日本男道記

ある日本男子の生き様

閑話一滴

2015年05月24日 | 読書日記
閑話一滴 (PHP文庫)
クリエーター情報なし
PHP研究所

【一口紹介】
◆内容紹介◆
没後10年を経た文豪・水上勉の全集未収録の掌編エッセイ『閑話一滴』。
24年前にPHP文庫から刊行され、好評を博した本作に、未文庫化の『続・閑話一滴』を加え、72篇を収録した完全版が待望の刊行!
9歳で仏門に入り、17歳で僧院を脱走、貧困のなかで職を転々とし、40歳のとき『霧と影』でベストセラー作家に。
『雁の寺』『越前竹人形』『飢餓海峡』などの代表作により国民的人気を博した著者だが、そのまなざしは自然への畏敬、生命の讃歌、弱き者への温かさにあふれ、都会に暮らす現代人が忘れがちな「真の人間らしさ」を問いかけてくれる。
「愛着というものは、便利さにあるのではなくて、心をつくしたことにある」「竹はまがらない。まっすぐだ。節操を守って孤独に立つ」など、日常の折々の出来事に材を得ながら、滋味にあふれ、本質を射抜く至言に思わずはっとさせられる。
装画から本文の挿画まで作家自らの作品というファン垂涎の一冊。

◆内容(「BOOK」データベースより)◆
便利さ、効率のよさ、損か得かなど、都会に暮らす現代人の日常は、すべからく何らかの利得を動機に流れていく。
しかし、真の人間らしさとは何か。
自然への畏敬、生命への讃歌、人と人とのご縁への感謝…。文豪・水上勉が、身近の出来事から折々につづった随想をまとめた『閑話一滴』と『続・閑話一滴』を合本。

◆著者について◆
水上/勉
1919年、福井県生まれ。9歳で京都の仏門に入るが、17歳の時、僧院を脱走。
以来貧困と彷徨の生活を続け、40歳の時『霧と影』でベストセラー作家となる。
『雁の寺』(直木賞)、『五番町夕霧楼』『越前竹人形』『飢餓海峡』『一休』(谷崎潤一郎賞)、『寺泊』(川端康成文学賞)などの受賞作、ヒット作をはじめ、著書多数。

【読んだ理由】
新聞の書評を見て、半世紀近く前、私が18歳の時、生まれて始めて聞いた著名人の講演がこの方だったと思い出した。

【印象に残った一行】
「田のある家へ嫁いでくる女は、ハンの苗を持参いたします。何の為かというと、それはその家でやがて老いる、そして死ぬ時の用意の為です。ハンのきは生でもよく燃えます。死体を焼き損じないために使われたのです。自分を焼くハンの木の枝を持参した嫁は、どんなことにも辛抱したのだろうと思います」
岡崎さんの手紙は、そのハンの木の苗を嫁入り道具に入れていった昔の嫁さんの話である。しかも稲を干すためのものであったと同時に、もう一つ、自分が死んだ時に、焼くためのものだったそうだ。わたしははじめてそのことを知って、胸へずしーんと重石を投げ込まれた気がした。
ハンの木は生でもよく燃えるという、人間はいつ死ぬかわからない。いつ死んでも焼けるように、生でも燃える木を用意して嫁いだというのである。

「貴重なけものの毛は、雪国でなければ獲れません」
ぽつりと老匠はつぶやいた。遠い雪国の山奥で、一発の鉄砲が鳴る。そんな音を聞いた人はあろう。その山の鉄砲の音が、今日の大画家の使う筆につながると考えると、正しく、文化は道だと思えた。遠い不合理な阻路を潜り抜けて、大昔から筆の歩んだ道があった。

竹は三日は煮ないとやわらかくならない。皮や葉は早く煮あがるが、枝や幹を割ったのは、時間がかかる。その煮あがったものを臼に入れて、水車で数日突き崩していると、パンダの糞をそっくりの茶褐色のもちになるのである。
私たちはこれを竹もちとよぶ。人形の面にするのである。

【コメント】
久しぶりに心がホッコリするような読後感を味わった。

Daily Vocabulary(2015/05/24)

2015年05月24日 | Daily Vocabulary
16431.pipeline(進行中の)
There are a lot of projects in the pipeline.
16432.on track(順調な)
I am pleased ta say the project is on track.
16433.off track(軌道から外れている)
I wonder why the project has gone off track.
16434.golden opportunity(またとない機会)
You shouldn't miss this golden opportunity.
16435.consortium(共同事業体、連合)
It was constructed by a Japanese-Turkey consortium.
今日の英語ニュースを聞こう!NHK WORLD Daily News

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