好曲好盤探訪

名曲か、名盤か、というより、個人的好みで好きな曲の好きな演奏との出会いを求めてボチボチと。同じような方の参考になれば

チャイコフスキー ピアノ協奏曲第1番 トリフォノフ/ゲルギエフ/マリインスキー管

2015-05-21 23:16:51 | チャイコフスキー ピアノ協奏曲第1番
チャイコフスキー
ピアノ協奏曲第1番

ピアノ…トリフォノフ
指揮…ゲルギエフ
演奏…マリインスキー管
好み度…4.5(5点満点)

若き才能あるピアニストの表現意欲旺盛な独奏に、達者な指揮者とオケが表現力豊かにしっかりサポートした好演。
第1楽章冒頭から、ペダルも多用しての「こう弾きたい」という思いの乗ったピアノは、
それでも勢い余って弾き急ぐでもなく、こちらもゆったり柔らかく情緒豊かなオケの音に乗って、双方良い意味で演奏を楽しんでいるかのように、
全体としてゴージャスといえるような雰囲気を醸し出している。
第2楽章は少しテンポは速めの設定。
とはいえ第1楽章でもそうだが弱音部の音もしっかり美しく、この楽章のもつ清楚な雰囲気もしっかりつくりだしていて、
終楽章はどちらかといえば少しおとしめのテンポ。
慌てず、弾き急ぐことなく、ともすれば目まぐるしいだけで終わってしまうこの楽章を、表現豊かに、ときにダイナミックに弾ききっている。
ピアノの旺盛な表現力と、ピアノ、オケの柔らかくゴージャスな雰囲気はこの曲に合っていて、録音の多いこの曲の中でも、印象的な好盤である。
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ベートーヴェン 交響曲第5番「運命」 セル/クリーヴランド管

2015-05-21 23:12:19 | ベートーヴェン 交響曲第5番「運命」
ベートーヴェン
交響曲第5番「運命」

指揮…セル
演奏…クリーヴランド管
好み度…3.5(5点満点)

オーソドックスに、しっかり端正に高い完成度をもって演奏された盤。
響きは軽くはなくしっかり鳴らされてはいるが、いってみればどこか標準的。
展開も楽器の出し入れもドラマティック性というよりは端正な印象。
第1楽章等は深みとキレが同居したよい雰囲気だが、終楽章がやや線が細くかっちり整っているが厚みに欠ける印象であり、それが演奏全体の印象となっているかもしれない。
同じセルなら響きの迫力とキレ、緊張感、燃焼度とも段違いのウィーンフィル盤を推す。
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チャイコフスキー 交響曲第6番「悲愴」 リットン/ボーンマス響

2015-05-18 22:28:20 | チャイコフスキー 交響曲第6番「悲愴」
チャイコフスキー
交響曲第6番「悲愴」

指揮…リットン
演奏…ボーンマス響
好み度…4.5(5点満点)

丁寧に、美しく仕上げられた悲愴。
低弦をきれいにしっかり効かせながら、アンサンブルも旋律の謳い方も丁寧で美しく、
かつ、第一楽章の展開部などでは十分な厚みと迫力もあわせ持っている。
録音も上々。
第一楽章の第2主題などもゆっくり丁寧に謳われ実に美しいし、終楽章もゆっくり丁寧に自然と情感があふれるかのような、悲壮感というよりは慈愛を感じるような、ちょっとなかなか聴かれない美しさである。
第3楽章は結構盛大に鳴らす部分とあえて音量を絞っているとも思われる部分とがあったりして、がむしゃらな推進力の行進曲を期待する向きにはもの足りなさを感じるかもしれない。
ただ、この演奏では、第3楽章のそういった点よりも両端楽章の美しさのほうがはるかに印象的である。
完成度も高く、激しく迫り来る絶望や慟哭ではない、慈しみにも似た情感にじむような美しさが印象的な、私にとっては名盤です。
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ブラームス 交響曲第1番 ティーレマン/ミュンヘンフィル

2015-05-18 22:24:07 | ブラームス 交響曲第1番
ブラームス
交響曲第1番

指揮…ティーレマン
演奏…ミュンヘンフィル
好み度…4(5点満点)

