South Is. Alps
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Coromandel
Coromandel, NZ
Square Kauri
Square Kauri, NZ
Lake Griffin
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『Anthro Vision(アンソロ・ビジョン):人類学的思考で視るビジネスと世界 (電子書籍版)』

 
著者は、ファイナンシャル・タイムズに勤務するジャーナリストで、ケンブリッジ大学の社会人類学の博士号をもつ。これまで、人類学の視点をもって、仕事をしてきたという。ただし、おそらく、本書を書き上げるまでは、自身も人類学を表に出して思考方法について語ってこなかったのではないだろうか。それは、「あとがき:人類学者への手紙」にも書かれているように、たしかに、人類学者へのアドバイス(手紙)の体をとっているが、じつは、本書を書き始める前の著者自身を納得させたことであったのではないだろうか。たとえば、「人類学の治験を公の議論の場にもっと生かしてほしい」とか、「"単純"あるいは”原始的”とされる社会の研究から欧米の工業化社会荷の分析に軸足を移す際に、人類学者はすでに他の学問分野が幅を利かせている領域に参入する立場にあった」とかの記述を見ればよいだろう。

ところが、本書の各所に触れられているように様々な企業が人類学者たちを調査部門や調査部門に雇用し、その成果が発表されている現在にあって、状況は大きく変わってきていると言えるだろう。もちろん、それは、欧米人類学の状況であって日本を始め他の地域では異なっている。このことは人類学の歴史とも関わっていて、歴史をたどると、欧米社会による、欧米以外の異質な世界の理解のために人類学が誕生しその方法論も発達してきた。結果として、現在でも世界の主流の人類学者たちの多くが欧米人である。この「あとがき」にもふれられていることだ。欧米以外の世界の人類学者の持つ異なる視点の登場が期待されていると言えるのだが、しかし、欧米人類学者がビジネスの世界に次第に入り込もうとしているから、バスに乗り遅れるなというのでは、やはりだめだろう。

コロナ禍が続く中、この先見通せないのだが、渦中にあって人類学的思考で眺めてみると色々と視点が広がったのではないだろうか。たとえば、マスクをつけるつけないについても、文化的な違いがあることに気がつくだろう。「目は口ほどに物を言う」日本とそうでない社会とは明らかにマスク着用にかかわって抵抗感が違う。なぜかというと、マスクの着用がコミュニケーションの問題に直結するからだ。とはいえ、赤ん坊の言語や知能の発達に関して、人の顔の持つ重要性ということ、つまり、口の動きが、言語学習、発声、声の出どころの認識に、障害がおきてしまうこともわかってきた。これは、人類の言語機能の発達(聴覚と大脳機能のむすびつき)と顔という視覚的情報がリンクすることの意義が再認識された。だから、マスクを受容した日本は赤ん坊の発達に将来の課題を抱えるkとになるのではないだろうか。

あるいは、エッセンシャルワーカーの存在にも気がつくことができたのではないだろうか。日常ではエッセンシャルワーカーの働きはみえてこないが、彼らの存在なくしては社会が成り立たない事がわかってきたはずだ。エッセンシャルワーカーの働く医療分野における、医療崩壊についても隠された問題に気がつくべきだろう。医療崩壊するから日常活動や営業活動の自粛が求められ、自粛というと、あたかも人々が悪いかのようなイメージに繋がりかねず、初期の頃相互監視をする「自粛警察」の活動が目立ったが。医療崩壊の背後には、医師会の利権(日本は、ベッド数にしめる私立病院や小規模な病院割合が大きいい)、保健所など「不要不急」と考えられたセクションの予算がカットされて、保健所の数が半減していたこと。さらには、社会2.0といいながら、すこしも、情報化が進んでいなかったといった状況は、あきらかに政治の責任が大きいはずだ。それを、自粛や自己責任と言い逃れてしまい、そうした政治をよしとしてしまうのは、多様な理解を許容していない、つまりは、本書の言うアンソロ・ビジョンの理解が広がりを見せていないということも関わっているだろう。

本書の「結び:アマゾンからAmazonへ:誰もが人類学者の視点を身につけたら」のなかでアンソロ・ビジョン(すなわち人類学の視点)をどうしたら身につけられるか、5つの方法プラスアルファを提案している。詳しくは本書を読んでもらうしかないわけだが、エッセンスとして知っておいてから、読み始めてもよいだろう。

1:誰もが自らの生態学的、社会的、そして文化的な環境の産物であることを理解する。
2:「自然な」文化的枠組みはひとつではないと受け入れる。人間のあり方は多様性に満ちている。
3:他の人々への共感を育むため、たとえわずかなあいだでも繰り返し他の人々の思考や生き方に没入する方法を探す。
4:自分自身をはっきりと見るために、アウトサイダーの視点で自らの世界を見直す。
5:その視点から社会的沈黙に積極的に耳を澄まし、ルーティーンとなっている儀礼や象徴について考える。ハビトゥス、センスメイキング、リミナリティ、偶発的情報交換、汚染、相互依存、交換といった人類学の概念を通じて自らの習慣を問い直す。
さらに、…あなたを取り巻くシステムを図にしてみたら、どんな隠れたフロー、リンク、パターン、相互依存関係が見えてくるだろうか。…芸術は「異化」のプロセスのきっかけとなり、インサイダー件アウトサイダーの視点を獲得するのに役立つ。旅も同じだ。…語源学も同じだ。

本書は様々な人に読まれるべきだろう。一般の人向けに書かれたというが、政治家や企業家たちこそが、真っ先に読んで、頭の中を整理する必要があるのではないだろうか。



2022-03-05 20:55:56 | 読書 | コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )


牡蠣と菊菜のリゾット、鴨もも肉のワイン漬け焼き、ベビーリーフとブロッコリースプラウトとパルメジャーノスライスのサラダ

今シーズンは雪はもうないと見込んで今日レギュラータイヤに履き替え

牡蠣と菊菜のリゾット:久しぶりか。オリーブオイルでニンニクみじん切りを炒め生米を加えて炒め続ける。米が白濁したところで白ワインを加えて沸騰させ、水を追加して塩コショウ+赤唐辛子小口切り。アルデンテ直前まで煮る。生牡蠣をざく切りしてくわえて、菊菜をざく切りしたものをくわえる。食べるときにフレッシュオリーブオイルをかけ回す
鴨もも肉のワイン漬け焼き:鶏もも肉の薄切り鍋用を赤ワインに漬ける。白ネギ斜め切りとにんにく薄切りをくわえる。フライパンにオリーブオイル、鴨肉だけを表裏焼いて、取り出し、つけ汁とともに白ネギとにんにくを加える。赤ワインの水分を飛ばす。鴨肉を戻す、仕上げに、バターを一欠くわえる
ベビーリーフとブロッコリースプラウトとパルメジャーノスライスのサラダ

2022-03-05 20:43:43 | 夕食・自宅 | コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )