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サピエンス全史


 ユヴァル・ノア・ハラリ 柴田裕之訳 河出書房新社

 ホモ・サピエンスのきみが、同じような体格のネアンデルタール人と1対1の素手のケンカをやれば100%きみは負ける。きみが格闘技の達人であっても負けるだろう。きみでなくとも、アレサンドル・カレリンでも木村政彦でもたぶん負けるだろう。ところが、きみが100人ともだちを集めて、100人のネアンデルタール人とケンカすれば、100%きみが勝つ。
 原始人にもいろいろあった。10万年前、ホモ・サピエンス、ホモ・ネアンデルタールレンシス、ホモ・エレクトスなど。ホモ・サピエンスだけが生き残り、他のホモ属はみんな絶滅してしまった。だからきみもわたしもここにいるわけだ。
 ホモ・サピエンスたるきみやわたしはなぜここにいるのか。ホモ・サピエンスはなぜ他のホモ属を出し抜き、あまつさえ全生命のトップにまで上り詰めたか。
 7万年前、ホモ・サピエンスの脳の中で大きな変化が起こった。だから100対100のケンカで体力で勝るネアンデルタールに勝てるのだ。
 三つの「革命」がホモ・サピエンスに「文明」をもたらし、この地球の支配者たらしめているのだ。「認知革命」「農業革命」そして「産業革命」
 ホモ・サピエンスはなぜこれらの「革命」を成し遂げられたのか。「虚構を信じる力」があったからだ。例えば「貨幣」あんなものは、ただの貝殻であり、石ころである。現代でもただの金属片で紙切れだ。これらのモノが価値あるものとの「虚構」を信じることができるから、今の経済は回っている。
 上手いたとえ話を使いながら展開する論はわかりやすく、知的興奮を誘う。ホモ・サピエンスのはるか太古から未来まで、リニアに語られるサピエンス史は長編SFを読むがごとき面白さである。
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前立腺風雲録 第1回

 今年の1月5日に前立腺肥大の手術を受けた。手術だから根本的な治療ということになる。今日は2月22日。術後2か月近くたった。これで前立腺騒動もひとくぎりついたといえよう。そこで、これから小生の前立腺をめぐる話を書いていこうと思う。
 前立腺肥大。男性だけの症状だ。なぜ前立腺が肥大するのかよく判ってない。男性ホルモンがワザしているらしい。50歳以上で30%、60歳以上で60%、70歳以上で80%の男性が前立腺肥大になる。
 ことの始まりは8年前にさかのぼる。2008年6月23日会社の健康診断。尿に潜血反応があるといわれた。念のため泌尿器科の診断を受けた方がいいといわれる。
 芦屋の吉田泌尿器科へ行く。ここで受けた尿検査では潜血反応はなし。小生の年齢を聞いて、尿の出方について聞かれる。そういえば、最近、おしっこの勢いがなくなったし、キレも悪い。残尿感があるし、頻尿ぎみで、夜中に何度もおしっこに起きる。と、いうようなことをいうと、前立腺が肥大しているかもしれない。血液検査をしましょう。ということで採血される。
 三日後、6月27日、吉田泌尿器科へ血液検査の結果を聞きに行く。
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零戦がB29の下請け

