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アブリコのCinema散策

のんびり映画でも観ませんか

ニキータ ’90 フランス

2009-02-03 | アクション
笑い方を忘れてしまうことほど哀しいことはない。

間もなく20才になるニキータは、警官殺しで終身刑を受ける。
しかし、その尋常でない彼女の行動に目をつけた政府の秘密警察は、ニキータを秘密工作員として新たな道を歩ませることにする。

ニキータを「葬り」、彼女はマリーという名のもと生まれ変わった。
コードネームは“ジョセフィーヌ”。

何度もこの映画は観ているが、観る度に、彼女への思い入れは深くなる。
恋人を愛する一人の女性でありながら、非情な暗殺者へと瞬時に切り替わらねばならないその心情を察するにはあまりある。
マルコと共にベニスを訪れた際も、楽しい気分が一瞬にして断たれ、任務を遂行すべく銃口を向けている間、彼女の目から涙がこぼれるシーンは切なさに押しつぶされそうだ。

23才の誕生日を祝うはずが、それが“卒業試験”であったというサプライズを、彼女は鮮やかに、慎重にその初任務を無事果たす。
このシーンは毎回、ドキドキしながら見入ってしまう。

後に、米映画『アサシン』としてリメイクされているが、どっちを先に観たかで好みが分かれそうだ。
ブリジット・フォンダよりは、断然アンヌ・バリローのほうが合っていたように思うが。
あと個人的に、カブリエル・バーンよりもチェッキー・カリョのほうがよかったし。
最初の奥さんだったアンヌ・バリローから、歴代の(?)妻や恋人を見てみると、ベッソン監督はどうも、スレンダーな女性が好みのようだ。

007/カジノ・ロワイヤル 2006年 イギリス・チェコ・ドイツ・アメリカ

2008-11-11 | アクション
およそ2時間半にもおよびながら、時間をまったく感じさせない面白さだった。
「!!」な場面でも、どこか安心して観られるのは、『007』だからかもしれない。
さすが英国で『007』シリーズが切手になっただけのことはある。(関係ないか・笑)

今回のボンド役は、英国人では初のダニエル・クレイグ。
これまでチョイ役ばかりだったから、当時「アイツは一体誰なんだ?」と、だいぶ騒がれた様子であった。
大抜擢でしょう。

ただ観ていて、クレイグがボンドを演じたからよかったってわけでもないんだよね。
残念ながら、主役級の俳優にまで、まだ“昇進”していないように思えてしまうのだ。
30代後半にして、せっかくの大役をこなしたわけだから、今後どれだけの実力を発揮できるかに期待がかかる。

大切な“部分”に拷問を受けても、ボンド・ガールを悦ばせたその強靭さは、さすがジェームズ・ボンドだ。(笑)
ボンド・ガール役のエヴァ・グリーンは、仏女優としては、ソフィー・マルソーに続いて二人目の抜擢でした。
気持ち、他のボンド・ガールに比べると、大人し気味に感じたが。

何気に思ったが、ダニエル・クレイグって、悪役の方が似合うよ、絶対。
悪の主人公だったらイケると思う。
でも悪役って、二枚目よりも演技力が大事だから、そのへんもね、頑張ってもらいたいものです。

モブスターズ 青春の群像 ’91 アメリカ

2008-10-28 | アクション
チャーリー・ルチアーノがマフィア組織に君臨した15年間、ニューヨークの暗黒街は平穏を保っていた。
その後、アル・カポネの時代がやってくるのである。

チャーリーたち四人の若き日の群像劇。
彼は、父親を破滅へと追い込んだファレンザーノに対する復讐を心に誓う。
当時のドン、マッセリアとファレンザーノ。
二つの派閥から名の知られるチャーリーを、我が組織へと迎えようとする。
しかしこの世界、甘んじてしまえばすぐ殺(や)られてしまうのは目に見えている。

どうすれば敵を見方につけられるか。
それは相手の命を助け、信用を得ること。
マッセリアをしとめたチャーリーたちは、最後の駆引きへと出る。

チャーリーとフランキー、マイヤーとベニー(バグジー)。
二人のイタリア人と、二人のユダヤ人。
彼らの友情と信頼の深さは、観ていても心が熱くなる。
裏切りの多いこの世界で、四人の結束は美しい。

ベニーは後年、ラスベガスに最初のカジノを築いたことで知られているが、これを映画化した同’91の『バグジー』も一緒に観てみると面白いかもしれない。

Mr.&Mrs.スミス 2005年 アメリカ

2008-07-25 | アクション
ここまでどうでもいいようなアクション映画も珍しい。
他にもどうでもいい作品もあるにはあるが、一応中身があるものだ。
しかし本作品は、中身がまるっきりスカスカなんである。
ハラハラ、ドキドキもしないアクション映画があっていいものか。
「はいはい、勝手にやっててちょうだい」とあきれるばかりである(苦笑)

これは、ブラピとアンジーのキューピット的な作品となったもので、「共演をきっかけにふたりは恋におちました、チャンチャン♪」といった、ごくごくありふれた話題作であります。
先に述べたように中身がカラッポなぶん、やたらに二人の演技だけが浮いているんです。
これは一体どうしたものか(笑)

お互いがプロの殺し屋でありながら、ずっと相手の素性に気づかないってのは変ではないか。
“恋は盲目”といえども、出会った頃は別として、5,6年も盲目の夫婦はいないと思う(笑)
いや、ここまで勘を鈍らせていたら、もうプロではないだろう。

夫婦が〈敵〉となれば生きた心地がしないだろうが、夫婦バトルだったら’89の『ローズ家の戦争』のほうがリアルだったし、ラストは誰もが期待したであろう’67の『俺たちに明日はない』のような美しい死に様を拝めることもなく、ただ「もういい加減にせえよ」と言いたくなるほどでした(苦笑)

『トゥームレイダー』の延長のようなアンジー。
双子ちゃんも誕生し、ブラピとの生活もますます順調なようで何よりですが、スクリーン上で放った「最低の結婚だったわ」の台詞が現実のものとならないよう、お祈り申し上げます。

ミニミニ大作戦 2003年 アメリカ

2008-07-16 | アクション
『ミニミニ大作戦』と題名だけを聞くと、どうもコメディっぽい。
この「ミニミニ」って響きが、マジメなアクション映画らしかぬ形容だ。
’69のオリジナル版は観ていないので、なぜこういう邦題がついたのか分からないでいた。
ともかく、あの『スパイ大作戦』みたいに、何か大きな作戦をやらかすのだろうという期待を込めて観てみた(笑)

ド迫力のカー・アクション。
こういうのは観ていて、スカッとしますね。
強引気味な見せ方も悪い気はしないし、特撮を使わなかったというのは褒め称えたい。
仲間の裏切りから始まる展開はありがちだが、テンポもよくて無駄がない。

窃盗団のリーダー格であるチャーリーを演じたマーク・ウォールバーグが、観ているうちに、マット・デイモンとダブって見えてきた(笑)
もしマットが演じてたら、『ボーン』シリーズのおまけみたくなってしまっただろう。
ドナルド・サザーランドを起用したあたり、なかなかハイ・クラスなキャスティングであった。

さて、「ミニミニ」とした理由。
紅一点のステラの愛車が、赤のミニ クーパーだった。
大作戦をおっ始める際、これに加え、青と白のミニ クーパーも大活躍するのである。
ならば、『ミニミニミニ大作戦』とするのが正しいのではないだろうか。
余計にコメディっぽいか(笑)

あるいは裏切りという名の犬 2004年 フランス

2007-12-28 | アクション
世の中には、卑劣な手段でのし上がろうとする者がいる。
ところが皮肉なことに、そういう者の方が世渡りがうまかったりするから質(たち)が悪い。
悪意をもち、冷酷に立ち向かうもワルになりきれず、人の良ささえ醸すような者が、返って損をするハメになったりする。

パリ市警、BRI(探索出動班)のレオと、BRB(強盗鎮圧班)のドニは、かつては親友同士であったようだ。
だが今では、権力争いで火花を散らす仲である。
汚い手を使ってまで、ドニはレオを獄中へと突き落とし、彼が7年の刑期を終えるまでには全てを掌中に収め、レオがなるはずであった長官の座に・・・

熾烈な闘いを見せたダニエル・オートゥイユとジェラール・ドパルデュー。
この二人の場合、“鼻 vs 鼻”という見方もできる(笑)
ドパルデューなんて、作品ごとに鼻の形が微妙に違ってるように感じるのだが。(欧米人は、鼻が高いからよく骨折するらしい)
二人とも更にシワも刻まれ、貫禄十分であった。
何かこう、安心して観ていられるってのもそのせいかもしれない。

その後、二人が共演した『メルシィ!人生』を再度鑑賞。
大笑い。
いやもうホントに、役者やのう。


マッハ! 2004年 タイ

2007-10-27 | アクション
久々のタイ映画であった。
昔話風なストーリーを現代に置き換えたようなお話。
村の一番強い若者が、盗まれた村の大事な仏像の首を持ち帰ることをみんなに約束し、首都バンコクへ向かう。

内容よりも、激しいアクションが物を言う、といった作品である。
8割がた彼の肉体を駆使した格闘場面であって、ワイヤーもCGも使わず、本人はもちろん、スタントマンも使わない体当たり演技を見せていた。
格闘技を観るのは嫌いではないが、さすがにここまでやると、溜飲が下がりそうにも、返って上がってきそうだ(苦笑)

これは誉めたい!と、思ったシーンがある。
アクション映画にはつきもののカーチェイス。
車やバス、トラックにバイク・・・などが一般的であるが、なんとここでは、トュクトュクの大追跡だったのである。
〈その国らしさ〉を出した、非常に独特な場面であって、「これはいいなぁ」と思わず身を乗り出してしまいましたよ。
ありきたりな場所や小道具を使っても、物珍しさは感じられないのが現実。
この意表をついた演出はよかった。
トニー・ジャーのムエタイ・アクションも悪くはないけど、個人的にはトュクトュクの大暴走に軍配を挙げるかなぁ。

アンタッチャブル ’87 アメリカ

2007-10-23 | アクション
“映像の魔術師”といわれるブライアン・デ・パルマ監督。
本作品では、いつもより控えめなカメラワークであった。
頭上からの撮影やスローモーションぐらいにとどめていたが、やはり見せるところは見せてくれる。
得意の派手めなサスペンスものと違って、今回は実在した話であったから、カメラテクニックというよりも、ストーリー重視といった感が強い。

1930年、暗黒街を牛耳っていたアル・カポネを何とか告訴すべく、財務捜査官のエリオット・ネスは三人の骨のある男たちと、証拠をつかもうと命がけで奔走する。

ネス役のケビン・コスナーと、若手警官ストーンを演じたアンディ・ガルシアは、共にこの映画でブレイクした。
線の細さが懸念されたコスナー、初老警官マローンに扮したショーン・コネリーの前では青臭さが漂っていた風ではあった。
だが人気に火がつき、思い上がり路線を突っ走ってしまったその後は哀れなものである。
一方ガルシアは、ひたすらマジメに仕事をし、家庭も大事にしているだけあって息も長く、作品のオファーも絶えることがない。

デ・ニーロがカポネを演じるにあたり、髪の毛を抜いたという話は有名だが(体重ももちろん増やしました・笑)、故松田優作は『野獣死すべし』の際、奥歯を抜いて役に挑んだ。
もうここまでくると、プロの域を超えている。
役作りというけれど、それは役者それぞれの考えによるものだろう。

