夕暮れRUNNNER
夕暮れ 日は落ちた
西の空 橙色が朱の色を強めていく
やがて朱の色があせ セピア色が深くなる
グラウンドに降り立つ
少しずつ空気が冷たくなってくるのを感じながら
走り出すために体を伸ばす
四肢を曲げ伸ばす
足元の土が黒さを増していく中を走り出す
空気が 顔に脚にぶつかってくる
ひんやりとしているが 心地よい
走り始めると 目に見えるものが変わっていく
杉木立は すでに真っ黒なシルエット
周辺の秋の草たちは 茶・こげ茶
足元のラインは消えかかり わすかにうっすら白く浮かんでいる
ここを 昼間 子どもたちが駆けていた
キラキラした瞳で 一人一人風を切っていた
薄暗くなった同じ場所を 私一人が駆けている
いつの間にか空は青が深みを増している
西の空にひときわ輝く星
頭上にはきらめく星が増えていく
駆ける大地は 草もくぼみのありかもわからなくなってしまった
カーブを曲がる車のライトが時折まぶしい
黄色いライト オレンジ色のライト ライトブルーのライトたちが
私の走路を惑わせる
足元は暗闇 それでも大地の存在は足の裏からどっしり伝わってくる
どこからともなく心地よい香りが漂ってくる
これはキンモクセイ
昼間見たその花の咲く姿を思い浮かべる
今はどこにもその存在は見えないが
ある場所を走る時 独特の香りに包まれる
かん高い笑い声が道路から聞こえてくる
ライトをつけた自転車が行く
電柱の下通り過ぎる時だけ 中学生の女の子たちとわかる
自転車で楽しそうに話しながらそれぞれの家路を進んでいく
声が遠ざかっていく
空はすっかり暗色を深めた
星たちがこんなにいるのかと見上げながら走る
闇の中から響くは 虫の声
近ごろめっきり少なくなったが まだ鳴き続けるものもいる
今 このひとときがなんと快いことか
走っている 生きている
かく汗も
湧いてくる思いも
すべて今だけのもの
走っている 生きている
今 この場所で
今 この時を
(2011年10月20日。
こんな思いで時間を過ごした一瞬がありました。
前の勤務先でのことでした。
あれから、すでに1年がたってしまいました。
懐かしい地へ、今週末行けるチャンスがあったのですが、
他の用ができ、その機会を断念せざるを得ませんでした。
非常に残念です…。)
夕暮れ 日は落ちた
西の空 橙色が朱の色を強めていく
やがて朱の色があせ セピア色が深くなる
グラウンドに降り立つ
少しずつ空気が冷たくなってくるのを感じながら
走り出すために体を伸ばす
四肢を曲げ伸ばす
足元の土が黒さを増していく中を走り出す
空気が 顔に脚にぶつかってくる
ひんやりとしているが 心地よい
走り始めると 目に見えるものが変わっていく
杉木立は すでに真っ黒なシルエット
周辺の秋の草たちは 茶・こげ茶
足元のラインは消えかかり わすかにうっすら白く浮かんでいる
ここを 昼間 子どもたちが駆けていた
キラキラした瞳で 一人一人風を切っていた
薄暗くなった同じ場所を 私一人が駆けている
いつの間にか空は青が深みを増している
西の空にひときわ輝く星
頭上にはきらめく星が増えていく
駆ける大地は 草もくぼみのありかもわからなくなってしまった
カーブを曲がる車のライトが時折まぶしい
黄色いライト オレンジ色のライト ライトブルーのライトたちが
私の走路を惑わせる
足元は暗闇 それでも大地の存在は足の裏からどっしり伝わってくる
どこからともなく心地よい香りが漂ってくる
これはキンモクセイ
昼間見たその花の咲く姿を思い浮かべる
今はどこにもその存在は見えないが
ある場所を走る時 独特の香りに包まれる
かん高い笑い声が道路から聞こえてくる
ライトをつけた自転車が行く
電柱の下通り過ぎる時だけ 中学生の女の子たちとわかる
自転車で楽しそうに話しながらそれぞれの家路を進んでいく
声が遠ざかっていく
空はすっかり暗色を深めた
星たちがこんなにいるのかと見上げながら走る
闇の中から響くは 虫の声
近ごろめっきり少なくなったが まだ鳴き続けるものもいる
今 このひとときがなんと快いことか
走っている 生きている
かく汗も
湧いてくる思いも
すべて今だけのもの
走っている 生きている
今 この場所で
今 この時を
(2011年10月20日。
こんな思いで時間を過ごした一瞬がありました。
前の勤務先でのことでした。
あれから、すでに1年がたってしまいました。
懐かしい地へ、今週末行けるチャンスがあったのですが、
他の用ができ、その機会を断念せざるを得ませんでした。
非常に残念です…。)