とにかく書いておかないと

すぐに忘れてしまうことを、書き残しておきます。

朝日新聞「折々のことば」より「真夜中、携帯で話しながら通り過ぎてゆく声を見送りながら、彼もしくは彼女は孤独なのか、孤独でないのか、判らなくなる。(神崎繁)」

2020-10-30 16:48:52 | 折々のことば
 10月30日付朝日新聞「折々のことば」より。続けて引用します。
 
 高度情報化の時代は「隠棲(いんせい)」もまた難しい。「隠者」として身を潜める場所はもはや地上のどこにもない。引きこもるべき所は田舎や山奥ではなく、おのが魂の内だとも言えようが、そこさえ「不安と焦りが渦巻(うずま)」いている。引きこもること自体が困難な時代に、古代ギリシャ哲学研究者は心を震わせる。随想集『人生のレシピ』から。
 
 高校生に「スマホなんか捨てちまえ。」と言うと、「本当にそうしたい。」と言います。高校生もスマホに縛られていることが面倒くさくて、つらいのです。「つながる」という言葉が流行りましたが、「つながっていない」といけないと思わされて、追い詰められているのです。
 
 人間には孤独に自分と向かい合う時間があるべきだと思います。しかし現代の子供たちは「孤独」であることが「死」を意味するような状況の中にいます。いや、これは子供だけではありません。大人も同じです。だれかとつながっていないと悪いことをしているように思ってしまうのです。
 
 情報の意味を孤独に自分と向かい合いながら考えてみる必要があります。
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説明しない人を信じることはできない

2020-10-28 19:07:02 | 政治
 どう考えても日本学術会議の任命拒否の問題はおかしい。しかもその理由を言えないのはもっとおかしい。政府の説明も苦しいし、それを無理矢理擁護しようとしている自民党やコメンテーターの取り巻きたちも、しゃべればしゃべるほど胡散臭く見えてしまう。なぜそこまでごまかそうとするのか。その不自然さが目立つ。

 報道によると、任命されなかった6人は日米安保に批判的な意見を言った学者だという。その点から見てみると、アメリカに対する忖度なのではないかと考えられる。だから説明できないのだ。

 日本はアメリカの核の傘に入っている。だからアメリカとは決して争ってはならない。日米同盟を基軸にして政治を行っている日本は、アメリカの意中でしか政治が行えないのだ。沖縄の基地の問題や横田基地の空域を日本の飛行機が飛行できないという問題もみんな同じところに発している。

 勝手な憶測で論を進めるわけにはいかないのでこの程度でとどめるしかないが、いづれにしても諸悪の根源は説明がないということである。近年政府は「説明責任」という言葉を連発しながら、「説明責任」をまったくはたしていない。この結果、国中に不信感が充満している。

 本当にこの「国」は息がつまる。
 
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『ファヒム パリが見た奇跡』を見ました。

2020-10-25 17:44:09 | 映画
 バングラデシュからパリに逃れた政治難民の少年がチェスのチャンピオンを目指した実話をもとにした映画です。単純なストーリーですが少年の瞳が美しく、引き込まれていきます。泣けます

監督 ピエール=フランソワ・マンタン=ラバル
出演 アサド・アーメッド
   ジェラール・ドパルデュー
   ミザヌル・ラハマン
   イザベル・ナンティ

 〈あらすじ〉
 バングラデシュで天才チェス少年として有名だったファヒムは、8歳の時に父親とともに家族を残しパリに移り住む。しかし政治難民としてフランスに到着したので、強制送還に怯える日々を送る。ファヒムは変わり者のチェスのコーチシルヴァンの教室に行く。最初は個性の強い二人はうまくいかないが、ファヒムとシルヴァンは、次第に心を通わすようになる。チェスのフランス国内大会がスタートするが、一方ではファヒムには強制送還の脅威が迫っていた。

 バングラデシュは名前は知っているが、日本人にとってわかりにくい国です。豊かではないという印象はあるのですが、どういう生活をしているのかなどはの状況など帰ってからネットで調べました。都市国家を除くと世界で最も人口密度が高い国で、人口数は世界第7位だそうです。豊富な水資源から米やジュートの生産に適し、かつて「黄金のベンガル」と称された豊かな地域であったが、インフラの未整備や行政の非能率から、現在はアジアの最貧国に属するとも書いてありました。物事を知らないことを反省します。

