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インスタント沼


監督 三木聡
出演 麻生久美子、加瀬亮、松坂慶子、風間杜夫、ふせえり、岩松了

 またまた三木聡監督の奇想ワールドがサクレツ。おかしげな人物が、独特な色使いの世界をドタバタとかけめぐる奇天烈コメディー。
 雑誌編集者の沈丁花ハナメは、雑誌の売上げ大幅減、廃刊、雑誌社を辞める。ここから彼女のケチのつき始め。ハナメはオカルト、心霊、占い、など非科学的なモノは一切信じない現実主義者。
 そのハナメの母が沼に河童を釣りに行って転落。意識不明の重体。この沼でハナメは古い手紙を発見。読んだ彼女は自分の父は沈丁花ノブロウなる人物らしいと知る。
 ハナメが会ったノブロウはおかしげな骨董屋を営んでいる、電球のおっさんなる怪人。その店に出入りしているガスというパンクロッカーとも知り合う。
骨董に興味を持ったハナメは骨董店を開店。はやらない。おちこむハナメに電球のおっさんはアドバイスする。「何事もうまく行かなかったら水道の蛇口をひねるべし」
 この電球のおっさん、100万円で不思議な鍵をハナメに売りつけて放浪の旅に出て行く。残されたハナメは鍵にあう蔵を見つける。ガスに手伝ってもらって蔵を開けると、中から出てきたのは・・・。
 ハナメが持つ古クギは彼女の宝物。なんでこんなただのサビたクギが大切なのか。蛇口から水をだして、ハナメと電球のおっさんは何をする。心電図を使ったギャグ。とりすました骨董店での大声。ファラオの占い。つぎつぎ飛び出す大ネタ小ネタのギャグくすぐり。そして最後は、大スペクタクル?の特大くすぐり。ツボにはまる人にとってはたまらん映画だ。
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粕汁

 
 菊正宗の蔵元から買ってきた酒粕で粕汁を作りました。寒くなりましたから汁物がありがたいです。汁物の中でも粕汁はほのかなお酒の香りが食欲をそそります。
 粕汁を作ろうと思えば、何よりもまず、塩鮭のアラを手に入れなければなりません。ブリのアラでもできますが、脂肪が強くて、鮭のアラのほうがおいしくできます。
 塩鮭のアラは一晩水につけて塩を抜きます。塩抜きした鮭のアラと昆布で出汁を取ります。鍋で20分ぐらいコトコトと煮出してます。
 具は大根、にんじん、こんにゃく、あげ。こんにゃくとあげは熱湯をかけておきます。こんにゃくは包丁ではなく手でちぎります。その方が味がよくしみるわけです。
 昆布を取り出し、具を出汁で煮ていきます。その間に、酒粕の処理をしましょう。すり鉢に酒粕とお酒を入れて、しばらく置いて置きます。酒粕がほとびてきたら、すりこぎでゴリゴリ。粕が酒に溶けないようなら、少し電子レンジでチンしてもいいでしょう。
 ほとびた酒粕に出汁を入れて完全に溶かし、粕を全部、鍋に入れて、しばらく煮ます。酒粕に味噌をたしてもおいしいですよ。
 お椀に入れて、青ネギを添えていただきます。身体がホコホコぬくもりますでな。
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いもがゆ


 いもがゆでございます。朝におかいさんを食べるのは、お腹にやさしくて、なにかと具合がよろしゅうございます。今朝はさつまいものおかいさんにしました。ほくほくとした、さつまいもの優しさが楽しめます。
 土鍋にお米と水を入れて、ゆっくりと加熱して行きます。あわててはいきません。いらちの人がおかいさんをつくると、もひとつうまくいかないことがおおございます。ゆっくりゆったりと鍋を見守りましょう。あまりかき混ぜてもいけません。米粒がこわれます。
 さて、おかいさんを炊いているあいだに、おいもさんの処理をしましょう。さいの目に切ります。私は、いったんおいもさんを油で揚げます。その方が、おいもさんの甘味がぎゅっとひきしまって、おいしゅうございます。揚げたおいもさんは熱湯をかけて油を抜きます。
 あとは、このおいもさんをおかいさんに入れて、ちょっと塩で味付け。お椀に盛って、黒ゴマをぱらぱら。おいしゅうございます。
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とつぜんSFノート 第1回

 新カテゴリーです。このカテゴリーではSFに関するアレコレを書き綴っていこうと思います。
 小生がSF者となって40年以上が経ちました。小生はSFで収入を得ているわけではありません。純然たるアマチュアです。SFを書いて収入が得られればという野心もあることはあります。本音です。
 収入を得るどころか、この40年、SFに結構お金を使いました。本を買うお金が一番多いのですが、イベントに参加するためのお金、SF大会参加のための旅行代、仲間との飲食費などなど。ひどい時は、あるSFイベントの開催者になった時は、赤字分を補填するために、その時のボーナスを全額使ったこともあります。貧乏人の小生が、こんななけなしの身銭を切って、なんでまたSFなんぞに入れあげて40年も過ごしたのか。これは、もう、好きだから、としかいいようがありません。
 SFが好きだったら、だまって家で本を読んでおれば本代だけですむだろうと、お思いでしょう。そういうSFファンもおられる。というか、そういうSFファンの方が多いのではないでしょうか。出版社にとって、こういうSFファンこそ大切にしなくてはいけないと思います。ところが小生の場合、おとなしく家で本を読んでいるだけのSFファンではなかったのですね。同好の士を求めてフラフラと巷にさまよい出したわけです。
 SFファンダムなる世界の住民となってしまったわけです。ファンダム。一般の人はなんのことか、お判りにならないでしょう。これはSFファンのファンと、キングダム=王国のダムをあわせて作られた造語です。SFファンの世界とでもいったらいいでしょうか。おかしないい方ですが、SFファン業界といったら判りやすいでしょう。
 SFファンなる人種は群れ集まりたがる人種です。彼らは集まって、いろいろなグループ、サークルを作っており、そして、相互に横の連絡が有ることが多いです。それらの有機的な全体をファンダムというのです。
 小生は、きっかけは眉村卓氏がやっておられた「チャチャヤング」という毎日放送ラジオの深夜番組でした。その番組でショートショートのコーナーが自然発生的にできました。そのコーナーの常連となったのです。せっせと、週に1本はショートショートを書いて投稿していました。この番組が終って、常連が集まって「創作研究会」というグループを作りました。その後、眉村氏宅の勉強会のメンバーとなり、星群に入会して現代に至っております。この間、多くの同好の士と知己を得ました。
 SFファンとなり、お金をたくさん使いました。時間も多くとられました。こうなると、SFは小生にとって、単なる趣味という軽いものではありません。小生というキャラクターを形成している、かなり大きな素材といえるのではないでしょうか。お金や時間は失いましたが、SFから得たものの方が多いです。何を得たかというと、やはり友人、知人、人脈でしょう。これらは、小生にとって一番の財産です。
 これから、このカテゴリーで、小生がSFから得たあれこれを書き綴っていきます。昔の思い出話、自慢話などが多くなると思います。昔のことも書きますが、小生はズボラでいらちな人間ゆえ、正確な記録を残しているわけではありません。そういうのを期待しておられるのでしたら、ぜひ岡本俊弥氏のサイトをご覧になることをお勧めします。例えばこれ。これは第19回(2000年度)日本SFファンジン大賞研究部門受賞の興味深い読み物です。また、関西のファンダムの歴史を知りたければこういうのもあります。
 岡本氏とはチャチャヤング時代からの長いつきあいで、小生は岡本氏ほど几帳面ではありません。ですから、この小生のアホ頭の記憶だけを頼りに書いていきます。記憶違い、思い違い、誤解も多々あることでしょう。気になる点がありましたら、どうか遠慮なくコメントにて指摘お願いします。
 では、次回は12月の第4週に「とつぜんSFノート」の2回目を更新します。お楽しみに。
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最近の年寄りは

