【サケ漁をするアイヌ民族の畠山敏さん… (東京新聞2019年9月2日)↑】/
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(2024年06月09日[日])
今も一貫してヘイトをまき散らすカルト協会とヅボヅボな「利権」「裏金」「脱税」党の議員が国会に居る始末なニッポン。斎藤美奈子さん《かつてのアイヌ民族差別は主として無知から来る偏見によるものだった。しかし『否定論に抗する』でも述べられていたように、現在のそれは「加害の歴史を認めない」という点で、限りなく歴史修正主義に近い》。
『●杉田水脈氏をヅボヅボ《党や政権内に厳しく責任を問う様子も見られない》
…自民党やキシダメ首相・自民党総裁の人権感覚は彼女と同じだから』
『●杉田水脈氏は《啓発》されず…《この発言をゆるし公認を出し続けている
自民党自体が差別的であることに気づいていないのならば、既にそれは同罪》』
『●「公金チューチュー」という揶揄がブーメラン…【杉田水脈氏側への
「キックバック」は872万円 安倍派が政治資金収支報告書を訂正】』
『●「裏金」「脱税」党の杉田水脈議員…《スナックやキャンプ場で政治
活動?》《会合費…政治活動として会合…しかしスナック? バーベキュー?》』
webちくまのコラム【斎藤美奈子 世の中ラボ/【第168回】アイヌ民族差別の背景には何がある?】(https://www.webchikuma.jp/articles/-/3507)。《自民党・杉田水脈衆院議員の差別発言が止まらない。「LGBTは生産性がない」(2018年)とか、「女性はいくらでもウソをつける」(20年)とか、彼女はもともと全方位的に差別発言を撒き散らす人ではある。が、最近目立つのはアイヌ差別だ。度重なる差別発言で総務政務官は辞任したものの(22年12月)、23年にはアイヌ文化振興事業に公金不正流用疑惑があるとし、関係者を「公金チューチュー」と揶揄。》
『●『ドキュメント 憲法を獲得する人々』読了(4/4)』
「【田中伸尚著、『ドキュメント 憲法を獲得する人々』
その他、「「神主の娘」の意見陳述」の木村さん、
「揺れる心で「アイヌ宣言」」の多原さん、
「在日だけど、日本社会の一員だから」の徐さん、
「沖縄に基地があるかぎり」の中村さん」
『●「「希望はTPP。」なのか」
『週刊金曜日』(2013年4月12日、939号)』
「平田剛士氏【アイヌ人骨〝発掘〟研究の実態は依然不明
北大のずさんな管理が発覚】……」
『●「安倍首相の暴走と「妄想」」
『週刊金曜日』(2014年2月7日号、978号)について』
「平田剛士氏【いまだ返還されず 全国12大学にアイヌ遺骨1636体!】、
「遺骨を返還すれば大学自体も癒される。アイヌも力を得て、
誇りを取り戻せるはず……より人間的な大学に変わるための
チャンスととらえることもできる」」
『●【<金口木舌>二風谷判決と沖縄】:
「わが国の統治が及ぶ前から北海道に住み…先住民族に該当する」』
《「わが国の統治が及ぶ前から北海道に住み、独自の文化を保っており、
先住民族に該当する」。1997年3月、札幌地裁で言い渡された判決に
原告のアイヌ民族の人々は驚き、涙を流した ▼司法の場で初めてアイヌを
先住民族と認めた、二風谷(にぶたに)ダム建設を巡る訴訟の判決だ…
▼しかし政府は沖縄の人々の権利保護を求めた国連自由権規約委員会の
勧告を無視》
『●《アイヌ民族…サケの捕獲は認められた先住権…
儀式用のサケ十数匹を捕獲…サケ漁をするかどうかは自己決定権だ》』
《畠山敏さん(77)が、サケの捕獲は認められた先住権だとして、
道の許可を得ずに儀式用のサケ十数匹を捕獲した。道職員が制止する
場面もあったが、畠山さんは「サケ漁をするかどうかは自己決定権だ」
として決行した。》
『●【<金口木舌>サケ漁は自己決定権】…《アイヌ民族は
先住民族と認められたが、権利回復の闘いは沖縄同様、道半ば》』
《▼アイヌ民族は先住民族と認められたが、権利回復の闘いは
沖縄同様、道半ばだ。「アイヌモシリ(北海道)に土足で
上がり込んできた和人には左右されない」と訴える畠山さんの
言葉は重くて深い》
『●《「アイヌの伝統」…捨て身ともいえる畠山さんの行動が
先住民族とは何かを問いかける》…そして、「言葉」を殺すな!』
『●「国が象徴空間に集約することに我慢がならない。
先祖の遺骨をコタンに返してほしい」』
『●琉球遺骨返還請求訴訟《旧京都帝国大…の人類学者が今帰仁村の
百按司墓から持ち出した遺骨を京大が占有》は違法…京都地裁が請求を棄却』
『●琉球遺骨返還請求訴訟《沖縄アイデンティティーのよりどころである
遺骨を本来あるべき場所に-という原告の訴えが…入り口論》で棄却』
『●《柔らかな響きと独特の語感が特徴のアイヌ語は、消滅の危機にある
とされています》…萱野茂さんは「言葉は民族の証」と訴えてきた』
『●【<金口木舌>差別を乗り越える】…《アイヌ民族…差別を乗り越え固有
の歴史、文化を守るすべを模索する状況は沖縄にも通じている》(1/2)』
『●【<金口木舌>差別を乗り越える】…《アイヌ民族…差別を乗り越え固有
の歴史、文化を守るすべを模索する状況は沖縄にも通じている》(2/2)』
『●東京新聞【アイヌ実名中傷動画を拡散 自民・杉田水脈氏、民族差別
助長】《差別的言動を繰り返す…さらなるレイシズム助長》する醜悪さ』
『●森達也監督《特に不安や恐怖を感じた時、異質なものを見つけて排除しよ
うとする…この場合、髪や肌の色、国籍、民族、信仰、そして言葉。》』
「大谷昭宏さん《森監督は…「…そして言葉。何でもいい」と言う。
翻って現代の社会。チマ・チョゴリに、アイヌの民族衣装、
身なりで人をあげつらう女性議員がいる。「朝鮮人虐殺の記録は
政府内には存在しない」と言い張る官房長官がいる。虐殺された
朝鮮人の慰霊式に長年送ってきた追悼文を「史実は歴史家の判断に
まかせるべき」と言って、突如、取りやめた都知事がいる。
100年、何も学ばなかった人がいる。100年、何かを学ぼうとさえ
しなかった人がいる-。》」
『●杉田水脈氏をヅボヅボ《党や政権内に厳しく責任を問う様子も見られない》
…自民党やキシダメ首相・自民党総裁の人権感覚は彼女と同じだから』
『●杉田水脈氏は《啓発》されず…《この発言をゆるし公認を出し続けている
自民党自体が差別的であることに気づいていないのならば、既にそれは同罪》』
『●東京新聞木原育子記者【こちら特報部/「盗ったものは謝って返して」
アイヌ民族が求める遺骨返還 「慰霊施設」に集めて移管じゃ浮かばれない】』
『●少なくとも2016年の国連女性差別撤廃委員会の参加者へのヘイト発言以来、
今も一貫してヘイトをまき散らす国会議員をヅボヅボ脱税党は許し、公認』
『●アイヌの人々は何を求めているか? アイヌ民族の遺骨の盗掘、墓荒
らし…倫理観無き情けない研究者・学会、《過去の盗掘の「謝罪」》無し』
『●《アイヌ民族からは、相次ぐ差別発言への罰則規定の導入など法改正を求め
る声が強い…先住民族に関して、この国の無関心の根本原因は何なのか》』
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【https://www.webchikuma.jp/articles/-/3507】
世の中ラボ
斎藤美奈子
【第168回】
アイヌ民族差別の背景には何がある?