 小生は通勤に神戸市営地下鉄海岸線を使っている。神戸でJRから海岸線に乗り換える。朝はハーバーランドで地下鉄に乗ったときは、ほぼ満員で座れないことが多い。その多くの乗客は和田岬で降りて、そこからは座れる。ここで降りる人のほとんどは三菱の人だろう。ここには三菱電機神戸製作所と三菱重工神戸造船所がある。三菱村といっていいだろう。
三菱重工神戸造船所。造船所とはいいつつも今は潜水艦しか造ってない。それも川崎造船と交代だ。川崎造船もこのすぐ近くだ。日本の潜水艦はすべてこの二つに造船所で建造されている。だいじょうぶなんだろうか。万が一、一朝ことあらば、神戸のこの狭い地域にミサイルを撃ちこまれれば、日本で潜水艦が造れなくなる。修理もできなくなるだろう。戦略的なことを考えて潜水艦の建造計画を立てているのだろうか。
それはそれとして、造船は神戸の、いや日本のお家芸であった。その神戸の造船業で三菱の造船所は大きな割合をしめていた。それが商船の建造を止め、潜水艦だけを川崎と交代で建造。それ以外は何をしているのだろう。原発関係は福島の事故以来ダメ。船がダメなら飛行機ということでジェット機を造る算段であったが、頼みのMRJは予定がベタベタに遅れている。飛行機関係に多額のお金と人員をつぎ込んでいると聞く。なんでもボーイングの下請けをするとのこと。零戦を造っていた三菱がB29を造っていたボーイングの下請け。日米の和解もここに極まれり。 
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リップヴァンウィンクルの花嫁


監督 岩井俊二
出演 黒木華、綾野剛、CoCoo、原日出子、地曳豪、りりぃ

 不思議な映画である。3時間になんなんとする長尺の映画ではあるが、3時間はアッというまである。時間を感じさせない。タイトルの「リップヴァンウィンクル」ま、いわばアメリカ版浦島太郎といっていいかな。どっかで夢中になって過ごすうちに外界ではとんでもない時間が過ぎていた。この映画の「リップヴァンウィンクル」は主人公の友だちマシロのハンドルネームだが、主人公ナナミ自身が不可思議な遍歴ののち、とんでもない時間が過ぎていたからだろう。映画の中での現実の時間の経過は1年も過ぎていないだろう。しかし、ナナミにとっては恒星間旅行をしたほどの時間が経っている。そのナナミの不可思議ワールドを案内するメフィストフェレスが何でも屋の安室行舛(アムロユキマス。=セイラさんブライトさん、アムロ行きます!)
 ナナミは教師。といっても正式の教師ではなく非常勤の派遣教師。気弱で声も小さく教師をクビになり、コンビニのバイトで糊口をしのぐ。ただ一人だけネットで教えている女の子だけがゆいいつの教え子。そんなナナミ、SNSで知り合った男と結婚する。友人も親戚もないナナミは、結婚式の体裁を考えて何でも屋の安室にニセ者の代理親戚の派遣を頼む。ナナミも安室に頼まれてニセ家族のバイトをする。そして本業は「女優」だというマシロと知り合う。
 ナナミはマザコンのダンナとも離婚。メイドのバイト。バイト先にはマシロがいた。
 ナナミの両親も離婚している。家族も友人もいないナナミにとってバイトのニセ家族が、家族同様に仲良くしてくれる。ナナミにとってこの世界には、ニセモノの家族、「幸せの限度が低い」マシロ。メフィスト安室、そしてネットでつながったただ一人の教え子だけ。
 この世界が滅んでも3人だけ生きている。なにもない虚空にナナミ一人。前にパソコン。ネットでつながった根暗な教え子。そして「また困ったことがあればいってください」という安室。この3人おれば世界は動くのだ。
 なんといってもナナミの黒木華がいい。可憐でかわいいが、群衆に溶け込むと目立たない。黒木のメイド姿かわいい。弱そうだがほんとは強いのではないか。それに安室の綾野。うさん臭そう。なんぞこんたんがあるに違いない。こいつのほんとの目的はなんだと思わせて映画を最後まで見せる駆動力となる。マシロの母親役はシンガーソングライターのりりぃなんだな。強烈な存在感であったが彼女は昨年の11月に亡くなっている。この映画が遺作ではないか。
 ともかく、不思議な映画であった。
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厚い豚肉のお好み焼き