「最近の若いもんはなっとらん」といって、怒る年寄りがいる。かくいう最近の年寄りはなっているのかといえば、そんなことはない。なっとらん年寄もけっこういる。いや、存外、若いもんの方が行儀の良いものの方が多いようだ。ぱっと見た目は、いかにもアーパーねえちゃん、にいちゃんでも、ちゃんとした者も多い。例えばこんな人たちだ。
 で、なってない年寄りだが、こんな連中がいた。JR三ノ宮駅でのこと。バーさんが5人ほどで、小生のすぐ前で改札を通って駅に入った。通路いっぱいになって、ぺちゃくちゃしゃべりながら歩いている。非常歩きにくく、いらちの小生は、イライラしながら、バーサン軍団の後ろを歩いていた。
 この連中、3人と2人の2組になってしゃべっている。2人組みが熱心に話しこんでいる様子。だんだん遅れだした。バーサンの群れは2人組と3人組の二つに分かれた。小生は2人組を追い越して、3人組に続いて停車している電車に乗った。最後尾の車両だった。
「発車します。ドアが閉まります」との車掌のアナウンスが終ったら、3人組は信じられない行為に出た。彼女たちは、閉まりかけたドアに手をかけて、遅れている2人組に大声でいった。
「××ちゃん○○ちゃん、はよおいで。あたしがドアあけとくさかい」
 車掌はあっけにとられ、ドアを開けた。連中は目的を達成した。
 このバーサン5人は、その電車の乗客、100人以上だろうか、全員に迷惑をかけたという意識はないのだろうか。
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ブラック・ジャック


 手塚治虫           秋田書店

 手塚が群を抜くストーリーテラーで、万能の物語作家であることが、この「ブラック・ジャック」を読むとよく判る。
「火の鳥」「アドルフに告ぐ」「陽だまりの樹」などの長編を読めば、マンガの神様手塚の才能がいかんなく発揮され、小生のごとき手塚信者は、手塚が駆動する物語の流れに身をまかせる快楽を十二分に味わえる。
 長編を読む楽しみは、いつか終わりが来ることが判っていても、物語の終わりを意識せず、流れに流される楽しみを味わうことだろう。ところが短編は違う。短編の場合は、物語の終わりを意識せずに読むことはできない。なにせ、お話が始まって、すぐ、そこに終わりがあるのだから。どういう終らせ方をするか。極論すれば、短編作家の場合、腕の見せ所は、この1点に大方の割合が含まれているのではないか。読者が「こうなればいいな」と期待して、その期待に応えて、読者を満足させる。「こうなるのではないかな」との読者の予想を大きく裏切って、考えもしなかった結末をつける。このあたりのサジ加減は難しい。
 このたび「ブラック・ジャック」全作を一気読みして、短編作家としての手塚の凄さを再認識したしだい。このシリーズには実に見事な短編が揃っている。読者のお腹を決して満腹にしない。もう少し食べたいな、と思ったところでスパッと終る。誠に切れ味のいい、それこそ、ブラック・ジャックがオペに使うメスのような切れ味の短編群である。短編マンガの最高峰といっていいだろう。
 世界最高の外科手術の技量の持ち主。無免許のモグリの医者。法外な治療報酬を要求する。金さえもらえればどんな手術でもする。興味を持てばタダで手術する。助手はピノコ一人。
 ブラック・ジャックの設定はこのようなもの。で、彼が、患者に、あるいは患者の家族に、どういう対応をするか。大金をせしめるか。タダで手術するか。1000円で末期癌を全治させるのか。ラーメン一杯で命を救ってやるのか。各エピソードごと、様々な対応で楽しむことができる。ただ、全エピソードを通じた共通点が一つだけある。本気で生きようとする患者は、ブラック・ジャックは必ず全力で助けてくれる。その患者が、権力者でも庶民でも、大富豪でも貧乏人でも、善人でも悪人でも、ブラック・ジャックは助けてくれる。ここに手塚にメッセージが有るのではないか。どんな命も大切なのだ。
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また熱帯魚が飼いたくなった

