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SFマガジン2017年12月号


SFマガジン2017年12月号 №724 早川書房

雫石鉄也ひとり人気カウンター
1位 新・航空宇宙軍史 ペルソナの影 谷甲州
2位 忘却のワクチン         早瀬耕
3位 花とロボット ブライアン・W・オールディス 小尾芙佐訳
4位 天岩戸              草上仁

連載
プラスチックの恋人(最終回)      山本弘
マルドゥック・アノニマス(第17回)  冲方丁
忘られのリメメント(第5回)      三雲岳斗
幻視百景(第11回)          酉島伝法
筒井康隆自作を語る♯4
「欠陥大百科」「発作的作品群」の時代(後篇) 筒井康隆 聞き手 日下三蔵
近代日本奇想小説史 大正・昭和篇(第33回) 横田順彌
SFのある文学誌(第55回)         長山靖生

オールタイム・ベストSF映画総解説  PART2
「ブレードランナー2049」公開記念特集

追悼 ブライアン・W・オールディス
第5回ハヤカワSFコンテスト受賞作発表!

「小説現代」がリニューアルする。長編連載中心の誌面作りを改め、長編一挙掲載や、中編、短編を掲載して、その号で読み切れる編集にするとか。大変に結構なことだ。SFマガジンもぜひとも見習うべき。
 だいたいが、雑誌の連載小説なんてもんは、読者じゃなくて出版社の都合で掲載されてるものだろう。あとで単行本で出すための原稿確保のために雑誌に連載しているのではないか。週刊誌ならともかく月刊誌で1か月づつコマ切れで小説を読んでも面白くない。特にいまのSFマガジンは隔月刊だから、2か月も前に読んだ小説なんて覚えておらん。
 今月もSF映画総解説。それに「ブレードランナー2049」特集。映画関係にたくさんのページを割いている。
 SFは文芸である。よってSFマガジンは文芸誌とこころえる。映画関係の記事を掲載するなとはいわん。ただ、SF文芸専門誌としての責務を果たしたうえで映像関係にページをさくのはいい。しかし、最近のSFマガジンは文芸誌の責務を果たしていない。例えば、かってやっていたヒューゴー賞ネビュラ賞特集も知らないうちにやらなくなった。これではSF専門誌の責務を果たしたとはいえない。猛省を求める。
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日の名残り


カズオ・イシグロ  土屋政雄訳     早川書房

 この作品、もうずいぶん前に読んだ。映画も観てこのブログでレビューしている。このたびのカズオ・イシグロのノーベル賞受賞をしおに読み直したわけ。
 名作である。執事スティーブンスの独白という表現をしているが、執事という高級雇われ人独特な丁寧言葉が、ある種リズム感を持っていて、読んでいて非常に心地よい。これは訳者の土屋の訳文のうまさのたまものでもあろう。イシグロの作品のほとんどが、土屋の翻訳である。
 新しいご主人、アメリカ人のファラディがしばらく帰国する。その間、フォードを貸してやるから、お前も旅行するがいい。この主人の提案を受けた執事スティーブンスが、昔の仕事仲間で、元女中頭ミス・ケントンに逢いに行く。フォードを運転してイギリスの美しい田園地帯を旅行する。その間、昔のことを回想する。
 自分ではそんなことは決していわないがスティーブンスは名執事である。非常に有能な執事で、しかも更なる高み目指して努力を怠らない。生真面目である。新しいご主人はアメリカ人である。ときどきジョークを飛ばす。執事としては、そのご主人のジョークを受け、ジョークでお応えするのが執事の務め。一生懸命にジョークなるものを考える。前のご主人ダーリントン卿はジョークなんていわなかった。ともかくより良き執事になるために常に考えている。執事にとって最も必要な資質は何か。それは「品格」だ。では「品格」とは何か?
 スティーブンスはプロの執事である。職業人である。でも、それと同時に成人した男性である。
 映画では、スティーブンスがミス・ケントンにほのかな思慕を抱いているところが垣間見える。仕事一途の石頭と思われるが、ミス・ケントンへの想いは観ていて判る。また、ミス・ケントンも盛んに「好き」サインを送っているがスティーブンスはそれに気づかないか、気づいても知らぬふりをしているのか、まことにいじらしい。
 小説は映画のように映像で観るのではなく、文字で読む。しかも、冒頭でいったようにスティーブンスの回想であり独白である。映画よりもスティーブンスの内面本音が判る。映画では 恋≒仕事と見えたが、小説では恋<仕事と見た。
 そもそも、スティーブンはなにが目的で、休暇を費やしてミス・ケントンに逢いに行くか?お屋敷は人手不足。元女中頭のミス・ケントンに復帰してもらったら大助かり。あくまで仕事上必要だからスティーブンはフォードを駆って彼女に逢いに行くのである。それにミス・ケントンはもう人妻で初孫が生まれようとしている。だいたいが、ダーリントン卿時代は、スティーブンスとミス・ケントンはしょっちゅうケンカしている。とは、いいつつもスティーブンスのミス・ケントンへの想いは行間から伝わってくる。このあたりはイシグロのうまいところだろ。
 と、書くと、本書は恋愛小説のようだが、その一面もあるが、お仕事小説であり、第1次世界大戦と第2次世界大戦。二つの大戦のはざまのヨーロッパ情勢といった国際政治小説的な一面もあり、戦後ナチスの理解者として不遇の老後をおくったダーリントン卿という一人のイギリス貴族の役割と生き様。それを近くで見ていた執事の前のご主人への敬愛。執事小説でありつつ歴史小説としても読める。
 イシグロは読者に親切な作家ではないが、本書は判りやすく、イシグロにしては親切な小説である。おすすめ。
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チャチャヤング・ショートショート・マガジン 5号


