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スターウォーズ 最後のジェダイ


監督 ライアン・ジョンソン
出演 デイジー・リドリー、マーク・ハミル、キャリー・フィッシャー、アダム・ドライバー、ジョン・ボイエガ、オスカー・アイザック

懐かしのメロディです。前作「スターウォーズ フォースの覚醒」のレビューで同じことをいったが、もしこの映画が生まれて初めてのスターウォーズシリーズ鑑賞であれば、大変に面白く2時間いくばくかの時間を楽しく過ごせるだろう。少々しんきくさいところもあるが、娯楽活劇映画としてよくできている。しかし、小生のような第1作からリアルタイムで観つづけている者にとっては「またおんなじことをやっている」が正直なところ。
 前作「フォースの覚醒」が第1作「新たな希望」の焼き直しなら、この「最後のジェダイ」は、第2作「帝国の逆襲」の焼き直しといってもいいだろう。      
銀河皇帝がスノークで、ダース・ベイダーがカイロ・レン、ルークがレイだ。「帝国の逆襲」の脚本に少し手を加えて、あれやこれやオプションをつけ足せば本作になるのではないか。 最後の雪原での戦いの場面など、「帝国の逆襲」とそっくりである。それに、アナキンがやったことをルークが同じことをしている。ただ違うのはアナキンはダークサイドに落ちてダース・ベイダーになったが、ルークは世捨て人になって島に隠遁した。
 せっかく新シリーズになったのだから、大きくだいたんにストーリーを動かしてもいいのではないか。いつまでも帝国VS反乱軍ではあるまい。帝国がファースト・オーダーとかいうよー判らんもんになっただけ。
 初期3部作でレイヤ一味はデススターを破壊し、銀河皇帝も死んだ。だったら反乱軍はもう反乱軍ではなく権力を奪取したわけだから、レイアは銀河共和国の大統領に就任しているだろう。自由の闘士として支配者を倒し権力を取ったものは自分自身が支配者権力者になるのだ。かってミャンマーの自由と反権力の象徴で、ノーベル平和賞まで受賞したアウン・サン・スーチーがロヒンギャの迫害虐殺を止められないように。スーチーですらそうなのだからレイアも同じなのだろう。
 銀河共和国の独裁者レイア・オーガナ。この銀河の西太后ともいうレイアを倒すため、旧銀河帝国の残党が立ち上がる。というぐあいにまったく新しいヒーローを創造すべきなのではないか。そしてレイアを倒した勢力が権力をにぎって・・・。歴史ってこうして動いていくもんではないのかな。
 しかし、ルークが忍術を使ったのには驚いた。ファースト・オーダーの軍勢に1人で立ち向かった術。あれは「伊賀の影丸」由井正雪の巻に出てくる陰流の忍者幻心入道が使う「幻火術」だ。ルークが陰流の忍術を心得ていたとは驚いた。 
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2017年に観た映画ベスト5

 小生、映画館にはあまり行かないが、映画は好きだ。ほとんどがツタヤで借りてきたモノかテレビ放映されたモノを録画したモノだ。
土曜日の夜は映画を観ると決めてある。ところがプロ野球が開幕されると困ることになる。阪神タイガースの試合を観なければならない。土日の試合はほとんどがデーゲームだからいいが、たまにナイターになることも。そんな時はしかたがない、阪神はがまんして映画を観ている。お願い。土曜日の夜は阪神タイガースは試合をしないでね。
 さて、昨年、2017年に観た映画ベスト5は以下の通り。

1位 ブレードランナー2049
 傑作。前作を凌駕している。ディック原作の映画はあまたあれど、本作が一番フィリップ・K・ディックらしさが表現されている映画だ。

2位 夜は短し歩けよ乙女
 森見さんには悪いが、この映画、原作を大きく超えている。めくるめく奇妙奇天烈とはこの映画のことだ。

3位 キングコング 髑髏島の巨神
 大迫力。すごい、強い、かっこいい。こんなコングが観たかった。まさに千両役者キングコングにひれ伏せ。こんなコングに対抗できるのはやっぱりアイツか。

