好曲好盤探訪

名曲か、名盤か、というより、個人的好みで好きな曲の好きな演奏との出会いを求めてボチボチと。同じような方の参考になれば

ベートーヴェン 交響曲第9番「合唱」 ブロムシュテット/ドレスデンシュターツカペレ/ドレスデン国立歌劇場合唱団 他

2017-12-23 23:20:22 | べートーヴェン 交響曲第9「合唱」
ベートーヴェン
交響曲第9番「合唱」

指揮…ブロムシュテット
演奏…ドレスデンシュターツカペレ 
合唱…ドレスデン国立歌劇場合唱団 他 
好み度…5(5点満点)

ライブ盤。残響はやや少な目の響きだが、無機的になったり硬くなったりといった印象を受けないのはこのオケだからだろうか。
録音もこのオケの美音をしっかり伝えて上々。
第1楽章、第2楽章と残響によるごまかしが効かない中、びしっと上質の音を揃えて張り詰めたような緊張感がひしひしと伝わってくるようであり、ちょっと古風で艶のある響きと高い緊張感と技量に支えられたアンサンブルは、力強く、また、その上質さはそれによって敬虔な雰囲気をまとうようでもあり、これだけ一糸乱れず整いながら激しさが迫るようでもある。ティンパニがうまいこと力感と激しさを付加しつつ全編にわたって演奏を力強くひき締めている。
第3楽章は深みとか情とかというよりは実体のない幽玄の世界のような美しさ。
終楽章、独唱は最初のバスは緊張感が伝わってくるようでもあるが、その後は皆うまいものだしキンキン突出することもなくよいバランス。
合唱は見事で美しく力強い。歓喜の歌もこれぞ歓喜の歌というくらいに歌い上げる。輪郭のはっきりした力強さが印象的で、かつ濁らずに、広がりも感じさせつつ、まさに歌い上げる力強さに満ちている。オケも力強い合唱に霞むことなくしっかり美しく絡んでいる。
特に情を強く出すということもしていないし熱いわけでもない。どこまでも正統だが、高い技術と集中力による響きが自然と高揚感伴う力感と敬虔さを漂わせたような、高い完成度も伴った緊張感に満ちた名演。
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ドヴォルザーク 交響曲第8番 サヴァリッシュ/フィラデルフィア管

2017-12-23 23:17:41 | ドヴォルザーク 交響曲第8番
ドヴォルザーク 
交響曲第8番 

指揮…サヴァリッシュ
演奏…フィラデルフィア管
好み度…4(5点満点)

サヴァリッシュらしく美しく無難にまとめられている。
テンポも楽器の出し入れも至って典型的であり、覇気とか活力とか野性味とかよりも落ち着いた安定感ある演奏のように思う。
金管はどちらかといえば控えめか。
そういう感じなので、特に難はなく響きも美しい上質の演奏かとは思うが、反面、何となく物足りないといえばものたりないかもしれない。
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ベートーヴェン 交響曲第5番「運命」 トーマス/サンフランシスコ響

2017-12-23 23:14:59 | ベートーヴェン 交響曲第5番「運命」
ベートーヴェン 
交響曲第5番「運命」 

指揮…トーマス
演奏…サンフランシスコ響
好み度…4.5(5点満点)

情熱や情感溢れるタイプの演奏ではない。なので少しもの足りなく感じるかもしれない。
ただ、運命だけど、激しさや情感を探すことをやめて耳を傾けてみれば、しっかり音をそろえた豊かで厚いアンサンブルと結構堂々とした響きはなかなかのもの。
ベートーヴェンならではの香りといったものも特に感じさせず、どこか現代的でありながら、洗練された厚い響きと豊かなアンサンブルはこの指揮者らしくもあり、心地よく爽快な運命のように思う。ホルンをもう少しおおらかに吹かせていたら…とも思わないでもないが、堂々とした響きと力感も保ちつつも一音一音しっかりつくられている内声も豊かなアンサンブルは、なかなかに堂々として爽快な演奏と思う。
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ブラームス 交響曲第2番 ラトル/ベルリンフィル

2017-12-09 12:16:35 | ブラームス 交響曲第2番
ブラームス 
交響曲第2番 

指揮…ラトル
演奏…ベルリンフィル
好み度…4.5(5点満点)

各楽器が厚くどっしりと響きながら、オーソドックスなテンポで押し通す。
ベルリンフィルらしく暗くならない重厚な響きは風格を感じさせ、ソロの上手さや各楽器群の深みや重みを自在に表現するかのような響き、低弦はじめ内声もしっかり響いた乱れぬアンサンブル、活力や力感、最後の一音まで途切れない活力と集中力、全部ひっくるめた完成度、どれをとっても一級の感を受け、ラトルの堂々たる響かせ方も見事と思うし、両者「さすがだなぁ」と思わせる貫禄の演奏と思う。
文句なしの演奏かと思うが、特別に心魅かれる盤と感じるかどうかは人それぞれかな、とも思う。
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ベートーヴェン 交響曲第7番 ティーレマン/フィルハーモニア管

2017-12-09 12:14:08 | ベートーヴェン 交響曲第7番
ベートーヴェン 
交響曲第7番 

指揮…ティーレマン
演奏…フィルハーモニア管
好み度…4(5点満点)

エネルギッシュに、あるいはリズミカルに押してくる、という演奏ではなく、比較的ゆっくりとしたテンポをとって丁寧に、美しくしなやかな7番との印象を受ける。
線が細いわけではなく、少し明るめに瑞々しいしっかりした響きがつくられている。
剛毅な面はほぼ感じさせないが、活力がないわけではなく、しなやかで瑞々しい美しさを感じさせる演奏のように思う。
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チャイコフスキー 交響曲第5番 マゼール/ウィーンフィル

