好曲好盤探訪

名曲か、名盤か、というより、個人的好みで好きな曲の好きな演奏との出会いを求めてボチボチと。同じような方の参考になれば

ブラームス 交響曲第4番 ベルティーニ/ケルン放送響

2016-02-26 23:25:11 | ブラームス 交響曲第4番
ブラームス
交響曲第4番

指揮…ベルティーニ
演奏…ケルン放送響
好み度…4(5点満点)

第1楽章は少しだけゆったりしたテンポでしっかり弾かれた弦の響きは清らかで深みのある響きで、木管や金管も重なってブラ4ならではの響きをつくってなかなか秀逸のように思う。
第2楽章も静かに美しい音楽が展開され、続く第3楽章も力感は抑え目に騒々しくならずに無難な雰囲気。
なかなか美しく雰囲気あるブラームスのように感じるが、終楽章がやや力感に欠けるか、との印象はある。
あえて、かもしれないが、別に力感でなくてもよいが、もうちょっと何かを聴かせてほしかったというか、そんな感はある。
ただ、第1楽章等は雰囲気も良質の力感も感じるし、全体として良演とは思う。

チャイコフスキー 交響曲第5番 ショルティ/シカゴ響

2016-02-26 23:17:53 | チャイコフスキー 交響曲第5番
チャイコフスキー
交響曲第5番

指揮…ショルティ
演奏…シカゴ響
好み度…4(5点満点)

1975年録音の盤。
このコンビはここでも絢爛であり華麗である。
名人達人の上質のエンターテイナーである。
金管は濁らず華麗に音を重ね弦楽器も艶やかに美しい音を流麗に奏でる。
各パートの音は濁らず輪郭もはっきりと分離され一糸乱れぬアンサンブルも流石。
深みとか渋みとか重量感とか、とはちがったベクトルの、絢爛明晰な垢抜けた響きで、旋律も心地よく流麗に謳われる。
特に何を感じるわけでも残すわけでもなく心地よく勇壮な音楽が流れていくといえばそれまでだが、この曲はそれでもいいのだとも思う。
この曲のそういった側面を聴くならば上質の盤のように思う。
※20170505文章変更

チャイコフスキー ピアノ協奏曲第1番 アシュケナージ/マゼール/ロンドン響

2016-02-26 23:14:12 | チャイコフスキー ピアノ協奏曲第1番
チャイコフスキー
ピアノ協奏曲第1番

ピアノ…アシュケナージ
指揮…マゼール
演奏…ロンドン響
好み度…4.5(5点満点)

やっぱりアシュケナージは優しいのである。強奏部でもう少し力強さがあっても…と思うのはアシュケナージの常みたいなところもあるが、叙情部に限らず一音一音の響きは、やはりこの曲でもさすがと思わせる美しさを湛えている。
また、1つ1つのフレーズあるいは一音一音に表現を与える繊細な豊かさはこの人ならではの感もある。豊かで、清らかで、美しいピアノである。
そしてマゼールがまたいい。切れとメリハリも効かせ、どことなく新鮮味を感じさせる、内声も十分意識された堂々たる演奏を繰り広げている。
ロンドン響もやっぱり天下一品である。
出だしのホルンから勢いと緊張感を湛え、ピアノは最初こそ少しこもった感の音で入るが、次第に光沢を増し、美しくはりのある序奏部で曲は始まり、艶と緊張感と新鮮さの交錯する充実の第一楽章である。
第2楽章でのピアノはそれほど弱くせず、輪郭をはっきりさせつつ明るい美しさを感じる演奏。
終楽章は早めのテンポ、美しさに快活さを加えたピアノとオケは集中力の切れることなく、豪快なフィナーレで〆ている。
マゼールの剛とアシュケナージの柔、ミスマッチのようでそうでない、これはやはりこの曲の名盤といえると思う。

チャイコフスキー 交響曲第6番「悲愴」 ライナー/シカゴ響

2016-02-07 22:51:50 | チャイコフスキー 交響曲第6番「悲愴」
チャイコフスキー
交響曲第6番「悲愴」

指揮…ライナー
演奏…シカゴ響
好み度…4(5点満点)

