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日本男道記

ある日本男子の生き様

竃幽霊(へっついゆうれい)

2008年06月15日 | 私の好きな落語
【まくら】
幽霊の登場する噺を俗に怪談噺といい,幽霊が活躍して、最後は「魂魄この世に留まって、恨み晴らさでおくものか」と結ぶのがお定まり。

【あらすじ】
とある古道具屋で、いろいろと見繕っていた男の目に一つの竃(へっつい・以下平仮名で記述)が止まる。

「いいへっついだな…」

へっついを三円で売り、お客の頼みで家まで運んだその夜…。

その客が戻ってきて、道具矢の戸口をドンドンとたたいた。

「夜寝ていたらなぁ、道具屋。へっついの所からチロチロと陰火が出てきてなぁ、道具屋。幽霊がバーッ! 『金出せぇ~』、道具屋」

仕方がないので、道具屋の規約どおりに一円五十銭で引き取り、店頭に並べるとまた売れた。そして夜中になると戻ってきて、一円五十銭で下取り…。

品物は無くならない上に、一円五十銭ずつ儲かる…。最初は大喜びしていた古道具屋だが、そのうち『幽霊の出る道具を売る店』と評判が立ち、ほかの品物もぱたりと売れなくなった。

困って夫婦で相談の上、だれか度胸のいい人がいたら、一円付けて引き取ってもらうことにした。
そんな話を…通りで聞いていたのが裏の長屋に住む遊び人、熊五郎。

「幽霊なんか怖くない」と、隣の勘当中の生薬屋の若だんな徳さんを抱き込んだ上、道具屋に掛け合って五十銭玉二枚で一円もらい、件のへっついはとりあえず徳さんの長屋に運び込むことにする。

二人で担いで家の戸口まで来ると、徳さんがよろけてへっついの角をドブ板にゴチン。
その拍子に転がり出たのは、なんと三百円の大金…。

「ははァ、これに気が残って出やがるんだ」
「これ、どうします?」
「山分けしちまおうよ、二人でさ」
「でも、そんな事したら…」
「大丈夫! 幽霊は自分が引き受けるぜ」

と…言うわけ、で百五十円ずつ折半し、若だんなは吉原へ、熊公は博打場へ。翌日の夕方、熊と徳さんが帰ってみると、二人ともきれいにすってんてん。
仕方がないから寝ることにしたが、その晩…徳さんの枕元へ青い白い奴がスーっと出て、「金返せ~」。
徳さん卒倒。悲鳴を聞いて飛び込んできた熊は、徳さんから話を聞いて『金を返さないと、幽霊は毎晩でも出てくる』と思い至る。

翌日、徳さんの親元から三百円を借りてきた熊五郎は、へっついを自分の部屋に運び込むとお金を前に積み上げて「出やがれ、幽霊ッ」と夕方から大声で。
『草木も眠る丑三ツ時』、へっついから青白い陰火がボーッと出て「お待ちどうさま」

「蕎麦を誂えたんじゃねぇんだぞ。『恨めしい』とか何とか言え!」
「へえ、それが恨めしくないんで」

幽霊の話によると、この男は生前、鳥越に住んでいた左官の長五郎という男で、左官をやる傍ら裏で博打を打っていたそうで。
自分の名前に引っ掛けて、『チョウ(丁)』よりほかに張ったことはないこの男が、ある晩行った博打で大もうけ。
友達が借りに来てうるさいので、金を三百円だけ商売物のへっついに塗りこんで、その夜フグで一杯やったら…それにも当たってあえない最期。

「話はわかった。このへっついは俺がもらったんだから、この金も百五十円ずつ山分けにしようじゃねぇか」
「親分、そんな…」
「不服か? 実は俺もだ。そこでこうしようじゃねぇか、俺もお前も博打打ち、ここで一つ博打をやって、金をどっちかへ押しつけちまおう」
「ようがす。じゃあ、あっしはいつも通り『チョウ(丁)』で」
「じゃあ俺は『ハン(半)』だ。やるのは二ッ粒の丁半、勝負! …半だ」
「ウゥーン…」
「幽霊がひっくり返るの初めて見たぜ」
「親方、もう一勝負…」
「それは勘弁。てめえには、もう金がねえじゃねえか」
「親方、あっしも幽霊です。決して足は出しません」