 うう、困った。また熱帯魚が飼いたくなった。小生、動物を飼うことは好まないが、熱帯魚だけは別。阪神大震災までは60cmの水槽二つで熱帯魚を飼っていた。一つはテトラ類、ゼブラダニオ、ラスボラ、ハチェットなんかの比較的小型できびきび泳ぐ魚を入れたきびきび路線の水槽。もう一つはエンゼルフィッシュ、グーラミィ類、グラスキャットなんかのゆったり泳ぐ魚の優雅路線の水槽。コリドラス、オトシンクラス、などの掃除屋は両方の水槽に入れていた。会社から帰って、ボーと水槽をながめ、餌やりをするのが大きな楽しみだった。
 ところがあの大地震。震度7のゆれで、水槽二つはこっぱみじん。部屋中、砂、水草、魚の死体だらけ。おまけに餌用にイトミミズも飼っていたからミミズだらけ。大惨事となった。
 いずれまた熱帯魚飼育を再開しようと思っていたが、今度は小生がリストラされた。収入が大幅に減ってしまった。最近こそ落ち着いたが、リストラ後4年間は仕事が安定せず浪人同然。今も決して裕福ではない。食べるので精一杯で熱帯魚どころではない情況なのだが。宝クジが当たるか、モノ書きで副収入でも入れば夢が実現するのだが、小生、そんな運も才能もない。
 もし熱帯魚飼育再開が叶ったのなら、きびきび路線はテトラ類、コイ科でいこうと思うが、優雅路線はエンゼルフィッシュは入れないつもり。この魚、最も代表的な熱帯魚だ。姿も美しく、優雅にゆったりと泳ぐ様はその名のとおりエンゼルだが、実はこの魚、いじわるである。なわばり意識が強く、他の魚をいじめる。優雅路線のメインはグーラミィにしようと思う。
 おもしろいのはナマズ類だな。なんといってもコリドラス。水槽の底にいて、他の魚の食べ残しを食べる掃除屋だが、小型で可愛く種類が多い。コリドラスのコレクションも楽しい。底をはってヒゲで餌を探し、口をもぐもぐさせて食べる。お目目をきょろきょろしてあたりを見る。実に天真爛漫でかわいい。
 シノデンティス。別名さかさなまず。逆さまになって泳ぐ。いつもは水草の葉の裏などに逆さまになってぶら下がっているが、時々ふらふらと泳ぐ。
 トランスルーセント・グラスキャット。透明なまず。身体がすきとっている。群れになっていつも水槽の中層でただよっている。
 ピクタス。銀色の魚体。長いヒゲ。常時活発に水槽中を泳ぎまわっている。パッチリした目がかわいい。
 うう、困った困った。熱帯魚が飼いたくなった。なんとか稼いで実現しよう。