2017-12-09 12:07:20 | チャイコフスキー 交響曲第5番
チャイコフスキー 
交響曲第5番 

指揮…マゼール
演奏…ウィーンフィル
好み度…5(5点満点)

この曲から、余分な甘さを取り除いたような、厳しさと強さと、過度の感傷を排して残る美しさを感じるような演奏のように思う。
それでも漂う情感を感じるのはこの曲だからなのか、マゼールがうまいところなのか。オーケストレーションの妙の引き出し方はさすがであり、音のメリハリもしっかりつけられ、センチメンタルは排しつつも堂々と、強く美しい鋼のようなチャイ5との印象が強い。とはいえ第2楽章は弦をはじめ各楽器強く美しく、第3楽章での軽快なリズムの中での楽器間のやりとりも軽妙でさすがの感を受ける。
終楽章もちょっと意表を突く処理なども相まって、厳しい音つくりの中に、力強い覇気と華と底光りのような美しさを感じさせる個性的で魅力あるものになっている。
ウィーンフィルならではの柔らかさとか気品とかというよりは、らしからぬ厳しさをもって美しく強く鳴る管・弦が印象的(デッカの録音の妙だろうか)で堂々たる雰囲気をつくっている。力強さとオーケストレーションの妙が印象的な、甘さを排したこの曲の魅力を新鮮に提示した、1つのタイプの名演と思う。
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ベートーヴェン 交響曲第9番「合唱」 バーンスタイン/バイエルン放送響/バイエルン放送合唱団 他

2017-12-02 12:07:20 | べートーヴェン 交響曲第9「合唱」
ベートーヴェン 
交響曲第9番「合唱」 

指揮…バーンスタイン
演奏…バイエルン放送響
合唱…シュターツカペレドレスデン団員 ニューヨークフィル団員 キーロフ歌劇場管団員 バイエルン放送合唱団 ベルリン放送合唱団員 他団員 他
好み度…5(5点満点)

ベルリンの壁の崩壊という歴史的出来事の後、クリスマスに5カ国の演奏者を擁して行われた演奏。歌詞中の「喜び」を「自由」に替えて演奏されたという。
推進力などで押していくタイプではない。ゆっくりどっしり力強く、少し長めに弾かれる一音一音は情を込めて心に打ち付けていくような響きで、第1楽章から荘厳な雰囲気を醸している。
第2楽章もゆっくりめで、ティンパニの目立った強打等はないが、緊張感を保ってどっしりした響き。
第3楽章の冒頭は悲劇もあった過去を含めて万感の想いを静かに込めるように美しい。
終楽章前半は、コントラバスも歓喜の前の闇のように美しくも深く、オケによる主題の歌は激しさは伴わないがおおらかに歌う。中盤以降、独唱はうまく音量も程よいし、合唱は力強く美しく雄大で感動的。ゆったりめの力強く謳いあげる歓喜の歌に続き、いったん音を絞った後、再び強奏に戻るまでの祈りのような歌は神聖かつ地の底から生まれるような力強い美しさを湛えて圧巻の感。フィナーレも大曲感あふれたこの演奏に相応しく劇的に雄大に、熱狂的雰囲気も加えてこの記念碑的演奏を〆ている。
バイロイトがそうであったように、このときがそうであったように、解放あるいは自由を分かち合うにはやはり第九ほど合う曲はないだろうし、ベルリンの壁の崩壊という歴史的出来事の後の、クリスマスに第九である、聴く前から何かに期待し、高揚している聴衆の前での音楽はたっぷりの情と熱が欲しいし、そういう意味ではバーンスタインは適任だったろうと思う。ウィーン盤と比べて10年を経て深みを加え、悠大に、情と熱のあふれた演奏は、こういった舞台故に違和感なく、聴衆との一体感を生んでいるようであるし、聴衆の期待を受け止め、さらに高められるだけのエネルギーと奏者の意気に満ちた演奏だったのだと思う。演奏会の意義も含め、一級の名盤でしょう。
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ドヴォルザーク 交響曲第9番「新世界より」 広上/ノールショッピング響

2017-12-02 12:03:20 | ドヴォルザーク 交響曲第9番 新世界より
ドヴォルザーク 
交響曲第9番「新世界より」 

指揮…広上
演奏…ノールショッピング響
好み度…2.5(5点満点)

弦に艶も力も厚みも感じられず、全体としても何の雰囲気も感じられず、大きな音の金管だけが響いていく感じ。
録音のせいかな。
えらい書きようになってしまったが、あくまでも個人的な好みからなので。
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チャイコフスキー 交響曲第5番 シップウェイ/ロイヤルフィル

2017-12-02 12:00:43 | チャイコフスキー 交響曲第5番
チャイコフスキー 
交響曲第5番 

指揮…シップウェイ
演奏…ロイヤルフィル
好み度…4.5(5点満点)

ロイヤルフィルの録音は、重みや深みは感じないが華やかな厚みのある録音が多い印象があって、その印象はこの盤でもあてはまり、それがこの曲にはある意味合っていて、なかなか華やかなチャイ5が展開されているように思う。
華やかといっても線が細かったりするわけではなく、落ち着いた厚みに華やかな響きがプラスされているといった感じで、重さや凄みは感じなくても各パートよく鳴っている。
騒がしくすることなくこの曲の華やかさを力感も伴ってよく出していて、第1楽章は低弦も結構効いて、すこしゆったり目にほどよい華麗さと力感で心地よく、第2楽章の弦も程よい重さと落ち着きも持って美しいし第3楽章のワルツもチャイコフスキーらしく華美、終楽章に入って少し熱を増した上にフィナーレはさらに上乗せして華美にして活気と力感にあふれた感があり、いや、これはこの曲の名演かもしれない。
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