好曲好盤探訪

名曲か、名盤か、というより、個人的好みで好きな曲の好きな演奏との出会いを求めてボチボチと。同じような方の参考になれば

チャイコフスキー 交響曲第5番 ムラヴィンスキー/レニングラードフィル

2017-01-29 10:08:26 | チャイコフスキー 交響曲第5番
チャイコフスキー 
交響曲第5番 

指揮…ムラヴィンスキー
演奏…レニングラードフィル
好み度…4(5点満点)

アプローチとしては比較的一般的な類の中で、音のボリュームをいったん落としてから上げていく手法は、小さいフレーズで、大きいフレーズで、マメに行っており、テンポの変動も頻繁にあり、また、第2楽章や終楽章などは鳴らしどころはしっかり鳴らしながらもある意味さっさと快足気味に演じてムラヴィンらしい演奏にはなっているが、4番で聴かせた「好みは別としてやっぱりすごいな」と思わせるものはあまり感じない印象を受ける。終楽章の凱歌はレニングラードフィルの力で以って高らかに弦を響かせてくれてもよさそうなものだが、そうでもない。
このコンビだけに標準以上の仕上がりにはなっていると思うが、特に凄い、というものを感じるという域でもないように思う。もともとのハードルが高いという面はあるだろうけど。
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ブラームス 交響曲第1番 ヤルヴィ/ロンドン響

2017-01-29 10:05:10 | ブラームス 交響曲第1番
ブラームス 
交響曲第1番 

指揮…ヤルヴィ
演奏…ロンドン響
好み度…4.5(5点満点)

教会での録音だからなのか、残響美しいどちらかといえば高音に広がった響きの印象であり、低音がゴツゴツ効いているような演奏ではない。
低弦も鳴っているが、録音上あまり低く感じられない、といった面があるのかもしれない。教会特有の美しい残響に包まれるせいか、弾き方にそれほどメリハリは感じられず、各パートの輪郭は溶け合い、第3楽章などではその美しさはよい方向に作用しているようにも思えるが、全体的にやや深みを欠くような印象も受け、ブラ1の響きとしてはややもの足りなさを感じるかもしれない。
ただ、全体として薄っぺらでない厚さもあり、どこかほの暗さも感じるアンサンブルは良質ではあるし、フィナーレのたっぷり謳った輝かんばかりの凱歌はなかなか他では聴かれないものであり、フィナーレのゆっくり堂々としたものを聴きたい方には貴重な1枚となると思う。
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チャイコフスキー ピアノ協奏曲第1番 カメニーコヴァー/ピンカス/ブルノ国立フィル

2017-01-29 10:00:16 | チャイコフスキー ピアノ協奏曲第1番
チャイコフスキー 
ピアノ協奏曲第1番 

ピアノ…カメニーコヴァー
指揮…ピンカス
演奏…ブルノ国立フィル 
好み度…3.5(5点満点)

ピアニストも、オケも、指揮者も、聞いたことない組み合わせだったが、なかなか好感の持てる1枚。
歯切れのよいオケの全奏に、勢いのよいピアノの和音が乗って幕を開け、ちょっと抜け切らない感はあるが素朴で奥行きのあるピアノの音と、オケは素朴で歯切れのよい響きが印象的。ピアノもオケも適度な厚みと叙情性も感じさせている。
第1楽章、第2楽章はどちらかといえばやや早め。序奏からゆったりまったりでなく歯切れのよいテンポと音で始まり、弱音部でのピアノは、輪郭のはっきりした美しい音で叙情性を感じさせている。オケも名前はあまり聞かないがもたつき感などなく、タテの線も揃えて素朴な立派な音とアンサンブルを聴かせている。
終楽章は、他の楽章より音が大きめに録られていないだろうか、と何となく感じるのだがそんなことあるのだろうか。そうでなければ力があってよい展開をしている。フィナーレも厚いアンサンブルで力強い。録音上の操作はないと思うことにしよう。
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ブラームス 交響曲第1番 ベーム/ウィーンフィル

2017-01-21 11:29:44 | ブラームス 交響曲第1番
ブラームス 
交響曲第1番 

指揮…ベーム
演奏…ウィーンフィル
好み度…4(5点満点)