4位 ローグ・ワン/スターウォーズ・ストーリー
 シリーズ最高傑作第1作「スターウォーズ エピソード4 新たな希望」に匹敵する傑作。本編がいささか蛇足っぽいので、こういうスピンオフ作品が楽しみである。フォースとともにあらんことを。

5位 眼下の敵
 潜水艦と駆逐艦の戦い。相手は見えない。なかなかやるな。相手はどんなやつだ。双方の艦長尊敬しあいながら戦う。男と男。戦いと友情。うう、かっこええな。

次点 マグニフィセント・セブン 黒澤の「七人の侍」を原点として名作「荒野の七人」そして21世紀になって新たな七人が登場。久しぶりの本格西部劇。西部劇ファンの小生も満足。
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利休にたずねよ


監督 田中光敏
出演 市川海老蔵、中谷美紀 クララ、大森南朋、伊勢谷友介、市川団十郎、

 海老蔵を観る映画といっていいだろう。海老蔵が美しい。海老蔵の所作振る舞いがこの映画のテーマを具現化している。
 海老蔵演じる利休はたんなんる茶人にとどまらず、総合芸術家を標榜する、新進のクリエイターである。映画の冒頭は、利休、切腹の朝。切腹見とどけ役が「あの香炉を差し出せば関白殿下はお許しになる」というのに対して「私がぬかずくのは美しいものだけです」と拒否。天下人関白豊臣秀吉に向かって「あんたは美しくない」といっているのだ。切腹になって当然だろう。
 次のシーンは利休切腹21年前。利休も若く秀吉も藤吉郎時代で織田家の下っ端だった。当時の権力者信長に呼ばれた茶人数寄者たちが自慢の名品名物を信長に見せる。信長、金を払う。利休の番になった。利休、なんでもない盆に水を入れただけ。障子を開ける。盆に月が映っている。信長、袋から金を全部出す。たぶん、この時の利休は名品も名物も持っていなかったのだろう、で、天の月を信長に献上したわけ。これぞ、茶道でいう一期一会。その月は二度と手に入らない。その時だけのもの。
 利休はだれも見たことのない新しい「美」を見出そう/創ろうとしたのである。黒くそっけない茶碗。黒楽茶碗を陶工に依頼して制作した。だれも手にしたことのない茶椀で茶を立てたい。
 春の茶会。茶室の外は満開の桜。利休、窓を開ける。桜の花びらが散って、客の茶碗の中に花びらが。たぶん、客の座る位置、窓の場所、桜の木の場所、風向き、全部計算した上での演出であろう。利休は、ただただ茶を立てて客に飲ませるだけではない、人間の五感ぜんぶに訴える美を追求しているのだ。
 利休に切腹を命じた秀吉。とうぜん、利休とは違う価値観を持っている人物だが、美の追求者利休を際立たせるために、秀吉はガチャガチャした人物に描かれている。これではただの騒々しい俗物オヤジである。少なくとも天下を取った人物だから、傑物であったことは違いない。秀吉の傑物ぶりも少しは描くべきだったのでは。
 利休は若いころ悲恋を経験した。高麗の李王朝につながる高貴な女性が拉致され日本に連れてこられていた。その世話係を師匠に命じられた利休は、あまりの美しさにひと目ぼれ。彼女を連れ出し駆け落ち、海岸の小屋で心中を試みる。女は死に、利休は死にきれず。その時の彼女の形見が例の香炉。その香炉を利休は肌身離さず持っている。秀吉はその香炉を、利休の美の象徴だと思って、さし出せば許すといったのだ。
 この高麗の悲劇のお姫さまを演じたのは韓国の歌手だか女優だかだそうだが、かわいい女優さんではあるが、かの利休がひと目ぼれするほどのお姫さまという役では少し役不足では。あれではたんなるアイドルである。もっと神々しいばかりの美しい女優はいなかったのか。例えば「細雪」の吉永小百合のような。それから中国人女優のリン・チーリンのような女優だったらよかったのでは。