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ハリーとトント


監督 ポール・マザースキー
出演 アート・カーニー、エレン・バーステイン、ジェラルディン・フィッツジェラルド

 老人と猫の映画。孤独な老人が唯一の相方、猫のトントを連れて/連れられてアメリカを旅する。
 72歳のハリーは、ニューヨークのアパートで猫のトントと暮らす。アパートが取り壊されることになった。しかたなく、ハリーはトントを連れて長男の元へ。長男の嫁と折り合いが悪く、シカゴにいる娘のところへ行く。トントを連れているから飛行機に乗れず陸路、ニューヨークからシカゴまで行く。
 娘の所にも長居はせず、今度はカリフォルニアの次男の元へ。家出娘やらヒッピーと出会いながら西へ旅する。
 羽振りのいいはずだった次男は、事業に失敗して・・・。
 歳取れば、頼れるのは肉親のはずだが。ハリーにとって頼りは老猫トントだけだった。ハリーにはトントがいた。でも、トントがいない年寄りがたくさんいる。歳を取るということは孤独になることかな。トントも老衰で死ぬ。
 ラスト、ハリーは海岸でトントそっくりな猫を見つける。そして、その猫を追いかけて行く。
 ハリーの新しい希望か、トントの居る世界に行こうとしたのか。
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鮭ときのこの釜めし

 
 釜めしを作ろう。晩秋の釜めし。秋の山海のおいしいもんを使った釜めしや。材料は海のもん代表で鮭とイクラの親子コンビ。山のもん代表できのこ。しめじ、えのき、干し椎茸を使おう。
 米は洗って吸水。鮭は焼く。干し椎茸は水につけて戻し、少し煮る。しめじはばらして空炒り。えのきは切ってばらす。
 昆布と鰹節の出汁を取る。釜に米、出汁を入れる。干し椎茸の戻し汁も入れよう。味付けは醤油、味醂、酒。きのこは米といっしょに炊き込む。
 ご飯が炊けたら焼いた鮭とイクラを乗っけてできあがり。彩りに三つ葉をちょっと添える。
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ひじきごはん


 炊き込みご飯はおいしい。米食い人としては、米の旨さをストレートに味わうには白いご飯が一番だが、米に具やダシで味をつけて炊く、色もんのご飯も捨てがたい。
 そんなワケで、今日はひとつ、ひじきの炊き込みご飯と行こう。米は普通に洗米して吸水しておく。鰹節と昆布で出汁を取っておく。具はもちろん、ひじき。あと、こんにゃく、にんじん、あげ、三つ葉を用意した。
 ひじきは洗って、水で戻しておく。こんにゃくとあげは熱湯をかけて、細かい細切り。にんじんも細切り。
 土鍋に吸水した米と出汁を入れる。醤油、酒、味醂、塩で味を付ける。それに、ひじき、こんにゃく、あげ、にんじんを入れて炊く。炊き上がったら、三つ葉をちらしてできあがり。滋味豊かな炊き込みご飯だ。
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グラスをもう1つ

 ランタンに灯が点った。店名の「海神」がほのかに夜の底に浮かぶ。
 店主の鏑木は、棚のウィスキーを一本一本取り出して拭いている。小林のボトルを手に取った。今夜来るはずだ。
 キープされたボトルは、他の店では、通常、数ヶ月来店がないと処分される。鏑木の店「海神」では、その期限を一年としている。なぜ鏑木がボトルキープの期限を一年にしたのか。こういう事があった。
 五年前だった。
 小林が来店しなくなって一年たった。六年前まで、彼は毎晩のように来て、ロックでボトル半分ぐらい開ける。それまでどこかで飲んできていることが多かった。へべれけに酔って来店することもたびたび。このころの小林は酒乱だった。店の売り上げには貢献しているが、迷惑な客で警察ざたも何度かあった。
 それが六年前、パタッと来なくなった。それから一年。日も同じ五年前の十一月九日。一年ぶりにやって来た。しらふだった。しらふの小林はおとなしい紳士で、その時は水割りを二杯飲んで店を出た。ジョニ赤をキープしていった。そして鏑木に頼んだ。一年後の今日、必ず来るからボトルキープしてくれ。
 それから彼は毎年十一月九日にやって来て、おとなしく水割りを二杯だけ飲んでいく。飲み方が変わっていた。浴びるように飲んでいたのが、いつくしむようにウィスキーを飲むようになった。
 ドアが開いた。小林が入ってきた。鏑木はジョニ赤をだす。水割りを作る。
 小林の頭も白い髪が目立つようになった。「一年に一度の客ですまんな」
「いえ」
「あれから六年か」
「そうですね」
「中学生も大人になるわけだ」
 ドアが開いた。青年が入ってきた。二十歳ぐらい。小林の隣に座る。よく似ている。
「なんになさいます」
「フォアローゼス、ロック」
 青年はフォアローゼスのグラスを持った。小林もジョニ赤のグラスを持った。
「誕生日おめでとう」小林がいった。
「息子さんですか」
「そうだ。一年に一度、こいつの誕生日しか俺は会えない」
「去年まで喫茶店で会ってたね」
 六年前小林は酒が原因で離婚した。親権は妻が持った。それ以来彼は断酒した。
 妻は息子の誕生日、十一月九日だけ父と子が会うことを許してくれた。断酒した小林も息子と会った後、「海神」で水割りを二杯だけ飲んだ。一年に一度の飲酒だ。二杯の水割りが息子との、一年の別れのさみしさをまぎらわせてくれる。
 息子も今日で二十歳になった。成人した息子と酒を飲むのが小林の夢だった。夢が叶った。
「マスター、グラスをもう一つ用意して」
 息子がいった。
「だれか来るのか」
「うん。ぼくが連れてきた」 
 ドアが開いた。中年の婦人が入ってきた。
「久しぶり。あなた」
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足し算の料理から引き算の料理へ

