好曲好盤探訪

名曲か、名盤か、というより、個人的好みで好きな曲の好きな演奏との出会いを求めてボチボチと。同じような方の参考になれば

ブラームス ピアノ協奏曲第1番 ツィマーマン/ラトル/ベルリンフィル

2020-04-29 14:42:47 | ブラームス ピアノ協奏曲(1番・2番)
ブラームス
ピアノ協奏曲第1番

ピアノ…ツィマーマン 
指揮…ラトル 
演奏…ベルリンフィル 
好み度…5(5点満点)

ラトル/ベルリンフィルの響きは濁りなく王道を往くかのように力強く翳りなく重厚。
ツィマーマンのピアノもそんな圧倒的なオケに力負けしないダイナミックな力強さを持ってかつ美しい。
重厚にして表現豊か。輝く金塊でも見るような、重く豪華で純に美しい演奏。それら相まっての完成度は目を瞠るような印象すらあり、何か風景が浮かぶとかというのでなく、音や響きそのものをすごいな、と感じられるような、そんな圧倒感を感じるようにも感じる。
偉ぶるでも深刻ぶるでもなく、伸びやかな重量感をもって十分すぎるくらい力強いが少しの粗さも力押しの圧迫感もなく、弱音部もしっかり配慮が行き届いて美しい。
重みとか情とかというよりは、まっとうの極みを重厚な輝くような厚みと完成度をもって「王道」を往くような、やっぱりすごい演奏のように思うし、名盤でしょうね。
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ベートーヴェン 交響曲第3番「英雄」 ミュンヒンガー/シュツットカルト放送響

2020-04-29 14:39:54 | ベートーヴェン 交響曲第3番「英雄」
ベートーヴェン
交響曲第3番「英雄」

指揮…ミュンヒンガー 
演奏…シュツットカルト放送響 
好み度…4.5(5点満点)

バロックで名を馳せたという指揮者らしく、激しさや重さや圧倒感ではなく基本的に明るく柔らかく透明感も感じさせる洗練された響きとアンサンブルは美しく、ティンパニの効果的な打ち込みなどもあってか瑞々しく颯爽とした力感もちゃんと感じさせ、威圧的なところはないがテンポはむしろ少しゆったりした感じを与え、さりげないテンポの動きで情を感じさせ、心地よく聴かせる英雄のようにおもう。
フルオケの活力を十分に持ちながらどこか小編成的な透明感あるアンサンブルの美しさに温もりも織り込み、この演奏に特有の雰囲気を与えているように思える。
機知に富んで凛とした雰囲気を連想するような、こんな英雄もいい、というか名演じゃないかな。
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ベートーヴェン 交響曲第9番「合唱」 マズア/ライプツィヒゲヴァントハウス管/ライプツィヒ放送合唱団・ベルリン放送合唱団他(1973年)

2020-04-29 14:32:58 | べートーヴェン 交響曲第9「合唱」
ベートーヴェン 
交響曲第9番「合唱」 

指揮…マズア
演奏…ライプツィヒゲヴァントハウス管
合唱…ライプツィヒ放送合唱団・ベルリン放送合唱団 他 (1973年)
好み度…4(5点満点)

マズアといえば何か今まで感銘を受けることなく相性が合わないと思っていたので、冒頭は、あれ、マズアなのに、何ていい響きだろう、というのが率直な印象。
その後も透明感と潤いのある艶、深みも感じさせる調和のある響き、艶はあるが華美に過ぎず沈まず、聴きほれているうちに充実感をもって時間が過ぎてゆくといった感。
第3楽章はいい響きなのでもうちょっとゆっくりやってくれてもよかったかな、との感もあるが、それでも美しいからこのオケはすごいもんだと感心したり、そうはいっても第1楽章~第3楽章まで下手に鳴らしたらこうはならないのだろうからマズアもやっぱりいいということかな、等と思わせられる。
終楽章も管弦楽部はやっぱりいい感じでいよいよ声楽の登場。独唱は最初のバスはちょっと声質的にどっしり感を感じない印象もあるが、音量的には程よい感じではあり、いずれにせよ個人的にそれほどは重きを置いてないし、特にはよくも悪くもなく、といった印象だが、合唱はだいぶ女声に偏った印象(男声のみのところでは聴こえてるからあえてなのかな?)だったり、歓喜の歌の後の聴かせどころが安易というか淡白というか、感銘に乏しく、合唱は全体的に残念ながらこれだけの合唱団を擁しながら、広がりとか壮大感とか、とにかく特別な感銘が感じられない。テンポはほんの少し早めで、特に盛り上がることもなく、どちらかといえば終楽章後半でそれまでのAランクの演奏を感銘乏しい印象に落としてしまった感をもって終了、マズアを見直すきっかけに至らず。
オケの響きはよかったんだけどなぁ…。
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ブラームス ピアノ協奏曲第2番 ギレリス/ヨッフム/ベルリンフィル

2020-04-26 09:16:43 | ブラームス ピアノ協奏曲(1番・2番)
ブラームス 
ピアノ協奏曲第2番 

ピアノ…ギレリス
指揮…ヨッフム
演奏…ベルリンフィル
好み度…5(5点満点)

およそ普通の「ピアノ協奏曲」という響きから連想される華麗軽やかなものではない。
第1楽章なんてシンフォニーだってこれくらい重厚な演奏はなかなかないのではなかろうか、と思うほどの力漲る緊張感と重みに満ちている。
ギレリスの力強い打鍵が響き、オケもまた力に満ちた重厚な音を奏でる。
ギレリスの力強い打鍵はときに空回りに聞こえるときもあるがこの演奏では気に満ちている。弱音もしかり、第3楽章の零れるような静かな一音一音もしっかり気が乗って美しい(第3楽章ではチェロも美しいがそれにかぶさる木管なんかも美しい)。第1楽章の剛毅な力強さに比べると第2楽章は叙情味を加える。
終楽章はそれまでの楽章に比べると少しさらりと流れる感もあるがこの曲はそんなところがあるように思うし、とにかくこれだけの迫力を感じる演奏はそうはないだろうし、こういう演奏はこの曲ならではの醍醐味ではないだろうか。
これはすごい演奏だと思う。
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ドヴォルザーク 交響曲第9番「新世界より」 クーベリック/バイエルン放送響

2020-04-26 09:14:21 | ドヴォルザーク 交響曲第9番 新世界より
ドヴォルザーク 
交響曲第9番「新世界より」 

指揮…クーベリック
演奏…バイエルン放送響
好み度…5(5点満点)

ただ流麗に鳴らすだけだと味気ないものになるこの曲を、感銘深く聴かせる名演。
特に新鮮な演出などはないが、バイエルン放送響の厚く透明感のある完成度の高い響きはそういったものの先にある郷愁を漂わせるような響きとなり、ソリストもさりげないようで丁寧に濃い情感を漂わせる。
クーベリックの円熟を聴くようであり、何かを突出させることなく何の変哲もないようで、その響き、雰囲気が何ともいい。
何をどうすればこういう響きになるのかとも思うし、どうにも書き表せないが、おおらかな深さと大きさと沁み込むような味わいを感じる名演と思う。
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ベートーヴェン 交響曲第9番「合唱」 セル/クリーヴランド管&合唱団 他

2020-04-26 09:10:29 | べートーヴェン 交響曲第9「合唱」
ベートーヴェン 
交響曲第9番「合唱」 

指揮…セル
演奏…クリーヴランド管&合唱団 他
好み度…4(5点満点)

明るい美術館にそのまま置かれた均整のとれた真っ白で美しい彫刻を見るような、明晰で均整のとれた第九との印象を受ける。
音質は軽いようでいて、響き全体で軽薄な感はない。
第1楽章前半は音を短めに切っていることもあって重みに欠ける印象も受けるが、後半は推進力を加えた響きはアンサンブル、力感、美しさのバランスよく心地よい。
第2楽章はむしろ第1楽章より緊張感伴う鋭い力感を加えた感がありティンパニの強打にはセルの熱い一面を聴くようでもある。
第3楽章冒頭はそれほどゆっくりでも弱音でもなく、しかし美しい響きは明るく清清しく爽やかな透明感のある広がりを感じさせ、全体的に少し速めのテンポと常に弦はじめ輪郭がはっきりしているせいか中盤に受けるもやっとした感もあまり感じない。ちょっと珍しいくらいに快活な印象すら受ける第3楽章である。
終楽章は、個人的な好みからは独唱が大きいかなぁ、男声2氏は声の質もちょっとしっくりこない感もある。
管弦楽も合唱もアンサンブルはじめいろんな意味でバランスのとれた演奏なだけに独唱の大きさだけバランスを欠くようで残念ではある。終楽章全体では合唱も悪くないし全体的によいとは思う、が、個人的にはやはりこの楽章は均整がとれているだけではちょっともの足りない感もあるかな。
やっぱりセルは上手いんだな、とは思うけど、特に好きな盤というものにもならないかな、といった印象でした。
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ベートーヴェン 交響曲第3番「英雄」 ムーティー/ウィーンフィル

2020-04-25 13:18:17 | ベートーヴェン 交響曲第3番「英雄」
ベートーヴェン 
交響曲第3番「英雄」 

指揮…ムーティー
演奏…ウィーンフィル 
好み度…5(5点満点)