星群の会ホームページ連載の「SFマガジン思い出帳」が更新されました。どうぞご覧になってください。
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ラストベガス


監督 ジョン・タートルトーブ
出演 マイケル・ダグラス、ロバート・デ・ニーロ、モーガン・フリーマン、ケヴィン・クライン、メアリー・スティーンバージェン

 またまたじいさん映画である。 しかも、今度は4人のじいさん。「幸せなひとりぼっち」は1人の頑固偏屈じいさんの頑固偏屈を観て楽しむ映画だったが、今回は4人のじいさんの友情と年寄りの冷や水を観て楽しむ映画である。
 ビリー、バディ、アーチー、サムの4人はガキのころから58年来の友だち。4人のうちのただ1人のやもめビリーが結婚することになった。子供というより孫といってもいい若い娘とだ。ビリーの結婚を祝うドンチャンパーティーをやるためラスベガスへくり出そうということになった。アーチーとサムは行くが、バディはワシは行かん。どうもビリーとバディは過去の因縁遺恨があるみたい。アーチーとサムが説得してなんとかバディもラスベガスへやって来た。
 彼らはビキニ水着のコンテンストの審査員をやったり、ラスベガスだけにギャンブルをやったりと大騒ぎして楽しむ。
 この4人、年増の歌手と知り合う。ガラガラの客席に向かって歌う彼女と仲良くなる。特に許婚もいるビリーが年増歌手ダイアナとなかよし。
 じいさん4人に年増歌手、5人ものアカデミー賞俳優が出ている豪華出演陣だから安心して観ていられる。肩の凝らない気楽な映画である。後期高齢者ラブコメである。
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トップガン


監督 トニー・スコット
出演 トム・クルーズ、ケリー・マクギリス、アンソニー・エドワーズ

 アメリカ海軍を題材にした映画ではあるが、お話や主人公のキャラは日本の学園漫画と同じ。観終わったあと思いついたのは、ちばてつやの「ハリスの旋風」だ。主人公石田国松は乱暴者で無鉄砲破天荒なヤツだが、天才的な運動神経の持ち主で、学園のいろんな運動部に入部しちゃそこを優勝させていく。
 この映画の主人公マーベリックは艦載機F-14トムキャットのパイロット。若いが野生的なカンの持ち主でF-14を思うままに操る。己の技量に自信を持っていて、そうとうなムチャな飛び方をする。
 インド洋上で国籍不明のMig-28に遭遇。背面飛行でMigに接近。互いのキャノピーの距離1.5mというすれすれで飛んで、相手のパイロットにファックサインをして愚弄、後席の相棒レーダー係のグースは写真まで撮った。また空母の管制塔ぎりぎりを飛んで管制官をびっくりさせる。
 そんなマーベリックがパイロット養成所(トップガン)に送られる。そこは腕ききのパイロットが集まるドックファイト専門のエリート養成所。
 ここで主人公マーベリックは厳格な教官、強力なライバルのパイロット、などに囲まれて腕をみがくのは日本の学園スポーツ漫画と同じ。魅力的な女性と会う。彼女は教官。訓練生と教官という立場ながらわりない仲となる。そして彼は大きな不幸に見舞われる。大きく落ち込むが、立ち直るのは定石通り。
 主人公はトム・クルーズ演ずるマーベリックだが、もう片方の主人公ともいうべきは戦闘機F-14トムキャット。いまはアメリカ海軍の艦載機は戦闘攻撃機FA-18スーパーホーネットになっているが、それ以前の主力戦闘機はF-14だった。可変翼で双発の大型二人乗り戦闘機であるが、この映画では軽快な運動性能を見せてくれて、金属の塊りの戦闘機があたかも舞踏を踊っているようである。トム・クルーズに興味のないムキはF-14の大空のダンスを観るだけでも、この映画を観る価値がある。
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幸せなひとりぼっち