がっちり統制のとれたアンサンブルとオケの厚さや力量の高さはさすがと感じさせる。
重みやほの暗さを感じさせるタイプの演奏ではなく、第1楽章の第2主題などもむしろ明るさを感じるくらいである。
第1楽章ではむしろ展開部以降のほうがテンポを落とし、展開部冒頭の厚みとキレはさすがだし、重量感もあってこのコンビのよさを感じられるように思う。
第3楽章はこのコンビらしく上手く節度をもった豪快さ、終楽章も厚さと上手さと美しさはさすがで、ときに深みも感じさせる美しさだが、その美しさはここでも悲愴感とか耽美的とかというよりはもう少し機能的な客観性を効かせた美しさと感じる。悲愴感とか情感とかよりも音響的にドライにこの曲を聴きたい向きにはよいかもしれない。

ベートーヴェン 交響曲第5番「運命」 クライバー/ウィーンフィル

2016-02-07 22:48:12 | ベートーヴェン 交響曲第5番「運命」
ベートーヴェン
交響曲第5番「運命」

指揮…クライバー
演奏…ウィーンフィル
好み度…4(5点満点)

クライバーの演奏は、どこか風のようである。引き締まった風である。
精神性とか哲学とかでなく、ひたすらに心地よく、吹き去った後はほのかな心地よさと爽快感を残して何もなかったかのようである。
スケール感とかでなく、純粋に音とリズムと旋律から生まれる心地よさを楽しむかのようである。
それはそれとして、この盤、運命の名盤といえばまず名前の挙がる盤でしょう。
厚いけど重苦しくなく、大変スタイリッシュかつどこか古風な香りや威厳も備えた響きと適度なスピード感と躍動感。
やっぱりすごい演奏だと思います。
少なくとも第1楽章はまさに文句なしの大名盤たる演奏でしょう。まさにクラシックの代名詞のような「運命」でありながら古臭くなくカッコいい。
続く2つの楽章でも第3楽章でのホルンの吹かせ方など、さすがクライバーと思わせるカッコよさがあり、終楽章も冒頭の凱歌やホルンの強奏部等はスタイリッシュで楽器の出し入れもツボにはまっていてとてもいい感じなのだが、個人的には終楽章に入って特に弦の躍動感が薄れるというか線が細くなるというか、全体的にも輝きがやや薄れる感があり、その点がやや残念なところ。
その点だけのようでそれが全体の印象として結構小さくなかったりもするのですが。
とはいえ、やっぱり名盤にはちがいないでしょうねぇ、これは。

ラフマニノフ ピアノ協奏曲第2番 ポコルナ/ワルドハンス/ブルノ国立フィル

2016-02-07 22:43:41 | ラフマニノフ ピアノ協奏曲第2番
ラフマニノフ
ピアノ協奏曲第2番

ピアノ…ポコルナ
指揮…ワルドハンス
演奏…ブルノ国立フィル
好み度…4(5点満点)

奔放で野性的な印象を受ける演奏といえるのではないだろうか。
ピアノもオケも結構自由に演奏しており、音もどこか激しさを秘めている。
展開も、例えば冒頭は徐々に音を大きくしていってオケとの主題、でなく、途中で一度音量を落としてからの主題だし、終楽章の出だしも他の演奏では目まぐるしく弾き通してしまうところを一音一音わかるくらいの速さで別の曲みたいだし。
ただ、奇をてらうのでなく、このピアニストの真摯な解釈であり意志が感じられるようで変な違和感はないし、かなり個性的だけど所謂ラフマニノフ的な叙情性もほのかに感じさせる。
ピアノには結構力も感じられるし、表現意欲旺盛な感もあって、どちらかといえば同じような雰囲気の多いこの曲の録音の中にあってはちょっと魅力を放っているようにも思う。
第1楽章冒頭は、和音の一音一音が余韻の中に現れてくるというか、ちょっと雰囲気を感じさせ、オケとの協奏部分もピアノが存分に存在感あって結構雰囲気ある出だしだし、終楽章出だしもこんな音あったのか、という新鮮さもあり悪くない。
第2楽章は切ないような叙情性とかというよりは凛とした美しさを感じるかな。
フィナーレをそれなりに厚いながらも何の未練もないかのようにあっさりやっているのもこの演奏らしいといえばらしいかもしれない。
この曲の録音の中では変り種かもしれないが、意思の通った共感できる変り種のように思う。