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

【オチ・サゲ】
考え落ち(パッと聞いたところではよく分からないがその後よく考えると笑えてくるもの)

【噺の中の川柳・譬(たとえ)】
『先々の時計となれや小商人』
『一声と三声は呼ばぬ卵売り』
『幽霊の手持ち無沙汰や枯れ柳』

【語句豆辞典】
【竃(へっつい)】かまどのこと。江戸時代、へっついは独立世帯の表徴とされ、およそ今の人には想像もつかないほど大切にしていた。地方では昭和になってからも分家することをかまど分けといい、破産することをかまどを破るなどと言った。

【この噺を得意とした落語家】
・五代目 古今亭志ん生
・六代目 三遊亭圓生
・三代目 桂三木助

【落語豆知識】
【地囃子】曲芸、奇術、紙切りなどの演芸で伴奏に演奏する寄席囃子。

 




Daily Vocabulary(2008/06/15)

2008年06月15日 | Daily Vocabulary
5851.have an affair(~と浮気する、~と性的関係を持つ)
Everybody knows that Susie had an affair with her new assistant.
5852.be detrimental to(有害な、弊害をもたらす)
Smoking is detrimental to your health.
5853.who else(他の誰か)
May I have your advice on who else can help me?
5854.three-day weekend (3連休)
Reasons include the 2005 World Expo in Aichi Prefecture, as well as nine three-day weekends this year.
5855.facilitate(手助けする、促進する)
Cooking is facilitated by a well-designed kitchen.
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次男から届いた父の日プレゼント!素直に嬉しい。

夢をかなえるゾウ

2008年06月14日 | 読書日記
夢をかなえるゾウ
水野敬也
飛鳥新社

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【一口紹介】
◆著者からのコメント◆
「成功法則書を読んでも人が成功しないのはなぜか?」世の中にはこんなに多くの成功法則書、ビジネス書があふれているのに、成功者が増えたという話は聞いたことがありません。なぜだろう? ずっと感じていた疑問でした。そしてこの疑問に対する1つの解答を用意したのが本書です。主人公は「人生を変えよう」として何かを始めるけど全部三日坊主に終わってしまうサラリーマン。しかし、ある日突然、彼の目の前にゾウの姿をした奇妙な生き物が現れます。「ガネーシャ」という名を持つ、インドからやってきたこの神様は、主人公の家にニートとして住みつき、ゲームをしては寝るだけ。たぶん、史上最悪のメンター(師匠)でしょう。しかし、ガネーシャはこう言います。今から自分が出す簡単な課題さえこなしていけば、お前は確実に成功する----。成功を願う普通のサラリーマンとぐうたら神様ガネーシャ。この二人が「成功するためにはどうしたらいいか?」「そもそも成功とは?」自己啓発書のメインテーマを、従来とは少し違った形(具体的に言うと、慢才です)で深めていきます。拙著『ウケる技術』や企画・脚本を担当したDVD『温厚な上司の怒らせ方』でも意識した「笑えてタメになる」という形式をさらに深めた本に仕上がったと思います。ぜひ読んでみてください。
夢をかなえるゾウ公式ホームページ

◆著者◆
1976年生まれ。慶応義塾大学経済学部卒。大学在学中に友人と新橋・新宿・渋谷の路上にて、1分100円で人をホメちぎる「ホメ殺し屋」を始める。ホメ殺し屋解散後、執筆活動を開始。処女作『ウケる技術』(共著)がベストセラーに。他の著書に『BAD LUCK』(インデックス・コミュニケーションズ)がある。執筆活動以外にも、「義務教育に恋愛を!」をモットーに老若男女に恋愛を教える「恋愛体育教師・水野愛也」として、雑誌『KING』『サイゾー』などのコラム連載、講演多数。水野愛也名義の著書に『LOVE理論』(大和書房)、講演DVDに『恋愛体育教師水野愛也のスパルタ恋愛塾[ソフト編・ディープ編]』(ポニーキャニオン)がある。また、ディレクター古屋雄作との映像企画レーベルriceでは『温厚な上司の怒らせ方』(ビクターエンターテイメント)の企画構成・脚本を手がける。

