河童メソッド。極度の美化は滅亡をまねく。心にばい菌を。

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OCNから2014/12引越。タイトルや本文が途中で切れているものがあります。

1112- アンドレ・プレヴィン ガーシュウィン プロコフィエフ N響2010.11.13

2010-11-14 22:38:51 | インポート


2010-2011シーズン聴いたコンサート観たオペラはこちらから
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2010年11月13日(土)6:00pm
NHKホール
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武満徹 グリーン
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ガーシュウィン ピアノ協奏曲へ調
 ピアノ、アンドレ・プレヴィン
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プロコフィエフ 交響曲第5番
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アンドレ・プレヴィン指揮
NHK交響楽団
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プロコ5番の4楽章を口ずさんでいると、ついつい、いつのまにかタコ6の第3楽章にシフトしてしまうのだが、生の音ではそうはいかない。
プロコフィエフのこの曲はかなり深くて巨大ということを再認識させられました。椅子に腰かけて最小限の振りについていけるのは、指揮者とたっぷり練習のできるオーケストラで、常日頃から世間のトップ指揮者と接している一流のメンバーが占めているオーケストラでなければなかなか難しいと思う。N響はだいぶそんなことを満たしていると思う。
この指揮者の前提はうまいオケが自分の前にいて当然という感じで、その上で何をするのかという話。練習が厳しいというオケ内からのツィッター発信もあるようですけれど、それはこの場合、プロコフィエフのツボを発信者より指揮者の方がより詳しく心得ているということなんでしょう。つまり指揮者がプロコフィエフを植え付けに来た。
この日のコンマスはツートップでしたけれど、ここらあたりに斟酌があるのかも。
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楽器間の空虚でユニークなユニゾン、中音域が抜けたような響き、諧謔、重さ、どれをとっても色も合わせてブルー、だけど、透明。そんな音色模様。
第1楽章は雨期の短調が綿々と続くが、聴きようによってはこの楽章全体が長い長い序奏のようにも聴こえてくる。この楽章と、響きと主題の相似性を第3楽章に濃く感じる。この両楽章はかなりヘヴィーなのだが、挟まれた第2楽章も決して軽くなく思いアレグロだなぁ。
新古典主義的なあたりを通り過ぎ自国の音楽を再土台に独自の作風を作り上げた。ユニークな音色表現の音楽だと思います。
オペラの戦争と平和を観たことがあるのですが、あれは5番同時期の作曲だと思いますけれど、響きが大時代的で、この5番とは、まるっきり違いますね。びっくりしてしまいます。いくらオペラとはいえ、また、タイトル通りの絵巻物とはいえ、こんなに振幅のある作曲家だったのかとあらためて認識させられます。
1番から7番の真価はやはりまずこの5番を征服してから。そんな感じです。ピアノ協奏曲も同じですね。わけのわからない2番を克服するには、まず3番を制圧してからということが比較的楽かなと。
それで第4楽章はこれまたユニークな開始と音色。第3楽章の雰囲気をそのまま引き継いだ静かな序奏があり、そしてパーカッションとか弦が跳ねるような響き、それでグリッサンドするように下降する音形、短い音符音形で長く持たせる主題フレーズ。
ついつい、タコ6の第3楽章に行きたくなってしまいます。簡単な物言いですけどやっぱりショスタコーヴィッチはかなり影響受けてますよね。また、ブラスの響きなどプロコフィエフは明らかにチャイコフスキーの影響を受けている。ブラスの全奏はチャイコみたいに息の長いものではありませんが、この第4楽章もかなり明白。ロシア音楽の系譜を感じないわけにはいきません。
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プロコフィエフの5番は形式に気をとられることなく聴き進めることができます。形式は古典踏襲、楽章間の主題の相似性があり曲自体緊密にできている。それで、響き、音色バランス、ハーモニーのユニークさ。リズム、運動、動きの面白さ、奇抜さ、そのようなものを心おきなく聴くことが出来る。
プレヴィンはそのご老体の動きとは異なりインテンポを貫くことが出来ます。ミスターSなどもそうですが、やっぱりここらへんがすごいと思います。
プレヴィンのプロコフィエフはドライでクールな曲を一層先に進め、いつでも、その作曲家の次の時代を見つめているような鋭さがあったと思います。いい演奏でした。
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前半のガーシュウィン。これはその昔、プレヴィンがピッツバーグ響を振っていた頃に弾き振りしたのをきいたことがあります。かなりユニークなプログラムでした。
1984.5.23
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そのときの残像はまだあります。特に第2楽章のトランペットがかなりきわどく鋭いものであったことを強く覚えております。今日のN響との出会いではそれほどでもなく、事前の仕込みもしていたはずなのにむしろ弱音系で鳴っておりましたので、ずいぶんと、自分のピアノだけでなく全体仕様もおとなしくなったものだと感じました。
プレヴィンの清らかなピアノ・サウンド。比較的軽いタッチでジャズのウィットを効かせたノリの良さ。フィーリングの良さが光ります。80才越えて光り輝くといっても言い過ぎではない。響きの全部がこちら側聴衆席の方に来ないもどかしさがありますけれど、プレヴィンのピアノにはこのNHKホールちょっと大きすぎ。オーケストラの編曲も然りかなぁ。
N響はこのような曲にはむいていないオケで、出来るけどしない、みたいなところがあると思いますよ。アカデミックなものが上、といった意識もあるのでしょう。だから棒がジャズとクラシックの大家であるプレヴィンだと自他ともに納得できるのでやってしまう。今日のコンマス・ツートップには驚きましたけれど、案外そんなところも理由なのかもしれませんね。彼のお仲間なら納得。みたいな感じかも。
これもよい演奏でした。
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武満の真価は今だわからず、申し訳ありませんが、マイド、興味対象外です。
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それから、プレヴィンの棒によるプロコフィエフの5番はこれまた昔、ロスアンジェルス・フィルを振ったものを聴いたことがあります。
→1986.5.18
このブログを書いている時点で、まだアップしておりませんのでこの日のプログラムだけ書いておきます。
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1986.5.18日曜日3:00pm
エイヴリー・フィッシャー・ホール
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エルガー エニグマ
プレヴィン リフレクションズ
プロコフィエフ 交響曲第5番
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アンドレ・プレヴィン指揮
ロスアンジェルス・フィル
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