マクロス外伝大本営 新統合軍極東太平洋軍管区司令部

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プロローグ後編 蒼い風

2016-08-22 12:59:22 | マクロス外伝蒼い髪のメルトラン
【太陽系.アステロイドベルト】

戦後、新統合政府ははぐれゼントラーディ軍部隊に悩まされていた。

はぐれゼントラーディとは
ボトル基幹艦隊決戦時、旗艦撃沈の混乱で別の基幹艦隊へ徹底できず
海賊化したゼントラーディ軍残党部隊の総称である。

残党部隊は太陽系各地で海賊行為を繰り返し
惑星間の航路が新統合宇宙軍の護衛艦なしで安心できないなど

安全保障上において厄介な敵であった。

そんな残党部隊と最前線で戦っているのが・・・・

「ランクジェーダ航路にはぐれゼントラーディの溜まり場がある、大至急攻撃を開始せよ!」

「第29海兵部隊、出撃作戦コードはブラボーB-5。」

新統合軍ゼントラーディ海兵隊と呼ばれるゼントラーディ人部隊だった。

ゼントラーディ人による海兵隊はゼントラーディ軍時代からの装備を
そのまま装備、もしくは地球の技術で改修した装備を用いて戦闘する部隊である。
隊員達や士官らはマイクローン化しておらず、地球人と共闘する機会が少なく

彼らを統率するブリタイ・クリダニク宇宙軍総司令官からの命令だけで動いていた

「またはぐれゼントラーディの部隊か、同じ練度だから飽きてきたな」

「それを言ってしまうの?」

「言ってしまう、まぁ敗残兵部隊だから仕方がないけど。同胞だから同情するけどさ」

第29海兵隊部隊の女性兵士三人がパイロットスーツを着込んで格納庫に来ていた。
男性のゼントラーディ人兵士に比べると若い可愛らしい女性であり
美女と言ってもいいぐらいで、グラビアアイドルのような体型だった。

そんな彼女らもメルトランと呼ばれるゼントラーディ人であり立派な戦闘種族の一員で
恐ろしくも残忍な性格をしていた。

そのうちの一人、蒼い髪のショートヘアのメルトランは
3人の中でも一番目付きが鋭く戦意がみなぎっていた。

「今回の出撃で私は何人の同胞を殺す思う?」

「何人って?」

「何人、まぁ数は分からない程だと思うけど」

格納庫に着いたメルトランの女性兵士は物騒な話をしていた。

<今回の出撃で何人の同胞を殺すか?>

彼女らは見た目は若い女性なのだが・・・・
元々戦争のために産まれてきた存在なためか、話が物騒。

産まれて間もない頃から実戦に出され、戦争の事しか関心がない。
いや戦争と言う概念の世界しか知らなかった

クローン兵士が故に父親や母親がおらず家族の愛情も知らない

全ては戦争のために産まれてきたのだから

「よし、出るぞ!」

ヘルメットのバイザーで蒼い髪が分かるメルトランのとあるパイロットが出撃した

中性的な顔つきをしており、下手したら顔のいい男の子に見てる顔つきであり
見るからに気の強そうな雰囲気が漂ってくる若い女性兵士だった。

蒼い髪のメルトランは2機の僚機にハンドサインを送り 

他の部隊に先行して3機、最前線の厳しい所へ飛び込んで行く

『またお前らか、先行のしすぎは慎め!』

「分かってますよ、でもこうしてるのも私達が無事に帰れると言う自信があるからなんですけど」

『な・・・・・なんだと!?』

当然の事ながら部隊の指揮官から叱られる。

叱られても気にせず、堂々と無事に生きて帰れると反論し
そのまま3機のクァドラン・ローは部隊から更に先行し前へ進出した。

指揮官は唖然とした顔をするが・・・・・・
すぐ怒りの顔になり3機のクァドラン・ローを追いかけた
このやりとりは戦闘が起きたら時の日常茶飯事な出来事であり
第29海兵隊部隊の名物でもあった。

