◎水庭進編『現代米語解説活用辞典』(1950)の特色
先日、五反田の古書展で、水庭進編『現代米語解説活用辞典』(ジープ社、一九五〇)を入手した。この本の文献としての価値について知る者ではないが、パラパラと見てみた限りでは、非常に個性に富んでいて、かつ、なかなか有用な辞書であると思った。
例としてひとつ、fishの項を引用してみよう。
Fish《名》(person)人(形容詞を伴つて);(dollar)一ドル;(torpedo)魚雷;(Roman Catholic)ローマカトリック教徒;(new arrival in prison)新入獄者;(new prisoner in a country jail)郡刑務所の新囚人;(prisoner newly sentenced)新しく刑を申渡された囚人;《動》(to curry faver,usually with an instructor)(教師の)機嫌をとる.
―――Like many another skipper,Sherman had long before figured out just what he would do if he “eaught s fish”.(TIME)
【訳】他の多くの艦長と同じように,シヤーマンはずつと前に『魚雷を喰らつた』時の対策をあれやこれやと考えていた.
映画『ショーシャンクの空に』では、ショーシャンク刑務所にはいった新囚人たちが、その日の夜、古くから居る囚人たちから、夜通し、からかわれる場面がある。その時、たしか「fish,fish」と言われていたように記憶する。
なお、手元の電子辞書の英和辞典のfishの項には、「新入獄者」という解釈は載っていなかった。