終楽章に19分弱をかけているように、テンポは終始ゆっくりめ。
厚く美しい響きではあるが、オケを鳴らしきっている感覚はなく、他に秀でた力感や緊迫感あるいは覇気は感じず、地をうごめくような重厚感は雰囲気を感じさせつつ、少しの退屈感と不完全燃焼感を覚えるようでもある。
ミュンヘンフィルの響きも、美しいがチェリの頃の独特の深みとまではいっていない印象。
ただ、終楽章は結構な聴きもの。
ホルンによる独奏と続くホルンが重なりあって奏されるあたりでようやく情感と雄大さが聴かれて音楽が生きはじめる感があり、
有名な主題の弦楽器による1回目の提示の前で完全に音を止め、静寂の中から静かに奏される主題は新鮮であり美しい。聴き慣れた主題のはずがこれは別物の感がある。
フィナーレの前に思い切ってテンポを落とすあたりもごく自然に続く高揚への雰囲気をつくっていて、たっぷり謳う凱歌は個人的にはかなり心地よい。
オーソドックスのようでそうでない、ブラ1を聴いたようなそうでないような、聴き終わって何か不思議な感覚を感じるブラ1である。
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ブラームス 交響曲第2番 ショルティ/シカゴ響

2015-05-18 22:18:10 | ブラームス 交響曲第2番
ブラームス 
交響曲第2番

指揮…ショルティ
演奏…シカゴ響
好み度…4(5点満点)

巷では大分評価が高いように見受けられる盤。
ショルティとシカゴ響はここでもしっとりとか重厚とかとはちがい、輪郭のはっきりした機能的な響きで聴かせており、深みには欠けるかもしれないが、明るく機能的に、優れた響きとアンサンブルで旋律も美しく歌った質の高い演奏を展開していると思う。
第1楽章など明るい中にも叙情味も感じさせて好演。
第2、第3楽章は上手さは標準以上、感銘は標準くらい、といったところか。
終楽章は早めのテンポで快活。重量感とかはあまり感じないが、早い割にはメリハリもつけて結構しっかり鳴っているのはさすがにシカゴで、少々軽い感もないではないが、この楽章に快活さや疾走感などを求めたい向きにはよいように思う。
深みや特有の雰囲気とかでなく、しっかり鳴った均整のとれたアンサンブルや機能美、完成度の高さ(ある意味それがこのコンビの特有の雰囲気かもしれないが)という物差しで見るならば名演といわれるのも頷ける感はある。
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ブラームス 交響曲第2番 チェリビダッケ/ミュンヘンフィル

2015-05-16 23:16:39 | ブラームス 交響曲第2番
ブラームス
交響曲第2番

指揮…チェリビダッケ
演奏…ミュンヘンフィル
好み度…5(5点満点)

相変わらずこのコンビの完成度の高さには舌を巻く思いである。
2番のもつ明るさというよりはチェリらしい厳かにも似た独特で美しい世界が展開されている。
この厚くも透明感ある伸びやかな弦の響きはどこからくるのだろうと思うし、このコンビにかかると木管や金管の響きすら独特なのは何故だろうとも思う。
常に厚い響きというわけではないが、かえって美しく浮き上がる木管や静かに伸びる弦などの美しさを感じられる思いもするし、
ここぞというときには存分に美しさを保った厚さと、ときに刺すかのような金管の響きが加わって独特の美しさをつくりあげている。
第1楽章や第2楽章などはなごやかな田園というよりは教会での厳かな調べを聴くような独特の美しさであり、
快活な終楽章は合わないかとも思いきや、金管の使い方もなかなか効果的に、少しゆっくりめのテンポに、厚みをもった美しさと躍動感が完成度高く同居して名演。
名盤ですね。
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ベートーヴェン ピアノ協奏曲第5番「皇帝」 グルダ/シュタイン/ウィーンフィル

2015-05-16 23:11:51 | ベートーヴェン ピアノ協奏曲第5番「皇帝」&第4番
ベートーヴェン
ピアノ協奏曲第5番「皇帝」

ピアノ…グルダ
指揮…シュタイン
演奏…ウィーンフィル
好み度…5(5点満点)

何とまぁ、生き生きと、奔放な皇帝であろうか。
グルダという人はジャズなどの活動もしていたそうだが、少し硬めの乾き目の音質も手伝って、即興的な自由奔放な雰囲気を持った生き生きとしたピアノである。
叙情性とか、優美とか、哲学とかでない、何かから自由になるような、そんなピアノである。
また、一音一音の透明感もこの盤ならではと思う。第2楽章も十分に美しい(オケも美しい)し、終楽章、自由奔放にいろいろな表情を見せる様は爽快である。
シュタインとウィーンフィルの演奏も、自分たちの音をしっかりつくりつつ活き活きと、奔放なピアノとしっかり相容れながらさすがの演奏を展開している。
奔放で、颯爽とした、気品と開放感に満ちた活力あふれる名盤。
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ドヴォルザーク 交響曲第9番「新世界より コンドラシン/ウィーンフィル

