保坂正康「田中角栄の昭和」 2012-09-20 | 読書 たまたまですけど,角栄本が続きます。保坂正康氏は,ち密な取材をもとにしっかりした内容の本を書く人。この本も角栄が生まれた時代から昭和の戦争,復興,高度成長という時代の政治史と,角栄自身のパーソナル・ヒストリーとを重ね合わせて描いたもので,全体像を俯瞰するのには良く出来た本だと思います。ただし,著者は過度の感情移入を排しているようで,全体的に淡々とした筆致。角栄の金権体質をえぐり出すような本ではありません。その方面は立花隆を読むに限ります。