とにかく書いておかないと

すぐに忘れてしまうことを、書き残しておきます。

折々のことばより「言葉は、共有する記憶を表わす記号なのです。」

2017-09-12 08:06:51 | 折々のことば
 9月12日の朝日新聞「折々のことば」から引用します。

 「言葉は、共有する記憶を表わす記号なのです。」(ホルヘ・ルイス・ボルヘス)

 詩や小説を書くとき、言葉で編まれた歴史としての「事実」よりも、時間を超えた「より深い何物かにとって真実」であるような「夢」や「観念」や「想像力」に忠実であろうと努めてきたと、アルゼンチンの作家は言う。自己「表現」ではなく、未(いま)だ掘り起こされていない記憶を読み手とともに探ってゆくような「暗示」になればよいと。『詩という仕事について』(鼓直訳)から。(鷲田清一)


 作家というと何か新しいものを生み出していると私たちは思っている。しかし言葉はそもそもが人類の記憶の断片である。だから言葉には人類の記憶が内在的に備わっており、生み出されたものは人類の共有する記憶でしかないはずだ。

 「近代」は「新しいものはいいものだ」という時代であった。次々新しいものを生み出し、古いものを無用のものにしてきてしまった。しかしそれは「近代の思い込み」でしかない。われわれは人類の時間の中で生きているのだ。
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