【読んだ理由】
百万部を超える大ベストセラー。

【印象に残った一行】
「蛇口ひねったら当たり前のように水が出て、
ボタン押すだけで当たり前のように部屋が明るくなって、
どれだけ離れとっても、電話ひとつで当たり前のように話ができる。
そんな世の中は自分らにとって当たり前やろうけれども、でもな、そんな当たり前手に入れるために、エジソンもカーネーギーもフォードもベルもシャネルも幸ちゃんも宗ちゃんも、昔の人らがんばってきたんやで」

「身の回りにあるモノ、友達や、恋人、親、日々出会う人々、動物、空気や水、緑、それもこれも全部、自分が生きるために存在してくれてるもんや。当たり前のようにそこにあるけど、ほんまは有難いものなんや。
朝起きた時でも、寝る時でも、いつでもええ。
親にでも、ともだちにでも、モノにでもええ。
世界をかたちづくっている何にでもええから、感謝するんや。
足りてない自分の心を、『ありがとう』言葉で満たすんや」

【コメント】
「靴をみがく」から「毎日感謝する」までの多くの「ガネーシャ」の名言は、意外なものばかりだが的を得ている。
 



Daily Vocabulary(2008/06/14)

2008年06月14日 | Daily Vocabulary
5846.exactly(きっちり、その通りに、まさしく)
I don't know exactly what it is.
5847.overload(積み過ぎ、過重負担)
If the machine is operated in overload, the circuit breaker may trip.
5848.proliferation(拡散、まん延、増殖)
We must try to stop the proliferation of nuclear weapons.
5849.rife with(はびこっている)
Today's offices are rife with gossip.
5850.waking hours(起きている時間)
Only 5% of my waking hours are spent on my family.
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無眼界、乃至、無意識界とは

2008年06月13日 | 般若心経解読
無眼界、乃至、無意識界(むげんかいないしむいしきかい)とは
眼で見て認識する眼界から、心で感じ認識する世界まで何もないという意味。
乃至は、何々~何々までということで、眼界から意識界の間が省略されており、その部分を補えば、眼識・耳識・鼻識・舌識・身識・意識の六識が示されているが、それぞれに無がついているので、六識も否定されている。


『仏説摩訶般若波羅蜜多心経』
観自在菩薩行深般若波羅蜜多時、照見五蘊皆空、度一切苦厄。舎利子。色不異空、空不異色、色即是空、空即是色。受・想・行・識亦復如是。舎利子。是諸法空相、不生不滅、不垢不浄、不増不減。是故空中、無色、無受・想・行・識、無眼・耳・鼻・舌・身・意、無色・声・香・味・触・法。無眼界、乃至、無意識界。無無明、亦無無明尽、乃至、無老死、亦無老死尽。無苦・集・滅・道。無智亦無得。以無所得故、菩提薩W 依般若波羅蜜多故、心無 c礙、無 c礙故、無有恐怖、遠離一切顛倒夢想、究竟涅槃。三世諸仏、依般若波羅蜜多故、得阿耨多羅三藐三菩提。故知、般若波羅蜜多、是大神呪、是大明呪、是無上呪、是無等等呪、能除一切苦、真実不虚。故説、般若波羅蜜多呪。
即説呪曰、羯諦羯諦波羅羯諦波羅僧羯諦菩提薩婆訶。般若心経

(出典: 一部 フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia) 



般若心経 (Han-nya singyou)

Daily Vocabulary(2008/06/13)

2008年06月13日 | Daily Vocabulary
5841.pertinent(適切な、妥当な)
Do you know how to separate the trivial and outdated from up-to date,pertinent and vital?
5842.a wealth of (たくさんの、豊かな)
He has a wealth of horror stories about managerial incompetence.
5843.afflict(苦しめる、悩ます)
He was afflicted with a painful disease.
5844.egotism(尊大、うぬぼれ、利己主義、わがまま)
The man from the West, his egotism enlarged by success, was beginning to outline the history of his career.
5845.knowledge worker(知識労働者)
Ther's been a reduction in the member of knowledge workers.
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J.シュトラウス:美しき青きドナウ