 お好み焼きや。粉もんやで。粉もんはうまいで。定期的に食わにゃおさまらん。粉もんは関西人のソールフードやさかいな。ワシも関西人やから月に一度は粉もんを作ってたべにゃあかんねん。
 粉もんちゅうてもいろいろある。ま、代表的なもんやったらタコ焼きとお好み焼きやな。今回はお好み焼きと行こう。お好み焼きの本場は大阪と、それに広島やけど、ワシはどっちかちゅうと大阪風のやつがええな。具はいろいろあるけど、定番は豚肉やな。今回も豚を使こうたで。その豚を一工夫した。お好み焼きの豚肉ちゅうと薄切りの肉やな。それを厚めの肉を使った。とんかつ用のロース肉でお好み焼きを作った。豚肉やからしっかり火を通さなあかん。肉だけ先にフライパンで焼いておいて、ホットプレートの生地の上にのっけて完成した。
 うん。ごちそう感のあるお好み焼きになったで。
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ブリカツ丼


 わたしは丼が好きです。主食であるご飯の上におかずが乗っかっています。1食をひとつの器で食べることができます。たいへんに合理的なお料理といえましょう。
 いろんな丼があります。5大丼といって天丼、牛丼、カツ丼、うな丼、親子丼ですかね。だれが決めたわけではありませんが、ま、この五つが代表的な丼物でしょう。わたしはこんなかでもカツ丼が特に好きです。三宮で外食するときは吉兵衛でカツ丼を食べることが多いです。自分でも作ります。いろんなカツ丼を作ります。チキンカツ丼を一度作りましたが、ほとんどがベースが豚肉を揚げたもの。とんかつですね。で、今回はまったく違った発想のカツ丼を作りました。豚や鶏ではなく魚を使ったカツ丼です。
 ブリカツ丼です。新潟県は佐渡の名物だそうです。日本海ではおいしいブリがとれますものね。作り方はいつもカツ丼とほとんど同じです。ブリの切り身を小麦粉卵パン粉をつけて揚げます。揚がったら、醤油、味醂、砂糖のタレをくぐらせて、丼めしの上に乗っけます。たいへん、おいしいです。ブリが旬の冬にはまた作りましょう。
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深海の怪物

「それ」が「そいつ」に当たった。このことは「そいつ」にとって、幸か不幸か判らない。しかし、「そいつ」の通り道にいた連中にとっては大いなる不幸であった。なぜなら「そいつ」はまだだれも見たことがない凶悪な怪物に変身したからだ。
「そいつ」は深い海の底にいた。マリンスノーが積もる海溝の底。目の前を横切る小生物を食指を伸ばして食べる。手近にいる異性と交接する。卵を産む。「そいつ」の行うことはそれだけ。そうなのだ、「そいつ」は卵を産むレベルの生命。こんな深海にいる生き物としては高等な方だろう。
「それ」が当たったことは「そいつ」自身は気がつかなかった。ただ、自分の身体がずいぶん大きくなったことは判った。それよりも、動ける。これにはびっくりした。今まで海底の岩盤に着床して、食指と生殖指だけをゆらゆら動かすだけであった。身体が岩盤から離れた。海中にゆらりと泳ぎだした。それにともなって、身体がさらに大きく、食指は長く太く強力になった。
 甲殻類がいる。ヤツは「そいつ」が主食。いつもヤツに食べられている。今は立場が逆転した。今は「そいつ」の方が大きい。
 食指がヤツに届いた。1本の食指はヤツの身体に巻きつく。締めつける。ギチギチギチ。キチン質でできた硬い甲羅が少しづつ変形していく。ヤツは動けない。もう1本の食指がヤツのハサミをつかんだ。ハサミで挟まれた。いままでは、そのハサミで挟まれて、岩盤から引きはがされて、むしゃむしゃと食べられていた。ハサミをつかんだ食指でぐんとひっぱる。ベキ。ハサミが取れた。もう1本のハサミも取れる。これでヤツは丸ごしだ。
 甲羅にひびがいった。パリン。甲羅が割れた。白い柔らかい肉があらわれた。食指で肉をほじくりだして食べる。むしゃむしゃむしゃ。中身を全部食べて、空っぽになった甲羅を投げ捨てる。「そいつ」はまた大きくなった。

 昨夜、午後7時26分ごろ、静岡県の広い範囲、駿河湾を中心に、静岡市、清水市、富士市、沼津市で異常に高い放射線量が検出された。この地域では78ミリシーベルを記録した。浜岡原発からの放射線もれは観測されず、この地域だけに限定した宇宙線の異常と考えられる。なお上空のバン・アレン帯に大きな空洞が見られるため、宇宙線の異常は間違いない。
 この地域の住民は将来、癌を発症する確立が高いため、今後は定期的に癌検診を行う必要がある。静岡県はそのための特別予算を県議会に計った。
 一番放射線量が高かったのは駿河湾の海上であって、サクラエビ漁漁船第2早山丸が当該海域で操業中であった。乗組員全員相当量の放射線を被爆しているおそれがあり、帰港後ただちに検査入院した。第2の第五福竜丸といわれている。

「そいつ」は喜びにうちふるえていた。今まで自分を締め付けていた「力」がぐんぐん弱くなっていく。進む先には「光」が見えてきた。
「光」それは「そいつ」が知らない概念である。今まで「そいつ」の世界ではなかった。あ、いや。あった。一部の生物に発光器官を備えているモノがいた。真っ暗な中にポツポツと「点」が見えることがあった。あれが「光」か。しかし、いま、「そいつ」の眼前にあるのは、全世界が輝いている。
「そいつ」の脳は食指の間にある。全身は大きくなったが、「そいつ」の身体で最も大きく変化したのは、その脳である。
「意識」がめばえた。「あれ」からずっと動いていた動作が止まった。上へ動く。上昇が止まった。「そいつ」は海面に出た。新世界がそこにあった。「空」がある。そして、向こうには「陸」がある。「そいつ」は本能に導かれるまま。陸を目指す。空腹だ。小さな生き物をいくら食べても満腹しない。「陸」には食べ物がいっぱいあるに違いない。
 と、その時、「そいつ」は自分の身体が宙に浮くのを感じた。なんだ。これは?

「しゅんちゃん。海に入ってはいけませんよ。放射能がいっぱいあるんですからね。それにもう帰りましょう。病院に行かなくては」
「おかあちゃん。見て、カモメがかわいいタコを食べてるよ」

「そいつ」は意識が遠のくのを感じた。これが「死」か。  
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とつぜん上方落語 第9回 鷺とり


 休日出勤の多いわたしでも日曜は休みのこともあります。先日、お天気の良い日曜日、芦屋川を散歩してました。カモやサギ、セキレイ、それに河口の近くにはカモメなどけっこう野鳥がおります。
 サギがおりました。これはアオサギでしょうか。シロサギもいましたが、シロサギは警戒心が強いのか、写真を撮らせてくれません。
 サギの出てくる落語といえば、なんといっても「鷺とり」ですね。わたしは桂枝雀師匠のをDVDで持ってますが大爆笑です。この落語ではサギを捕まえる方法としてサギに呼びかける方法が紹介されています。
 最初、大きな声で「サギ」と呼びます。するとサギは人間がいるなと思います。で、近寄って、さっきより小さな声で「サギ」といいます。するとサギは、「おや、遠ざかっているな」と安心するわけで。サギのすぐ後ろで、うんと小さな声で「サギ」といいいうとサギは、人間はうんと遠くへ行ったなと思うわけです。で、ワッとサギを捕まえるというすんぽうです。
 これを航空自衛隊の戦闘機の攻撃システムに採用するのです。高価な対空ミサイルよりよほど効果的で安あがりです。次期主力戦闘機のF35にはせひ採用してもらいたいものです。
 中国空軍の最新鋭ステルス戦闘機J-20が尖閣上空に出現。航空自衛隊のF35がスクランブル発進。日本が誇る秘密兵器「サギトリ」を搭載したF35です。空対空ミサイルなんぞは積んでません。
 まず遠くの方から大きな声で「J-20」と呼びます。あとはおわかりですね。J-20のケツにぴったりくっついて「J-20」で、うしろから20ミリバルカンで撃つ。「サギトリ」があれば20ミリバルカンがあれば充分です。上方落語は日本の防衛予算の削減に大いに役立ちます。安部晋三さん稲田朋美さん、上方落語を聞きましょう。
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病院へ。お酒解禁


