とにかく書いておかないと

すぐに忘れてしまうことを、書き残しておきます。

柳家喬太郎『ハンバーグのできるまで』

2017-09-16 16:55:09 | 落語評
 NHKの「日本の話芸」という番組で柳家喬太郎さんの『ハンバーグができるまで』を放送していた。新作の人情話という感じの落語なのだが、決してハッピーエンドではない。別れた妻が、元の夫のところに戻ってきてハンバーグを作る。よりを戻せるのではないかと男が思った瞬間に元妻は再婚することになったことを告げ去っていく。最後に男は嫌いなつけわせのニンジンを口にする、という噺である。現代人のわびさびを感じさせる不思議な落語だ。

 この話を持たせているのは町内の商店街の人たちである。みんな野次馬的でありながら男を応援している。地域社会のめんどくささと良さを感じさせ、それが笑いをさそい男の心情を浮き立たせる。いい落語だと思った。

 NHKの番組では喬太郎さんが元妻のセリフを言い間違えていた。「ワインを飲みながら待ってて。」というべきところを「ワインを飲みながら飲んでて。」と言ってしまったのだ。言い直すこともしないで、元妻が間違ったことにして話を何とか進めていた。なんということはないのだが、日常でもありそうな言い間違いにしていた。経験をつめばこういうこともできるようになるのだと、感心してしまった。
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お血脈(柳家三三落語会)

2017-09-03 16:17:24 | 落語評
 9月2日に山形市遊学館で開催された柳家三三師匠の落語会を聞きに行きました。三三師匠の落語を聞くのは2回目です。スピード感がありテンポがありますが、声が聞き取りやすく、とても上手な噺家さんです。すばらしいと思いました。

 3席したのですが、2つ目が「お血脈(おけちみゃく)」という噺でした。これは不思議な落語です。地噺(じばなし)と呼ばれるそうです。セリフがほとんどなく、演者の地の語りを中心に進めます。「短くても笑いが少なく、地味なものが多いので、飽きずに聴かせるには円熟した話芸が必要で、生半可な噺家には到底こなせません。そういう意味では、今時ははやらないでしょう。」という解説をネットで見つけました。本当に荒唐無稽な噺ですし、ほとんどが雑談のようにすすみます。三三師匠はそれを飽きさせず、爆笑の中で進めていきます。歌舞伎の真似も見事です。

 おもしろい落語を聞かせていただきました。ぜひまた聞きたい落語家さんです。
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「柳家小三治、三三親子会」(2月11日 シベールアリーナ)

2017-02-12 07:37:14 | 落語評
 小三治師匠が今年も山形に来てくれました。三三さんとの「親子会」と題しての高座です。前座が小かじさん。三三師匠のお弟子さんのようです。そして次に三三師匠の「安兵衛道場破り」。中入り後に三三さんの踊りがあって小三治師匠の「転宅」。

 案の定「まくら」が長い。もちろんそれを期待しているところもあるのでだれも文句を言わない。当日山形は大雪で、天気の話から始まりました。シベールアリーナの楽屋は外が見えるガラス張りで、昔、同じように一面がガラス張りのモスクワの幼稚園で日本人相手に落語をした時の寒かった思い出を話してくれました。

 次に「虎は死して皮を留め人は死して名を残す」と言い、泥棒で名を残した人物、石川五右衛門のことをかたります。そして泥棒つながりから「転宅」に移っていきます。

 「転宅」は昔聞いたことがあるような気もするのですが、覚えてはいませんでした。間抜けな泥棒が、とある旦那の妾宅にどろぼうに入り、逆にそのお妾さんに騙されるというお話です。騙されたことを知らず、次の日のこのことその家にやってくるのを、近所の人がみんな節穴から見ているという場面が笑えます。おもしろい話でした。

 型にはまらないながら、しっかりとした型がある「芸」の素晴らしさを感じました。
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春風亭昇太独演会(12月15日 シベールアリーナ)

2016-12-16 09:06:39 | 落語評
 春風亭昇太師匠の落語会に行きました。場所は山形市の「シベールアリーナ」。「シベールアリーナ」さんは山形の文化の発信を担ってくれています。場所が市街地から離れていることがちょっと不便なのですが、とてもありがたい存在です。今回は「やまのべ落語愛好会」が主催の落語会です。

 演目は以下の通り。
 ・オープニングトーク(昇太さん自身が携帯の電源を切るように、おもしろく語ります。)
 ・「桃太郎」 昇市さん
 ・「猿後家」 昇太さん
 ・「看板のぴん」 昇太さん
    中入り
 ・「花筏」 昇太さん

 「看板のぴん」は聞いたことのある噺でしたが、それ以外は私にとって初めての噺でした。

 「猿後家」がおもしろかった。なんといっても昇太師匠の「後家」さんの表現がとてもうまい。機嫌をそこねた「後家」さんにヨイショをするのですが、それがヨイショだとわかっていながらうれしくなってしまう女性心理を見事に表現しています。おもわず声を出して笑ってしまいました。

 昇太さんの魅力は若々しくありながら、表現が適格なところだと思いました。座布団の上で躍動し、デフォルメされた描写がとてもリアルに感じられます。

 「笑点」の司会者決定の話から、来年の大河ドラマの話まで興味のある話題をマクラにしながらの2時間強。とても楽しい独演会でした。
 
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立川談春独演会

2016-11-03 17:24:47 | 落語評
 文化の日ということで立川談春独演会に行ってきました。場所は山形市民会館。演目は「山号寺号」と「文七元結」。「山号寺号」は初めて聞く噺でしたが、小噺といったような内容。「文七元結」は1時間30分くらいかけての熱演でした。さすがのうまさです。

 まくらで、落語家は噺を暗記していないということを言っていました。よくわかるような気がします。繰り返ししゃべっていることなので口が覚えているところはあるのかもしれませんが、セリフを覚えるようなことはしない。芝居だと相手が困るだろうから、突然違うことを言ったり、セリフを飛ばしたたりすると大変なことになります。だからできるだけセリフは正確に言わなければなりません。落語ならば自分でその世界を作っていくことが可能ですし、下手に覚えてしまうとリアリティがなくなってしまう。

 授業も同じです。大きな流れを想定はしますが、あまり想定しすぎるとがんじがらめになってしまい、つまらなくなります。かと言ってしっかりと準備をしないといい加減なものになってしまう。努力と経験が大切です。

 談春さんの落語を聞きながら、そんなことを考えていました。
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