好曲好盤探訪

名曲か、名盤か、というより、個人的好みで好きな曲の好きな演奏との出会いを求めてボチボチと。同じような方の参考になれば

マーラー 交響曲第2番「復活」 アバド/ルツェルン祝祭管/オルフェオン・ドノスティアラ合唱団 他

2022-06-26 16:58:48 | マーラー 交響曲(第2番「復活」 第5番)
マーラー 
交響曲第2番「復活」

指揮…アバド 
演奏…ルツェルン祝祭管 
合唱…オルフェオン・ドノスティアラ合唱団 他
好み度…4.5(5点満点)

明るく瑞々しい復活である。
これはマーラーか、という評もあろうが、これもマーラーでいいと思う。
というか、所謂マーラーでないならそれでもいい、でもいい音楽だと思う。
演奏はベルリンフィルはじめ一流どころの首席クラスを並べたスーパーオケというだけあって機能的でうまい。
そして響きはアバドの人徳なのか音楽祭の空気がそうさせるのか喜びを感じさせるようなきびきびとした活力を感じる響きである。
そんな響きとやや速めのテンポも相まって、喜びに満ちたような復活であり、フィナーレの賛歌は少し速めの歌いまわしながら、得体の知れない明るい力強さに満ちている。
すごいテクニックに支えられた、それでも深みとか哲学とかは感じさせず喜びと明るい活力に満ちた演奏のように思う。
アバドもベルリンフィル時代はいろいろあったろうけど、その人脈などがあってこの演奏ができたなら報われる思いだったんじゃないかなぁ、なんてこともふと思う。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ブラームス 交響曲第1番 ブロムシュテット/ライプツィヒゲヴァントハウス管

2022-06-26 16:56:02 | ブラームス 交響曲第1番
ブラームス 
交響曲第1番

指揮…ブロムシュテット 
演奏…ライプツィヒゲヴァントハウス管
好み度…5(5点満点)

力強さとか推進力とか活力とか、そういうほうを向いたブラ1ではない。
厚くほの暗くのしかかるようなブラ1でもない。
ゆったりと、ごく自然に、自然な重みと深みと貫禄を湛えて美しい。
フィナーレこそ輝かしい雰囲気もあるが、どちらかといえば大人しい印象すら与えるかもしれず、元気なブラ1を聴きたいときはこの盤はないと思う。ゆっくり上質の音を聴きたいとき、かな。
かなり高齢になったブロムシュテットは今更力漲るブラ1は志向してないように思うし、ゆったりと、しかし弛緩とか安易とかとは無縁である。
ゲヴァントハウスの弦の音色はここでも美しいし金管も終楽章のホルンの独奏など実にいい。
ペンタトーンの録音も期待を裏切らない。
終楽章などもこれくらいゆったりやると聴いているほうがたるんでしまいそうだがそうならないのは音色と録音の美しさも寄与しているかもしれない。フィナーレはゆったりしっかり充足感に満ちたような趣を感じる。
ブロムシュテットはちゃんとしているがあまり特有の雰囲気はつくらない指揮者かと思っていたが、ブロムシュテットの到達した1つの境地を聴くようでもある。
力強さとか推進力とかは感じないのでこの曲の決定版とか言われるようなこともないのかもしれないが、名盤とは言われていくのではないだろうか。ベートーヴェンの全集はほんのちょっと聴いた限り軽い響きのタイプのようだが、こちらはしっかりフルオケの響き。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

チャイコフスキー 交響曲第5番 若杉/ケルン放送響

2022-06-26 16:53:22 | チャイコフスキー 交響曲第5番
チャイコフスキー 
交響曲第5番

指揮…若杉 
演奏…ケルン放送響 
好み度…4.5(5点満点)

不思議と、この曲のイメージとしてある虚飾めいた賑やかさや派手さを感じさせない。
ネットの評で見られるほど弦一本槍の印象はないが、それでもどちらかといえば厚い弦が主体の響きがそう感じさせるのだろうか。
派手じゃないし何かを期待して聴くと「何もなかったな」なんてことになりかねない気もするけど、先入観なしで聴くと「あれ、ゆったり重く美しく、これはいいな」といった感じかな。
しっかりした厚みと深みを感じさせる艶を帯びつつ、特に何かを誇張することのない、そんな実直さが心地よい、そんな盤なのかもしれない。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