監督 ハンネス・ホルム
出演 ロルフ・ラスゴード、バハー・パール、イーダ・エングヴォル

 頑固偏屈なじいさんというのは映画の題材になりやすいのだろう。いろんな頑固偏屈じいさん映画があった。邦画では「お父さんと伊藤さん」「生きものの記録」外国映画では「アンコール!」「グラン・トリノ」などなど。
 そんな頑固偏屈じいさん映画のカテゴリーに佳品が1本加わった。北欧はスウェーデンの頑固偏屈じいさんである。かようなじいさん、万国共通らしくどこのじいさんも同じ。
 オーヴェは勤務先をリストラされ、最愛の妻も半年前に癌で亡くしている。頑固でヘンコ、怒りっぽい小言幸兵衛は、きょうもきょうとて、あちこちで怒りまくり。
 妻の墓に供える花を買いにスーパーへ。1束50クローナの花束を35クローナで買おうとする。レジの店員に50クローナですといわれる。オーヴェ怒り出す。これ2束で70クローナだろ、だったら1束35クローナのはずだ。あのう、2束ですと70クローナですが、1束だけですと50クローナなんです。お前じゃ話にならん。責任者出せ。こんな「壷算」まがいのことをいって、スーパーのレジで怒る。後ろで人が待っているのに。
 こら、こんな所に車を入れるな。なんだこのゴミの出し方は。ろくにバックもできないのか。こら、そこの猫そんなとこでおしっこするな。そこの女、なんだその犬の散歩のさせ方は。ナマイキな犬め蹴ってやるケッ。こんなぐあいに身の回りのこと、人間は当然ながら猫から犬までのまで腹を立てている。
 もうイヤだ。こんな世の中。死んでやる。ところが、笑福亭仁智師匠の「ハードラック」みたいなことになって、なかなか死ねない。監督か原作者か知らぬが、この映画をつくるにあたって上方落語まで勉強するとは、なかなか見上げたこっちゃ。
 そんなオーヴェの隣に引っ越してきたのが、パルヴァネの一家。いきなり車をぶつける。それに、なんだアウディなんか乗りやがって。オーヴェは車はサーブ以外は認めん。同じスウェーデン車のボルボでもダメ。親友がBMWに乗りかえたというだけで絶交するぐらい。
 そんなアウディに乗ってる一家だが、この家の主婦ペルシャ人のパルヴァネは大変にいい人。とっつくにくいオーヴェになにかと良くする。さしもの偏屈頑固なオーヴェもパルヴァネとは、だんだん仲良くなってくる。
 頑固偏屈じいさん映画ではあるが、純愛物語でもある。亡くなった愛妻ソーニャとの出会い。そしてソーニャの身の上に起こった重大なこと。オーヴェにとってはソーニャが全てだったのだろう。
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無宿 やどなし