2008年06月12日 | 世界の愛唱歌
Herbert von Karajan conducts The Blue Danube Waltz

美しく青きドナウ 作品314(独:An der schönen, blauen Donau)はヨハン・シュトラウス2世によって1867年に作曲されたワルツ。非常に有名で人気が高く、作曲者の、またワルツの代名詞的な曲として広く親しまれている。

毎年1月1日に行われる、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団のニューイヤーコンサートのアンコールの定番曲でもあり、この曲の序奏部を少し奏した後、拍手によって一旦打ち切り、指揮者や団員の新年の挨拶が続くという習慣となっている

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

Daily Vocabulary(2008/06/12)

2008年06月12日 | Daily Vocabulary
5836.counterbalancing(対抗できるだけの)
I'm sure there's a counterbalancing self-help provider titled"How to get a life".
5837.yawn(あくびをする、大きく口を開ける)
She yawned during the long, boring lecture.
5838.be better off(暮らし向きがもっと良い状態になる)
We would be better off if he were alive.
5839.granted(~は確かだが、仮に~だとしても)
Granted the need of improvement exists, but there's not necessarily an urgent need.
5840.exhausting(心身を疲れさせる)
The long airplane flight was an exhausting experience.
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Daily Vocabulary(2008/06/11)

2008年06月11日 | Daily Vocabulary
5831.stick with(~にくっついて離れない、~とずっと一緒にいる、~のそばを離れない、~を手放{てばな}さない、~を堅持する)
I think I will stick with the Internet provider I'm using.
5832.obvious(明らかな、明白な、分かりきった)
What type of information do you consider silly or obvious?
5833.have yet to(まだ~していない)
We started the ad campaign last month, but we have yet to see an increase in sales.
5834.saucepan(片手鍋)
First,place the egg in a saucepan.
5835.serenity(静穏、平静)
Give us serenity to accept what cannot be changed.
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播磨アルプス(高御位山)

2008年06月10日 | 登山日記
山名   播磨アルプス(高御位山) 
登頂日  2008/06/07
場所   兵庫県高砂市
標高    304m 
ガイド  播磨丘陵地帯の南部、加古川・高砂・姫路、各市の境界を東西に横たわる連山
踏破メモ 低山ではあるが播磨平野、播磨灘を望む眺望は素晴らしい
登山についてくわしくはWelcome To 播磨アルプス





Daily Vocabulary(2008/06/10)

2008年06月10日 | Daily Vocabulary
5826.glut(供給過剰、数量が過度に多いこと)
There is a glut of how-to books on the market.
5827.cyberspace(コンピュータ・ネットワークが作り出す仮想空間)
I'm constantly amazed by how much information there is in cyberspace these day.
5828.at an exponential rate(幾何級数的に)
The amount of info available electronically has been exploding at an exponential rate.
5829.trivial(ささいな、取るに足りない)
Her problem was trivial compared to the company's bankruptcy.
5830.weight loss(減量、体重減少)
More and more people in the region choose to undergo weight-loss surgery.
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Daily Vocabulary(2008/06/09)

2008年06月09日 | Daily Vocabulary
5821.put a high priority on(~を重視する、~を優先する)
We put a high priority on speedy teamwork.
5822.mend(修繕する、修理する、修復する)
He mended his torn pants himself.
5823.be eager to(~したくてたまらない)
They were eager to be getting home.
5824.come in handy(役に立つ、役立つ、重宝する)
This flashlight will come in handy when we are camping next week.
5825.lose one's cool(冷静でなくなる、興奮する)
Don't lose your cool.
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風呂敷

2008年06月08日 | 私の好きな落語
【まくら】
『風呂敷』は生粋の江戸艶話で、上方にも伝えられた古い咄だ。もともとは亭主持ちの女が、亭主の留守に間男を家に引っ張り込んでいるという設定である。さあこれからという時に亭主が戻り、何とか風呂敷を使って間男を逃がすという咄だ。ところが明治維新になって姦通罪が制定され、書物から芸能にいたるまで検閲を受けることになる。亭主持ちの女が間男を家に引っ張り込むなどは、もってのほかという訳である。そこで以降、間男は登場せず、この女は知人の男に会って、話をするために家に入れる。嫉妬深い亭主の誤解を受けないために風呂敷を使って男を逃がす。という具合に脚色されたのである。戦後になって姦通罪が廃止され検閲もなくなったが、脚色された咄のほうが伝えられてきたようだ。昼夜問わず不倫が横行している昨今、襟を正したくなるような歴史である。