マーラー 交響曲第5番 ブーレーズ/ウィーンフィル

2022-06-12 08:59:55 | マーラー 交響曲(第2番「復活」 第5番)
マーラー
交響曲第5番

指揮…ブーレーズ 
演奏…ウィーンフィル
好み度…5(5点満点)

第1楽章の無表情に近いようなほの暗さがこの楽章は葬送行進曲であることを感じさせる。案外そういう演奏は少ないように思う。
ただ要所では力強いし弦の重なりは美しい。響きはしっかり設計され、ほの暗くも妖艶な美しい響きはウィーンフィルならではとも思わせる。
第3楽章でこれくらい美しさを感じる盤もなかなかないように思うし、
アダージェットは静かに柔らかいが眩しいほどに光り輝く霧のごとくで幻想的あるいは耽美的な雰囲気も漂わせ美しい。
この盤はやはり弦が綺麗なんだと思うし、録音も美しい。
1つだけ欲を言えばフィナーレがちょっとあっさりしてるかなぁ、といったところ。でもフィナーレだけ好みに合う盤もあればこういう盤もあるということですね。ウィーンフィルの音色とそれを捉えた録音、それらを美しく聴かせたブーレーズ、いい盤だと思います。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ブラームス ピアノ協奏曲第1番 ギレリス/ヨッフム/ベルリンフィル

2022-06-12 08:57:38 | ブラームス ピアノ協奏曲(1番・2番)
ブラームス 
ピアノ協奏曲第1番

ピアノ…ギレリス 
指揮…ヨッフム 
演奏…ベルリンフィル 
好み度…3.5(5点満点)

冒頭などはのしかかるような響きで、ベームとかヨッフムとか、硬派で堅牢なタイプにこの曲はむしろこちらが一歩引いてしまうような圧迫感になるのかな、なんて思いながら聴き進めるのだが、オケもピアノもどうも2番で感じたような気が伝わってこない。
いや、両者じゃなくてピアノかなぁ。高揚部ではピアノもオケも重い大きな音は出しているが、気の感じられない重い大きな音と言うのもかえってちょっとというところもあるし、全体的に流れも今ひとつのような。
2番はいいんだけどなぁ、個人的な好みとはいえ、同じ組み合わせでもこんなにも印象が変わるものかと不思議なくらい。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ベートーヴェン ピアノ協奏曲第5番「皇帝」 キーシン/デイヴィス/ロンドン響

2022-06-12 08:55:04 | ベートーヴェン ピアノ協奏曲第5番「皇帝」&第4番
ベートーヴェン 
ピアノ協奏曲第5番「皇帝」

ピアノ…キーシン 
指揮…デイヴィス 
演奏…ロンドン響 
好み度…4.5(5点満点)

ピアノは澄んで瑞々しく繊細で自由なようでひたむきで美しく、オケは優しすぎるくらいにちょっともの足りないくらいに美しく柔らかい。
もはや皇帝という雰囲気はなく美しい皇女といった趣すら感じる。
ピアノは表現意欲の強さを感じるものだが、純な一所懸命さが感じられるような、澄んだ、一音一音を大切に弾いているような、そんなピアノのように感じる。
所謂大家では聞かれない演奏のようにも思うし、そんな時期でしか聴かれないような天性のきらめきのような音の連続のようにも思う。
第1楽章はオケは少し控えめな印象を受けなくもないがキーシンのピアノはややゆっくりのテンポで繊細だけど透明感のある爽やかな広がりと力も感じさせていつもの皇帝とちがった空気感を感じさせる。
第2楽章はかなりゆっくりめで、雫が光る静かな夜を想わせる夜想曲といった趣で美しく、
第3楽章はゆっくりめだった先の2楽章から変わってテンポも所謂普通の速さになって力感も加えて美しく華やかな楽章となっている。
何か普段の皇帝のイメージとはちがうが、清清しく美しい広がりのある皇帝であり、こういう皇帝もいい。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする