好曲好盤探訪

名曲か、名盤か、というより、個人的好みで好きな曲の好きな演奏との出会いを求めてボチボチと。同じような方の参考になれば

ブラームス 交響曲第2番 ヨッフム/ウィーンフィル

2017-11-26 09:13:43 | ブラームス 交響曲第2番
ブラームス 
交響曲第2番 

指揮…ヨッフム
演奏…ウィーンフィル
1981年ライブ
好み度…4(5点満点)

ウィーンフィルの気品と深みを帯びた響きが美しい。楽友協会大ホールの美しい残響もあってなかなか奥深い美しさと光沢を感じさせている。
第1楽章の弦による主題はじめ、情感も豊かに漂う。ゆっくり奏される第2、第3楽章も美しく、第3楽章をこれくらい聴かせる演奏もちょっとないと思う。
終楽章で、それまでの緊張感というか、独特の空気が少し薄らいでしまったような感を受けるのがちょっと残念ではあるが、第1楽章から第3楽章までは豊かな情感と深く清廉な美しさを湛えて秀逸。

チャイコフスキー 交響曲第6番「悲愴」 バシュメット/国立ノーヴァヤ・ロシア響

2017-11-26 09:03:08 | チャイコフスキー 交響曲第6番「悲愴」
チャイコフスキー 
交響曲第6番「悲愴」 

指揮…バシュメット
演奏…国立ノーヴァヤ・ロシア響
好み度…5(5点満点)

特別にうまいオケではないのかもしれないが、ただ、響きは少々粗削りながらそれなりの力と艶があって何かやる気が伝わってくるようなところもあってむしろ上々。
演奏のほうもかなり情も入れ込みつつ、どこか新鮮味を与えながら、聴くものを引き込み、納得させる。
冒頭からゆっくり沈むような、それでいて聴き手を引き込むようなところがあり、特に印象的なのは終楽章前半のゆっくりさだが、ただ遅いだけでなく静かな、絶望ではないが静かに切なく哀しげな、波のない水面のような独特の雰囲気をつくっているし、木管も弦も美しく、中盤のピークに向けてゆっくり高揚していく展開も美しく説得力がある。
第3楽章後半はティンパニが強く添えられてのちょっとワクワク感を誘うような力強さや、第1楽章では第2主題の情の込められた美しさや1音目もビッタシ揃えた展開部での激しい強さや濃い情感も上々に印象的だし、あちこちの謳いまわしや音の出し入れや強弱もちょっと個性的だったり、ここというところの弦の重なりは結構深みのある美しさを感じさせたり。第2楽章もワルツっぽい雰囲気も結構感じさせてなかなかいい感じ。
どこかちょっと独特な印象を感じさせる悲愴だが、奇抜というのではなく、新たな魅力を感じさせてくれる盤のように思う。これだけ演奏のあふれるこの時代のこの曲にあって、説得力をもって情感豊かに新鮮味を感じさせる、名演であり、この曲の名盤の1つと思う。

グリーグ ピアノ協奏曲 仲道/フロール/フィルハーモニア管

2017-11-26 09:00:32 | その他
グリーグ 
ピアノ協奏曲 

ピアノ…仲道
指揮…フロール
演奏…フィルハーモニア管
好み度…4.5(5点満点)

両端楽章では、ピアノでいえば例えば音楽記号でいうところのピアノやピアノッシモの叙情性だとか、北欧風の叙情性を感じるとか、そういう演奏ではないように思うし、オケも深い響きとか叙情性とかを聴く演奏ではないように思う。
ただ、仲道のピアノはスケール感とか澄んだ力感を感じて、特に叙情味たっぷりのピアノやピアニッシモは作らないけれど、思うところを弾ききろうというような想いが感じられるようであり、その音はダイナミックな感さえ受ける。第1楽章冒頭から主題は力強く爽快、後半の独奏部分は力強く情が感じられて聴き応えあるものと思う。
第2楽章は一転してピアノは清らかな美しさを感じさせ、その後の終楽章はテンポもやや速めに、ここでも叙情性よりは、思い切りのよい、流れと躍動感ある力感とダイナミック感が印象的。
ほの暗さや濃厚な叙情性などはあまり感じないが、澄んだ思い切りのよい力感とダイナミックさが爽快な、そして多分、仲道さんはこの曲が好きなんだろうなぁと思わせるような、まっすぐに込められた情が感じられるような、叙情性とはちがった魅力を感じさせる1枚のように思う。