斎藤美奈子
自民党・杉田水脈衆院議員の差別発言が止まらない。「LGBTは生産性がない」(2018年)とか、「女性はいくらでもウソをつける」(20年)とか、彼女はもともと全方位的に差別発言を撒き散らす人ではある。が、最近目立つのはアイヌ差別だ。
度重なる差別発言で総務政務官は辞任したものの(22年12月)、23年にはアイヌ文化振興事業に公金不正流用疑惑があるとし、関係者を「公金チューチュー」と揶揄。同年、札幌法務局と大阪法務局が彼女のブログやツイートに人権侵犯があると認定したのは、16年の国連女性差別撤廃委員会について「チマ・チョゴリやアイヌの民族衣装のコスプレおばさんまで登場。完全に品格に問題があります」などと書いたのが原因だった。それでも懲りず、24年3月にはアイヌ女性団体の活動にふれ「日本に存在しない差別を話す人たち」とXに投稿。またかと思わせた。
ヘイト業界(とあえていうが)にもトレンドがあって、たとえば90年代の主なヘイトの対象は歴史教科書とセットになった元慰安婦だった。2000年代初頭にはジェンダーフリー教育が攻撃の的となり、2010年代には在特会を中心に在日コリアンに対するヘイトデモが吹き荒れた。その伝でいくと10年代後半〜20年代に台頭してきたのがアイヌ民族差別で、杉田水脈もその波に乗っているように思われる。背景には何があったのだろうか。
■アイヌ民族をめぐる政策の進展と差別
まず近年の動向についてまとめておこう。
2000年代後半以降、アイヌ民族をめぐる状況は大きく前進した。国連が「先住民族の権利に関する国連宣言」を採択したのが07年。翌08年には国内でも「アイヌ民族を先住民族とすることを求める決議」が国会で可決され、10年には官房長官を座長とするアイヌ政策推進会議が発足。さらに19年、それまでの「アイヌ文化振興法」(1997年制定)が廃止されて「アイヌ施策推進法(アイヌ新法)」が公布され、ここにはアイヌ民族が日本の先住民であることが明記された。また20年には北海道白老町に日本初の国立アイヌ民族博物館「ウポポイ」がオープンした。いずれも多様性を尊重する国際的な動きに沿った動きである。
アイヌ新法にも先住権が明記されていないなどの問題点があるとはいえ、「日本は単一民族国家」と流布されていた20世紀に比べたら、隔世の感がある。実際、アニメ化&実写映画化された野田サトルのマンガ『ゴールデンカムイ』のヒットなどもあり、アイヌ文化に対する関心はここ数年、急激に高まっている。
しかし進展があれば、その反動めいた動きも起きる。日本テレビの朝の情報番組が差別的な表現を用い、BPOの指摘を受けて謝罪に追い込まれたのは21年だった。それ以前でいうと、札幌市議(当時)・金子快之のツイートが特筆される(14年)。彼はそこで「アイヌ民族なんて、いまはもういないんですよね。せいぜいアイヌ系日本人が良いところですが、利権を行使しまくっているこの不合理。納税者に説明できません」と書いて自民党札幌議連を除名になり、札幌市議会から辞職勧告を出されている。
この発言のどこが問題かは、岡和田晃+マーク・ウィンチェスター編『アイヌ民族否定論に抗する』に詳しい。巻頭の対談で編者の二人は次のように述べている。〈アイヌ民族否定論がかつての差別と違うのは、それはアイヌを貶めるための意図的なネガティヴ・キャンペーンだという点です〉(マーク)。〈アイヌに投げかけられているヘイトスピーチは、インターネット上に氾濫する生活保護や在日コリアンに対する罵詈雑言、民族浄化(エスニック・クレンジング)を謳う文句と、まったく同じ類のものです〉(岡和田)。〈アイヌ民族否定論はいま「アイヌ利権」なるものへの批判とセットで出てきています〉(マーク)。金子の発言はまさにこれだ。
『否定論に抗する』が出版されたのは約10年前(15年)である。その後ヘイトスピーチ解消法なども施行され(16年)、状況は改善されたのではないか……と思われそうだが、杉田水脈の例を見れば改善などしていないことがわかる。では杉田や金子ら差別主義者が依拠する主張とはどのようなものだろうか。
それを理解するには、先住民の側から見た北海道の歴史について若干知っておく必要がある。旧石器時代→縄文時代→弥生時代……と続く本州以南の歴史に対し、北海道先住民の歴史は弥生以降が大きく異なる。稲作ができなかった北海道ではその後も縄文文化が続き(続縄文文化)、本州の影響を受けた擦文文化と北方民族に由来するオホーツク文化の混在期を経て、アイヌ文化が成立したのが中世の13世紀(日本史的にいえば鎌倉時代)。松前藩との交易や戦いが行われた近世(江戸時代)を経て明治を迎え、明治政府の同化政策(土地の収奪、強制移住、生業〔狩猟や漁労〕の剥奪、日本語や日本式の名前の強制など)が始まった。
で、今日のアイヌ民族否定論。これが広まった際には、小林よしのり『わしズム』(08年11月、28号)の特集「日本国民としてのアイヌ」がインフルエンサーとして作用したようだが、それ以前から今日まで一貫してアイヌ否定論の本を出し続けているのが旭川の医師である的場光昭だ。彼の著書(『改訂増補版 アイヌ先住民族、その不都合な真実20』『アイヌ副読本『アイヌ民族:歴史と現在』を斬る』『捏造と反日の館“ウポポイ”を斬る』など)を参考に彼らの主な主張を整理すると、およそ次のようになろう。
➀アイヌ民族は北海道の先住民ではない。
『日本書紀』などの文献によれば七世紀以前から和人はこの地に住んでおり、アイヌの神話にも習俗にも考古学的な出土品にもアイヌ文化には日本文化の影響が強くうかがえる。アイヌ民族は13世紀に北方から移動してきたにすぎず、北海道の先住民は和人だ。
