とにかく書いておかないと

すぐに忘れてしまうことを、書き残しておきます。

桜田議員の発言に対する反応は何なのだろう

2019-05-31 20:50:14 | どう思いますか
 桜田義孝前五輪相が「子どもを最低3人くらい産むようにお願いしたい」と発言したことがインターネットニュースになっていた。「またこの人か、懲りないな。」とは思ったものの、私はそれほど大きな問題だとも思わない。桜田氏の発言を擁護するつもりはないが、それ以上にこの異様な報道のありかたのほうが問題がある。

 桜田議員の発言は、一昔はみんな言っていたことである。田舎のじいさんなんてみんなそう言っていた。現在はそれは言ってはいけないことになった。しかしそれはタブーなんだとわかったとしても、子供をたくさん産むのがいいことなのだという価値観を持っている人はそう言ってしまう。それはそれでしょうがないことなのではないか。これを封じ込めたら言論の自由を放棄したことになるはずである。

 こういう人を議員にしてはいけないというのは選挙の問題である。桜田議員は選挙で選ばれるべきでない人ということはわかったが、それをインターネットであおって大きく取り上げるほどの問題ではない。有権者の個人の判断だ。

 もちろん桜田氏が大臣だったら大きな問題である。しかし今桜田氏は大臣ではない。今はただの議員である。己の信条で発言してもそれを必要以上に責められる必要はない。逆にこれをこんな形で追い詰めていくことは、言論の自由の放棄である。それ以上に異様に感じるのは桜田氏はいくら悪く言ってもかまわないという雰囲気である。みんなでだれかの悪口を言い、それに同調して快感を得る。いじめ構造と同じである。

 インターネット時代のニュースのありかたについてもっと批判的に見ていく必要がある。
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『朝日ぎらい』を読みました2

2019-05-29 19:06:42 | 読書
『朝日ぎらい』のPART3で「安倍一強」の秘密を次のようにまとめている。
① 国際社会では「リベラル」
② 若者に対しては「ネオリベ」
③ 既存の支持層に対しては「保守」
④ 日本人アイデンティティ主義者に対しては「ネトウヨ」
 この分析は納得させられる。ひとつひとつ自分なりのコメントをする。

① 国際社会では「リベラル」
 安倍首相はTPPを推進し自由貿易主義の政策をすすめている。グローバル経済を進める政策をとっているのである。これはリベラルな政策であり、国際的には評価される傾向がある。しかしこの安倍政策はソフトバンクや楽天などの新興勢力の企業や、すでに日本についての一強企業トヨタ、そして原子力発電所を輸出したい関連企業など特定の企業のための政策でしかない。もちろん農業は切り捨てである。

② 若者に対しては「ネオリベ」
 新自由主義は、実力主義である。これまで日本で行われてきた終身雇用や年功序列は若者に対していいことはない。しかも年金は自分たちがもらえるかわからないような状況である。これまでのような旧態依然とした体制から脱却しない限り自分の未来はない。だから若者は単一労働単一賃金などの政策を強く支持する。もし立憲民主党や共産党がつよくなったら、高齢者優遇の政策をとるだろうから、絶対に阻止しなければならない。若者はそこまで追い込まれているのだ。

③ 既存の支持層に対しては「保守」
 安倍政権はあきらかに今回天皇を利用した。新天皇の即位をお祭りにして、さらにはトランプとの会談など自分の手柄としてしまった。さらには大相撲にトランプを招いたことも日本の保守層にアピールすることができた。そしてそれ以上に二階幹事長という自分とはまるで考え方の違う人を幹事長にして、地域の保守地盤をしっかりと守ることに成功している。

④ 日本人アイデンティティ主義者に対しては「ネトウヨ」
 韓国と北朝鮮と中国に対して敵対していれば喜ぶ人たちを味方につけている。この人たちは暴力的な発言をするので、だれも反論しなくなる。すると「世論」はどんどんゆがんでいく。

 良かれ悪しかれ日本は今安倍政権の戦略にはまってしまった状態にある。


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『朝日ぎらい』を読みました1

2019-05-26 15:25:54 | 読書
 橘玲氏の『朝日嫌い』という本を読んだ。これまで何となく釈然としなかった点がうまく説明されている、まさに「目からうろこ」の本である。朝日新聞の胡散臭さと同時に、右傾化する世界の理由、安倍政権の胡散臭さ、そしてトランプ政権や、イギリスのEU離脱、中国の躍進、一方ではAI問題などなどさまざまな要素が見事に説明されている。必読の本である。

 現在再読中であるが、せっかく読んだものを自分の中で消化したいので、まとめておきたい。「とにかく書いておく」精神である。

 現在世界は「AI(人工知能)やICT(情報通信技術)などテクノロジーの急速な進歩を背景に、①知識不足社会科、②グローバル化、③リベラル化が相互に関連しあって大きく変容してる」。従来の仕事はAIなどに奪われてしまうので、社会は大きく変化しはじめ、このままでは生き残れない世の中になったのである。この大きな流れの中で安倍政権はリベラルな政策に舵を切っている。安倍政権というよりも「自民党をぶっ壊す」と言っていた小泉政権からの自民党の大きな流れといっていい。旧態依然とした保護主義的な政策から、グルーバルな競争社会への移行を目指している。

(もちろんたくさんの問題はそれにともなっておこっている。たとえば私がよく批判しているように、教育改革などが企業の利益誘導につながっている。あるいは経済においては格差が広がる一方である。しかし大きな流れとしてそうしなければ日本という国が生きていけないという考え方は理解できる。)

 従来リベラル政党というのは、保守派に対して改革を提唱する政党であった。しかし現在日本では、かつてリベラルと言われていた政党が保守化している。これは自民党への対抗軸の設定のためという部分もある。また弱者救済という意味もある。野党は改革についていけない弱者を救うために大きな変化を望まない政策を支持し、既得権を守ろうとしているのである。逆に自民党が改革を推し進めようとしている。逆転現象がおこっているのである。

 これを後押ししているのは若い世代である。若い世代の人たちはこのままでは自分が年配のインテリ層に搾取される構図のままになるので、改革を期待する。一方かつて保守派を攻撃していたリベラル派は、自分たちの生活を守る方向に舵をきってしまい、改革に対して抵抗をしめすようになる。民主党政権の支持がなくなったのはそのためである。

 アメリカでトランプ政権の支持が意外にも高いのは、低所得の白人層の支持があるからである。かつて偉そうにしていた白人が外国人労働者に仕事を奪われ、さらに国の経済が国際競争に敗れ、いまや社会の底辺の存在になってしまった。そんな白人労働者の支持が強いからトランプは意外にも高い支持を受けている。
イギリスのEU離脱も同じような傾向である。EUにより外国人労働者が増え、従来のイギリス国民が不遇な思いを味わっているという意識が強くなってきた。だから、かつてのイギリスを取り戻したいという幻想を抱くため保護主義的な政策を要求してるのである。

 その意味では安倍政権とトランプ政権はまったく別方向を向いていることがわかる。ここに安倍政権のからくりがある。

 つづく。
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『幸福なラザロ』を見ました。

2019-05-24 07:07:25 | 映画
 監督アリーチェ・ロルバケル。イタリア。

 いわゆる「ネタバレ」の個所もありますので、気を付けてごらんください。

 Bunnkamuraルシネマで『幸福なラザロ』を見ました。不思議な感覚の映画です。静かな驚きに満ちていました。しかしメルヘンではありません。そこに登場する人間たちはみんな人間らしく、いい面、悪い面両方描かれます。だからこそいとおしく感じます。

 映画的な手法として特筆すべきものがあります。前半と後半で時間が10年以上経過します。しかし見るものはそれにすぐには気が付きません。それはラザロだけが年をとらないからです。谷底に落ちてしまったラザロはオオカミに助けられ息を吹き返します。村に戻るともうそこには誰もいないのです。歩いて町に出てみると、そこにかつての村人がいます。このあたりから観客がようやく状況が読み込め始めます。何が起きているのかわからない不思議な感覚のまま映画は進んでいきます。観客はちょうどラザロの視点にたって、少しずつ状況を理解していきます。これはとても映画的な手法です。感心しました。

 またテーマも切実です。前半は一部の人間が村の住民をだまし搾取しているという話です。しかし後半の「今」も同じように一部の人間が下層の人々を搾取しているだけなのです。状況は変わっていません。もしかしたら誰もが気づかないまま進んでいるという意味では「今」のほうが悪くなっているのかもしれません。

 こんな状況の中では人間はだれもが醜い心を表に見せてしまいます。しかしどんな状況であろうと人間は小さな喜びを持ちながら生きていく、そんな美しさも持つことができるのです。そこに救いを感じることもできます。

 いい映画でした。
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少年王者館『1001』を見ました。

2019-05-21 16:27:01 | 演劇
 新国立劇場で少年王者館という劇団の『1001』という作品を見ました。不思議な空間を作り出し、30年~40年くらい前のアングラ劇や小劇場を思い出させるワクワク感のある演劇でした。しかしそういうかつての演劇はどうしても客席と舞台の一体感が必要になるものであったように思います。今回の新国立劇場はあまりにきれいに整いすぎているのか、どうしても遠くの出来事に感じてしまいました。

 新国立劇場は主催の演劇はほとんどプロデュース公演だったのですが、今回は芸術監督の小川絵梨子さんがぜひとも紹介したいということで招聘公演の形での登場とのことです。ポスターなどからイメージするように見世物小屋的なノスタルジックな芝居です。内容は千夜一夜物語をベースにして戦時中の日本の姿をそこに絡めます。昭和を感じさせてくれます。物語は行ったり来たりしながら、物語の構造を解体しながら進んでいきますので、何が何かがわからなく目くらましにあったような気分にさせられますが、それがまた面白いのだと思います。とても計算された舞台です。

 ただし私はいまひとつ入り込めませんでした。こういうかつてのアングラ演劇などのような舞台は異空間に連れ出されたような気分にさせられます。かつてのテント公演とか小劇場公演というのはどこに連れていかれるのだろうという、ちょっとした恐怖感と期待感がありました。見ず知らずの観客が連帯感を持ち、空間の中で一体になっていきます。この経験こそがあの時代の演劇でした。しかし今回の新国立劇場はきれいすぎました。そこが今一つ入り込めない理由だったのではないかと考えます。

 あるいは私が年を取りすぎてついていけなくなってしまったのかもしれません。日本が高齢化社会になり、若い人の文化があまり日の目をあたらなくなってきました。そういう意味では若い人がのめりこむ演劇は必要です。若い人が本当に楽しめる演劇であれば、私ももっと学ばなければいけません。

 もう一度チャンスをいただき、いつも公演をしている場所に行き見せていただければと思います。
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