ブラームス 交響曲第4番 テンシュテット/ボストン響

2017-11-18 17:43:15 | ブラームス 交響曲第4番
ブラームス 
交響曲第4番 

指揮…テンシュテット
演奏…ボストン響
好み度…4.5(5点満点)

実直でちょっと武骨にも似た強さの中に哀愁感に似た雰囲気が漂う響きが印象的な演奏。
ボストン響の古風で温かく力強さも併せ持つ弦に木管やホルン等の金管がしっかりからんでブラ4的な雰囲気も感じられるし、高揚部での厚みもしっかりしていて、叙情部の厚い情感と高揚部の力強さのメリハリもあって、この曲のよさがほどよい重みを伴ってしっかりまとめられているように思う。テンポとしては、第3楽章が快活なテンポで進められる他はオーソドックスなテンポ。
計算してかしないでか、実直で厚く古風な力感の中に漂う情感のバランスがほどよく心地よい、名演といってよい演奏のように思う。

ラフマニノフ ピアノ協奏曲第2番 ヴァーシャーリ/アーロノヴィチ/ロンドン響

2017-11-18 17:38:57 | ラフマニノフ ピアノ協奏曲第2番
ラフマニノフ
ピアノ協奏曲第2番 

ピアノ…ヴァーシャーリ
指揮…アーロノヴィチ
演奏…ロンドン響
好み度…4(5点満点)

第1楽章はピアノよりむしろオケの濃さが印象的。叙情性というよりは濃い。洗練とか絢爛というのとは違う響きで、鳴らすところは重い金管も思い切りよく鳴らして濃い重量感を感じさせる。
ピアノは録音のせいか高音が綺麗に抜けていくというよりは、また、繊細な叙情性を聴かせるというよりは、どこか抜け切らないが真面目に少し甘い感触で虚飾のない力感を感じさせる、といった感であり、これは第2楽章では温かく優しい響きとなって甘い切なさを帯びた美しい雰囲気を醸しているように感じる。オケも木管ソロも弦も情感豊かで第2楽章はなかなか秀逸と思う。
終楽章はオケもピアノも結構音量を上げ、ピアノも結構力強いが、特にオケは特有のドンジャン鳴らすオーケストレーションを結構思い切ってやるもんだから両者相まって力強いといえばそうだが、ラフマニノフの叙情性等は吹き飛ばされているようにも感じる。
全体の印象として、濃さはともかく重さはやや過剰な感も受けるが、野暮ったいほどの素朴さ温かみも感じ、少なくとも個性的であること、第2楽章はなかなか秀逸であること、は言えるように思う。

グリーグ ピアノ協奏曲 グティエレス/テンシュテット/ロンドンフィル 

2017-11-18 17:34:07 | その他
グリーグ 
ピアノ協奏曲 

ピアノ…グティエレス
指揮…テンシュテット
演奏…ロンドンフィル 
好み度…4(5点満点)

ティンパニに続くピアノは大変キレがあり、その後も一見透明感と力強さ、キレを感じるが、深みは感じられないというか、やや表層的なのかな、との印象はある。オケは、特にテンシュテットらしさを感じるということもないが、クリアのおおらかによい響きのように思う。
全体的に、グリーグの優しさや叙情性、といった方向でなく、力強さとキレを伴った、クリアで透明感ある演奏といった印象。

ドヴォルザーク 交響曲第8番 アーロノヴィチ/ケルンギュルツェニヒ管

2017-11-11 08:48:38 | ドヴォルザーク 交響曲第8番
ドヴォルザーク 
交響曲第8番 

指揮…アーロノヴィチ
演奏…ケルンギュルツェニヒ管
好み度…5(5点満点)

