らかに憲法違反だ…抜き打ち立法や憲法無視は安倍首相と同じ独裁者の常套手段だ。本会議採決は何が何でも阻止しないとダメだ》。
 《それに隠れるかのようにひっそりと、恐ろしい条例案が成立しようとしている。「東京都迷惑防止条例改正案」》。


 水質汚濁防止法の一律排水基準に対する〝上乗せ基準〟をトファ・キトが悪用か? 《法律よりも厳しい環境基準など、特例的に規制の“上乗せ”を容認》。あくまでも「一律排水基準」より《厳しい》ものであるが、それを憲法違反の「ト」な「デモ封じ条例」へと《厳しい》ものへと壊悪。《憲法で保障された市民のデモや抗議活動、ジャーナリストによる取材を取り締まることが可能になる、共謀罪にも通じる弾圧・ファシズム条例案》。

   『●金子修介監督ショートムービー『希望の党☆』(2005年)…
                 「…を日本の政界が後追いしているみたい」

 『サンデーモーニング』(2018年3月25日)にて青木理さんは、東京都迷惑条例について。「名誉を害することを告げる」「監視していると告げる」「みだりにうろつく」…デモ集会ビラが抵触したり、取材を規制することに、なると。既に3月22日に委員会可決。3月29日本会議で採決。
 採決の結果は、言うまでも無く、可決。東京新聞の記事【改正迷惑防止条例が成立 都議会 市民活動萎縮の恐れも】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201803/CK2018033002000150.html)によると、《2018年3月30日 朝刊…東京都議会は二十九日、本会議を開き、つきまとい行為や盗撮の規制を強化する都迷惑防止条例改正案を、共産などを除く賛成多数で可決した。施行は七月一日。恨みやねたみなど悪意の感情に基づくつきまといの禁止行為を四種類から七種類に拡大する。罰則は一年以下の懲役か百万円以下の罰金に強化する…条例に対し、弁護士らでつくる自由人権協会は、恋愛感情による嫌がらせ行為を取り締まるストーカー規制法と異なり、悪意の感情は定義が曖昧なため、「乱用の危険が大きい」と指摘。市民活動や報道を萎縮させる恐れがあるとして、反対声明を出している》。

 この「数多」のアベ様御夫妻案件のドサクサに紛れて、一体、トファキトは何を考えてるのか…。《「乱用の危険が大きい」…市民活動や報道を萎縮させる》ことで、一体どんな「ト」政を目指しているのだろう。似た者同士、似た体質のアベ様の「政」を支援するつもりだろうか? 《抜き打ち立法や憲法無視は安倍首相と同じ独裁者の常套手段だ》《事実上、小池都知事と安倍首相という“2大ファシスト”がタッグを組み、市民を上から押さえつけようというのだ》…怖い世の中になったものだ。

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https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/225674

都議会で可決の“デモ封じ条例” 「憲法違反」と学者が批判
2018年3月23日

     (デモがヤバいぞ(C)日刊ゲンダイ)

 たった1時間の審議で小池都知事がスピード成立をもくろむ「デモ封じ条例」こと、都迷惑防止条例の改悪。22日、都議会の警察・消防委員会で、11対1の大差で可決された。

 都民ファースト(都F)や公明、自民など大半が賛成し、反対は共産だけ。小池知事は29日の本会議で一気に成立させるつもりだが、日刊ゲンダイが再三、指摘している通り、この条例案は明らかに憲法違反だ

 この条例案でハッキリ違憲と断言できるのが名誉毀損の規制強化だ。名誉毀損規制を見ると、刑法の要件が大幅に緩和されている。現行の刑法は公然と人の社会的評価を低下させることに限定されており、被害者の告訴も必要。しかし、条例案はこれらの要件がすべて削除されていて、主観的な感情でも、捜査機関の腹ひとつで取り締まりが可能になるのだ。

 確かに憲法94条は地方公共団体が「法律の範囲内で条例を制定することができる」と規定している。法律よりも厳しい環境基準など、特例的に規制の上乗せを容認しているのがその例だ。これを理由に警視庁の市村諭生活安全部長は委員会審議で「刑法が容認している」と説明していたが、冗談ではない。


■3・29本会議の安易な賛成は許されない

 この条例が成立すれば、抗議デモや市民のオンブズマン活動、記者の取材が大幅に制約される可能性が高くなる。都議会でこの点を問われた小池知事は基本的には乱用されないシレッとしていたが、何ら乱用防止策はないのだから信じられるはずがない。立正大の金子勝名誉教授(憲法学)が言う。

   「名誉を害することは許されることではありませんが、名誉というのは広い概念。
    捜査当局が何でも取り締まれることになり、表現・言論の自由を
    侵害しかねない。そのため刑法は、被害者の告訴を必要とした上、
    社会的評価に限定したのです。これが名誉毀損罪の肝です。
    その要件を削除するなどとんでもない。都条例の名誉毀損規制は
    明らかに憲法94条違反です」

 憲法学者からも批判の声が続出しているにもかかわらず、小池チルドレンの都議会最大会派「都F」の増子博樹幹事長は日刊ゲンダイの取材に、「本会議でも会派全員で賛成する」と言うからアングリだ。抜き打ち立法や憲法無視は安倍首相と同じ独裁者の常套手段だ。本会議採決は何が何でも阻止しないとダメだ。
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http://lite-ra.com/2018/03/post-3899.html