 小生が料理を趣味として20年近く経った。素人ながら、少しはウデが上がったのではないかと本人は思っている。
 で、自分の料理考えてみた。料理を始めたころは、足し算の料理だった。ちょっと足らんな、あれを入れよう。なんかパンチがないなあ。これも入れよう。と、なんだかんだと、色んな調味料、色んな具材をごってり入れていた、味も濃い味のものを好んで作っていた。量も多く、山盛りの料理を作っていた。
 ともかく、足らん、ということを恐れていた。量が足らん、味が足らん、パンチが足らん。小生は、食べ物を残すことが嫌い。だから、つい食べ過ぎ。足らんことを恐れて調理するから、お皿にてんこ盛りになったこともしばしば。家人から、見ただけでお腹一杯、ゲップ、といわれたこともあった。
 それが変ってきた。これ、余分ではないか。これを入れなくても充分おいしいのでは。あれ入れない方が自然なおいしさがでるのではないか。
 引き算の料理になってきた。例えば、中華料理に片栗粉でとろみをつけた、あんをかける料理をよくするが、あれも昔はスープを使っていたが、水を使うようになった。濃いスープを使ったあんよりも、水に塩だけで味をつけたあんの方がおいしいこともある。そんなことに気がつくようになった。
 量も、以前のように多く作らなくなった。料理の量も味のうち、ということも判ってきた。小生の料理も少しは進歩したのでは、と本人は思っている。
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とつぜん対談 第10回 竹刀との対談

 ふぅあ~。ああ眠い。おっと、これは失礼。なにせ、こんな早起きはめったにしませんので。今、朝5時。いつもでしたらまだ布団の中です。今日の対談相手の竹刀さんに、この時間を指定されたのです。竹刀さんは、毎朝4時起きで、素振り、ランニングのトレーニングを欠かさないそうです。
 なんでも竹刀さんと、某県の某知事は高校の同級生で、剣道部で同じカマのメシを食った仲だそうです。
 あ、こられました。あいかわらずお若い。

雫石
 おはようございます。

竹刀
 青春だぁ。

雫石
 外は雨が降っているようですが、雨の日もトレーニングですか。

竹刀
 青春だぁ。

雫石
 これから仕事ですか。

竹刀
 青春だぁ。

雫石
 高校の先生でした。部活はやっぱり剣道部を見ておられるのですか。

竹刀
 青春だぁ。

雫石
 竹刀さんは、さぞかし熱血教師でしょうね。

竹刀
  青春だぁ。

雫石
 ところで東京都の石原知事が、こりもせずオリンピック誘致といってますが、竹刀さんは賛成ですか。

竹刀
 青春だぁ。
 
雫石
 ところでT県のM知事と友人ですね。M知事が剣道の有段者というのはウソといわれてますが、本当はどうですか?