監督 斉藤耕一
出演 勝新太郎、高倉健、梶芽衣子、安藤昇、藤間紫、殿山泰司、中谷一郎

 あのロベール・アンリコの名作「冒険者たち」を本歌とする映画と観ていいだろう。「冒険者たち」もこの映画も男二人と女一人という黄金の組み合わせである。「冒険者たち」が、アラン・ドロン、リノ・ヴァンチュラ、ジョアンナ・シムカスの組み合わせ。この映画は、ごらんのとおり、カツシン、健さん、梶芽衣子という組み合わせ。
 映画としてのできは「冒険者たち」の方が上だろう。みずみずしい青春のきらめき、挫折、一人の女をはさんだ男と男の友情、観ていて心の琴線に触れる。ところが演じている俳優だけを観ると、この「無宿 やどなし」の方が面白い。
 まず、健さん。着流し、無口、ストイック。カツシン。そうぞうしい、活動的、欲望ギラギラ。梶芽衣子、キッとしててかわいい。落剝した美人。この3人の組み合わせが面白い。特にカツシンと健さん。共演はこの映画だけだが、まったく正反対のキャラだが、水と油がうまく融合して乳化していい味を出している。
 お話は、刑務所で同じ釜のメシを食った錠吉と玄造。錠吉は殺された兄貴分の仇を探す。女郎に身を落とした兄貴分の女房は病死してた。そこに泣き崩れる若い女郎サキエがいた。錠吉と玄造は彼女を足抜けさせる。こうして3人は旅をする。
 錠吉は仇を求めて二人から離れる。玄造は海が見たいというサキエとともに海へ。そこは玄造の目的地でもあった。
 玄造のオヤジが残した古地図には、海底にお宝がある場所が記している。玄造はそれを見つけてお宝を手に入れたい。その海岸へ錠吉がやってくる。3人の宝探しが始まる。
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ブレードランナー2049


監督 ドゥニ・ヴィルヌーブ
出演 ライアン・ゴズリング、アナ・デ・アルマス、ロビン・ライト、シルヴィア・フークス、ハリソン・フォード

 傑作である。ひょとすると名作の誉れたかい前作を凌駕しているのではないか。前作「ブレードランナー」は、今までのSF映画にない斬新な映像に感激した。本作では、前作なみの映像はとうぜんのこととして下部構造にあり、上部構造に哀しい物語を構築している。
 人間に反乱を起こす旧型レプリカントは廃棄され、人間に従順な新型レプリカントが生産されるようになった。でも、生き残りの旧型がまだいる。ロス市警のブレードランナーKは、旧型レプリカントを見つけ出して「解任」するのが仕事。「解任」した元兵士のレプリカントの庭から女性の遺骨が発見された。レプリカントの遺骨だ。その女性は出産している。レプリカントが出産!子供がどこかに居るはず。レプリカントの子供が。その子供も処理する必要がある。
 Kは捜査の途上で、30年前のあの伝説のブレードランナー、リック・デッカードにあう。このデッカードが重大な秘密のカギを握っている。
 SFがたいへんに判っている人が、優れたSF映画をつくるんだとの強い意志を持ってつくった映画であることがよく判る。それに、この映画、原作のフィリップ・K・ディックのテーマを非常に良く具現化している。ディックという作家は「アイデンティイ」ということを重く認識している作家である。ディック原作の映画はあまたあるが、この「ブレードランナー2049」が、ものすごくディックがいわんとしていることに忠実である。
 主人公のブレードランナーKの属性は「孤独」である。ラスト。Kは雪の降る中にあお向けに倒れて叫ぶ。彼は無言だが、観客は彼の哀しい叫びを感じることができるだろう。「俺はだれだ」


