ON  MY  WAY

60代になっても、迷えるキツネのような男が走ります。スポーツや草花や人の姿にいやされながら、生きている日々を綴ります。

「脳は、この人生を、自分で選んで始めた」~「60歳のトリセツ」(黒川伊保子著;扶桑社新書)に納得!~

2023-08-01 21:38:59 | 読む

以前にも黒川伊保子氏の「トリセツ」の本は読んだことがあった。

ここにも書いたことがあったが、「妻のトリセツ」がそれだった。

 

 

内容はよいけど、書名がちょっとね…~「妻のトリセツ」(黒川伊保子編著;講談社+α新書)を読んで~ - ON  MY  WAY

「妻のトリセツ」(黒川伊保子編著;講談社+α新書)この本が売れているからって、その当時、読む気は起こらなかった。その原因は、書名にある。「トリセツ」だなんて、まる...

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その後、「夫のトリセツ」、「娘のトリセツ」、「息子のトリセツ」と、トリセツシリーズがいろいろと出ていたが、手に取って読もうとは思わないでいた。

だが、今回は本棚から手に取ってみたくなった。

そのトリセツ本の名前は、「60歳のトリセツ」という。

 

面白くて、一気に読めた。

さすが脳科学者の書だ。

著者も私も60歳代。

今まで生きてきたことや経験してきたことで、共通していることが多くあり、著者の述べていることにいちいちうなずきながら読んだ。

なにより、現在や将来の自分に悲観することなく生きていく元気が出たから、大変にありがたい1冊となった。

 

前書きの文章で、まず勇気づけられる。

 

私は、この国の60代の人たちが、必要以上に頑張りすぎるように思えてならない。

 

そして、そこから先は、そういう考え方もあるのか、ということの連続だった。

50代までの人生は、生殖期間(産める期間じゃなく、子どもを一人前にするまで)であったが、60歳からの人生は、脳の生きる目的が違うのだという。

生殖期間では、自ら正しく生きようとし、子どものそれも推進してやる必要がある。

けれど、60になったら、その呪縛から解放されて、大らかな感性で生きなきゃ、と言ってくれていた。

だから、本書で、「いろんな『気にする』を捨ててもらおうと思っている」と提案し、各章で何をどう捨てるかが書いてある。

第1章「若さを気にする」を捨てる

第2章「ボケを気にする」を捨てる

第3章「子どもを気にする」を捨てる

第4章「老いと死を気にする」を捨てる

第5章「夫を気にする」を捨てる

第6章「友を気にする」を捨てる

単に各章の見出しだけ見てても、読みたい気は起こらない。

だが、それぞれの章で項立てしてある内容を読んでいくと、なるほど、と思わず膝を打つことがよくあった。

 

例えば、「気づく能力は、60代が最高潮」の項

60代は、人生の中で最も気づく能力が発揮される年代なのだという。

だから、「60過ぎたら、気づいたことをすべてやっていたら、一日が24時間じゃ足りなくなってくる。」

そのために、「脳がブレーキをかける」

よく生ずる物忘れなどは、そのせいだという。

 

また、「定年夫たちへ」の項では、定年退職して、家にいるようになった夫に対して妻が抱く気持ちが、男性にもよく分かるように書かれてある。

 

家事を担当してこなかった夫は、残念ながら「家の新人」として、妻から「ぬるい指示待ち人間」に見えているのである。

どんなに頭がよくても、どんなに頑張っても妻の30年越えの経験値には絶対にかなわない。なのに、妻は自分がスーパーエクセレントな家政のプロだということに気づいていない。「誰でも気づけることでしょうに、この人、気づかないふりをするなんて怠慢だし卑怯だし、ひどすぎる」と思い込んでいるのである。

 

へえ~、そうなのか。

でもそう考えると、合点がいく。

では、夫は、妻にどう対応すればよいかということも、具体的に書かれてあって面白かった。

 

また、現在の年齢についても、読んで元気が出た。

脳は、56歳で一応の完成を見せ、その後63歳までかけて成熟する。63歳からの7年間は、ありとあらゆることに気づき、世の中を人生で一番楽しめる年代に当たる。

 

それならやっぱり、気づくことを楽しまなくちゃ、と思う。

自分が今まで生きてきたことを振り返り、

変にできる・できない、能力がある・ないとばかり考えていないで、

60になったら、自分が何の達人になったのか、探ってみてほしい。

という。

それらの根本にしたいのは、

なによりも重要なのは、「人生は、自分のためにある」ということ。

だから、自分のよさにもっと気づいていいのだろう。

 

そして、この年代になって、しっかり肝に据えておきたい言葉が、後書きに出てきた。

 

「脳は、この人生を、自分で選んで始めた」

 

ともすると、自分の人生なんてちっぽけなものだ、などと自虐に走りやすい傾向にある自分たちの世代。

自分の脳が自分で選んで始めた人生だから、何を後悔する必要があろう。

自分の人生に対するプライドをもっともっていいのだ。

自分に自信をくれた。

 

60歳のトリセツ。

これは、今の自分に対する大切なトリセツであった。

 

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