整然とはしていないが野性味にあふれた快活な歯切れのよい響きに、濃い郷愁に似た雰囲気を漂わせた、ドヴォ8ならではの雰囲気をよく感じさせる盤のように思う。
弦も金管も重くならずによく響き、メリハリをつけたテンポは、基本的には快活ながら、ときに叙情性も感じさせる。
厚い響きという感じではないが、活力にあふれた響きであり、この曲は特に分厚い響きでなくてもよいように思うし、この曲にあった響きのように感じる。
録音は少し乾いたようなところもあるが、ただ小奇麗に美しくまとめることなく、この曲の野性的な快活さとときに濃い郷愁に似た情感を聴かせている、なかなかありそうでない、ドヴォ8らしい盤のように思う。

グリーグ ピアノ協奏曲 アラウ/デイヴィス/ボストン響

2017-11-11 08:45:11 | その他
グリーグ 
ピアノ協奏曲 

ピアノ…アラウ
指揮…デイヴィス
演奏…ボストン響
好み度…4(5点満点)

華やかさや力強さやキレ、などは特に感じないが、アラウの優しく深みを感じさせるピアノとデイヴィス指揮のオケの叙情性ある響きが相まって、柔らかく優しい厚みのある叙情性が感じられる上質な演奏になっていると思う。また、その雰囲気はやや重いようでいてほんのり明るい。
特に何かを誇示することなく、上質の音楽をつくるかのような両者のよさがこの曲には合っているように思われ、ピアノもオケも、力みかえることなく、優しく深みのある叙情性を湛えた、そんな雰囲気の演奏のように思う。

ブラームス 交響曲第1番 ベルゲル/トランシルヴァニアフィル 

2017-11-11 08:35:29 | ブラームス 交響曲第1番
ブラームス 
交響曲第1番 

指揮…ベルゲル
演奏…トランシルヴァニアフィル
好み度…4.5(5点満点)

派手さや華麗な美音や力みかえった推進力は感じず、一聴、重く、聴かせどころに乏しい演奏のような印象も受けるが、落ち着いて聴き返せば、ほの暗くズシリとしたよい意味で鈍重な重厚感は結構圧倒的ですらあり、ゆっくりめのテンポで、しかしだれることなく緊張感を漂わせて、ただ沈み込むような覇気のないくすんだ重さではなく、温もりを感じる情感と艶消しの美しさのような渋みを帯びた重さと重心の低い力感を持って、何ともブラームスらしい響きを聴かせている。重い低弦の響きもよいが、楽器同士が重々しく寄っかかり合うような重いアンサンブルがまたいい。金管のかぶせ方がいかにもブラームスっぽくいい雰囲気をつくっているようにも思う。
メリハリや新鮮味とかドラマ性とかは特に感じず、特にどこで何を誇張するわけでもないが、冒頭の序奏から重く厚い響きを聴かせ、フィナーレも柔らかい輝きに包まれるような心地よい雰囲気で、聴くほどにお気に入り度を増していくような盤。
聞いたことのない指揮者とオケだったけど、ルーマニアの指揮者とオケだそうです。聞いたことなかったけど、録音もいいし、いい盤です。

ブラームス 交響曲第4番 ベーム/ウィーンフィル

2017-11-04 10:42:09 | ブラームス 交響曲第4番
ブラームス
交響曲第4番

指揮…ベーム
演奏…ウィーンフィル
好み度…4(5点満点)

優しさとか情感とか、というよりは石の壁を思わせるような、高い完成度の中の厳格さと格調高さが印象的な盤のように思う。弦の強さと艶、木管の潤い、金管の重量感(曲中結構力強く響いている)など、ウィーンフィルの美音も感じられる。聴きようによっては高い緊張感と厳格な響きははよくも悪くも情緒を超えて息詰まるようでもあり、堅苦しいといえば堅苦しいかもしれない。とはいえやはり堂々たる演奏には違いない。