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家族はつらいよ2


監督 山田洋次
出演 橋爪功、吉行和子、西村雅彦、夏川結衣、中島朋子、林家正蔵、妻夫木聡、蒼井優、風吹ジュン、小林稔侍

 また、この連中のドタバタコメディである。こんどのドタバタの発端も、やっぱりお父さん。
 平田周造は70を超しているのにまだ車の運転をしている。最近、どうも運転ミスをひんぱんにするようで、周造の車は生キズがたえない。きょうもきょうとて、なじみの飲み屋の女将を助手席に乗せてドライブしてて、ダンプカーに追突。とうぜん家族は心配。重大な事故を起こす前に、お父さんの運転免許をとりあげなくっちゃ。一番いうことを聞きそうな三男の嫁が、猫の首に鈴をつけた。
「オレに運転を止めろというのは死ねということだ」これが、お父さんの返答。お父さん、かなりの運転好きらしく、今度はハイブリットでスポーツタイプの車を買う算段をしとる。
 こういうオヤジだから、たぶんマニュアル車だろう。マニュアル車なら、年寄りがよくやるブレーキとアクセルの踏み間違いはないが、注意力と集中力はおとろえているだろう。この家族の心配は当然のこと。小生も10年前、リストラされて愛車ホンダ・インテグラを手放してから、マイカーを持たず車の運転はまったくしてない。小生は、この映画のオヤジよりだいぶん若いが、10年も運転してないと、さすがの運転好きの小生も自信はない。結局、小生は、40年運転して無事故のままだ、
 で、困った子供たちは家族会議を開いて対策を協議。いかにしてお父さんに運転を止めてもらうか。
 子供らとその配偶者がそんな相談をしてる時、お父さんは高校時代のお友だちと飲み会。酔っぱらった友だちを連れてきて、家に泊めさす。ここから話は急展開。お父さんの運転免許どころじゃなくなる。
 あいかわらずの、わがまま頑固なお父さんと、それに振り回され困る子供たちの様子を見て、アハハハと笑う映画である。この展開では「家族はつらいよ3」は確実につくられるであろう。いや、ひょっとすると長期のシリーズになりそうだ。
  
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夜は短し歩けよ乙女


監督 湯浅政明
出演(声) 星野源、花沢香菜、神谷浩史、秋山竜次、中井和哉

 うわっ。なんだこれ。最高!ワシがここでごじゃごじゃいうことはない。いますぐビデオ屋に飛んで行って、買うなり借りるなりして観ろ。以上。
 と、この映画のレビューは2行ですますべきだが、それではあまりアイソがないので以下、少々、蛇足を加える。
 あの奇妙奇天烈な原作をどう、映像化するか大いに期待して観た。あの傑作アニメ「四畳半神話大系」を映像化した、監督湯浅政明、脚本上田誠、キャラクター原案中村佑介の3人。期待が持てるのは当然といえよう。で、結論、この映画は原作を大きく超えている。原作の奇妙奇天烈さをたっぷりと残しながら、原作は小説なんだから、映像は文字で読んで読者が脳内にイメージするしかないが、これは映画だから、目の前に映像をありありと表示してくれる。凡百の原作付き映画の場合、なんだ、ワシが読んでるときにイメージした映像と違うやないかとなるわけだが、この映画は原作のイメージを読者の、いや、ひょっとすると原作者森見登美彦のイメージをはるかに凌駕しているのではないか。
 カラフルな映像、ヒロイン「黒髪の乙女」のキャラ、それぞれにキャラによって進む時間が違うという不可思議な現象、それを原作を基準点にして、その上に積み重ねてある。
 夜の京都木屋町へんのふんいき。昔、星群の例会は京都でやっていた。もちろん夜は酒宴。小生たちも夜の木屋町、河原町へんを酔っぱらって歩いたが、あの雰囲気がよく出ていた。
 それに「黒髪の乙女」のキャラがいい。天然で、気が良く、大酒のみで、好奇心旺盛、それでいてものすごい鈍感女。小柄で可憐。かわいい。
 おかしな詭弁踊り。李白の乗る3階建て電車。とつぜんミュージカルになるゲリラ演劇「偏屈王」猛スピードで走りまわるいだてんコタツ。もう、おかしなものいっぱい。ともかく、観て。最高なんだから。
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どら平太


監督 市川崑
出演 役所広司、浅野ゆう子、片岡鶴太郎、宇崎竜堂、菅原文太、大滝秀治

 脚本が市川崑、黒澤明、木下恵介、小林正樹の4人。こんなエライ人が4人がかりで作った脚本のわりには時代劇としては凡庸である。
 主人公は時代劇でおなじみ武家の次男坊。で、これまたおなじみの遊び人の放蕩者。女好きで大酒のみ、それでいてむちゃくちゃ強い。遠山の金さんか暴れん坊将軍みたいなキャラなわけ。
 ある小藩。この藩の町奉行は長続きしない。すぐ辞めてしまう(辞めさせられる)で、新任の町奉行が江戸おもてからやって来た。望月小平太。望月は極めて評判の悪い男。遊び人で無頼漢。だから小平太ではなく「どら平太」と呼ばれている。町奉行に就任しても、奉行所には出仕せず遊びまわる。さらには無法地帯「濠外」にまで出入りする。
 望月、お城で、城代家老、次席家老といったエライ人たちの上座に座り、「濠外」を大掃除すると宣言。お前はなんで上座からそんなことをいう、と重役たちにいわれると、懐から書状を取り出し「上意」と大音声。「濠外」大掃除の全権を殿から任されたと。殿直筆の書状を一同に見せる。
「濠外」博打に売春、密輸と悪の巣窟。3人の親分さんががっちり握っていて、治外法権の場所。今まで、どの奉行もここの大掃除には成功してない。しかも、ここから上がる利益は藩に流れ、藩の財政に寄与しているとのこと。
 と、まあ、こういう設定で、あとはもう時代劇で定番の流れ。どら平太が、親分の子分たちを手なづけ、2人の親分とも義兄弟の盃を交わしたり。3人目のラスボスの親分とこには、殴りこみ。
 1960年代の黒澤が監督なら主演のどら平太は、三船敏郎だろうが、この遊び人のキャラなら役所広司で良かった。三船じゃ重すぎただろう。お話そのものは、ありきたりな時代劇であったが、役所がうまかったから、なかなか楽しい時代劇に仕上がっていた。
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彼らが本気で編むときは、


監督 荻上直子
出演 生田斗真、桐谷健太、柿原りんか、ミムラ、小池栄子、りりィ

レンタネコ」以来、久しぶりの荻上監督の映画である。今回は少々、重いテーマを内包している映画といえるかもしれないが、そこはそれ、荻上映画らしく、ほどよいユーモアと爽やかな印象を持つ映画にしあがっているから、後味は良い。最後に少し涙をさそうが、さすが、荻上監督。ベタな愁嘆場なんかには絶対にしない。テーマを具象化する演出、ワンシーンワンシーンの映像表現はあいかわらずうまい。
 小学生の女の子トモの母親はろくでもない母親。育児放棄してしょっちゅういなくなる。トモは散らかり放題の部屋で一人さみしくコンビニのおにぎりを食べる。ゴミ箱はコンビニおにぎりの包装紙でいっぱい。
 こまったトモは叔父のマキオの所へ行って世話になる。マキオには同居しているパートナーがいた。介護士のリンコがマキオの恋人。リンコはトランスジェンダー。男の身体を持って生まれてきたが、心は女。いまは手術して身も心も女になった。トモはリンコになつく。リンコもトモをたいへんにかわいがる。
 リンコはトモをぎゅっと抱きしめてくれる。キャラ弁を作ってくれる。編み物を教えてくれる。髪の毛を直してくれる。お母さんがやってくれないことを、み~んなやってくれる。リンコはマキオと結婚してトモを養子にしたい。マキオも賛成する。
 トモは強い女の子。へんな人といっしょに暮らしていると、学校でイジメにあうが、負けない。リンコは限りない愛情でトモを包んでくれる。この二人をマキオはやさしく見守る。トモはリンコとマキオ、二人の大人に今まで経験したことのない大きな愛情をもらう。
 ともかくトモをやった子役柿原がものすごくうまい。生田の女形もいい。荻上直子の新境地ともいえる佳作である。
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龍三と七人の子分たち


