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岸田自公政権による国立大学法人法改悪や日本学術会議の統制と北里柴三郎のことば

2024-06-20 20:42:05 | 教育

 北里柴三郎(1852~1931)は東大卒で細菌学者。ドイツへ留学しコッホに学び、破傷風菌の純粋培養に成功した。1889年に帰国。1894年にペスト菌を発見し、血清療法の研究に尽した。1892年10月に福沢諭吉の援助を得て私立伝染病研究所を設立し初代所長となった。しかし、1915年に私立伝染病研究所の東大移管に反対し、私立北里研究所を起こした。1916年慶応大学医学部開設の際には福沢への恩義から初代部長となった。1923年には日本医師会初代会長となった。

 さて北里柴三郎は、安倍晋三政権が2024年に新たに発行するとしていた1000円札の肖像画に採用している人物である。彼の価値観を知れる「ことば」として、東大の緒方正規教授の在職25年祝賀会における門弟総代としての祝辞を以下に紹介しよう。

「時に或は学術上において、先生と意見の衝突をきたした事もありまして、先生の尊厳を冒し奉った事もございますが(緒方が脚気の病原菌を発見し発表したのに対し、実験手法の不備を指摘し病原菌発見を否定したが、北里の意見は正しかった事など)これは学術上の事で、正々堂々いわゆる君子の争いであります。……かくの如きは学問に忠実なる真正の研究者として、初めてこれをあえてなし得るのであります。かの学術研究の何物たるかを解せず、したがって意見なく、いたずらに他人の説に雷同附和する軽躁浮薄の輩、もしくは表面は服従を装い、裏面にてその事業を悪口するが如き者、総じて曲学阿世(曲学を以て世俗におもねり、任期に投ずる言説をなす事)の徒は、決してかくの如き趣味を伺い知るものではございません。」

 岸田自公政権改正国立大学法人法成立にこぎつけた。改正法は「一部の国立大に『運営方針会議』という合議体の設置を義務付ける。会議は学長と、外部の有識者も想定する3人以上の委員で構成し、中期目標予算の決定などを行う。学長選考に関しても意見を述べる事もできる。委員の選任には、文科相の承認が必要」という内容であり、「承認人事を通じて、大学の直接的支配に乗り出そうとしている。大学の自治への死刑宣告」と評すべきものである。又、日本学術会議の組織改編に関して内閣府が決定した法人化への基本方針「➀学術会議の会員選考に当たって外部有識者から意見を聞く『選考助言委員会』を設置 ➁外部者が過半の『運営助言委員会』を設置 ③大臣が任命する『監事』が業務や財務を監査 ④大臣任命の外部有識者による『評価委員会』が業務や運営を評価、などの内容で、「改正国立大学法人法」と同様に、大学の独立や自律性を否定する内容となっている。岸田自公政権独善的な目的完遂のために憲法を無視した、大学の自治学問研究の自由抑圧したり統制しようとするファッショ的な企てをやめるべきである。

(2024年1月8日投稿)

 

 

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