 きょうは会社はお休みをいただきました。病院です。1月5日に前立腺の手術を受けました。術後診察です。
 予約時間の11時30分には神鋼記念病院に着きました。泌尿器科の待合室はたいへんな数の患者さんです。この病院は前立腺の手術では兵庫県で2番の実績があります。泌尿器科はこの病院の看板の一つでしょう。先客の数は多いですが、予約制ですので15分ほどで診察室に呼ばれました。
 出血は完全に止まっているし、尿もれも少なくなってきています。術後の経過は順調とのことです。排尿のあとエコーで膀胱を見られました。残尿も10ccほどで問題なしです。
 で、先生に聞きました。もちろんお酒です。お酒OKです。自転車に乗ってもいいです。9か月ぶりにお酒が飲めます。
 病院を出たあと、摂津本山駅で家人と待ち合わせ。ラ・ポストで昼食。平日のお昼ということで、男性のお客は小生ひとり。おばさんがぎっしり来てました。味は、まあイケました。ランチ1280円。いいじゃないですか。
 昼食の後、ぶらぶら坂道を上がって岡本の梅林へ。梅はひととおり咲いておりました。
 病院は3月も来なさいということですが、お酒解禁ということで、ひとくぎりついたといえましょう。で、このたびの顛末をこのブログに記録として残していこうと思います。来週の水曜日2月22日から新カテゴリー「前立腺風雲録」を開始します。同病の方の参考になればうれしいです。
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4代目桂米朝と8代目笑福亭松鶴

 桂春之輔さんが来年、桂春團治を襲名する。4代目桂春團治が誕生する。先代、3代目春團治師匠は端整な高座でたいへんに「絵」になる噺家だった。
 春團治一門の筆頭は桂福団治師匠。その福団治師匠を飛び越えて春之輔さんが4代目襲名。亡くなった3代目春團治師匠の遺言だったとか。春之輔さんは上方落語協会副会長として、桂文枝会長とともに上方落語発展に寄与していて、政治力は充分に持っている。一門を統率するのに適役ではないだろうか。
 上方落語4天王。3代目桂米朝、6代目笑福亭松鶴、5代目桂文枝、3代目桂春團治。このうちの桂文枝は当代6代文枝師匠が上方落語協会会長としてらつ腕をふるっている。そして桂春團治も4代目が生まれる。さて、あと、4代目桂米朝と8代目笑福亭松鶴だ。
 桂米朝。米朝という名前は、もともとは米團治になる前の名前。3代目米朝は諸般の事情で米團治を継がなくて、1代で米朝という名前を大きくした。だから本来は米團治が一門の止め名である。3代目米朝師匠の構想では、桂吉朝師匠が5代目米團治になり、実子の桂小米朝が4代目米朝になる予定だったとか。それが吉朝師匠が亡くなってしまった。で、小米朝が5代目米團治となった。止め名の米團治が復活して当代桂米團治として活躍しているのだから、一門の形としては整っているといえる。4代目桂米朝はあせってだれかに襲名させず、将来、桂米朝の名にふさわしい噺家が出てくるのを待てばいいのでは。
 笑福亭松鶴。6代目松鶴が亡くなったとき、総領弟子の笑福亭仁鶴が7代目松鶴になるのがスジであったが、仁鶴はこれを嫌がり、7番弟子の笑福亭松葉が7代目松鶴になるはずであった。ところが襲名披露前に松葉が急死。7代目松鶴は松葉に死後追贈。だから7代目笑福亭松鶴の高座を見た人はだれもいない。松鶴は笑福亭の止め名だから。8代目松鶴がいないと落ちつかない。
 この秋、笑福亭三喬さんが7代目笑福亭松喬を襲名する。調べてみたら、初代と3代目の松喬はのちに松鶴を襲名している。だから、その流れで行けば、7代目笑福亭松喬さんが、何年後かに8代目笑福亭松鶴を襲名してもいいんではないだろうか。
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郵便配達は二度ベルを鳴らす