「敵はリガードとヌージャデル・ガーを主力とした編隊、敵艦はキルトラ・ケルエール級1隻とスヴァール・サラン級1隻」

「数は少ないけど、数十機・・・・ 私達だけでやれる?」

「問題はない、1割は私達だけでも!殺るぞ!」

先行した蒼い髪のメルトランを中心としたクァドラン・ロー3機は敵部隊を確認

数は圧倒的倍であり、3機であるクァドラン・ローからしたら不利

そんな事を気にしてないのか、いやむしろこの状況を楽しんでおり
そのまま敵編隊に突っ込んでいった。

「よし一機ニ機、二つとも撃破!!お次は!!」

蒼い髪のメルトランの乗るクァドラン・ローが戦場に躍り出て
はぐれゼントラーディ軍のリガードをどんどん撃墜していった。

敵艦からの対宙砲火や敵編隊からの攻撃を物ともせず

回避に回避、一撃離脱戦法による攻撃を駆使しまた1機また1機
どんどん撃墜スコアを増やしていった。

「流石、相変わらずやるわね。」

「私達も負けずに頑張りますか」

他の2機のクァドラン・ローも蒼い髪のメルトランの戦闘に感心しているが
彼女らも負けずにどんどん敵兵を撃墜していき、戦場を駆けていった

しばらくして・・・・

戦場到達した多くの海兵隊員達は蒼い髪のメルトランの乗るクァドラン・ローに注目していた

「相変わらず、あのクァドラン・ローは動きがいいな。」

「当たり前だ、彼女は元ラプラミズ艦隊のエースだ。実力はミリア・ファリーナ・ジーナス中尉に匹敵するとか一歩劣るとか?」

「本当なのか?初めて知ったぞ」

3人のメルトランの兵士はゼントラーディ軍ラプラミズ艦隊の兵士であった

腕前はエースのミリアとして名高いミリア・ファリーナ・ジーナスに匹敵すると言われており
彼女らが海兵隊に所属する以前からも、エースパイロットとして活躍していた。

当の彼女達はミリア・ファリーナ・ジーナスの部下ではなく
別の部隊の所属であったが・・・・

「なんでそんな腕前の奴がここに?」

「元々、母艦に流れ着いた兵士だと。他の二人も同じだ、5タームくらい所属しているが、彼女らがラプラミズ艦隊の所属の兵士だった事実はうちの部隊ではあんまり触れてない事。まぁ気にすんな。」

「はぁ」

彼女らが海兵隊に所属しているのは、自らの意思で所属したのではなく・・・・
第29海兵隊の母艦に流れ着いたから

ボトル基幹艦隊決戦の混乱で原隊からはぐれ戦闘が落ち着いて

当初ブリタイ率いる艦隊の艦艇だった第29海兵隊の母艦に辿り着き

そのまま新統合軍に所属するに至った

そんな事を語るヌ―ジャデル・ガーやリガードやグラージを駆る海兵隊員を横目に
銀河をダンスをするかのように動くクァドランの蒼い髪をしたメルトランは
次々にはぐれゼントラーディの機体をスクラップにしてていた。

向かう所敵無しと・・・・・

しかし

「つまらない・・・・・・監察軍でもなく同胞殺しをやってきたけど、つまらない」

『くそ、裏切り者が!マイクローンに・・・・がぁ』

「いつの間にかマイクローンの軍に編入され、5ターム。私は一体何をしてるのだろう。」

蒼い髪のメルトランは戦いながら今の自分に疑念を感じていた。

10年前まではゼントラーディ軍ラプラミズ艦隊キヨラ隊の兵士としていた
第1次星間大戦ではマイクローンの軍艦であるマクロスに対しての包囲網に参加し・・・
ゼントラーディ軍兵士として普通に働いていた。

ある日を境に、所属していたラプラミズ艦隊が本隊から処刑対象にされ
同じく処刑対象のブリタイ率いる艦隊とカムジン率いる艦隊と共に・・・・
包囲対象だったマクロスと共闘し、ボトル基幹艦隊本隊(第118基幹艦隊)と交戦した
久々の戦闘だから、興奮してたが・・・戦闘内容が同士討ち

いつもの敵である監察軍ではなく、同じゼントラーディ軍の兵士。

戦力は絶望的に圧倒的に不利であり、勝つ見込みがない。
何よりも絶望したのが、同じゼントラーディ軍兵士との殺し合い

ゼントラーディ軍の兵士として誇りを持ってた彼女からしたら苦痛だった。

リン・ミンメイの歌が流れたながら戦ってたと後から知ったが・・
ショックが大きかったせいか、生き残りたかった本能か
歌の内容とミンメイと言う女を知らなかった

ー私は後何人、同胞を殺す?何人殺せば、この疑問から抜け出せるんだ?