チャチャヤング・ショートショートの会

「チャチャヤング・ショートショート・マガジン」第5号が出ました。
 内容は次ぎの通りです。

蔵出しセール・十四品 深田亨
銘銘伝 ほか     柊たんぽぽ
週末は終末      雫石鉄也
猫の王        岡本俊弥
マカオ        岡本俊弥
見習         篁はるか
ラストコンタクト   深田亨
音          大熊宏俊
リンちゃんの鉄塔   和田宜久
蠟石の夢       服部誕

 ショートショート、私小説、ファンタジー、ビジネスSF、お仕事小説、破滅SF,本格宇宙SF、不条理小説、異色短篇。バラエティ豊かな作品集に仕上がっています。
 こちらで、読めます。どうかご一読ください。 
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熊と踊れ


アンデシュ・ルースルンド&ステファン・トゥンベリ
ヘレンハルメ美穂・羽根由訳        早川書房

 北欧ミステリーである。スウェーデンで実際に起こった連続銀行強盗事件がモデルとか。
 長男レオ、次男フェリックス、三男ヴィンセント。兄弟の幼なじみヤスペル。レオの彼女アンネリー。この5人は銀行強盗。表の仕事は工務店だが、それは世をしのぶ仮の姿。ごく短い時間に3軒の銀行強盗を成功させるというはなれワザを演じる。彼らは銀行をやるまえに軍の武器庫を襲い、221丁もの銃器を盗みだした。その軍用の銃を使って銀行を襲う。銀行強盗が一段落して、この大量の銃をどうするか。なんと警察に売りつけようとする。お前たちが買わなければ、犯罪組織に売るぞ。大胆不敵、用意周到、俊敏行動。しかも兄弟と幼なじみだからチームワークが非常によろしい。およそ強盗団として必要な資質はすべてそなえている。しかも、こいつら前科がない。警察にすればなんともやっかいな連中である。
 リーダーは長男レオ。沈着冷静、頭脳明晰、弟思いで、メンバー4人を完全に掌握している。このレオに多大な影響を与えたのがオヤジのイヴァン。レオが子供ころいじめっ子にいじめられると、イヴァンは人のぶん殴り方を教える。レオ、オヤジに教えられたようにパンチをきたえ、いじめっ子を殴り倒す。ともかく、このオヤジ暴力オヤジ。3兄弟の母親、つまり自分の妻にも暴力をふるうDV野郎。
 この小説の主人公はいちおう長男レオだが、物語の中心を通っている芯棒は、オヤジのイヴァンではないかと小生は思う。いささか粗暴で教養ある男とはいえないが、ともかくこの男家族思い。家族の絆をなにより大切にする。なんと3兄弟を集めて、毛利元就の3本の矢の教えをとく。スウェーデン人の作家が毛利元就を知ってたのかな。
 レオはともかく弟二人はイヴァンを嫌っている。作中では暴力オヤジとして描かれているが、なかなかどうしていい漢(おとこ)である。それなりに1本筋が通っている。
 それにやたら暴力暴力というが、この連中は一人も人を殺してない。大藪春彦や西村寿行の愛読者である小生からみたら、暴力犯罪小説というよりも、なんか義賊の話みたいに見える。
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右から二番目のキャベツ