監督 テイ・ガーネット
出演 ラナ・ターナー、ジョン・ガーフィールド、セシル・ケラウェイ

おじゃるまる」のふらふらのケンみたいな男が出てくる。そのアメリカ版ふらふらのケンこと、フランクがヒッチハイクの車から降りる。このフランク、ふらふらのケンよりもう少し毒がある人物。
 降りた所にある店に「求人募集」の看板が。ガソリンスタンド兼食堂だ。入る。主人は風采が上がらない中年のおっさん。主人に気に入られ、即、採用。
 脚が映る。ものすごくきれいな女性の脚。足首からヒザまでがやたら長い。全身が映る。若い美女がそこにいる。その美女コーラ。主人の妻だ。さえないおっさんと美女の夫婦。なんぞわけありの夫婦かいな。
 フランク、ひと目ぼれ。いきなりチュー。コーラ、何事もなかったように口紅を塗りなおして向こうへ行く。
 と、こういう出だしである。ご想像の通り、フランクとコーラは不倫。ズブズブのならぬ仲。かわいそうなのは中年のおっさんニック。ニックの運命やいかに。フランクとコーラはどうなる。で、後半は法廷場面。検事は久しぶりに出てきたあの男。弁護士というのがなかなかのクセ者。
 ときおり入るナレーションはフランクの語り。フランクはナニの前に誰を相手にしゃべっているのか。それは最後にわかる。そこでフランクはいう。「知らせは二度くる」これがこの映画のタイトルの意味。バイクに乗った警官は出てくるが郵便配達は出て来ない。口紅、メモ、レジスター、猫、脚立。いろんなミスディレクションが散りばめてあってなかなか興味深い。それになんといってもフランクとコーラのキャラ。悪人にはなりきれず善人ではない。お互い自分を相手が本気で愛してるのか確信が持てない。ゆれている。
 ゆれているで思いついた。日本でリメイクするのなら監督はぜひ、西川美和さんにやってもらいたい。
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ヒイカの煮つけ


 スーパーへ魚を買いに行くと、ヒイカを売ってました。思わず買いました。煮つけてみました。お酒、醤油、味醂で煮つけます。簡単なお料理です。
 ヒイカ、10センチ足らずのかわいいイカです。ジンドウイカともいいヤリイカの仲間ですが、ヤリイカの子供ではなく、これで成魚です。
 この時期、ヒイカ、イイダコ、ホタルイカなど小さくてかわいい頭足類がよく出回っていて、おいしいです。
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酒粕ラーメン


 酒粕が少しだけ残っている。甘酒にでもしようかと思ったが、せっかくだから別の料理にしよう。やはり小生の好きな麺類がええ。こんな寒い日は、アツアツの麺をふーふーいって食べるのがなによりのごちそう。
 ラーメンだ。ラーメンにしよう。酒粕ラーメンである。まず、元になるスープ。これは普通に鶏ガラでとる。中華スープの素を使えば簡単だが、ちゃんと鶏ガラで取った方がおいしい。これに酒粕、それに味噌少々で味つけをする。麺は細目があうだろう。具にはラーメンの定番焼豚ではなく鶏肉を使った。チャーシュウならぬチャー鶏だ。鶏もも肉をタコ糸でくくって醤油、酒、味醂で煮る。煮えたら一晩おいて表面をあぶって軽く焦げ目をつける。あと、もやしと青ネギを用意した。
 できた。食べる。これはうまい。日本酒のいい香り。少しアルコール分が(禁酒中だがこれぐらいはいいだろう)あるから身体が温まる。うまいラーメンとなった。
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とつぜん対談 第97回 社長との対談

 きょうの対談相手は社長さんです。どこの会社の社長さんですかって。あの会社の社長さんです。あの会社ってどこですか?え、判りませんか。あの会社ですよ。あの会社。
 さて、行きましょうか。北新地の某クラブでお会いすることになってます。あ、気をつけてくださいよ。そそうがあってはいけません。なにせ社長さんです。ご機嫌をそこねるとクビになりますよ。