蒼い髪のメルトランは海兵隊の兵士として戦い

その度に同法と戦っては殺してきた・・・・・一体何のために・・・

一体何のために戦ってきたのか・・・・・

「ベルタリア曹長は周りが文化と触れてるのに馴染めてなかった。一歩違えたらカムジンの反乱軍に混じってるぞ」

彼女は戦後、海兵隊に所属していたが中々文化に慣れず、戦闘だけに専念していた。

多くの同僚兵士達は地球に降りていたらカムジンの反乱軍に参加していたと言う始末
戦争の中でしか生きられない典型的なゼントラーディ人と言ってもいい程だ。

同胞の命を奪うことに抵抗は10年経った今でも抵抗はあるが・・・・
敵として現れる以上は徹底的に自分の力を奮って葬ってきた。
一体どれだけの同胞の命を奪ってきたかは分からないが・・・・

「敵艦隊への血路は開いた、アンジェミラ.メフィリア行くよ!」

こうしているうちに敵の編隊は沈黙し、敵艦隊へと血路を開いた。

蒼い髪のメルトランは僚機2機を呼ぶと、出撃の時と同じく先陣を切って
スヴァール・サラン級1隻に狙いを定め、カタパルト目掛け進撃

カタパルト近くの直掩機を排除すると艦内に侵入していった。

その後続には他のクァドラン・ローやクァドラン・ノナ部隊も続き・・・・
艦内における白兵戦に移行した。

「うわぁぁぁぁぁぁ来るなぁぁぁぁぁぁ」

3機は高速スピードを駆使し艦内にいる敵歩兵を排除していった。

目的はスヴァール・サラン級の拿捕であり、艦橋の制圧だ。
艦橋を制圧すれば戦闘も終結する。

順調に敵兵を排除し、艦橋に近づくも艦橋付近で頑強な抵抗にあってか
立ち往生してしまい、一旦撤退し距離をとってからミサイル攻撃を仕掛けた。

ミサイル攻撃により敵兵は粉々になり・・・・
そればかりか艦長や記録参謀も吹き飛ばしており艦橋にいた兵士は降参の意を示していた

「片付けたようだね、後は母艦に戻るだけだ。」

「捕虜はどうする?メフィリア」

「後続が来たら対応任せよう、そろそろ私達の母艦も来る頃だろうから」

艦橋を制圧し終えた後、彼女らは後続が来るまで艦内に留まった
捕虜が多数存在しており、下手に離れると襲ってくるかもしれない。  

適切な処置を終えてから母艦に戻らないと意味がない。

しばらく待ってると後続のクァドラン・ローとヌージャデル・ガーが到着。
戦後処理を任せると、艦橋から去りカタパルトから宇宙空間に出た

その頃になるとキルトラ・ケルエール級1隻が制圧され
第29海兵部隊の母艦であるケアドウル・マグドミラ級メルトラスが・・・・
僚艦の統合軍マークのあるスヴァール・サラン級2隻を引き連れて到着

各艦艇から出撃した艦内を制圧するための連絡艇が2隻目指し進撃していった。

「今回は味方に被害はなし、よかったな・・・・」

今回の任務における被害は、被弾した機体はあれど死傷者は一人も出なかった。
たまたま敵の陣形も乱れていた事もあり、まともに戦力になっておらず

圧勝と言ってもいいような結果であった。

いつもならば数人の死傷者が出ており、このような結果になる事は稀だ。

3機のクァドラン・ローはこうした状況下の中でメルトラスに帰還し
早々に3人のメルトランは機体から降りた

「今回の敵は練度も士気が低かったからね、私達の腕では当然」

「全くその通りだよ」

三人は仲の良さそうに今回の戦闘の結果を話し合っていた。

練度も士気も低かったから、今日の結果は当然の結果だと。
緑色の髪のメルトランと赤い髪のメルトランは笑いながらそう言っており

今回の戦果を誇らしく思っていた。

ただ蒼い髪のメルトランは少し虚しさを覚えるかの表情をしていた。

いくら敵だとは言え同胞だから・・・

まだ文化にも慣れない戦いにしか生きられない誇り高きゼントラーディ人としては苦痛
蒼い髪のメルトランはそう思っていた

苦しい思いを持ち誇り高い性格をもったこの蒼い髪のメルトランの名前は・・・

「ねぇ、ラウラ。今回の戦果はラウラ一番だよ。」

ラウラ・ベルタリア

ゼントラーディ軍第118基幹艦隊ラプラミズ艦隊に所属し
今は新統合軍第29海兵部隊に所属している、海兵隊隊員。

この蒼い髪のメルトランは後に可変戦闘機と出合い新たな物語の道を切り開く事になり
様々な人生経験をし、地球人としての自覚を持つようになっていく・・・・
そして家族を持つ人生の旅に出ようとしていた。

とは言え・・・・

この時のラウラは想像すらしていなかった。
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1 コメント

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Unknown (chaki_saku)
2020-05-13 15:19:31
プロローグを読んでいて本当にワクワクしてきて続きがとても気になる書き方だと思いました!
効果音(ドアを開ける音)の部分を文字のサイズが変えていて良いと思いました!
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