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『旧麗点館』(朝日新聞「いにしえナビ」):読者を愚弄した、洗脳効果も狙う説明内容

2020-07-27 18:44:01 | メディア

 2020年6月26日の朝日新聞記事「いにしえナビ」は『島本町立文化資料館(旧麗天館)』を取り上げた。建物の構造やデザインを主眼に取り上げたようであるが、併せて、この資料館の近くに存在する国史跡「桜井駅跡」や、「旧麗天館」がその「桜井駅跡」を記念する建物として1941年頃に建てられたと説明する内容であった。しかし、その内容はあまりにも粗雑で、報道を生業とするレベルのものではなく、読者の知識レベルを愚弄した稚拙な価値の低いものともいえるものであるし、また、この記事について知識の乏しい読者に対しては洗脳的影響を与える内容であるともいえるものである。

 それは、神聖天皇主権大日本帝国政府が、「桜井駅跡」をどのような目的で国史跡としたのかという事や、楠木正成親子については小学校教育の「修身科」において取り上げていた教材であったが、そこでは何を刷り込む(教化する)事が目的であったのかとか、そもそも「桜井の別れ」そのものが今日では「作り話」である事が学問的に明らかになっている事などについて、全く説明をしていないからである。

 また、麗天館は神聖天皇主権大日本帝国政府が、記紀神話を利用して捏造した神武天皇」(戦後は非科学的な作り話で架空の存在とみなされている)の即位を起算点とした皇紀2600(昭和15)年祝うのに際し、天皇の忠臣モデルとして最も相応しい人物として楠木正成親子の生き様を「顕彰」(讃えて広く社会に知らせ勧める事)するために建築した建物であった事を説明するのを故意に隠しているように思えるからである。そして、クイズに役立つ雑学博士レベルの浅い知識しか提供しない内容にとどめ、読者が価値観や歴史認識や判断力をさらに培うのを支えようとしているようには思えないからである。

 上記のような意味で、「いにしえナビ」『旧麗天館』の記事内容は、極めて稚拙で価値の乏しい内容となっており、読者を愚弄するものであるだけでなく、楠木親子についての知識が乏しい純朴な読者には洗脳効果を持つものと言える。

 今回のような価値の乏しい知識を伝えるだけの記事では、読者は不満不快であり、購読の必要性を薄れさせるだろう。瀬戸口和秀氏や掲載を許可した上司の価値観や歴史認識、資質に問題が有るのだろう。

※拙稿「楠木正成の世界への回帰を狙う安倍自公政権」(2020年4月17日投稿)をあわせてお読みください。

(2020年6月28日投稿)

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