線の揃った厳格な演奏だが、録音のせいかリマスターのせいか、響きには重量感とか深みとかよりはちょっと尖った甲高い印象を感じる。
ベームらしく至ってオーソドックスな展開で情感を強く感じるというものでもない。
ウィーンフィルならでは響きという感じでもない。厳しくしっかり演奏されたものとは思うが、特に感銘を受けるという盤でもないように感じられた。
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チャイコフスキー 交響曲第5番 オフチニコワ/ウクライナ国立響

2017-01-21 11:22:53 | チャイコフスキー 交響曲第5番
チャイコフスキー 
交響曲第5番 

指揮…オフチニコワ
演奏…ウクライナ国立響
好み度…4(5点満点)

最初の高揚部へ向かうところからオーバーなくらいの残響も手伝って華やかであり、豪快な金管と、その後の低弦も表情豊かに太く伸びやかで、力強く華やか。
その後も高低の弦も金管も大きくはっきりした音で大きく旋律を謳い、開放的な響きでエンターテイナーな感を受ける演奏であり、終楽章になっても華やかな力感は衰えずフィナーレも活力を感じてなかなかに心地よい。録音も含めてちょっとエンターテイナーすぎるかな、という印象もないではないが。
テンポは細かな動きはほとんどなく全体的にも大変オーソドックス、特に細部に気を配った、というふうでもなく、また、深みとかうまさとかを感じる演奏でもない。
教会で聴くような高音に寄った豊かな残響を伴う大きな響きで、深くなくても、安直であったとしても、この曲の華やかさとロマン的な側面をストレートにそのまま響かせようとしているかのような、そんな演奏のように感じる。
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サン=サーンス 交響曲第3番 ヤンソンス/オスロフィル

2017-01-21 11:14:49 | サン=サーンス
サン=サーンス 
交響曲第3番 

指揮…ヤンソンス
演奏…オスロフィル
オルガン…マーシャル
好み度…4(5点満点)

第2楽章2部のオルガンは結構な迫力もの。
ネットの評などでは「それまでの繊細な雰囲気がぶち壊し」などの評もあり、確かにそこまでが繊細なほどの演奏なだけにちょっとびっくりだし、弦などの活き活きとしたオーケストレーションなどがかき消されているような面はあるとは思うが、個人的にはこの曲では荘厳にオルガンが鳴り渡る演奏も聴きたいと思うし、これくらい鳴り響く演奏もむしろ歓迎、この演奏でもそれまでも結構厳かな雰囲気をつくっているので、〆としてむしろこれくらい荘重なのも合っているような感もある。
第1楽章1部は少し幽玄な雰囲気も醸すような前半と、なかなかの盛り上がりを聴かせる後半の起伏も大きく、美しく大きな響きを聴かせている。
2部はやや音量を絞っての演奏で、ゆっくりと静けさに満ちた響きで、ちょっと静かすぎに感じられそうでもあるが、他の演奏では得がたい美しさを帯びているようにも感じる。
第2楽章第1部は一転何かを告げるかのように響きに力が込められ、オルガンの鳴り響く2部は上記のようにオルガンが印象的だが、少しゆっくりめのテンポの中で金管も弦も艶のある美しさはそれなりに効かせて、曲全体の中で重みのある終楽章となっていると思う。
前半の幽玄と後半の荘厳と、雰囲気としてはサン=サーンスの華やかさや活気というよりは、冷気に包まれた重く美しい教会の中をイメージするような、そんな演奏のように思うし、サン=サーンスというと、旋律ごと、楽章ごとにあまり関連性を感じないことが多いが、この演奏はなぜか1曲通してのものを感じるような、そんな演奏でもあるように思う。
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ブラームス 交響曲第2番 ヤンソンス/バイエルン放送響

2017-01-15 16:04:42 | ブラームス 交響曲第2番
ブラームス 
交響曲第2番 

指揮…ヤンソンス
演奏…バイエルン放送響

好み度…4.5(5点満点)