やっぱりウィーンフィルとこの曲は合うなぁ、と思う。
独特の気品と重みを漂わせた響きはこの曲に艶と深みと風格ある大曲感を与えるようであり何とも心地よく上質。
楽団150年という記念の年の本拠地でのライブということもあってか、程よい熱と力も加わってこれもよい雰囲気をつくっているように思う。
第2楽章なんかは結構重く大きいし、終楽章は風格ある響きに熱気も乗せてなかなかに力強い。
ムーティのややゆったりめにテンポをとって一音一音を心持ち長めに謳うようなところも、この演奏にゆったりした大きさを与えているのかもしれない。
このころのムーティとウィーンフィルは結構密接な関係にあったということもあってか、楽団員もストレスなく集中して心地よく鳴らしているような、どっしりした安定感と艶を感じさせつつ、伸びやかにおおらかでスケール感を持った心地よい音を響かせている。
ムーティとフィラデルフィア管との盤は「しかっりよく鳴って華やかだが特に感銘は…」といった印象だったが、ムーティの円熟なのかオケの違いなのかライブということがよいほうに作用したのか、この盤では艶と深みと大きさとを心地よく聴かせている。
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ベートーヴェン ピアノ協奏曲第5番「皇帝」 レーゼル/フロール/ベルリン響

2020-04-25 13:12:21 | ベートーヴェン ピアノ協奏曲第5番「皇帝」&第4番
ベートーヴェン 
ピアノ協奏曲第5番「皇帝」 

ピアノ…レーゼル
指揮…フロール
演奏…ベルリン響
好み度…5(5点満点)

眩しいような美しさを感じる演奏のように思う。ぎらつく眩しさでなく、力強い新緑に感じるような爽やかな美しい眩しさである。
決して力押しはしない。しかし低弦は爽やかに響き旋律は伸びやかに謳われ、颯爽とした覇気と美しさを存分に感じさせ、ピアノは爽やかな躍動感と、教会の残響の美しさも手伝ってか、高音が特に美しい。
ベルリン響はこんなに美しい響きを聴かせるオケだったかな、とも思う。
録音も美しく、ピアノとオケのバランスも少しの違和感もなく、小さくまとまらない美しい広がりも感じさせる。
終楽章なんかは少しライトな語り口のようにも思うが、ピアノもオケもしっかりした力も持って華奢にならずに印象としては華麗な美しさとして響いているように思う。
力強さとか漲る覇気とか、そういったベートーヴェンでなく、自然な調和の中に躍動感と華麗で眩しいような美しさを感じさせる、そういった意味では結構稀有な名盤のように思う。溌剌とした息吹を与えつつ美しい皇帝である。
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ブラームス ピアノ協奏曲第1番 ブレンデル/イッセルシュテット/アムステルダムコンセルトヘボウ管

2020-04-25 13:06:40 | ブラームス ピアノ協奏曲(1番・2番)
ブラームス
ピアノ協奏曲第1番

ピアノ…ブレンデル
指揮…イッセルシュテット 
演奏…アムステルダムコンセルトヘボウ管 
好み度…5(5点満点)

オケの堂々の響き。その響きはなめらかな光沢をもった絹を何層にも何層にも重ねたような重さと艶をもって美しくもある。
イッセルも実直堅実な音作りに加えてこの演奏では厚く美しい広がりが常にも増して感じられるように思える。
ブレンデルの他盤での印象として美しく風格を感じるが余裕が感じられすぎてどこか感銘を受けない印象があるが、この演奏では風格の片鱗を見せつつも常より情と熱が感じられてときに鋭く力強くときに何とも美しい血の通った演奏になっているように思う。
第1楽章の堂々の美しい力強さもいいし第2楽章がまたなんともオケもピアノもほんとに美しい。
終楽章になって聴き応えが減じる印象を受ける演奏もあるが、この演奏では力強さと艶は少しも減じることなく輝くような力感をもって〆ている。
イッセルシュテット最後の録音とのことだが、そう思うとまた感慨もあり、美しい記録を最後に遺したものだとも思う。
録音も美しく、気品と熱を漂わせた力強さに優雅な抒情を湛えた風格が薫るような、堂々美しい名盤のように思う。
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ブラームス ピアノ協奏曲第2番 バレンボイム/バルビローリ/ニューフィルハーモニア管

2020-04-19 08:13:15 | ブラームス ピアノ協奏曲(1番・2番)
ブラームス 
ピアノ協奏曲第2番 

ピアノ…バレンボイム
指揮…バルビローリ
演奏…ニューフィルハーモニア管
好み度…3.5(5点満点)

バレンボイムのピアノは、かなり力の入った感があり、若さゆえの情熱そのままのような風がある。
バルビのオケもがっちりたっぷり太く熱くこれに協奏し、両者相まって荒いというか少々がさつというか、うるさいというか、第2楽章なんかももうド迫力の演奏になってるし(音割れ寸前のような(?)録音の影響もあるかもしれないが)、すごい熱と力と情が迫るようで、こういうこの曲もまぁいいかな、とは思う、
が、まぁ、でも、やっぱり、オケも結構力入っているが特にバレンボイムのピアノはちょっと情をたたきつけ過ぎかなぁ(いや、両者ともかな…)、という気もする。
力強さと圧力という点では強烈な印象の盤とは思うが。
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