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●琉球遺骨返還請求訴訟《沖縄アイデンティティーのよりどころである遺骨を本来あるべき場所に-という原告の訴えが…入り口論》で棄却

2022年05月09日 00時00分55秒 | Weblog

サケ漁をするアイヌ民族の畠山敏さん… (東京新聞2019年9月2日)↑】


(2022年04月25日[月])
沖縄タイムスの【社説[琉球人遺骨返還認めず]世界の潮流に逆行する】(https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/947367)。
琉球新報の【<社説>琉球遺骨返還訴訟棄却 京都大は誠実に対応せよ】(https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-1506159.html)。

 《昭和初期の1920~30年代に旧京都帝国大(現・京都大)の人類学者が今帰仁村の墓から持ち出した26体の遺骨の返還を、子孫に当たる沖縄県民らが求めていた訴訟で、京都地裁は原告に返還請求権はないとして、請求を棄却した。…沖縄アイデンティティーのよりどころである遺骨を本来あるべき場所に-という原告の訴えが、本質的な議論の前に、入り口論で退けられた形だ》。
 《昭和初期に今帰仁村の百按司(むむじゃな)墓などから持ち出された遺骨を保管している京都大に、子孫に当たる住民らが遺骨返還を求めた訴訟で、京都地裁が原告の訴えを棄却した。判決は、植民地政策の下で住民の同意がないまま行われた遺骨収集の不当性に正面から向き合わず京都大による保有を正当化した。原告が控訴するのは当然である》。

   『●琉球遺骨返還請求訴訟《旧京都帝国大…の人類学者が今帰仁村の
     百按司墓から持ち出した遺骨を京大が占有》は違法…京都地裁が請求を棄却

 琉球遺骨返還請求訴訟、どうしてこういう判決になるのだろう? 京都地裁《増森珠美裁判長は「原告に返還請求権はない」と判示し、請求を棄却》(沖縄タイムス)。京大に配慮したのか?
 《明治以降、差別の上遺骨と文化を奪われてきたアイヌ民族…琉球処分によって失われた琉球の魂は戦争によって粉々にされ、土地は軍用地となり今また辺野古を遺骨で埋められようとしている》…司法が、沖縄差別を助長していないか? そして、我国の最高学府、これでいいのか? その直系の研究室・学科の研究人は何も感じないのかね? 《学術的価値があっても、地域や関係者の同意なしに盗掘同然に入手したものの保有を正当化できるのだろうか》? 《大量の古人骨を「清野コレクション」などとして誇っている京都大は、学問の府として誠実に対応すべきだ》(← 以下の《奄美からも返還要求が出ている》も参照)。

   『●「国が象徴空間に集約することに我慢がならない。
           先祖の遺骨をコタンに返してほしい」
    「「研究目的」(!!)で勝手に盗掘して「大量の遺骨や副葬品が
     返還されないまま」に放置する大学人、そして、政府のいい加減な
     対応。一体どんな国やねん!! 当事者が「嫌だ」と言っているにも
     かかわらず、平気で「人権侵害」。「墓を暴いて先祖の遺骨を集めた
     学者たちの責任をあいまいにしたまま、国が象徴空間に集約することに
     我慢がならない先祖の遺骨をコタンに返してほしい」と云う叫びに
     どう応えるつもりか?」

   『●松下竜一さん《『草の根通信』の読者にして…知ろうとする心を閉ざ
     して拒絶する壁をめぐらせてしまうことほど、危険なことはないのだが》

 根岸恵子氏による、レイバーネットの書評【〔週刊 本の発見〕熱い時代を生きた若者の真の姿〜松下竜一狼煙を見よ』】(http://www.labornetjp.org/news/2021/hon204)によると、《オリンピックの口実のために、明治以降、差別の上遺骨と文化を奪われてきたアイヌ民族は自らのアイデンティティを白老の象徴的空間に押し込められようとしている琉球処分によって失われた琉球の魂は戦争によって粉々にされ、土地は軍用地となり、今また辺野古を遺骨で埋められようとしている。アジアの自然を壊し、巨大なプランテーションを作り、人々は技能実習という奴隷労働をさせられている。難民という弱者に入管は人間扱いをせず、さらにひどい悪法を突き付けようとしている》。

   『●『ドキュメント 憲法を獲得する人々』読了(4/4)
    「【田中伸尚著、『ドキュメント 憲法を獲得する人々』】……
     その他、「「神主の娘」の意見陳述」の木村さん、
     「揺れる心で「アイヌ宣言」」の多原さん、
     「在日だけど、日本社会の一員だから」の徐さん、
     「沖縄に基地があるかぎり」の中村さん」

   『●「「希望はTPP。」なのか」
      『週刊金曜日』(2013年4月12日、939号)

    「平田剛士氏【アイヌ人骨〝発掘〟研究の実態は依然不明 
     北大のずさんな管理が発覚】……」

   『●「安倍首相の暴走と「妄想」」
      『週刊金曜日』(2014年2月7日号、978号)について

    「平田剛士氏【いまだ返還されず 全国12大学にアイヌ遺骨1636体!】、
     「遺骨を返還すれば大学自体も癒される。アイヌも力を得て、
     誇りを取り戻せるはず……より人間的な大学に変わるための
     チャンスととらえることもできる」」

 なお、琉球新報社説にある《奄美からも返還要求が出ている》件については、2018年11月17日の琉球新報の記事【遺骨保管箱のふたか 京大ごみ集積所でみつかる 「喜界村」などと記載】(https://ryukyushimpo.jp/news/entry-835590.html)によると、《人類学者が沖縄や鹿児島県の奄美地方から持ち出した遺骨が返還されていない問題で、京都大学で遺骨を保管していた箱の一部とみられる板が16日までに見つかった。板には「清野蒐集(しゅうしゅう)人骨」「大隅國(おおすみのくに)大島郡喜界村赤連ダンムチノ下」などと書かれており、4体分の標本番号が記されている。2014年11月に京都市の同大学のごみ集積所にあったのを学生が見つけ、現在は沖縄の「アイヌ民族と連帯するウルマの会」が保管している。[奄美地方から持ち出された遺骨を保管していた箱の一部とみられる板(ピリカ全国実・関西提供)] 京都大学はこれまで、奄美から収集された遺骨を保管しているかどうか明らかにしていない。京都帝国大学(現在の京都大)教授だった人類学者の清野謙次氏(1885~1955年)や門下生が、奄美を含む各地から収集した遺骨を京都大に寄贈したことが文献などで確認されている。板に記されている標本番号は1123号から1126号の4体分。「大隅國」は奄美群島と現在の鹿児島県東部。「ダンムチノ下」は喜界島の風葬地帯とみられる。奄美地方の研究者らが3月、遺骨返還を求める要望書を政府や京都大学に送ったが回答はない。「京都大収蔵の遺骨返還を求める奄美三島連絡協議会」の大津幸夫代表は「ごみ箱に捨てるなど、人権じゅうりんも甚だしい中にあったはずの遺骨はどうなったのか京都大はきちんと回答してもらいたい」と話した。同会は京都大に抗議文を送る。琉球新報は京都大学にこれらの遺骨を保管しているか質問したが、16日午後5時までに回答はない》。
 京大は、証拠隠滅しようとしたのではないのか?

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https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/947367

社説[琉球人遺骨返還認めず]世界の潮流に逆行する
2022年4月23日 07:40

 昭和初期の1920~30年代に旧京都帝国大(現・京都大)の人類学者が今帰仁村の墓から持ち出した26体の遺骨の返還を、子孫に当たる沖縄県民らが求めていた訴訟で、京都地裁は原告に返還請求権はないとして、請求を棄却した。

 墓は琉球王国の第一尚氏の一族らをまつる「百按司墓」。原告は礼拝や祭祀(さいし)の対象である遺骨が本来あるべき場所になく、返還が拒否されている状態は民族的、宗教的な自己決定権を侵害するものだと訴えていた。

 沖縄アイデンティティーのよりどころである遺骨を本来あるべき場所に-という原告の訴えが、本質的な議論の前に、入り口論で退けられた形だ

 判決は、原告の一部を第一尚氏の子孫と認めたが、子孫は多数存在し、原告らが墓を訪れ参拝しているからといって、「祖先の祭祀を主宰すべき者に当たるとは認められない」とした。

 「沖縄地方における伝統的な葬送文化などに鑑みれば、祖先の遺骨を安心して祀(まつ)りたいという心情には汲むべきものがある」と理解を示した。一方で「遺骨は信仰の対象であると同時に、学術資料的、文化的価値を有するとして、京大側が遺骨を保管することを認めた