服部誕 書肆山田

 詩集である。小生は詩は判らない。詩集はほとんど読んだこともないし、もちろん自分で書いたこともない。そんな小生が本書を読んだ。面白かった。
 だいたいが、小生はたいへんな散文人間だと自分では思っていた。だから小説は好んで読むが詩集は読んだことがなかった。「詩」というと韻文の文芸だとの勉強不足な認識であった。詩を理解し楽しむためには、それなりの感性が必要ではないか。散文人間の自分には詩は判るはずかがない。そう誤解していたわけ。ところが、散文詩というのもあるわけだ。
 この本は、散文詩の詩集。だから小生が読んでも判ったし面白かった。ショートショート、あるいはエッセイとしても楽しめる本である。
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BARで飲みたい31の名酒


古谷三敏 古谷陸  双葉社

 BARレモン・ハート。バーを舞台とした漫画である。マスターは武骨な中年男。昔、パラパラと読んだことがある。お酒のうんちく漫画だ。拙作海神シリーズの師匠すじといってもいい漫画だが、海神とレモン・ハートは少しコンセプトが違うようだ。
 その漫画レモン・ハートが連載30年。作者古谷三敏が80歳。それを記念して出版された本だ。
 古谷は手塚治虫、赤塚不二夫という二人の天才にアシスタントとして師事し、薫陶を受けた。この二人の師匠とのエピソードや、仲間の漫画家たちとのエピソードといったベテランの漫画家としてもエッセイと、酒飲みになって50年という酒の達人としてのうんちくが楽しい。
 古谷は実際に東京でBARレモン・ハートを持っているBARのオーナーだ。マスターが孫の古谷陸。古谷は真に漫画と酒を愛しているのだ。その古谷が想い入れのある酒として上げたのは次ぎの31の銘酒。

グレングラント38年
ハイランドパーク25年
グレンフィディック
ザ・グレンリベット12年
グレングラント12年
ワイルドターキー8年
ワイルドターキー(スキットル型)
アーリータイムズ
オールドグランダッド114
エヴァン・ウィリアムス23年
ジョンベック・ブルーキャップ
紹興香雪酒
どぶろく(秩父櫻)
トリス
キリンラガービール
シャトー・ラトゥール
レミーマルタン
ジョニーウォーカースウィング
八海山
ロマネコンティ
ニッカ キングスランド ポットスチル型
カシスフィズ
バカルディ
ブラッディメアリー
ラッテ・ディ・スゥォチェラ
レモンハート151
モヒート
ダイキリ
クロヴァジェVSOP
ランバノグ
ワイルドターキートリビュート15年

 小生の知ってる酒もあるし知らない酒もある。ものすごく高価なスコッチもあるしトリスもある。酒の種類も多彩。ウィスキーはスコッチにバーボン。ビールにブランデー、日本酒、どぶろくからヤシ酒まである。さすが酒のウンチク漫画の作者である。酒好きには、実に楽しい本だ。
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いっとかなあかん神戸


