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中江氏(元首相秘書官)の「問題意識伝達」は内面指導:大日本帝国政府が傀儡国家満州帝国皇帝を統制したのと同じ狡猾な責任回避の手法

2019-03-03 12:03:42 | アジア・太平洋戦争

 統計問題で、中江氏(元首相秘書官)が、2015年3月31日に首相官邸で姉崎氏(厚労省統計情報部長)らから総入れ替えの影響について説明を受け、「経済の実態を適切に表すために、専門家に意見を聞くなど改善の可能性を考えるべきではないか」という調査手法の変更を促す「問題意識」を伝え、結果は首相秘書官(つまり安倍首相、安倍自公政権)の意向通りになっている。しかし、それを「個人の意見」「首相の指示はなかった」と主張しているのであるが、これは権力者による一つの統制手法であり、上西充子法政大教授の言葉を借れば「自分の意向を伝えていないように装うため、本来指示なのに意味を限定して使う」指示手法である。暗示による指示手法と言っても良い。      

 歴史を顧みれば、神聖天皇主権大日本帝国政府陸軍関東軍が、謀略によって樹立した傀儡国家満州帝国の皇帝らを統制した手法「内面指導」と同一の統制手法であり、安倍自公政権はその手法を真摯に誠実に受け継ぎ行使していると考えてよい。この手法は神聖天皇主権大日本帝国政府陸軍関東軍が皇帝らに対する圧力強制性を隠蔽し、その加害責任を問われた場合、それを回避する事を可能とする事を狙った手法であった。

 愛新覚羅溥儀がその著『わが半生』で述べている。それは、

「関東軍は高圧の電源のようなもの、私は正確敏活なモーターのようなものであり、吉岡安直(関東軍高級参謀、満州国帝室御用掛=皇室秘書)は伝導性の優れた電線だった。関東軍の意志は、すべてこの電線を通じて私に伝えられた。私の外出、賓客の接見、礼式、臣民への訓示、祝賀の宴会での乾杯、さてはうなずく事、微笑する事に至るまで、すべてが吉岡の指揮の下に行わねばならなかった。私が誰に会ってよいか、誰に会ってはいけないか、会ったら何をしゃべるか、またどんな会に出席するか、会では何を話すか等々、すべて彼の言いつけに従った。私が言うべき事は、大部分彼があらかじめ日本式の中国語でメモに書きつけてあった」

「ある日、吉岡が私に向かって、日本の天皇は天照大神の子孫であり、各代の天皇はすべて「現人神」、すなわち大神の化身である事、日本人民で天皇のために死んだ者は死後誰でも神になる事を説明した。私は経験から、これはまた関東軍がこの高圧線を使って送電してきているのだという事を知った。私は彼の言った神話について、何日もかかって考えたが、何の結論も出てこなかった。事実は、関東軍がまた私にやらせる事を一つ思いついたのだった。……関東軍司令官・植田謙吉が本国へ召還される間際にこう述べた。日満親善、精神が一体なのだから、満州国は宗教上も日本と一致すべきだ。彼は私がこの事を考慮してみるよう希望する、というのである。……後任の関東軍司令官梅津美治郎吉岡を通じて私に本音をはいた。日本の宗教は取りも直さず満州の宗教である。日本皇族の祖先「天照大神」を迎えて国教とすべきだというのである。また、今はちょうど日本の神武天皇紀元二千六百年の大慶事に当たっている。大神を迎えるのに絶好の機会だ、自ら日本へお祝いに行き、同時にこの事を取り決めるべきだ、とも言った」

 そして、1940年5月、溥儀の2度目の訪日の際の裕仁天皇との会見について、下記のように書いている。

「裕仁天皇と会見した時、私は吉岡安直が私に書いておいてくれた台詞を取り出し、その通り読み上げた。大意は、「日満一徳一心、分割しえぬ」関係を体現するため、私は日本の天照大神を「満州国」に迎えて奉祀する事を希望する、というものである。天皇の答えはすこぶる簡単、次の一言だけだった。「陛下がそうお望みになる以上、御意に従わなければなりません」」

 上記にみえる姿が神聖天皇主権大日本帝国陸軍関東軍による満州帝国皇帝らに対して行われた「内面指導」という統制手法である。その指導の対象となった者は、関東軍に「へつらう、こびる、追従する」姿勢対応を至上価値とする「奴隷根性」をしつけられ「仕え」たのである。

 今日の「統計問題」においては、上西充子法政大教授の述べているように、過去の賃金データの伸び率がマイナスになる可能性がある総入れ替え方式を続けたくない、とする首相、中江氏(首相秘書官)らは、『個人の意見として問題意識を伝えた』という官僚公務員に対する「内面指導」を通して、自分たちの意向通りに作り変え(改竄)させたのである。

 そして、自己の責任を回避するために、安倍首相は、中江氏が首相に国会答弁の勉強会で勤労統計を説明したと述べている事について「正直まったく覚えていない」と無関係を装い、姉崎猛・厚労相統計情報部長は、厚労省担当者が官邸の内閣参事官に検討会の情況を報告していた事が同省公表メールで明らかになったが、「内閣参事官と直接話した記憶はない」として官邸の影響を否定している。中江元哉・首相秘書官は、「有識者検討会でどういう議論が行われたか、結果について報告を受けた記憶はない」として指示したと認めていない。 

(2019年3月3日投稿) 

 

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