➁同化政策は近代化政策だった。
北海道旧土人保護法(1899年)は差別ではなく保護を目的にしており、アイヌ自身もそれを望んでいた。
➂同化や混血が進んだ今日ではアイヌ民族は存在しない。
➃したがってアイヌ差別も存在しない。
➄アイヌ利権で彼らは公金を不当に得ている。
一応反論しておけば、①は先住民の認識が誤っている。国連宣言に先住民の定義はないものの、89年のILO一六九号条約(原住民及び種族民条約)は「独立国における人民で、征服、植民又は現在の国境の確立の時に当該国又は当該国が地理的に属する地域に居住していた住民の子孫であるため原住民とみなされ、かつ、法律上の地位のいかんを問わず、自己の社会的、経済的、文化的及び政治的制度の一部又は全部を保持しているもの」と定義している。先住民(原住民と意味は同じ)とは古代に誰か先に住んでいたかではなく、征服、植民地化、国境の確定といった近代国家の確立時に居住していた人々(とその子孫)を指しているのだ。
さらにいえば、②は植民地支配を正当化する際の常套句。③④はマジョリティの側からの認識にすぎず、⑤はアイヌ新法に基づく文化事業への交付金や生活向上支援(住宅支援や教育支援など)を指すと考えられるが、これは格差是正のための施策で「在日特権」と同質の言いがかりだ。ただ、③④については少し補足が必要だろう。
■いないのではない、言い出しにくいのだ
北原モコットゥナシ『アイヌもやもや』には「見えない化されている「わたしたち」と、そこにふれてはいけない気がしてしまう「わたしたち」の。」という長い副題がついている。
ネット上では〈ずっと北海道に住んでいるがアイヌに会ったことがない〉といったコメントを見るが、彼らも周囲の人に「あなたはアイヌか」と質問したことはないはずだ、と著者はいう。性的マイノリティなどと同じで、いないのではない、〈言いだしにくいんです〉。〈母と同年代やもう少し若い人々でも、配偶者にさえ出自のことをかたくなに伏せて暮らしていることが珍しくありません〉という現実がそこには横たわっている。
〈「アイヌはもういない」というような存在否定論は、本来ならとても難しい条件を相手に課して、その条件が満たされなければ「存在しない」と断定するものです〉。
先住民族も現代人である以上、現代的な生活を営んでいるのは当然で、アイヌ文化の純粋性が失われたとか混血が進んだとかが「アイヌは存在しない」理由にはならない。加えて〈現代でもアイヌと和民族には歴然とした経済格差がある〉こと、〈それは制度的・文化的差別によって引き起こされたもの〉であること。現在でも直接的差別によって進学を断念したり、外見を揶揄されたりすることなどを加えれば、差別はないとは断じていえまい。
かつてのアイヌ民族差別は主として無知から来る偏見によるものだった。しかし『否定論に抗する』でも述べられていたように、現在のそれは「加害の歴史を認めない」という点で、限りなく歴史修正主義に近い。事実〈アイヌ先住民族運動は国内の左翼反日勢力はもとより、国内在住外国人反日勢力に利用されている〉(『不都合な真実20』)という的場光昭の言説には、慰安婦問題などと共通したステレオタイプな思考法が見える。
概してその分野での進展があった直後にヘイトは増加する。とはいえヘイトスピーカーは無知につけ込む。以前、日本ハムファイターズが千歳空港に「北海道は開拓者の大地だ」という広告を出し、抗議を受けて撤去騒ぎになったことがある(15年)。コロンブスとアメリカ先住民の関係を思い出せばわかるだろう。開拓者(和人)の側から土地や歴史を見る習慣に、すでに無知と偏見が潜んでいるのだ。アイヌ民族差別は北海道だけの問題じゃないのである。
【この記事で紹介された本】
『アイヌ民族否定論に抗する』
岡和田晃、マーク・ウィンチェスター編、河出書房新社、2015年、2090円(税込)
〈札幌市議の「アイヌ民族、いまはもういない」発言。ネット上にあふれ、街頭にも飛び出したアイヌへのヘイトスピーチ。これらに多様な論者が「NO」を突きつける初めての一冊。緊急刊行!〉(帯より)。作家や研究者など24人による論考集。杉田水脈アイヌ差別発言の源流がどこにあるかがわかる本。10年前の刊行にもかかわらず、今も十分通用するのが逆に恐ろしい。
『改訂増補版 アイヌ先住民族、その不都合な真実20』
的場光昭、展転社、2014年、1980円(税込)
〈アイヌ系日本人を「先住民族」とするアイヌ新法案に疑義!〉(帯より)。アイヌ関係の著書を量産している著者(1954年生まれ。旭川ペインクリニック病院理事長)によるアイヌ先住民説否定論。よく調べているのは事実だが、アイヌ民族は野蛮だったという明治以来のアイヌ像を何の疑問もなく踏襲しており、偏見を助長する恐れ大。ただし編集が悪く、これ一冊で主張の全貌をつかむのは難しい。
『アイヌもやもや』
北原モコットゥナシ、303BOOKS、2023年、1760円(税込)
〈「アイヌに会ったことがない」、それって本当ですか?〉(帯より)。自身もアイヌにルーツを持つ著者(1976年生まれ。北海道大学アイヌ・先住民研究センター教授)の文章と、やはりアイヌにルーツを持つ東京の高校生を主役にした漫画で構成。無知と無関心が当事者にもたらす影響、差別のステレオタイプなど、根本的な問いにも踏み込んでおり、平易な語り口だが読みごたえは十分。
PR誌ちくま2024年5月号
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[※ 三上智恵監督『標的の島 風かたか』公式ページ(http://hyotekinoshima.com)より↑]
マガジン9の鈴木耕さんのコラム【風塵だより 鈴木耕/115 強権政治の黒いさざ波…】(http://www.magazine9.jp/article/hu-jin/33148/)。
《国民はみんな忘れているかもしれないが、日本では現在も「原子力緊急事態宣言」は解除されていないのだ。福島原発事故は、いまもなお続いているということだ。「原子力緊急事態」下にあるのに、原発を再稼働しようなどとは、泉田さんだけではなく、ぼくにだって狂気の沙汰に見えるのだが、政府も電力各社もそうは考えないらしい。哀しいほど異常な国だと思う…いまのこの国で何が問題なのかが仄見えてくるだろう。そう、中央政府と地方自治との、抜き差しならぬせめぎ合いだ》。
《官邸の発する強権政治の荒波は、いまや地方へ同心円を描きながら波及し始めている。それは、逆らうものは容赦なく潰すという「脅し」のさざ波となって、全国を覆う》。
《首相官邸の極右路線がそのまま地方に波及…》。
『●斎藤貴男さん「人権を否定することに喜びを感じている
変質者集団」…「人権の砦」のはずが最「低」裁…』
《民主主義と地方自治を踏みにじるなら、司法の正義は失墜する》
『●最「低」裁による辺野古破壊訴訟のデタラメ:
「国と地方は対等という地方自治の精神を踏みにじる判断」』
『●「基地の偏在を沖縄が訴えても「裁判所はほとんど答えない」」
…「政治判断」しかできない司法の悲劇』
《衆院憲法審査会は二十日、「国と地方の在り方」をテーマに学識者を
招いて参考人質疑を行った。国民主権や地方自治を憲法でどう実現
するかという議論の中で、四人の参考人全員が、沖縄県に米軍基地
負担が集中し、政府と対立する現状を問題視。それぞれ異なる道筋を
示しながら、沖縄の自治権強化を求めた》
デンデン王国「裸の王様」アベ様の人治主義国家になって久しい。法治主義国家でもなく、民主主義国家でもない。アベ様のあらゆる「政」の酷さは目もあてられない。《民主主義と地方自治を踏みにじる》アベ様の「政」の典型例は、沖縄破壊。プレ「平成の治安維持法」など、やりたい放題。それでも、内閣支持率は高く、壊憲のためなら何でもやることを宣言しても、何も起きないニッポン。(岸井成格さん、『サンデーモーニング』2017年5月7日)「どんどん好機到来…危機を煽れば何でもできる」、とデンデン王国「裸の王様」は思っているらしいのですが、それでもアベ様を崇拝し続ける与党・自公や「癒」党・お維支持者たちのオメデタサ。もう、ウンザリ。《かくして、自粛の波は全国に波及する。…ああ、イヤな世の中だなあ……。共謀罪が成立すれば、事態はもっと息苦しくなるだろう。…なにからなにまで真っ暗闇よ、筋の通らぬことばかり……。そんな世の中にさせてはならない》。本当に、そうだ。
『●鈴木耕さん、核発電人災等々々々々々…
「自民党内閣だったら解決できただろうか。とてもそうは思えない」』
『●柴田鉄治さん「キナ臭さが一段と増した年」、
マスコミから失われる「ジャーナリズムの義務」…な1年』
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【http://www.magazine9.jp/article/hu-jin/33148/】
2017年4月26日up
風塵だより
鈴木耕
115
強権政治の黒いさざ波…
このところ、さまざまな方にお話を伺う機会が続いている。どなたも、闘っている方たちだ。屈せずに闘う理由をじっくり聞けば、そこから今の世の中の歪みが見えてくる。
3月28日には、泉田裕彦前新潟県知事のインタビューに同席させてもらった。詳しい内容は第113回で書いているので、ぜひそちらをご覧いただきたい。
国民はみんな忘れているかもしれないが、日本では現在も「原子力緊急事態宣言」は解除されていないのだ。福島原発事故は、いまもなお続いているということだ。
「原子力緊急事態」下にあるのに、原発を再稼働しようなどとは、泉田さんだけではなく、ぼくにだって狂気の沙汰に見えるのだが、政府も電力各社もそうは考えないらしい。哀しいほど異常な国だと思う。
4月6日、東京都国立市の元市長で旧知の友人である上原公子さんをお訪ねした。ノンフィクション作家の山岡淳一郎さんが上原さんにインタビューするというので同行させてもらったのだ。
上原さんは「景観条例」という言葉を全国の自治体に知らしめた首長として一躍有名になった方だが、そのことで、なんともひどい裁判の犠牲になってしまった。
上原さんは市長選立候補に際して、国立市の有名な桜並木(大学通り)の景観を壊しかねない高層マンションの建設阻止を公約とした。高い建物がないことで保全されてきた桜並木や周辺の景観を市の大事な財産だと考える人たちが市民グループを結成、それを実現してくれる市長として、上原さんを候補として押し上げた。
つまり、上原さんは市民グループの意志に基いて「景観を守る」という公約を掲げて立候補、当選したのである。決して上原さん個人が、自分の利益を追求しようとして「高層マンション建設」に待ったをかけたのではない。しかし、最高裁は結局、建設会社から出された損害賠償請求と、それをめぐる上原さんの2代後の市長や一部の反上原の市民の請求を取り上げて、上原さん個人に約4500万円の支払いを命ずるという、途方もない判決を下したのだ。
市民の意見を公約として「景観条例」を作ったことが、市長個人の私利私欲のためとされるならば、地方自治体の首長たちは、新しい施策や政策を、とても怖くて実施できないことになる。
この最高裁判決が、地方自治の破壊にどれほど手を貸すことになるのか、判事たちは考えたのだろうか?
この詳しい中身は「デモクラシータイムス」の動画で、ぜひご覧いただきたい。
同じく4月17日には、現世田谷区長の保坂展人さんにお会いした。
これは、ぼくがインタビュアーになって、保坂さんから「共謀罪」についての見解をお聞きしようとした企画だ。
保坂さんは、かつて3期にわたって衆院議員の職にあった。そのときに「共謀罪」が上程されようとしたのだ。あの熱狂的人気を誇った小泉純一郎首相の時代である。保坂さんは当時「国会の質問王」と呼ばれるほど、多くの質問や疑問を、委員会の場で政府に突きつけた。
だから「共謀罪」については、多分、現在の議員のどなたよりも詳しいだろう。11年前に出版した『共謀罪とは何か』(保坂展人、海渡雄一共著、岩波ブックレット、480円+税)は少しも古びておらず、最近緊急増刷されたばかりだし、最近出版された『「共謀罪」なんていらない?! これってホントにテロ対策?』(斎藤貴男、保坂展人、足立昌勝、海渡雄一、山下幸夫共著、合同出版、1400円+税)は、自民党が姑息な手直しで再提出してきた「共謀罪」のデタラメさを、徹底的に批判している。
そんな保坂さんのインタビューは今週の「マガ9対談」に掲載されている。動画にもリンクしているので、ぜひ参考にしてほしい。
4月23日には、東京・新宿のロフトプラスワンで「山城博治さんと語ろう」という催しがあった。なぜかぼくが司会役を依頼されて、山城さん、三上智恵さん(『標的の村』『戦場ぬ止み』『標的の島 風かたか』などの映画監督)とのシンポジウムを開いた。当日は、最近ではこの会場では珍しいという超満員。主催は、大木晴子さんたちが頑張っている「新宿西口反戦意思表示・有志の会」。
ようやく釈放されたばかりの博治さんは、沖縄のこと、辺野古のこと、逮捕のいきさつ、拘置所暮らし…を、ユーモアをまじえ、歌まで披露しながら話してくれた。会場は、爆笑と真剣な怒りと、そして山城さんの醸し出す柔らかで温かな雰囲気に包まれた。
そこへ、福島瑞穂さんや元自衛官の井筒高雄さんも飛び入り参加。すごい盛り上がりとなった(この様子も、もうじき動画配信されるはず)。
ぼくが最近お会いした方たちのことを書いてくると、いまのこの国で何が問題なのかが仄見えてくるだろう。そう、中央政府と地方自治との、抜き差しならぬせめぎ合いだ。
泉田さんも、上原さんも、保坂さんも、そして沖縄の山城さんも、安倍政権と真っ向から対峙してきた方たちだ。それは、首相官邸の意向を地方へ押しつけて意に従わせようということへの地方の側の抵抗であるともいえよう。
だが残念ながら、その抵抗が弱まっていることも確かだ。官邸の発する強権政治の荒波は、いまや地方へ同心円を描きながら波及し始めている。それは、逆らうものは容赦なく潰すという「脅し」のさざ波となって、全国を覆う。
最近、そんな事例がやたらと多い。
◎内閣府のホームページの中央防災会議の報告書から「関東大震災時の朝鮮人虐殺」についての記述が削除された(これは報道された後で、復活)。
◎福井県庁前での反原発アピール行動に対し、県が自粛するようにと市民団体に文書で要請、市民側は県庁を訪れて抗議。
◎金沢市では、市民団体「石川県憲法を守る会」が憲法施行70周年記念集会を市役所前広場で開きたいという使用申請を提出したが、金沢市が「中立性の確保」を理由に不許可。
◎群馬県立近代美術館で展示予定だった「朝鮮人犠牲者追悼碑をモチーフにした作品」(白川昌生さん制作)が、同館の指導で解体されたという。
以上は、最近のほんのわずかの事例であるが、首相官邸の極右路線がそのまま地方に波及して来ているとしか思えない。とくに「憲法記念日の催しについては、全国各地で同じような例が複数起きている。
「政治的に偏った主張を伴う催しには、自治体の会館や部屋の使用を許可できない」というリクツなのだ。
だが、例えば「憲法を守れ」というのが、なぜ「政治的に偏った主張」なのか? 日本国憲法第99条を持ち出すまでもなく、公務員には「憲法擁護義務」がある。むしろ、市や自治体が主催して「憲法擁護集会」を行うべき筋合いのものだ。
憲法については護憲派と改憲派の対立があるとしても、「憲法を守れ」という集会に会場使用不許可とするのは“絶対に”間違っている。むろん、改憲派の集会であっても会場を使わせることはかまわないとぼくは思う。
ただし、改憲派に「憲法擁護は公務員の義務であるから、憲法を変えろという主張は憲法擁護義務に違反するので、会場は貸せない」というような公務員が出てきたら、ぼくは大拍手で誉めてやるけれど。
会場使用や作品掲示を不許可にするのは、ほとんどが「市民からの抗議」を恐れてのことらしい。そう、ここでも“市民”である。しかし、ほんの10本ほど、ときには呆れたことにたった2、3本の抗議電話で使用許可を取り消す例もあるのだ。
こうなると、まさに流行りの「忖度」を飛び越えて「斟酌」であり、もっと言うと「脅え」だ。多分、地方の役人さんたちは、こんなふうに考えるのではないだろうか。
政府(むろん安倍政権)のお気に召さなければ、上司へどんなお叱りが来るか分からない。その結果、自分にも災いが降って来るかもしれない。それに、安倍支持者の方々によって“炎上騒ぎ”にもなりかねない。それなら、危ない橋は渡らないほうがいい。とりあえず、使用は断ろう…。
かくして、自粛の波は全国に波及する。
座頭市のセリフじゃないけれど
ああ、イヤな世の中だなあ……。
共謀罪が成立すれば、事態はもっと息苦しくなるだろう。あの小林よしのり氏でさえ、25日の衆院法務委員会に参考人として出席。「思想表現の自由を妨げ、物言えぬ世の中になりかねない」として、共謀罪には強く反対した。
鶴田浩二も歌っていた。
なにからなにまで真っ暗闇よ、筋の通らぬことばかり……。
そんな世の中にさせてはならない。
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東京新聞のコラム【【私説・論説室から】 初夢】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/ronsetu/CK2016010502000139.html)と、
nikkan-gendaiの記事【一般人は自民区議…朝生“ヤラセ問題”がテレ朝に落とす影】(http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/geino/172755)。
《しかし、放送法に縛られかねないテレビとは少々違い、俺たちは新聞だ。自由民権運動の明治時代から、先輩たちが権力に抗(あらが)ってきた伝統がある。今の日本国憲法にはむろん言論、表現の自由もある》。
テレビも新聞も、初夢が悪夢となり、正夢となりつつあり…。
『●カラスはやっぱり「黒い」: 「アベ様のNHK」的
「政府が白というものを黒とは言えない」で良いのか?』
『●トップからして腐敗したメディア:
「きょうの安倍将軍」「安倍様のNHK」』
『●(非)特定秘密「隠蔽」法を大歓迎:
「たかり記者」だった?読売新聞ナベツネ氏は正気なのでしょうか?』
『●アベ様の政権の「暴走」許す、批判精神無き、「牙」無きメディア』
『●「戦没 新聞人の碑」と「対馬丸犠牲者の慰霊碑 小桜の塔」』
『●失われる「メディアの作法、矜持」…
「権力を監視する機能が失われ」、しかも、アベ様の「思う壺」』
『●青木理さん: ジャーナリストの矜持
「権力や権威の監視」「強者にこそ徹底した監視の目を」』
《建築板金業を営む、「一般人」として観覧席に座っていた「大森昭彦さん」が実は自民党の大森昭彦大田区議(63)だったことが発覚。司会進行の田原総一朗氏(81)を相手にイケシャーシャーと民主党批判を繰り広げたのだ》。
そういうことに何も感じない報道者。小林よしのり氏あたりに、「やはりテレビ朝日の上層部が、安倍首相と繋がっている…」などという勘繰りを与えてしまうスキありなところと脇の甘さ。アベ様に「公正中立」な報道などと内心でせせら笑いさせていて、平気な報道者。
ジャーナリストの矜持「権力や権威の監視」「強者にこそ徹底した監視の目」の無さ……何度目かの「テレ朝は今日、死んだに等しいと思います」。
『●岸井成格氏を支持する: 「TBSは今日、
再び、死んだに等しいと思います」なんてことが起こらぬために』
『●「TBSは今日、再び、死んだに等しいと思います」
なんて方向に進んでいないか? 報道は見て見ぬふり?』
『●「そんな曲が交じっていないか。耳をそばだてる」…
聞こえるのは、アベ様らの勇ましき進軍ラッパのみ』
『●最後っ屁に期待する: 古舘伊知郎さん、
この際ですから全部ぶちまけてから降板を! 矜持を示して!』
《またひとり安倍政権に批判の論陣を張るメディア人が消えた……
官邸は“してやったり”ではないか。早速、テレ朝の報道局員の
もとには、霞が関の官僚たちから“お祝い”の連絡が続々と
届いているらしい》
「「権力を監視する機能が失われ」、しかも、アベ様の「思う壺」。
このままアベ様にやりたい放題やらせておいて、
メディアには矜持は無いのか?」
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【http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/ronsetu/CK2016010502000139.html】
【私説・論説室から】
初夢
2016年1月5日
松の内なので戯(ざ)れ言(ごと)にお付き合いいただきたい。初夢の話である。
舞台はいつも社説を書いている、ここ論説室。午後のひととき、まどろんでいると自席の電話が鳴る。低い男の声。事務的だが、怒気を含んでいた。「今すぐ首相官邸まで、ご出頭願えますか。総理が社説にお怒りで」
あの社説のことかな? 心当たりがないわけではない。この政権には厳しい論調で臨んできた。安全保障、エネルギー政策にことごとく異を唱えてきたことが気に障ったのだろうか。ぜひにも長期政権を目指す首相にとって、うちの社説は目障りな存在に違いない。
しかし、放送法に縛られかねないテレビとは少々違い、俺たちは新聞だ。自由民権運動の明治時代から、先輩たちが権力に抗(あらが)ってきた伝統がある。今の日本国憲法にはむろん言論、表現の自由もある。圧力をかければ、ひるむとでも思っているのだろうか。
などと思いをめぐらせていたら、目が覚めた。やはり夢だったんだ。戦前・戦中じゃあるまいし、今の日本で、そんなことがあるはずはない。新年早々、悪い夢を見たものだ。
眠気を覚まそうと卓上のコーヒーに手をのばし、一気に飲み干した。すると、自席の電話が鳴る。聞き覚えのある低い男の声。「今すぐ首相官邸まで、ご出頭願えますか…」
もう一度、目が覚めた。夢でよかった。 (豊田洋一)
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【http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/geino/172755】
一般人は自民区議…朝生“ヤラセ問題”がテレ朝に落とす影
2016年1月6日
(「報道のテレビ朝日」が…(C)日刊ゲンダイ)
今年の元日に放送された「朝まで生テレビ!」(テレビ朝日系)が物議を醸している。建築板金業を営む、「一般人」として観覧席に座っていた「大森昭彦さん」が実は自民党の大森昭彦大田区議(63)だったことが発覚。司会進行の田原総一朗氏(81)を相手にイケシャーシャーと民主党批判を繰り広げたのだ。
討論テーマは「激論!安倍政治 国民の選択と覚悟」。田原氏が「中小企業の実態を聞きたい」と話を振り、アナウンサーに「建築板金業を営む大森さん」と紹介されてマイクを持った大森区議は、田原氏から「民主党政権と自民党政権は変わらない?」という問いに「民主党政権のときよりは良くなったかなと、そういう印象はあります。なぜかというと、物流としてモノが流れるようになって取引が増えました」と東京五輪のピンバッジを胸につけて熱弁。パネリストのひとりである山本一太参議院議員がしらじらしく大きくうなずいていた。
大森区議は一部マスコミの取材に、観覧を認めたうえで「工場の経営者として観覧したので(区議であることは)言う必要はなかったと考えていた」「約20年前に同番組のディレクターのひとりと知り合いになり、その後、依頼を受けて観覧席に座ることがあった」「ディレクターは(大森氏が)区議であることを知っていた」と答えていたが、これは明らかな世論操作であり、到底看過できない大問題である。
放送ジャーナリストの小田桐誠氏はこう言う。
「たとえ『一般人』でも事前に職業や住所などの素性は番組として把握しているはず。『議員なら肩書を名乗るべき』という批判すらもおかしく、そもそも出演すべきではない。これは危機管理以前の初歩的な問題です。公平中立な番組内容でなければ、とは思いませんが、今回のような“仕込み”は最もやってはいけないこと。一昔前にはフジテレビで(『発掘!あるある大事典』や『ほこ×たて』など)ヤラセが問題になっていましたが、他人事ではありません。特にテレ朝は『報道・情報のテレ朝』といわれてきたので、政治的な働きかけを勘繰られる今回の“仕込み”は大きな問題になるでしょう」
■広報部は「説明不足」で平謝りも…
テレビ朝日は日刊ゲンダイの取材に対して「ご指摘の方(大森区議)には番組側から建築板金業者としてアベノミクスに対する現状を話して頂くようお願いしていました。しかしながらそれ以上の話す内容についての打ち合わせはしておりません」と書面で回答。
“一般人の大森さん”が区議であることについては「今回の出演に際し、自民党の区議会議員でもあるという情報がプロデューサー、出演者を含め番組内で共有出来ておらず、結果的にこの方が自民党の区議であることをご紹介出来ませんでした。視聴者の皆様には説明不足となり、申し訳なく思っております」と続けた。
同番組にパネリストとして出演した漫画家の小林よしのり氏(62)は3日、自身のブログで「やはりテレビ朝日の上層部が、安倍首相と繋がっているのが、現場に響いているのではないか? ジャーナリズムは完全に権力に屈しているのかもしれない」とつづり、「結局、番組自体がヤラセだったのではないか?」「テレビ朝日が安倍政権の軍門に屈したか? 田原総一朗も、すでに屈しているのか?」と番組への不信感を募らせた。
テレ朝は「報道ステーション」で12年間、メーンキャスターを務めてきた古舘伊知郎(61)が3月いっぱいで降板することを発表。官邸からの圧力に屈したのではないかという声が上がったばかりだ。現状を見る限り、テレ朝がジャーナリズムの看板を下ろす日は遠くない。
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webronza.asahi.comの記事【”百田発言”と「ヒューブリス(傲慢)症候群」とりかえしのつかない失敗に突き進む危険性も/香山リカ】(http://webronza.asahi.com/business/articles/2015070100014.html?iref=comtop_fbox_d2_06)。
「芸術家との意見交換を通じて「心を打つ『政策芸術』を立案し、実行する知恵と力を習得すること」(同会設立趣意書より)を目的として発足した自民党「文化芸術懇話会」」。
『●脳内回路は大丈夫?? 自民党若手の脳内では、
「憲法学者達<<百田尚樹氏」という訳だ!?』
頭がクラクラします。百田尚樹氏が芸術家!? まさか、渡辺昇一氏あたりを「学者」なんて思っていないでしょうね?? 「「憲法学者達<<百田尚樹氏」な自民党」に「知恵」なんてあるの? 壊憲への暴「力」のみ。
「心を打つ「政策芸術」」だそうです。ニッポンの「藝術」も地に落ちたものです。
『●呼ぶべき講師は野中広務氏だった・・・
「憲法学者達<<百田尚樹氏」な自民党には無理というもの』
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【http://webronza.asahi.com/business/articles/2015070100014.html?iref=comtop_fbox_d2_06】
”百田発言”と「ヒューブリス(傲慢)症候群」
とりかえしのつかない失敗に突き進む危険性も
香山リカ
2015年07月02日
芸術家との意見交換を通じて「心を打つ『政策芸術』を立案し、実行する知恵と力を習得すること」(同会設立趣意書より)を目的として発足した自民党「文化芸術懇話会」。
(拡大自民党の「文化芸術懇話会」で講演する
百田尚樹氏(奥中央)=2015年6月25日午後、
東京・永田町の党本部)
6月25日に開催された第1回目の講師として招かれた作家の百田尚樹氏は、「沖縄2紙(著者注・「沖縄タイムス」と「琉球新報」)をつぶさなあかん」と発言、ほかにも米軍普天間飛行場の成り立ちについて「元は田んぼ」「近隣住民がカネ目当てで移り住んできた」として「基地の地主はみんな年収何千万円、六本木ヒルズとかに住んでる」などと述べた。
「文化芸術懇話会」は安倍首相に近いとされる若手国会議員が中心となり、この秋の自民党総裁選から憲法改正の国民投票までを見据えた、いわば“安倍応援団”的な色彩の強い会合と考えられる。そこでのできごとだけに、百田氏の発言は新聞やテレビニュースでも大きく報じられた。
その翌日、百田氏は「沖縄タイムス」の電話取材に応え、「沖縄の新聞をしっかりと読んだことはないが、ネットで読むと、私と歴史認識が違う。全体の記事の印象から私が嫌いな新聞だ」「地権者には、膨大な地代が払われている。六本木ヒルズに住んでいる大金持ちと同じ。それはメルマガで書いた話だ。普天間が返還されたら、あっという間にまちは閑散とする。ぬくぬく暮らしていた地権者も困るはずだ」「私と意見が違う2紙を誰も読まなくなり、誰も読者がいなくなってつぶれてほしいという意味での発言だ」と自分の発言を訂正することなく繰り返した(http://www.okinawatimes.co.jp/article.php?id=121683)
私は、百田氏の一連の発言で最も問題なのは、そこに「多数派としてのヒューブリス(傲慢)」が透けて見えることだと考えている。
たとえば「沖縄タイムス」の取材での「普天間が返還されたら、あっという間にまちは閑散とする。ぬくぬく暮らしていた地権者も困るはずだ」との発言にしても、「地権者のためにも基地が返還されないほうがよいだろう」というある種の“親切心”の現れと見えないこともない。また「自分の歴史認識と違う新聞など誰も読まなくなってなくなればよい」といった発言のほうは、「いまの日本は大多数が自分と同じ歴史認識なのだから、その人たちのためにも沖縄二紙はなくなるべき、という意味にも読める。
百田氏にとっては、基地存続は「沖縄の人たちのため」、2紙の消滅は「日本の人たちのため」、いずれにしても百田氏は、発言は利己的なものではなく、むしろ利他的なものだったと言いたいのではないだろうか。もっとわかりやすく言えば、沖縄に対しては「ねえ、基地がなくなったらいろいろ困るでしょう? おカネとか」と、その他に対しては「沖縄2紙なんてなくなったほうがサッパリするでしょう?日本を貶めることばかり書いてるんだから」と、意識してかどうかはわからないが、それぞれの思いを代表するつもりで語ったということだ。