 江弘毅    140B

「いっとかなあかん神戸」である。「いっとなかあかん神戸のお店」ではない。分類すれば、いわゆるグルメのガイドブックである。おいしそうなお店がいっぱい紹介されている。どのお店もたいへんに魅力的で、一度は行きたいと思わせるし、小生(雫石)が行ったことのあるお店も何軒かこの本に載っている。
 そのへんになんぼでもある凡百のガイドブックはデジタルでお店を紹介している。味A、接客C、店内インテリアB、というぐあい。この本はお店の紹介がアナログでなされている。だから立体的にそのお店が判る。
 たんなるグルメガイドではなく、書名からも判るように神戸という街そのものの紹介にもなっている。こういうお店が神戸にあるよ。と、いうのではなく、こういうお店がある街が神戸だよ。と、いうことである。
 著者は神戸大学出身者。だから学生時代は神戸にいた。卒業後も神戸に在住。だから、出てくるお店の多くは、この本のために取材したお店ではなく、昔から著者が個人的に好きで通っているお店。だから、それぞれのお店に対する著者の想い入れが読み取れる。
 グルメガイドでありつつも、エッセイ集としても読める。おいしいもん好き、神戸好きな人におすすめ。
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ウィスキー完全バイブル


土屋守監修      ナツメ社
 
小生はウィスキーが好きだ。国産、スコッチ、バーボン、比較的バーボンを好むが、いろんなウィスキーを飲む。で、本読みでもある小生としては、ウィスキーの基本的な勉強もしてやろうと思って、この本を読んだしだい。
 世界の5大ウィスキーというのがある。日本、アメリカ、カナダ、アイルランド、スコットランド。日本のウィスキーは近年評価が高く、サントリーの山崎、ベンチャーウィスキーのイチローズ・モルトなどは世界一の評価を得た。ウィスキーはスコットランドが発祥だから(アイルランドという説もある)、本来はケルト系民族の酒だ。5大ウィスキーでケルト系の白人民族でないのは日本だけ。これも日本人の才能だろう。5大ウィスキー以外ではインドのウィスキーが評価を高めている。
 ウィスキーは熟成される年数が古いほど良い。ノンエイジより8年。8年より12年。12年より21年。これには厳格なきまりがあって、50年ものの原酒に一滴でも若い原酒が混ざりこんでいれば50年ものとは認められない。
 モルトウィスキーの原料は大麦麦芽。ビールの原料も大麦麦芽。実は蒸留するまでの工程はウィスキーもビールも同じ。ウィスキーとビールは兄弟だった。
 と、いう興味深い記事があり、あとは世界のウィスキー図鑑。こりゃ楽しみだ。順々に飲んで行こう。
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デビルマン


永井豪&ダイナミックプロ      講談社

「ハレンチ学園」で、世の教育ママどもの逆麟を触りまくった、漫画界の革命的パイオニア永井豪が、そんなことは意に介さず、さらにパワーアップした物凄い漫画を描いた。それが、この作品だ。たしかアニメもあって、そっちは少しもおとなしいモノだったのではないか。こっちの漫画版は永井豪がリミッターを取っ払ってフルパワーで描いた。
 人類以前に地球を支配した種族がよみがえり、人類を駆逐しようとする。話の根本アイデアはラブクラフトの「クトゥルフ神話」と同じだが、永井がラブクラフトから着想を得て、この「デビルマン」を描いたかどうかは判らない。
 話の出発点は、二人の少年である。不動明と飛鳥了。了は明に、考古学者であった父の残した研究を見せる。明は悪魔が復活するという恐ろしい事実を知る。だれかが悪魔と戦わなければならない。で、明は悪魔の勇者アモンと合体して、人間の理性と悪魔の肉体を持ったデビルマンとなる。
 デビルマンと悪魔の戦いの描写は、たいへんなスピードとパワーで描かれる。その迫力もさることながら、実は人間も悪魔に負けないほど、悪魔性を持っていることがこってりと描かれる。人間は理性があるから人間なんだ。理性をなくした人間は悪魔にも劣る、ということ。
 主人公不動明のガールフレンド牧村美樹。恋人未満友だち以上という関係だが、悪魔と戦う理由を失った明が、ただ一つ戦いのよりどころとしたのが美樹の存在。「彼女を守るためだけでも戦う」明は最後の最後になって、美樹がそんな存在であったことを判る。
 しかし、いろんな漫画のいろんなヒロインを見てきたが、この漫画の牧村美樹ほど、ひどいめにあわされたヒロインは知らない。
 ラストは非常に美しい。名ラストシーンといえよう。「あしたのジョー」のラスト、「火の鳥 鳳凰編」のラストに匹敵する名ラストシーンだ。