出典:TBS落語研究会

【あらすじ】
ある日、亭主の熊五郎の留守中にお崎の幼馴染の半七が遊びに来る。

二人で語り合っていると、路地のどぶ板で足音が…。

戸をとんとんたたいて「おい、今けえった」

こんなところを嫉妬深い亭主に見られたら、『不倫』と勘違いされて殺されかねない。
如何しよう…と悩んだ挙句、半七を戸棚に押し込んで隠すことに。

どうせ亭主は酔っぱらっているだろうから、うまく寝かせてその隙に逃がそうという算段だ。
ところが、入ってきた熊五郎は問題の戸棚の前に寝そべると、そのまま大いびきで寝込んでしまった。

これでは戸を開けられない。かみさんが困っていると、そこへ鳶頭の政五郎がやってくる。
「助かった!」、そう思ったお崎さんは鳶頭に相談。鳶頭も快く後処理を引き受けた。
隣の家から風呂敷を借りてくると、お崎さんを外出させてから熊をゆさぶり起こす。

「あぁ、鳶頭。お崎は如何しました?」
「買い物に行ったよ。ところで、面白い話があるんだが…聞くかい?」
「へぇ」
「今日、友達の家に行ったらな、おかしな話があったんだよ。そこのかみさんが留守番をしていると、そこへ幼馴染が遊びに来た。乱暴者の亭主の手前、追い返そうとしたかみさんだが、結局男を家に入れた」
「悪いアマだ!! 俺が亭主だったら張り倒してやりますよ」
「そうか。マァ、その幼馴染と語り合っていると、亭主が不意に帰ってきたと思え。で、そのカカアがあわ食って、戸棚に男を隠しちまった」
「へえー」
「すると、亭主が酔っぱらって、その戸棚の前に寝ちまった」
「そりゃ、困ったろうなぁ」
「そこで、オレがかみさんに頼まれて、そいつを逃がしてやったんだ」
「どうやったんです?」
「よく聞け! 寝ころんでたやつを、首に手をこうかけて起こして」
「ふんふん」
「余所見をされちゃいけないから、脇から風呂敷を持ってきて亭主の顔へこう巻き付けて…。何か見えるか?」
「いいえ」
「そこでな、俺は戸をこういう塩梅にガラリと開けた」
「なるほど」

開け放たれた戸棚から、ヘニャヘニャになった半七が出てきて鳶頭に平身低頭。

「拝んでねえで逃げろ、と目で合図をして…下駄なんかを忘れるなと声をかける」
「へぇ」
「そいつが影も形もなくなったら、戸を閉めて、それから亭主にかぶせた風呂敷を、こうやって」

とぱっと取ると、熊が膝をポンとたたいて

「なあるほど、こいつはいい工夫だ」

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

【オチ・サゲ】
間抜け落ち(会話の調子で間抜けなことを言って終わるもの。また奇想天外な結果となるもの。)

【噺の中の川柳・譬(たとえ)】
『名月や畳の上に松の影』
『貞女両夫にまみえず』

【語句豆辞典】
【女三界に家なし】江戸時代、女は若いときは父に、嫁しては夫に、老いては子に従うものであるから三界(世の中のこと。但し、本来の意義は仏説の欲界・色界・無色界の三つの世界)に決まった家は」ないということ。

【間男】間男とは結婚し、夫のある女性が他の男性と肉体関係など男女の関係をもつこと。また、そういった男性をいう。さらに先のような形以外でも、男女が密かに持つ関係を間男という。こういった関係や男性を間男と呼ぶ理由は諸説あるが、「夫婦の間に入ってくる男性」からきたとする説が浸透している。また、読みは「まおとこ」以外に「まお」とも読む。

【この噺を得意とした落語家】
・五代目 古今亭志ん生
・十代目 金原亭馬生

【落語豆知識】
【鹿芝居】噺家が歌舞伎芝居などを洒落に演ずるもの。噺家芝居に花鹿芝居という字をあて、その略。

落語・古今亭志ん朝「風呂敷」(2/2)