百田氏がそのような発言をするのは、今に始まったことではない。
たとえば、『Voice』(PHP研究所)2013年4月号での渡辺昇一氏との対談の中で、百田氏はこんな発言をしている。
「『侵略戦争』といっても、日本人は東南アジアの人々と
戦争をしたわけではない。フィリピンを占領したアメリカや、
ベトナムを占領したフランス、そしてマレーシアを占領した
イギリス軍と戦ったわけです。日本の行為を『侵略』と
批判するなら、それ以前に侵略していた欧米諸国も
批判されて然るべきでしよう。」
太平洋戦争は欧米の植民地になっていたアジア諸国の解放のための戦争で、その国の人たちは今でも日本に感謝している、という「大東亜戦争肯定論」(林房雄氏の著作名より)は、小林よしのり氏の『新・ゴーマニズム宣言SPECIAL 戦争論』に代表されるように多くのいわゆる右派、歴史修正主義者と呼ばれる論客の主張でもある。彼らは、時代状況から侵略も仕方なかったのだという正当化をさらに踏み越え、・・・・・・
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『「週刊SPA!」黄金伝説1988~1995/おたくの時代を作った男』、7月に読了。「週刊SPA!」3代目編集長ツルシカズヒコ著。朝日新聞出版。2010年6月刊、第1刷。
95年の『SPA!』編集長解任までの赤裸々な経緯。グループ会社も含めて全く好きになれず、本誌も読んだことはないのだが、ツルシさんはいつのころからかWP(現在はクレヤン.コムhttp://www.kureyan.com/)などを覗くようになった。
小林よしのりの「・・・「ゴーマニズム宣言」は・・・問題点も露出・・・」(p.8)。「・・・日ごろ「ワシはプロの仕事をしている」と豪語している小林さんだったが、女子大生を連れて打ち合わせに来るというのはどうなんだろうと思った」(p.139)。
「・・・「カリスマ宣言」をした。・・・僕は半分はギャグだろうと思っていた。・・・/目がマジだった」(p.137)。
ツルシ編集長解任の引き金。「応接テーブルの上に明後日発売の・・・「天皇制反対―――っ」と叫びながら、・・・絵を見つめるお偉方の顔が引きつっていた」(p.123)。
小林の「・・・宅八郎攻撃はエスカレートし、その攻撃は・・・鈴木邦男、・・・松沢呉一へ波及していた」(p.179)。
「・・・雑誌の方針なんて作りながら徐々に固まっていくものなのだ」(p.54)。
「『説得――エホバの証人と輸血拒否事件』で講談社ノンフィクション賞を当時最年少(28歳)で受賞した大泉実成・・・」(p.73、161、94)。
西原理恵子さんとゲッツ板谷さん(p.85)。
同級生だった金哲彦[キムチヨロン](マラソンランナー・(株)リクルート、p.98)君の名が。当時はそんなにすごいとは知らず!
松沢呉一「豪徳寺 松沢堂の冒険」(p.158、179、187)。鈴木邦男「夕刻のコペルニクス」(p.130、150、179)。枡野浩一(p.188)。
「雑誌が持っているビビットな時代の証言力はすごい。そういう文化を潰えさせていいのだろうかという僕の思いは強い」。「・・・から得た最大の宝物がワタナベ・コウでした。本書をワタナベ・コウに捧げます」(p.191)。

【佐高信著、『抵抗人名録 私が選んだ77人』】
朴慶南さん、「石原慎太郎の「三国人発言」などに怒りを露わにする彼女」(p.81)。兄貴分は梁石日。「暴徒と化した日本人から朝鮮人のいのちを守った横浜の鶴見警察署長、大川常吉のことを知り、ペンで顕彰した」(p.83)。
「弱者切り捨て」の小泉元首相や、小皇帝都知事については鳥取県の片山義博さん(p.84)の項でも批判。ピーコさんの項でも(p.90)。井筒和幸も、小皇帝知事プロデュースの特攻映画について「・・・美化するのは「ゴッツイ気持ち悪い」と反発」(p.211)。
内橋克人さんは、「「あなた方の得く改革論、グローバリズム宿命論に、いったい何の正統性と根拠があるのか」と怒りをこめて問い・・・」、FEC自給圏の形成を呼びかけてきた(p.107)。
「〝強い者イジメ〟」に対して「武富士のドン、武井保雄が盗聴した」山岡俊介さんは、大道寺将司さんらについての「松下竜一の『狼煙を見よ―――東アジア反日武装戦線〝狼〟部隊』に惹かれた」(p.129)。武富士については、三宅勝久さんも(p.177)。
緒形拳さんの項でも松下センセのことが。『砦に拠る』の蜂ノ巣城主・室原知幸を演(や)りたいと。
石坂啓さんについて、「辛淑玉が激辛派、辻元清美が大甘派、そして石坂が激甘派」(p.156)。「辻元が突然逮捕された後の彼女の義侠心に感心した」。「「お金の思い出」は出色の面白さだった」。石坂さんのお母さんの話が出色。
斎藤貴男さんの『絶対禁止!』(p.190、144)には松下竜一さんや神坂直樹さんら十八人の人物スケッチらしいが、まだ未読。『カルト資本主義』や『夕焼けを見ていた男 評伝梶原一騎』、小林よしのりのひどいデッチアゲ中傷などについても。
【木下昌明著、『スクリーンの日本人 ~日本映画の社会学~』】
「日本の「侵略性」をとらえるものの見かた」(p.101) が日本映画に欠落。大島渚監督 (p.111、119) も例外でない。「・・・反戦的な映画で、主人公がアジアの人々に残虐行為を働いたとしても、それが上からの強制であり、主体的ではなかったとする内面のアリバイづくり (被害者意識) を描くことに費やされていた (橋本忍の『私は貝になりたい』(一九五九年) がその典型例)」(p.187)。井筒監督が同様なことを指摘していた。
「・・・小林よしのりが・・・強制連行はなかったとか、あれは商行為だったとかいう立場から毎号のように「ごーまんかまして」いる。・・・わたしはふきだしてしまった。これはむかし・・・江藤淳が転向を表明した手口の二番煎じだったからだ」(p.144)。
伊丹十三批判 (p.227)。「・・・そのあざとい商売根性が、わたしの頭のどこかに引っかかっていたせいもある。・・・企業への忠誠心・自己犠牲の精神が肯定的にえがきだされる。そこにわたしは嫌悪をおぼえる。・・・これこそ体制の論理にほかならない。また、この意識は、戦争中の滅私奉公の精神と根っこのところでつながっている、うさんくさいしろものである」。