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遙かな海路


神戸新聞社編      神戸新聞総合出版センター

 かって、神戸に日本一の巨大商社があった。鈴木商店という。神戸の小さな砂糖問屋であった鈴木商店が、いかにして巨大な商社に成長し、そして滅んでいったのか。
 ホンダに本田宗一郎、パナソニックに松下幸之助、ダイエーに中内功がいたように、鈴木に金子直吉がいた。ただ、本田、松下、中内たちは企業の創立者でありオーナーでありカリスマ経営者だ。金子は違う。20歳で高知から神戸に来て、鈴木商店に丁稚として雇われた。
 金子はただの丁稚では終わらなかった。鈴木のトップ「お家さん」鈴木よねに見こまれ、すべてを任され、稀代の名番頭として辣腕をふるい、三井、三菱、住友を凌駕する商社に育て上げた。
 金子自身は商人でありながら「生産こそが人間が行う最も尊い仕事」との信念の元、砂糖、樟脳、食品、製鉄、造船などあらゆる製造業にアメーバのごとき、触手を伸ばし、自ら起業し、はたまた既存企業を買収し、近代日本の製造業の骨組みをつくったといっても過言ではない。
 例えば、日本を代表する製鉄所のひとつ、神戸製鋼は、東京の書籍商、小林が神戸の脇の浜に小さな製鋼所を作った。それを金子が買収して、今の神戸製鋼となった。神戸製鋼のルーツは本屋であったのだ。小生(雫石)が入院して手術を受けた神鋼記念病院の正門の前に「神戸製鋼発祥の碑」がある。
 主人鈴木よねは番頭金子に全幅の信頼を置いている。金子はよねに忠誠をつくす。だから、金子は鈴木を株式会社にしなかった。株式会社にすれば会社はよねのモノではなくなる。だから資金の調達は台湾銀行に頼っていた。ここに金子の誤算があった。昭和初期の恐慌にたえきれず鈴木商店は滅亡した。
 鈴木商店は大きくなりすぎたのだ。金子の暴走ともいえる。西川文蔵という人がいた。鈴木商店本店支配人。事務方の実務を取り仕切っていた。この西川が若くして死ぬ。それは、優秀な補佐役豊臣秀長を失った秀吉である。暴走した秀吉が朝鮮に侵略して豊臣政権を疲弊させたように、西川を失った金子の暴走を止める人はいない。
 鈴木商店は今はない。しかし、神戸製鋼、双日、サッポロビール、帝人、IHIといった企業が鈴木商店の衣鉢を継いでいる。
 鈴木商店は今はないといったが、登記上、鈴木商店は、今もある。金子の意志を受け継いだ人たちが清算手続きをしなかった。
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SKAT.16


第54回宣伝会議賞実行委員会編       宣伝会議

 9月になった。今年も宣伝会議賞の募集がはじまった。今年も応募しよう。今年は55回目だ。さて、この本は昨年の第54回宣伝会議賞の1次審査通過以上の作品4852本の作品が掲載されている。テレビ、ラジオのCMとキャッチフレーズだ。
 小生は、この賞には毎年応募している。以前は1次審査には何本かは通過していたが、年々、通過作品が減ってきて、一昨年、昨年は1本も通過作品はなかった。コピーの才能も年齢とともにおとろえていくことが実感できる。
 それでも、今年も応募するぞ。年寄りの冷や水。ふん、知ったことか。
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SFマガジン2017年10月号


SFマガジン2017年10月号 №723 早川書房

雫石鉄也ひとり人気カウンター
1位 翼の折れた金魚 澤村伊智
鰐乗り〈後篇〉    グレッグ・イーガン 山岸真訳 未読

連載
筒井康隆自作を語る♯3
『欠陥大百科』『発作的作品群』の時代(前篇) 筒井康隆 聞き手 日下三蔵
小角の城〈第46回〉 夢枕獏
椎名誠のニュートラル・コーナー 第57回
宝石の川        椎名誠
プラスチックの恋人〈第5回〉 山本弘
マルドゥック・アノニマス〈第16回〉 冲方丁
忘られのリメメント〈第4回〉 三雲岳斗
マン・カインド〈第2回〉   藤井大洋
幻視百景〈第10回〉     酉島伝法
近代日本奇想小説史 大正・昭和篇 〈第32回〉 横田順彌
SFのある文学誌〈第54回〉  長山靖生
にゅうもん!西田藍の海外SF再入門〈第17回〉 西田藍