 結果的に住民の尊厳や文化的アイデンティティーが脇へ追いやられ、研究が優先された形になっていないか。

 大きな疑問が残った。

■    ■

 原告団長で、先住民族の権利回復運動などを研究する松島泰勝龍谷大教授は判決を「研究者が持ち出した遺骨は返還するという世界の潮流逆らう」と批判した。

 2007年に採択された国連の先住民族の権利に関する宣言第12条には「遺骨返還の権利を有する」と明記されている。

 先住民や旧植民地から持ち出した遺骨を返す動きは世界的な潮流である

 オーストラリアでは1600体を超える先住民の遺骨が海外諸国から返還された。

 日本国内でも、アイヌ民族の遺骨を持ち帰り、人類学や医学の研究を行った北海道大学が、訴訟和解を経て、現地のアイヌ民族団体に返還している。

 日本人類学会は、アイヌ研究について、盗掘や遺族など直接の関係者の同意を得ずに収集された資料は研究対象とするべきでないとの指針案を作っている。

■    ■

 かつて欧米諸国や日本は、植民地から多くの文化財や遺骨などを持ち帰った。いまその行為を問い直し、遺骨や文化財の返還を求める運動が世界的な広がりを見せている

 判決は、遺骨の処遇について関係機関を交えて返還の是非などを協議し、「解決への環境整備を図るべきだ」と付言した。

 百按司墓から遺骨が持ち出されてからおよそ100年が経過するが、どのような研究成果があったのか、京都大は十分明らかにしていない

 京大は、「遺骨を本来あるべき場所に」という訴えに耳を傾け、返還に向けての話を始めるべきだ
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https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-1506159.html

<社説>琉球遺骨返還訴訟棄却 京都大は誠実に対応せよ
2022年4月23日 05:00

 昭和初期に今帰仁村の百按司(むむじゃな)墓などから持ち出された遺骨を保管している京都大に、子孫に当たる住民らが遺骨返還を求めた訴訟で、京都地裁が原告の訴えを棄却した。判決は、植民地政策の下で住民の同意がないまま行われた遺骨収集の不当性に正面から向き合わず京都大による保有を正当化した。原告が控訴するのは当然である。

 原告らが民法上の祭祀(さいし)継承者に当たるかどうかについて判決は「墓を参拝しているからといって、『祖先の祭祀を主宰すべき者』に当たるとは認められない」「他の多数の子孫と同じ立場」として、遺骨返還請求権はないとした。

 長年にわたって多くの遺骨が置かれてきた風葬墓であるため、個々の遺骨と原告を結びつけることは困難だ。原告が求めたのは親族関係の確認ではなく、地域や親族で参拝してきた墓で先祖の遺骨を祀(まつ)りたいという権利である。

 京都大は、収集から保管に至る経緯や保管状況を十分に説明せず、不誠実な対応に終始してきた。訴訟でも裁判長からの和解提案を一蹴するなど、一切歩み寄りを見せなかった。その結果、争点は民法上の請求権の有無に矮小化(わいしょうか)されてしまった。

 同大の遺骨保有についても判決は、「学術資料的・文化財的価値」のある遺骨の散逸や劣化を防ぐという、同大が主張した目的を「不当とはいえない」とした。学術的価値があっても、地域や関係者の同意なしに盗掘同然に入手したものの保有を正当化できるのだろうか。学術研究に供するのなら、改めて子孫ら関係者に理解を求め、同意を得るべきだろう。

 今回の訴訟で原告は、国際法を踏まえて先住民族・琉球人としての返還請求権を主張したが認められなかった。しかし判決では「原告らが琉球民族として祖先の遺骨を百按司墓に安置して祀りたいという心情には汲(く)むべきものがある」と述べた上で、「原告と被告のみで解決できる問題ではない」として「解決に向けた環境整備が図られるべきである」と関係機関などによる協議を促した。

 アイヌ民族の遺骨返還訴訟では、北海道大などとの間で和解が成立し、遺骨はアイヌ民族の受け皿団体(地域)に返還された。「先住民族の権利に関する国連宣言」に基づく返還請求権が認められているからだ。これを受け日本人類学会などは、倫理指針案でアイヌ民族の権利を尊重することを掲げている。

 奄美からも返還要求が出ている。民法の枠に収まらない独自の祭祀文化を持つ沖縄・奄美は、アイヌ民族の取り組みが参考になるだろう。

 今後、遺骨収集の経緯や保管状態を明らかにさせ、返還や保管方法を幅広く協議していく場を作る必要がある。大量の古人骨を「清野コレクション」などとして誇っている京都大は、学問の府として誠実に対応すべきだ
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