最終戦セレモニーの監督や選手たちの言葉は、いつも心に響く言葉が多い。
今年も、それぞれ感動的なものだった。
アルベルト監督のあいさつは、短かった。
去年は、「Visca Albirex !(アルビレックスに、栄光あれ!)」と叫んだのが印象的だったのだが。
今年は、「感謝の気持ちを伝えたい」と、最初に選手たち、次にスタッフたち、それから社長やスポンサー各位に、そして最後にサポーターの皆さんへと、それぞれ名指しで感謝し、頭を下げていた。
その後の言葉は、短かった。
もうサッカーについて話す必要はない。
私の妻が、娘が、新潟生まれのユアサ(犬の名か?)…私たちは、新潟人であると認識している。
私たちの心の中には、「新潟」の名が刻まれている。
ありがとう。
シンプルな中に、新潟の人々に対する敬意と感謝が含まれていた。
選手を代表する堀米主将のあいさつは、毎年印象深いものを行う。
この試合での寒い中での応援に感謝したあと、自分の中から出る言葉をしっかり口にした。
今シーズンは、スタートがよく、J1昇格も見えていたのに、6位でフィニッシュとなって悔しく思う。
昨年、(最終戦セレモニーで)僕は「応援されるチームになる」と言った。言いながら正直不安もあった。
けれども、監督もチームメートも、みな努力した。だから、最後まで応援していただけたのだと思う。
だけど、プロスポーツは結果がすべて。結果が出なかったことについては、本当に申し訳なく思う。と同時に、今年得た手応えを来シーズンにつなげていきたい。自分の中で、去年より今年の方が確実にレベルアップしていると感じられた。
だからこそ、来シーズンは、また一緒に上を目指す戦いに力を貸していただければと思う。
一年間本当にたくさんのご支援、ご声援ありがとうございました。また来シーズンよろしくお願いいたします。
昨年自分が宣言したこと、堂々と自分たちが努力したこと、今年手応えを得たことなど正直に言ってくれている。
真摯に向き合ってくれる堀米の責任感がうれしい。
退団する4選手の言葉も、じんとくるものばかりだった。
髙澤優也選手
僕は、この夏に、J1に必ず上げるという条件のもとに新潟に移籍してきた。
1年間を通して自分の思い描いた結果とはならなかったが、その中でも少ない時間でも使ってくれた監督、本当にありがとうございます。
そして、たくさんのサポーターの方々、なかなか結果が出せない中でもあきらめず応援をしてくれて本当にありがとうございました。
半年間という短い時間だったが、アルビレックス新潟に来られたことを誇りに思う。
そして、新潟が本当に大好きになった。他のチームに移っても、新潟のことは絶対忘れない。
来年J1で新潟がプレーできることを心から祈っている。
「J1に必ず上げるという条件のもとに」という部分に、彼の使命感を感じた。
そして、短い期間ではあったが、新潟愛をもってプレーしてくれたことがうれしく思えた。
ゴンサロ・ゴンザレス選手
まず、謝りたいことがある。個人の目標、チームの目標が達成できなかったことは申し訳ない。
だけど、アルビのサポーターはしっかり目標達成したと思う。チームをしっかり最後まで応援するということを達成してくれて、うれしいです。だから、新潟のサポーターには心から感謝している。
日本に来て2年(涙で言葉に詰まる;スタジアムから、彼を支えようと拍手が起こる)…、どんな時もみんなから支えてもらえた。サポーター、街の人、そしてクラブのみんな…。
まったくすばらしい2年間だった。
ただ、今日はお別れを言わなければならない。自分は、どこに行ってもいつでもみんなのことを応援し続ける。
この感染症禍にあって来るタイミングが難しかったけれど、日本というすばらしい国に来ることができて幸せだった。それは、いつまでも自分の心の中に生き続ける。
難しい状況でも、特にケガをしているときなど、特に今年は外国人が一人だったので、いろいろ悩んで考えた。でも、チームメートや仲間のおかげで乗り越えることができた。
もう一度言うけれども、本当に申し訳なかった。来年みんながきっとやってくれるので、来年も応援してやってほしい。
外国人は自分一人だったけれども、チームの一員としてみんなに認めてもらった。それを心から感謝している。みんなのおかげでいろいろなことを乗り越えられたので、本当に感謝している。ウルグアイに帰っても、アルビレックス新潟を応援し続ける。
アリガトウゴザイマス。
外国人選手がたった一人ということで、ずいぶん大変だっただろう。
でも、彼を助けてくれたチームメートたちがすばらしかったということだ。
私の近くには、こんな掲示をしていた人もいた。
隠れたファンだったようだ
ロメロフランク選手
2年間と言う短い間だったけれども、2度もアルビレックスの一員として戦えて、皆さんと共に戦えたことは幸せだった。
J1という目標を達成できず、本当に申し訳ない。
SNSでたくさんのコメント、メッセージを見て、こんなに応援してもらっているサポーターの皆さん、ありがとう。
そして、新潟への移籍を後押ししてくれた妻に、本当にありがとう。
来シーズンこそは、J1に復帰できるように心から願っています。
来シーズンアルビレックス新潟で戦う選手たち、よろしくお願いします。
2年間ありがとうございました。
「来シーズンアルビレックス新潟で戦う選手たち、よろしくお願いします。」と、あえて言っているところに、彼自身が来季も新潟で戦いJ1昇格を勝ち取りたかったという思いとそれができない無念さが感じられた。
そして、それを後に託すという新潟愛をひしひしと感じたのである。
最後は、もっちゃんこと大本祐槻選手だった。
2年間お世話になり、本当に感謝している。
昨年の開幕戦、アウェイにもかかわらずたくさんの皆さんが駆けつけてくれ、すばらしい応援を受けて、すばらしいクラブに来たんだなと思った。
度重なるケガに悩まされて思うようにプレーできなかったが、その中で成長できたことはたくさんある。特に今年は出場機会をなかなか得ることができず、一番近くにいる家族に当たり前のように「今週もまたメンバーから外れた」と報告することは本当に悔しかった。
SNSを通じて、僕のプレーを心待ちにしているよ、いつでも待っているよと、温かいメッセージをいただいていたにもかかわらず、なかなかプレーしている姿を見せられなかったことを本当に申し訳なく思っている。
そんな中でも、絶対に人のせいにせず、前を向いてがんばり続けることができた。その大きな支えになったのは、先日引退を発表された達さんの存在だ。何度もふてくされそうになった時、自信を無くしてしまいそうになった時も、自分には武器がある、と、いい選手だ、と選手として自信を無くさないように支えてくれた。この場を借りて達さんに感謝の気持ちを伝えたい。達さん、ありがとうございました。
ここで味わった、たくさんの悔しさと皆さんの温かさを忘れずにこれからのサッカー人生に生かして生きたい。2年間本当にありがとうございました。
自分の悔しさを惜しげもなくさらし、チームにおける田中達也の存在の大きさが伝わってくるあいさつだった。
後半の3人は、いずれも涙ぐみながらのあいさつとなった。
涙が出るほど、思い入れがあるのだ。
新潟が、それほど離れがたさがあるいいチームになっていたということだと思う。
本当にいいチームが出来上がっていたのだなと思うと、これでシーズンが終わり、今メンバーでのサッカーが見られなくなるのかと思うと、本当に残念だと思えた。
さて、4人の想いを聞いて、いったんセレモニーは終わった。
最後に田中達也引退記念セレモニーへと移っていくのだった。