ニューウェーブは終わらない-山野浩一を追悼する-岡和田晃
人間廃業宣言
〈ブチョン・ファンタ2017〉レポート  友成純一

オールタイム・ベストSF映画総解説 PART1

 野田昌宏大元帥のエッセイだったかな、こんなことが書かれてあった「もし巨万の富を得たら雑誌スターログを復活させたい」スターログ。元はアメリカの雑誌だが、1970年代後半、映画をメインにSFのビジュアル面に特化した雑誌である。そのスターログを復活させたいとの野田大元帥の言、大賛成である。もし、いま、スターログがあれば、SFマガジンがSF専門誌の責任感に燃えて、肝心の活字SFのページを割いてまで、以下のような企画を立てずにすんだことだろう。おいたわしやSFマガジン。
 今号の特集はSF映画。PART1.といっているのだから、次号もこの企画なのだろう。で、今号の内容はこのSF映画の特集と、山ほどの連載。読み切り短編は1篇だけ。ちなみに1976年7月号には読み切り短篇が、福島正実追悼特集の3篇もいれて19篇が掲載されている。この1976年7月号は価格680円。1篇あたり35.8円。今号2017年10月号は1200円(税抜き)。読み切り短篇は1篇だけだから1篇あたり1200円。なんと33.5倍の値上がり。
 で、特集のSF映画総解説だが、「総」といっているが、日本で公開されたSF映画すべて網羅されているわけではない。今号と次号500作が選出されている。選出の根拠は、SF作家・評論家のみなさまへのアンケートだとか。
 小生にいわせれば、この「アンケート」氏、よほど無知かウカツか、はたまたそうでないならSFを知らんのか。この選出、どうも違和感をかんじる。例えば、黒澤の「生き物の記録」が入ってない。「生き物の記録」は「渚にて」と並ぶ反核映画の傑作。「渚にて」が入って「生き物の記録」がなぜない。

   
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サラマンダー殲滅


 梶尾真治 朝日ソノラマ

梶尾真治はベテランの作家であると同時に、大ベテランのSFもんである。九州のBNFとしてファンダムで名の知られたSFファンだ。その古参のSFもん梶尾真治が、SF魂をうんとこさ詰め込んで、徹底的に読者を楽しませるため書いた特大エンタティメント大作が本書だ。
魅力的な登場人物、過酷な自然環境の異星、奇っ怪な生き物、憎たらしい悪役。あつい友情、波乱万丈のストーリー、強大な敵、危機また危機。読者を徹底的に楽しませる。
極悪非道のテロ組織汎銀河聖解放戦線の爆弾テロで夫と娘を殺された神鷹静香。彼女を支えているのは汎銀線への復讐心のみ。一介の主婦が強大なテロ組織を壊滅させようとする。その静香を支えるのは、彼女にプロポーズする軍人夏目郁楠。静香を一人前の戦士に鍛え上げた女戦士ドゥルガー。航宙士志望の「ついていない」青年ラッツォ。この4人で汎銀線の本部に殴り込みをかける。その本部というのが尋常でないところにある。
主人公の静香は美しく上品。ドゥルガーは巨大な大女で豪傑。夏目は沈着冷静なプロの軍人。ラッツォは無資格だが腕の良い宙航士。かような連中が、奇怪な飛行する肉食ナメクジ「飛びナメ」の大発生。不可思議な空間溶融現象。やたら強くで凶悪な汎銀線の殺し屋。こんなSF的な大道具小道具で読者のご機嫌を取り結ぶ。
SFの面白さ。冒険小説のカタルシスを、てんこ盛り、豪華大盛りお徳用、もってけドロボー的な娯楽超大作である。これは、もう、ひとこと、こういうしかない「読め」 