官邸前で「安倍は嘘つき」と声をあげたら逮捕? 東京都でデモや直撃取材を取り締まれる恐ろしい条例が成立寸前!
2018.03.24

     (小池ゆりこオフィシャルサイトより)

 森友文書改ざん問題が世間を大きく揺るがしているが、それに隠れるかのようにひっそりと、恐ろしい条例案が成立しようとしている。「東京都迷惑防止条例改正案」だ。

 この条例案の何が恐ろしいかといえば、憲法で保障された市民のデモや抗議活動、ジャーナリストによる取材を取り締まることが可能になる、共謀罪にも通じる弾圧・ファシズム条例案だからだ。

 しかも、一昨日22日、東京都議会の警察・消防委員会でこの「迷惑防止条例改正案」が、共産党をのぞく都民ファーストの会、自民、公明、民進・立憲民主党などのすべての会派による賛成多数で可決。29日に本会議で採決がおこなわれる予定で、ここで可決・成立すれば、今年7月には施行されてしまうのである。

 この迷惑防止条例改正案のどこが危険なのか。そもそも、この改正案は警視庁が定例議会に提出したもので、警視庁は改正について「盗撮を取り締まるため規制対象の場所を拡大」と、ストーカー規制法を補うために「SNS利用者の増加に伴って新たなつきまとい行為に対応するべく行為類型を追加」するものだと説明している。

 問題は、このつきまとい行為の類型に追加されるものだ。以下に挙げよう。

   「みだりにうろつくこと」
   「監視していると告げること」
   「電子メール(SNS 含む)を送信すること」
   「名誉を害する事項を告げること」
   「性的羞恥心を害する事項を告げること」

 これらの行為自体はすでに改正ストーカー規制法によって規制対象となっている。しかも、同法では規制対象は「特定の者に対する恋愛感情その他好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的」、すなわち「恋愛感情」を理由にした行為であることと規定されている。これはストーカー行為の大半が恋愛感情をもとにして引き起こされているからだ。

 しかし、現行の迷惑防止条例の規制対象は、「正当な理由なく、専ら、特定の者に対するねたみ、恨みその他の悪意の感情を充足する目的」となっている。ストーカー規制法にくらべて対象が広範囲に及ぶのだ。その上、罰則のほうも改正によって「6カ月以下の懲役または50万円以下の罰金」から「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」へと大幅に引き上げられる。

 つまり、この条例改正案が成立・施行されれば、国会前や官邸前などで安倍は嘘つき」「アホ首相はさっさと辞めろと抗議したり、SNS上で発信することあるいは都庁前で小池百合子はファシストと叫ぶことさらには労働者が会社の前でブラック企業だと抗議したりビラを配布することなども、すべて「名誉を害する事項を告げること」だとされ、条例違反として逮捕される可能性があるのだ。

 さらに、ジャーナリストが取材のために会社や自宅周辺で聞き込みをしたり、張り込むこともみだりにうろつくとみなされる可能性もあるし、写真を撮ったり、当事者に直撃することも監視していると告げるに該当しているとして検挙されることも考えられる。


小池百合子都知事は乱用の危険性を問われ、「“基本的に”ない」と

 こうした市民による正当な抗議活動やジャーナリストの取材活動は、当然、言論・表現の自由、報道の自由、国民の知る権利といったように憲法によって保障されている。今回の都の迷惑防止条例改正案は憲法に違反する疑いさえあるのだ。

 しかも、もっとも危険極まりないのは、被害者ではなく警察官の判断によって逮捕・告訴ができるという点。警察官が安倍は嘘つき」「安倍は辞めろという抗議を悪意の感情と判断すれば、逮捕できてしまうのである。定義の曖昧さをもって乱用される危険はかなり高いと言えるだろう。

 実際、迷惑防止条例の「つきまとい行為にかんする規制」は、2002年にも警視庁が都議会定例会に提出していたが、〈規制対象の広範性から憲法が保障する人権侵害であるとの世論の力によって削除され、実質廃案〉となった経緯がある(自由法曹団東京支部「東京都迷惑防止条例改正に反対する意見書」より)。にもかかわらず、そうした世論の危惧はまったく反映されないまま、唐突に都議会にあげられ、いままさに可決寸前のところまでトントン拍子で進んでしまったのだ。

 16日におこなわれた定例記者会見で小池百合子都知事は、乱用の危険性を記者から問われた際、「基本的にはない」と回答した。成立前から基本的には」と言っていることからしても、小池都知事の狙いは明白だ

 だいたい、この条例改正案でもっとも利するのは安倍政権であることは間違いない。連日、官邸前では、文書改ざんや森友問題に対する抗議活動が高まっているが、一方で警察による過剰警備はますますひどくなっている。もし条例改正案が施行されれば、「逮捕されるかも」という不安から足が遠のく人が出てくるだけではなく、不当な逮捕が続出する可能性まである。事実上、小池都知事と安倍首相という“2大ファシストがタッグを組み、市民を上から押さえつけようというのだ

 先述したように、この危険な改正案は29日に本会議で採決がおこなわれる。東京がこうした改正案を成立させれば、その動きが地方に広がることも大いに考えられる。言論に対する弾圧が平気でおこなわれる社会への、その瀬戸際に立っているのだ。

 都庁前では危機意識をもった市民たちが抗議の声をあげている。まだ、やれることはある。都議会第一党である都民ファーストをはじめ、賛成に回っている共産党以外の会派への抗議、メディアへの働きかけなどを含めて29日までに世論を高め、なんとしても廃案に追い込む必要がある。

(編集部)
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