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2010-2011シーズン聴いたコンサート観たオペラはこちらから
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2010年11月29日(月)7:00pm
サントリーホール
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ドビュッシー 「ペレアスとメリザンド」交響曲
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コルンゴルト ヴァイオリン協奏曲
ヴァイオリン、ヴィヴィアン・ハーグナー
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マーラー
(ブリテン編曲:オリジナルは交響曲第3番第2楽章)
野の花々が私に語ること
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シューマン 交響曲第4番(第1稿)
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シルヴァン・カンブルラン指揮
読売日本交響楽団
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4曲並べたコンサートは最近珍しい。こうゆう手応えのある演奏会をもっと聴きたい。
この日の演奏で一番気に入ったのがシューマン。筋肉質で締まっていて音場が磁極にひかれるように一定の方向感をもって鳴る。聴きごたえがありました。また、第3楽章のトリオにおけるウィンドとストリングの流れるような美しさは川面に流れるビロード、何本もの線がゆらゆらと揺れて流れる様はこよなくきれいで透明で美しかった。満点。
曲自体特に第1,4楽章はリズムがつんのめっているような感じで、前ではなく上下に走っているような錯覚を覚えたりしますが、正確性を前面にだすとこうなる。従ってカンブルランの面目躍如ということになります。そしてときおりアクセントをきかせたこぎみの良いスタッカートが曲の流れを整え変則リズムの快感を再認識させてくれます。曲の味わいというものをあらためて感じました。よかったですよ。
カンブルランとしてはどちらかというとシューマン以外の3曲をやりたかったのではないかと思えますが、結果はえてしてこのようになったりするものです。
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1曲目のペレメリは、この指揮者セレクトのシェーンベルク、フォーレに続くものです。3回のペレメリでは今回のが聴く方としては一番困難をともなったのではないでしょうか。
クラウディオ・アバドはウィーンとの全曲盤やベルリン・フィルと断片を録音していて、そこらあたりを愛聴盤にしている人とか、最近のアルミンク&新日フィルのオペラ公演を見た人たちなら、違和感なくすんなりはいっていけて、さらにものたりない、というところまでいっちゃう感想だと思うのですけれど、そうでなければ、なにがなんだかわからない。音の広がりが武満よりはあるなぁとか、澄み切ったもやもや感、など不思議どまりだったかもしれませんね。
録音で聴くペレメリなどよりも、この日の演奏は断然締まっていて行き先明瞭でクリア、大きなリズムまで感じることが出来るやっぱりカンブルランの得意技といえますね。この指揮者、今が絶好調というのがよくわかります。
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2曲目のコルンゴルト。これはやっぱり、ジャナンドレア・ノセダ&N響の公演(1049-)が決して忘れられませんね。ヴァイオリニストは誰だったのか忘れてしまうぐらいすさまじい棒でした。
ヴィヴィアンさんは割と太めの音で、なぎ倒す感じではありません。どちらかというとストイックで、第3楽章などもウキウキ感より誠実に一つずつフレーズを進めて弾いていくそんな感じですね。この曲がなかなか流行りきらないのは第1,2楽章の難解さ、馴染みにくさにあると思います。よくわからない、というのが正直なところ。ただ、負の色ではないなとは思います。出来れば明るい目で流してほしい。
カンブルランはノセダのような爆発棒ではありません。難渋な曲を真摯に振っていたと思います。伴奏ということもあって彼のレパートリーではないと思いますが、感覚的に振りこなせる感じ。
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マーラー。このような編曲は初めて聴きます。オリジナルとの違いを調べるような調子で聴く必要もないと思います。編成は少し小粒ですが、締まったサウンドで流れるようないい曲ですね。3番は昔はあまり演奏会で取り上げられることがなかったのですが、最近は割と頻繁。マーラーイヤーですのでこれからも続くでしょうね。
ブラ1の第4楽章の例のメロディーそのものといった感じのホルンで始まるマーラー3番第1楽章ではありますけれど、約40分の第1楽章か、なんて昔聴いたときはびっくりしましたことを覚えてます。ここだけでモーツアルト2曲聴けるなぁ。
それで、オーケストラが全奏で回転し第1楽章をおえて、ようやくこの静かで素朴な第2楽章を聴くことが出来る。脳裏での聴き比べ。
マーラーイヤーにふさわしい選曲と演奏でした。
おわり
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