ブラームス 交響曲第4番 デイヴィス/バイエルン放送響

2016-02-06 22:19:29 | ブラームス 交響曲第4番
ブラームス
交響曲第4番

指揮…デイヴィス
演奏…バイエルン放送響
好み度…4(5点満点)

地味といえばかなり地味だが、くどくならずに、自然に厚く清らかに響かせた、しっとり美しいブラ4のように思う。
重厚感だったり力強さだったりというものはないが、しっかりした清らかな低弦は安定感と独特の雰囲気を醸し(というよりこの低弦が印象的な盤といえるように思う)、重なり合う高弦は美しく、金管は控えめながら力を添え、清らかな響きと落ち着いたテンポは自然な情感をまとっている。
特に第2楽章は美しい。
丁寧に作りこまれた響きをこれくらい自然に聴かせるのはこのコンビならではと思うし、このアンサンブルと清らかな響きはバイエルンならではなのかな、と思う。
情緒的によどむようで力感に欠けるといえばそうかもしれないが、このコンビの、力強さは敢えて封印したかのような、それでいて厚く清らかにときに深く重なり合うこの響きはブラームスの中ではやはりこの曲が合うのだと思う。
この曲はこれくらい落ち着いた清らかさで聴かせてくれるのもいいと思う。

チャイコフスキー 交響曲第4番 ムラヴィンスキー/レニングラードフィル

2016-02-06 22:14:45 | チャイコフスキー 交響曲第4番
チャイコフスキー
交響曲第4番

指揮…ムラヴィンスキー
演奏…レニングラードフィル
好み度…4(5点満点)

長年名盤として君臨する盤ですね。
冒頭の主題の咆哮からしてロシア的雰囲気を感じさせる咆哮で、続く全奏2音は空気を震撼させる大音量と音の揃い様であり、その後も高低弦楽器の凄みと迫力、太い金管の咆哮、テンポとレンジを細かく動かしての旋律の謳い方とそれでも一糸乱れぬアンサンブル…このコンビの底力を見せ付けるかのようですらあり、音の迫力、厳しさにおいて、鍛え上げられた職業人たちの一級の仕事を感じる。
凄まじいまでにすごいなと思いつつ、ココロにくるものを感じない気もするが、この演奏はそのすごさで十分という気もする。
個人的にはトランペットの尖った金属的な響きがちょっと耳に障る感があるのと、終楽章最初のほう、ちょっとめまぐるしい感があるのと、あまりの速さ故か弦の響きが細い気がしないでもないけれど、フィナーレの熱狂度もさすがだし、個人的な印象としては熱さや情感は感じず、いってみればすごいサイボーグのような印象だが、やっぱり名演と言われるのも頷ける気はする。

チャイコフスキー 交響曲第6番「悲愴」 ヴィト/ポーランド国立放送響

2016-02-06 22:10:31 | チャイコフスキー 交響曲第6番「悲愴」
チャイコフスキー 
交響曲第6番「悲愴」

指揮…ヴィト
演奏…ポーランド国立放送響
好み度…4(5点満点)

特に上手いというわけではないのだろうけど、響きには素朴で落ち着いたな飾り気のない情感が漂う。
ビシッとした力感や緊張感には欠けるところもあり、第1楽章展開部などちょっともやっとした感を受けるようでもあるが、第2主題での弦の重なりでは落ち着いた美しさがあるし、展開部クライマックスでは特に激しくはないが切ないほどの情をかもし出したりもしている。
第2、第3楽章は特に感銘もないが、終楽章では、柔らかく奥行きのある弦の響きが慈しむかのような優しさを湛えた雰囲気をつくってなかなか感銘深い。
上手さや力感は感じないが、素朴で柔らかな情感を感じる良盤と思う。