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SFの書き方


 大森望編 ゲンロン企画      早川書房

 東浩紀の「ゲンロン」で開催していた「ゲンロン 大森望 SF創作講座」の記録をまとめたのが本書である。主任講師の大森望は各種選考委員や翻訳、紹介、アンソロジー編集とSF関係の多岐にわたる仕事をこなしているが、小説の執筆はない。だから、この講座では、大森は主に聞き役、司会で、多くの編集者、作家をゲスト講師に招き、SFの書き方を伝授してもらおうという、すんぽうだ。
 毎回、講師が課題を出し、受講生が、梗概という形で提出する。そのうちの優秀な梗概が掲載されているから、読者としては判りやすい。
 第1回の課題は大森望が出した「これがSFだという短篇を書きなさい」1回目の講師は、東浩紀と東京創元社の小浜徹也。テーマは「定義」
 第2回は講師が長谷敏司。テーマは「知性」課題は「『エンタメSF』の設計」
 第3回。講師冲方丁。テーマ「構成」課題「誰もが知っている物語をSFにしよう」
 第4回。講師藤井大洋。テーマ「情報」課題「テーマを作って理を通す」
 第5回 宮内悠介 梗概・実作講評。課題「遊べ!不合理なまでに!」
 第6回 法月綸太郎 テーマ「論理」課題「゛謎″を解こうとする物語の作成」
 第7回 新井素子 テーマ「家族」課題「読者を『おもてなし』してください!」
 第8回 円城塔 テーマ「文学」課題「決して相容れないものを並立させよ」
 第9回 小川一水 テーマ「宇宙」
 第10回 山田正紀 テーマ「神」
 後半は実作篇。実作例として、
「二本目のきゅうりの謎、あるいはバートレット教授はなぜ時空犯罪者を支持することにしたのか?」崎田和香子
「コランポーの王は死んだ」高木刑
 このうち「コランポーの王は死んだ」が秀逸であった。主人公はアーネスト・シートン。シートンの「狼王ロボ」とウェルズの「宇宙戦争」をコラボさせたSF。映像化するとたいへんスプラッタな映像になるかと思われるが、シートン+ウェルズという異質なものの組み合わせが効果的。文章も読みやすく、この高木刑という人、かなりデキル。
 この本を読んだからとて、ただちにSFが書けるということはないだろう。ただ、SFが書けそうな気にはさせてくれる。
 受講生が提出した梗概を読めば、けっこうな才能の持ち主が野にはまだまだいることが判る。このうちの何人かがデビューすることを希望する。

 
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ビアンカ・オーバースタディ


 筒井康隆         角川書店

 なんでも筒井の初めてのラノベだそうだ。ラノベは初めてだそうだが、ジュビナイルなら筒井は「時をかける少女」をはじめいろいろ書いている。ラノベとジュビナイルはどう違うのか知らんが。
 この小説、ま、ひとことでいうのなら、マッド・サイエンティストものという方が正鵠を射ているだろう。マッド・サイエンティスというと、血走った目をして白髪白ヒゲで白衣を着た狂気の老人というのが、一般的なマッド・サイエンティス像だが、この小説の場合は違う。高校生の美少女なのだ。
 ビアンカ北町はこの高校で一番の美少女。いつも男子の視線を集めている。短いスカートで階段を登る。下からのぞかれたってへっちゃら。
 ビアンカの部活は生物部。部員はビアンカと先輩の千原の二人だけ。ウニを受精させて観察してるがウニじゃもの足りん。人間のをやりたい。で、目をつけたのは後輩の塩崎。ビアンカが何か頼んで断れる男子はいない。ビアンカは塩崎のあそこを刺激して精子を出させて採取。
 ところで先輩千原は実は未来人。未来は巨大カマキリが大量発生して人類の危機。千原はカマキリ退治用の天敵にすべくアフリカツメガエルの採集に、現代にやって来ていたのだ。
 このアフリカツメガエルの卵子に塩崎の精子や、生物部顧問のシュワちゃんこと工藤教諭の精子を受精させてつくった、塩崎カエルやシュワちゃんカエルを持って、ビアンカ、塩崎、「学校一の美女」沼田耀子、ビアンカの妹中学一かわいいロッサたちはカマキリ退治に未来へととぶ。
 と、まあ、こんな話だが、エロっちゃエロだが、読んでいてビアンカの美少女っぷりよりも、カエルと人間のあいの子をつくろうという、マッドサイエンティストっぷりの方に目がいった。

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