2015-05-16 23:03:25 | ドヴォルザーク 交響曲第9番 新世界より
ドヴォルザーク
交響曲第9番「新世界より」

指揮…コンドラシン
演奏…ウィーンフィル
好み度…5(5点満点)

なんともカッコイイ新世界。
大人のカッコよさ。ちゃんとして毅然としてかっこいいのである。
音には艶があり低弦の睨みがあり、は
しゃがない金管の咆哮があり、
ビシッとシャープで厚い響きがあり、
そして時折見せる金管の新鮮なアプローチもはまっている。
テンポは第3楽章叙情部が少し遅くて第2楽章がほんの少し速いかな、と感じる他は標準的。
ただ、第2楽章の速さもこの演奏では軽さでなく切実さに昇華しているように思う。
これはウィーンフィルのうまさと美音の貢献も大きいと思う。
第3楽章までもよいが、第4楽章にはいってさらに俄然生き生きとしてくる。
冒頭から弦の厚みと艶はいよいよ増し、金管による主題もかっこよい。最後のたっぷり謳うフィナーレまで、これくらい密度濃く生き生きと聴かせる第4楽章もそうはないと思う。
コンドラシンの厳しく熱い音作りと、ウィーンフィルの美音と底力による、緊迫感の中に情感も湛えた名盤です。
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ベートーヴェン 交響曲第5番「運命」 マルケヴィチ/パリ・ラムルー管

2015-05-15 23:06:12 | ベートーヴェン 交響曲第5番「運命」
ベートーヴェン
交響曲第5番「運命」

指揮…マルケヴィチ
演奏…パリ・ラムルー管 
好み度…4.5(5点満点)

これ、結構な名盤だと思うんですよね。
冒頭から力強い響きが鳴り渡るし、その後もメリハリつけて暴れんばかりに各楽器が鳴り渡る。
第2楽章は颯爽感を感じる味付けが珍しいけど、なるほどこんな第2楽章もありかな、と感じさせるし、
終楽章の明るい爆発力は、トランペットのちょっと珍しいけど効果的な使い方も印象的でこの盤特有のもので圧倒されんばかりのもの。
古風ではないが燃焼度の大変高い、熱く颯爽とした他の盤では聴くことのできない演奏だと思う。
惜しむらくは録音、ちょっと残響に空洞間があるのと、終楽章で音割れが感じられるのが残念ではある。
ただ、それも忘れてしまうくらいの息をつかせぬ圧倒感に満ちた颯爽とした、やっぱり名盤だと思う。

2016.12.17 追記
久しぶりに聴いたけど、激しいというには華やかでもあり、華やかというにはあまりにも力強い、流れるように弾かれる弦の圧倒的な爽快感や第2楽章なのに堂々と明るく力強い響き、終楽章の活き活きとした特有のトランペットも印象的な爽快な圧倒感、などなど、これほど爽快な燃焼感に満ちた演奏もなかろう、と思わせる、やっぱり他にはない名盤だなぁ、と思う。
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サン=サーンス 交響曲第3番 小林/チェコフィル

2015-05-15 22:57:09 | サン=サーンス
サン=サーンス
交響曲第3番

指揮…小林
演奏…チェコフィル
オルガン…バールタ
好み度…4(5点満点)

全体に美しい録音(特に弦楽器が美しい)とまさに教会を思わせる残響美しい響きで、神聖な雰囲気をまといつつも堂々とした演奏と思う。
少し妖しい雰囲気を醸す出だしとかいいし、第1楽章2部なんてちょっとうっとりするほどに美しい。
第2楽章1部もそれなりに艶とハリがあって悪くない。第1楽章だけなら個人的にはマルティノン盤の上をゆくかもしれない。
2部のオルガンも荘厳でいいのだが、惜しむらくは2部がオルガンと管楽器中心の音で弦楽器が引っこんでしまったこと。
少しのことのようで、でも結構演奏全体の印象に結構与える影響あって、個人的には残念である。
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