今までヤンソンスといえば美しく上手いけれど、何か感じるものがないというか、そんな印象もあったけど、この演奏は相変わらず特に強いクセや主張のようなものは感じないが、初めてヤンソンスのまっとうさが厚く堂々とした美しさに感じられた。多分ほの暗くはならないこのコンビの厚く美しい響きがこの曲にあっていることもあると思う。
第1楽章から低弦や金管のおおらかな響きの溶け込み具合もよく、その響きは堂々とかつ美しい。
第2楽章も清らかな情感を湛えた美しい響きで、終楽章はさらに少し力感を増してフィナーレは急くこともなく堂々と爽快。
落ち着いた雰囲気ではあるが、全編明るい清清しさと活力を感じる演奏であり、また、随所にこのオケの美しい響きを引き出していると思う。
渋さやほの暗さはほぼ感じず、ちょっときれいすぎるかもしれなが、美しくも明るくスケール感をも感じさせる演奏だと思う。
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ブラームス 交響曲第1番 ザンデルリンク/ベルリン響

2017-01-15 16:01:05 | ブラームス 交響曲第1番
ブラームス 
交響曲第1番 

指揮…ザンデルリンク
演奏…ベルリン響
好み度…4(5点満点)

録音の音質のちがいからだろうか、同じ指揮者の同じ曲だが、ドレスデンシュターツカペレとの盤とはずい分趣を異にする印象を受ける。
ドレスデン盤はテンポもどちらかといえば快活に、明るく歯切れよいエネルギーを感じるが、こちらは柔らかく重い響きでゆっくり綴られていく。
柔らかく重い響きはゆっくりなテンポと相まって所謂ブラームス的な重厚さと思えるところもあり、ゆったり謳っているようなところもあるが、この重さとテンポは力感を伴うというよりは沈むようであり、その重みはなかなか聴かれないものを持っているとは思うが、個人的にはもう少し推進力というか活力というか張りというか、がほしいという感を受ける。
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ドヴォルザーク 交響曲第8番 小澤/ウィーンフィル

2017-01-15 15:57:07 | ドヴォルザーク 交響曲第8番
ドヴォルザーク 
交響曲第8番 

指揮…小澤
演奏…ウィーンフィル
好み度…3.5(5点満点)

どちらかといえば繊細なくらいに丁寧に、美しくしっかりまとめられている。
ただ、この曲の持つ明るさだったり無邪気な活気だったり、あるいは響きの太さだったり厚さといったものは感じない。
第3楽章の出だしの主題のヴァイオリンに少し哀愁を帯びた美しさを感じたりするが、全体的にはバランスよくまとめられた良演、といったところか。
もう少し活力か、清清しい明るさか、民族色か、何かを感じさせてほしいところ。
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ドヴォルザーク 交響曲第9番「新世界より」 チェリビダッケ/ミュンヘンフィル

2017-01-08 16:31:13 | ドヴォルザーク 交響曲第9番 新世界より
ドヴォルザーク 
交響曲第9番「新世界より」 

指揮…チェリビダッケ
演奏…ミュンヘンフィル
好み度…5(5点満点)

こんなにも深遠で大曲感を感じさせる新世界が他にあるだろうか。
晩年のチェリのスローテンポがこれほど功を奏した演奏もないだろうとも思う。
親しみやすいポピュラーソングはここになく、深く壮大で、旋律美に頼らない練られたオーケストレーションを浮かび上がらせた、厚く深い新世界が展開されている。
第1楽章出だしのチェロからして深遠な響きだが、普段何気なく響いて過ぎていく強奏箇所も十分な山場として展開し音の重なりは新鮮であり響きは雄大である。
第2楽章は出だしから木管も弦も、その重なりも深く美しく幽玄であり、弦楽器が郷愁を静かに奏でる箇所での低弦の響きも新鮮で印象的。この低弦の響かせ方は気に入っているのだが、今までチェリ以外では聴かれない。
第3楽章もゆっくりめではあるが、間延びしたり力感に欠くといったことはなく、弦と金管が一体となった充実の響きである。
終楽章も厚い響きは変わらず、音の重ね方も効果的で、また、金管の咆哮でぐっとテンポを落とすあたりも旋律の楽章間の統一感と郷愁を感じ印象深い。ラストもしっかり謳いあげ、まぁチェリの演奏はいろいろあるけれど、この演奏は新世界がこれほど深く大きな曲であったかとイメージを変える大名演でしょう。
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