雫石
 こんばんは社長さん。お待たせしました。

社長
 いや。かまわんよ。で、ワシから何を聞きたい。

雫石
 経営の極意など。

社長
 なんだそんなことか。簡単なことじゃ。出る金は少なく。入る金は多く。それにつきるな。

雫石
 具体的にはどうするのですか。

社長
 製品の原材料をできるだけ安く仕入れる。それを金をかけずに建てた工場で製品を造って、できるだけ高く売る。それにつきるんじゃ。

雫石
 人件費は?

社長
 人件費!そんなもん聞かんでも判っとるじゃろ。人件費がいちばんのコストじゃ。人件費を極限まで圧縮するのが経営のキモじゃ。

雫石
 社長さんですから人の使い方も上手なんでしょうね。

社長
 そんなもん簡単なもんじゃ。

雫石
 どうするのですか。

社長
 安い金で長い時間働かせるのじゃ。理想をいえばタダで24時間働かせれば一番いい。

雫石
 だったらロボットを使えばいいんじゃないですか。

社長
 タダのロボットがあればそうする。

雫石
 しかし労働者は人間ですよ。食べなければならないし、家族を養わなくてもいけないんですよ。

社長
 そんなことはワシャ知らん。

雫石
 それじゃ、従業員が定着しないでしょう。

社長
 ワシは去る者は追わず、来る者はこばまずじゃ。うん、ねえちゃん、ええケツしてんな。

ホステス
 キャー。

社長
 ええじゃないか減るもんじゃなし。

チーママ
 あのう。社長さん。ここはそういう店じゃないんです。

社長
 じゃあ、どういう店じゃ。ほれ、ねえちゃんさわり代。

ホステス
 うわっ。10万円。

ホステスB
 あたしもさわって。

ホステスC
 あたしなんか、おっぱいもさわらせてあげるから20万ちょうだい。

社長
 やるぞやるぞ。みんな寄ってこい。

ホステスD~Z
 キャー社長さんすてき。

社長
 うひゃひゃひゃ。

チーママ
 社長さん。ええかげんにしてください。

社長
 チーママ。おこった顔がまた色っぽいな。このあと店がはねたら、どや。

チーママ
 どやって、なんですか?

社長
 わかっておろうが。ワシと。うひひひ。

雫石
 あのう社長さん、従業員の話は?

社長
 従業員?そんなもんはどうでもええんじゃ。英雄、色を好むというじゃろ。がはははは。

雫石
 だめだな。これは。


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こんな雑誌はもう買わない


 料理は小生の趣味である。毎週、土曜日曜には料理している。料理雑誌も毎月買う。dancyuを毎月愛読している。1991年の創刊当時から読んでいる。
 で、そのdancyuを買おうと思って書店の料理雑誌売り場に行くと、よく似た雑誌がある。buonoブオーノたらいう雑誌である。イタリア語で「おいしい」という意味だろう。なんかdacyuに似てるなと思いつつ、たまには浮気してやれと、今月はbuonoを買った。創刊3号目だ。
 電車の中でパラパラめくる。dancyuそっくりやないの。表紙、レイアウト、写真の使い方、そっくり。dancyuのキャッチフレーズが「食こそエンタティメント」buonoが「料理紳士のためのフードエンタティメントマガジン」
 で、buonoの内容を読んでみる。なんだこりゃ。大笑いである。やたら「男」「男」と強調しすぎ。料理そのものを楽しむんではなく「オレの趣味は料理だ。オレは料理してるんだ」と、料理している自分に酔って自己陶酔してるみたい。料理するのがそんなにかっこよくてエライのかといいたくなる。それに料理そのものではなく、料理する姿を女に見せて、 調理した料理を女に食べさせて、女にもてようというこんたんがかいま見える。
 dancyuに比べて、buonoは実に薄っぺらなセンスである。こんな雑誌、もう買わない。
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