「ビジネスは野球に似ている。 バッターボックスに立つときは一人。 攻めるときは、ガンガン打ちまくればいい。 だが守りに入ったときは、チームワークが大事だ。 一人でもミスれば台無しになる」
カポネの言葉が印象的であった。

キー・ラーゴ ’48 アメリカ

2007-09-30 | アクション
トレンチコートが似合う男、それはハンフリー・ボガート。
一般的に言われているけど、本当にそうなのかなぁ?
スタイルもいいとは言えないし、アメリカ人にしては顔が大きいし。
ハードボイルド男優の代表ともいえる彼だから、余計なコトだろう、個人的な見解は(苦笑)

そんなボギーの妻であった、これまたハードボイルド女優のローレン・バコールとのゴールデンカップルの共演。
正直言うと本作品よりも、’46の『三つ数えろ』(レイモンド・チャンドラー『大いなる眠り』の映画版)のほうが好きなんだが(こちらのふたりのほうが魅力あり)、ただ単に、タイトルが気に入ったのである。

フロリダ半島沖は、小島が数珠つなぎになっていて、その中で一番大きな島がキー・ラーゴである。
キー・ウエスト行きのバスから降りたフランクは、亡き戦友の遺族が経営するホテルに赴く。
だがそこには、まるで占拠したかのように、怪しげな男たちがはびこっていた。
彼らは「客だ」と言い張るが、実は悪名高いギャングの一味であった。

「俺の人生は、考えることとやることが逆のことが多い。 理性が負けてしまうのさ」
優柔不断な者のセリフに聞こえても、ボギーが言うと、“硬派な男”になるから不思議だ(笑)
緊張感漂う中、フランクは奴らを撃退すべく、ある賭けに出る。
ここで考えていてはいけない、行動あるのみ。
守らねばならない人たちがいるではないか。

ボギーのとっつぁんと、クールビューティなバコール。
同じニューヨーク出身で、意外にも似た者夫婦であったようで、年の差を感じさせない、映画界の中でも素敵なカップルでした。

パピヨン ’73 フランス・アメリカ

2007-07-31 | アクション
スティーブ・マックィーン主演の壮絶な脱走劇。
脱走モノだと、'63にすでに『大脱走』で見せてくれた。
ここでは、彼の軽快なアクションが見ものであり、収容所に連れ戻されたときの彼のふて腐れた表情がまた、茶目っ気があってよかった。
しかし、本作品ではそのような光景は微塵も無く、獄中の凄まじさと、何より、逃亡への執念に驚愕するのである。

マックィーン扮するパピヨン(胸に蝶のイレズミをしている)は、無実の殺人罪で、フランス領のギアナで収監される。
そこで、ダスティン・ホフマン演じる詐欺師のデガと出会う。
二人は意気投合し、脱出計画を練る。

だが、あるトラブルを起こし、パピヨンは独房へと移されてしまう。
そこでの彼の変化に注目である!
後に、その独房でさえ遮光させられ、一筋の光しか入らない中でのおぞましい日々。
食糧も半減され、彼は極限状態の中、虫をも食うのである。
栄養失調のため、歯も抜ける。
鬼気迫る目は、役とはいえ、もの凄い迫力だ。
健康状態を見せるため(あるいは、散髪や髭剃り等)、度々、独房の小さな扉から顔を出す。
隣の囚人に聞いてみる。
「どうだ、俺の顔色は。 元気そうか?」
男は、目を伏せ答える。
「最高だ」
それがどういう意味かは、おのずと分かってしまうのだが。

ダスティン・ホフマンの演技も素晴らしかった。
個人的には、彼の作品の中では一番かもしれない。
最後には二人とも、脱出不可能とされる〈悪魔の島〉へ送られる。
だがパピヨンはあきらめない。
チャンスは決して逃さない男なのである。

クリント・イーストウッド主演、’79の『アルカトラズからの脱出』も、不可能と言われた刑務所から脱出に成功していた。
これほどまでの執念を、真っ当なことに燃やすことができたら、ある種、スゴイ人間(ひと)になっていたと思うがなぁ。