礫川全次のコラムと名言

礫川全次〈コイシカワ・ゼンジ〉のコラムと名言。コラムは、その時々に思いついたことなど。名言は、その日に見つけた名言など。

丸川珠代参議院議員の印象操作

2018-03-29 04:49:32 | コラムと名言

◎丸川珠代参議院議員の印象操作

 佐川宣寿〈ノブヒサ〉前国税庁長官に対する参議院予算委員会の証人喚問(2018・3・27)は、「期待外れ」、ないし「予想通り」の結果に終わったようだ。
「良心に従って真実を述べ、何事も隠さず、また、何事も付け加えないことを誓います」と宣誓しながら、肝心なところにくると、「真実」を隠していた。たとえば、丸川珠代参議院議員の質問に対して、「大変、申し訳ございませんが、この決裁文書の書き換えの、いわゆる経緯に関わるお話でございます。従いまして、その決裁文書で、誰が指示をしたのか、どのような対応で書き換えが行われたのかということ、そのものが捜査の対象となっているわけでございますので、大変恐縮でございますが、刑事訴追の恐れがございますので、答弁を控えさせていただきたいというふうに思います」というような答え方をしていた。
 佐川前長官は、丸川議員の質問「では、改めて伺いますが、この森友学園への国有地の貸し付け、ならびに売り払いに総理、および総理夫人が関わったことはないと断言できますか」に対して、「私が昨年、勉強して、ずっと一連の書類を読んで、国会で答弁させていただいたなかで言えば、総理も総理夫人の影響もありませんでした」という慎重な回答をおこなっていた。これは、偽証を避けるためのギリギリの表現であって、やはり、「真実」を隠さんがための答弁なのだろう、と思えた。
 それにしても、丸川議員の「ありがとうございました。少なくとも今回の書き換え、そして森友学園に国有地の貸し付け並びに売り払いの取引について、総理、総理夫人、官邸の関与はなかったということは、証言を得られました。ありがとうございました」という「マトメ」には腰を抜かしそうになった。これだけ、「真実」から遠い証言から、どうしたら、そういうマトメを引き出すことができるのか。
 丸川議員のこのマトメは、一種の「印象操作」である。ただし、この印象操作によって、「総理、総理夫人、官邸の関与」は、やはりなかったようだ、という印象を与えられた視聴者は少なかったと思う。むしろ、佐川前長官は、首相夫妻を護るために、偽証をせざるをえなかった、という印象を与えられた視聴者が多かったのではないか。コワイのは、前者の印象操作でなく、むしろ後者の印象操作である。
 しかし、佐川前長官の答弁を、その日の夕刊で読んでみると、首相夫妻を護るために、みずからが犠牲となるなどという殊勝な心掛けは、微塵も感じられない。佐川前長官は、あくまでも、自己の保身を最優先にしながら、慎重な答弁に終始したのである。ということであれば、佐川前長官は、丸川議員の恣意的なマトメのあと、挙手して発言を求め、「チョット待ってください。私は、総理、総理夫人、官邸の関与はなかった、とまでは断言していません」と言っておくべきだったように思う。

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