 そんなバングラデシュでチェスの才能のある少年が、世界に向けて飛び立とうとしています。その決意はどこから来ているのでしょう。ハングリー精神とよくいいますが、こんな危険な思いをして夢をつかみに行くというのは日本人には理解しがたいものです。しかしその決意を純粋に見つめる目は本当にきれいです。

 前を向く純粋な少年の目は、それを見ているだけで感動します。その目に動かされて周りの人間がみんな変わっていきます。その変化が心を和ませます。

 いい映画でした。


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「公的マネーが大株主」?

2020-10-24 07:57:47 | 政治
 10月23日の朝日新聞の記事である。

 「公的マネーが大株主 東証1部の8割 4年前から倍増」

 年金資産を運用する国の独立行政法人と日本銀行が、東証1部企業の8割にあたる約1830社で事実上の大株主となっていることが朝日新聞などの調べでわかった。4年前の調査時から倍増した。巨額の公的マネーは実体経済と乖離(かいり)した株高を招き、「官製相場」の側面が強まっている。「安定株主」として存在することで企業の経営改善に対する努力を弱める恐れがある。

 アベノミクスは日銀の金融緩和により、国内にお金をばらまくことで円安を誘導した。これによって輸出業者がうるおい、インバウンドが増加した。しかし、それも全体としては大きな効果がなく、経済がなかなか好転しなかった。結局お金が回らない。そこでばらまかれたお金は政府系のファンドを通して株に向かう。そのために株価は高騰する。この仕組みによって見かけは日本の経済はよく見えるようになった。

 しかし実態は政府による「バブル」でしかない。しかも巨大な「バブル」だ。はじけたら大変になる。しかも金融緩和のために投入されたお金は国債によるものであり、この国債は未来にツケを回しているだけなのだ。

 政府としては経済に刺激を与えて好転させようとしたと説明したいのであろう。それはわかるのだが、今回のこの朝日新聞の記事を読む限り、度を越しているとしか思われない。

 今をごまかすために未来を犠牲にする。そんな政策が行われているのだ。
コメント (1)
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教員採用試験の倍率が2倍を切った

2020-10-20 18:36:45 | 教育
 山形県の教員採用試験の倍率がどんどん落ちている。小学校は324人受験して195人合格、1,66倍です。中学校はそこまで低くはないのですが、教科によってはかなりの低倍率です。国語にいたっては19人受験して16人合格です。

 私は国語教師なので非常に心配しています。このまままで山形県の教育のレベルは維持できるのか。そしてこの国の国語教育は維持できるのかをです。

 この背景にはいろいろな問題があります。一番の問題は教員が忙しすぎるということです。まともな人間ならば教員を目指しません。わたしもこれからの若者に教員を薦めるかと言えば、ありえません。

 国語教育の問題もあります。国語の問題としては、旧態依然とした国語教育に大きな問題があるのではないかと考えています。これはこのブログでも何度も言ってきました。

 国語は様々な分野がありながら、これまで大学入試に必要な分野だけが行われてきたのです。その他の分野がおろそかになってきていたのです。そのために言語技術の分野、コミュニケーション能力、演劇教育などの表現分野、外国人に日本語を教える際に必要になる日本語力など、本来必要とされる、あるいは今必要とされる分野がほとんど教えられていないのです。

 たとえば高校の国語ではいまだに漢文の返り点の読み方に時間をとられています。漢文がだめだと言っているわけではありません。漢文の内容には学ぶべきものがたくさんあります。しかしそれは現代語訳で学んでもいい。今や漢文の訓読は全員が学ぶ必要はないのです。大学で中国古典文学を学びたい人が学べばいい。しかし漢文は消えません。なぜならセンター試験で50点の配点だからです。

 こういう江戸時代から続くおかしなことがいまだにあるのです。こんな科目嫌われて当たり前です。

 「国語教育の危機」は本当はここにあるのだと私は考えています。
コメント (2)
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