竹刀
 青春だぁ。

雫石
 M知事は何かといわれてますが、Mさんってどんな人ですか?

竹刀
 青春だぁ。

雫石
 なるほど。そんな人ですか。よく判ります。

竹刀
 青春だぁ。

雫石
 竹刀さんも、もうすぐ定年ですね。定年後の予定は。

竹刀
 青春だぁ。

雫石
 青春って、具体的には何をするんですか。

竹刀
 青春だぁ。

雫石
 青春だぁ。

竹刀
 ・・・・・!
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寒い1日

 朝から雨が降っている。冷たい雨だ。寒い。家から出るのがおっくう。でも、出勤せねばならない。リタイアして、SFだ、落語会だ、甲子園だと、趣味に生きたいところだが、小生、残念ながらそんな優雅な身の上ではない。働きに出ねばならんわい。
 リストラされた中高年オヤジとしたら、働けるだけでもありがたいと思わにゃならんのだが、寒いもんは寒い。暑いのはなんぼ暑うても平気やけど、寒いのはかなわん。血圧も上がるし。
 いつもは駅まで自転車で行くが、雨の日は傘をささにゃならんから、歩いて駅まで行く。15分ぐらい歩く。
 駅に着く。今日から30分遅く出てもいいことになった。と、いっても早出は早出。1時間早出が30分早出になっただけ。面白いもんで、駅で電車で待っとる連中の顔ぶれが違う。時間がちがうからあたりまえやが。少しだけ新鮮な気分になる。時間帯がズレたとはいえ、小生が電車に乗る時間は、通勤ラッシュよりだいぶん早い。楽々座れる。本を読む。通勤時の電車の中は小生の貴重な読書の時間。
 会社に着く。寒いからフォークリフトのエンジンのかかりが悪い。ディーゼルエンジンだから始動にちょっとしたコツがいる。ガソリンエンジンじゃないだから、必ずグローが消えてからセルモーターを回してやらなあかん。そんなことも知らずに、故障やゆうて、フォークリフトの管理責任者の小生に文句をいってくる奴がおる。困ったもんだ。
 そうこうしてるうちに退社時間となった。ジュンク堂で、ちょっと立ち読み。ビゴでバゲットを買って帰る。
 家に帰ってきた。風呂入って、熱い~の一杯飲んで、メシ食って、ブログ更新して、ちょっとテレビ観て、本読んで寝よ。
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スラムドック$ミリオネラ


監督 ダニー・ボイル
出演 デヴ・パテル、マドゥル・ミッタル、アニル・カプール、イルファン・カーン

 監督はイギリス人で、製作国はイギリス、アメリカとなっている。しかし、この作品はまごうことなきインドの映画だ。
 インドのスラム出身の少年ジャマールはテレビの人気クイズ番組「クイズ$ミリオネラ」に解答者として出演。次々と正解する。あと1問で最高額を獲得。というところで警察に逮捕される。スラム出身の無学な少年が、クイズにすらすら答えられるのはおかしい。詐欺だ。
 ところがジャマールは本当に正解を知っていたのだ。なぜ、彼がそんな知識を得たのか。ジャマールの生い立ちと、クイズ番組に出た理由が明らかになっていく。
 猥雑で喧騒に満ちたインドのスラム。そのスラムを疾走する少年。宗教対立。ギャングの出没。初恋の少女との再会。戦いあり、恋あり、なんでもありのごちゃまぜ。最後エンドロールの前には、インド映画お約束の歌って踊るシーンも。クイズ番組の司会のおっさんがうさん臭くて、笑わせられる。
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