監督 北野武
出演 藤竜也、近藤正臣、中尾彬、小野寺昭、下條アトム、ビートたけし

 龍三は元ヤクザ。年はとっているが、まだまだ血気さかん。背中には見事な龍の彫りもん。息子はカタギの会社員。カタギの息子はヤクザ気分が抜けないオヤジをうっとうしがる。息子の家に居ずらくなった龍三は昔の兄弟分まさの部屋に居候。龍三、オレオレ詐欺にひっかかる。昔の仲間モキチが街のヨタもんにからまれている。
 龍三を詐欺にかけたのもモキチを脅したのも半グレ集団「京浜連合」あいつらゆるせん。昔のオレたちのシマで勝手しおって。
 そういうわけで、龍三たちは昔のヤクザ仲間を集めて、新しい組「一龍会」を作る。平均年齢70歳以上。後期高齢者のじいさんばかりの組である。で、最後は一龍会のじいさんたちが京浜連合に殴り込みをかけるわけ。
 さすが北野武。正義の味方映画なんかは創らない。一龍会のじいさんたち「元」ヤクザではない。今も現役のヤクザである。ただトシを取っているからヤクザができないだけ。だから、この映画、足を洗って改心して身も心もカタギになった元ヤクザが半グレの悪もんをやっつける話ではない。龍三たちじいさんたちは、足なんか洗ってないし改心なんかこれぽっちもしてない。半グレが悪いからやっつけるのではない、自分たちがコケにされ、シマで勝手されているからやっつけるのである。ある意味、年寄り応援歌といえる映画である。
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デビルマン


監督 那須博之
出演 伊崎央登、伊崎右典、酒井彩名、宇崎竜童、阿木耀子、渋谷飛鳥

 稀代の大愚作として、雷名天下に轟いている珍作映画である。いかなる愚作なのかたいへんに興味があった。で、意を決してこのたび観たわけ。
 いやあ、なるほど。これは聞きしに優る愚作、駄作、怪作、珍作映画である。ワシもいままでいろんな映画を観てきたが、この映画のくだらなさに勝るのは、あの伝説のエド・ウッドぐらいだろう。
 まず、主役の二人の演技。どっかの小学校の学芸会かいなと思わせる棒読みセリフ。演技するせん以前の問題だろう。それに女優のキャスティングが絶望的に不適当。まず、デビルマンの敵役№1ともいうべき妖鳥シレーヌ。なにあの女優。荒川静香をいけずにしたような容貌で、原作のにおい立つような色っぽさエロさがカケラもない。だったらせいぜい肌の露出面積を大きくして目を楽しませてくれればいいものを、なに、あれ、スクール水着みたいなもん着やがって。中途半端なことすんな。
 それに、ヒロイン牧村美樹の女優。いっこもかわいくもきれいでもない。性格悪そう。この女のラストはまるで、大昔、えべっさんの見世物であった首だけ女かいな。とても生首には見えん。
 いちおう原作のストーリーの骨格をなぞってはいるが、なんの脈絡もなく進む脚本。ボブ・サップ、小林幸子、KONISHIKI、永井豪なんやようわからんカメオ出演。まったく、SF大会でやるコスチュームショーの方がまだマシ。昔、ゼネプロが悪ふざけで創った映画の方がおもろいで。
 でも、ま、この映画も楽しみ方はある。SF大会の合宿かなんかで、みんなで酒でも飲みながら、ワーワーいいながら、バカにしながら見れば楽しいだろう。
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怪談


監督 小林正樹
出演 三国連太郎、新珠三千代、仲代達矢、岸恵子、中村賀津雄

 小泉八雲原作の怪談4編を映像化した。オムニバス映画である。「黒髪」「雪女」「耳無芳一の話」「茶碗の中」の4話の映画化である。
 いずれも昔の日本の民話伝承が元にある話で、いまどき風にいうなら、ホラー・ショートショートというところか。でも、今どきのホラーのように、物理的に目や耳を刺激するホラーではなく。かような感覚器官を素通りして、感性に直説うったえかける、情緒的なホラーとなっている。ここはやはり、ホラーなんてミもフタもないいい方よりも映画のタイトルどおり「怪談」といいたいものだ。ともかく、映像と音響がすばらしい。ある意味、映画の醍醐味を味わわせてくれる映画だ。
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