河童メソッド。極度の美化は滅亡をまねく。心にばい菌を。

PC版に一覧等リンクあり。
OCNから2014/12引越。タイトルや本文が途中で切れているものがあります。

2776- オール・ベートーヴェン・プロ、悲愴、月光、ワルトシュタイン、エリーゼのために、テンペスト、熱情、及川浩治ピアノリサイタル、2020.2.16

2020-02-16 22:24:11 | リサイタル
2020年2月16日(日) 1:30pm-3:50pm 川内萩ホール、東北大学百周年記念会館

オール・ベートーヴェン・プログラム

ピアノ・ソナタ第8番ハ短調Op.13悲愴 9-4-5
ピアノ・ソナタ第14番嬰ハ短調Op.27-2月光 4-2-7 
ピアノ・ソナタ第21番ハ短調Op.53ワルトシュタイン 10-3-+13

Int

イ短調WoO.59エリーゼのために 3+
ピアノ・ソナタ第17番ニ短調Op.31-2テンペスト +7-7+5
ピアノ・ソナタ第23番ヘ短調Op.57熱情 10-6+7

(encore)
ショパン ノクターン第20番 遺作  3
リスト(ブゾーニ編) ラ・カンパネラ  5


ピアノ、及川浩治


2時間半近くかけてネイミングのあるソナタ5曲とエリーゼ、それにアンコール2曲、満腹のリサイタル。

あいにくの雨模様の中、それでも盛況でしたね。
6作品、休憩は一回。前プロ、後プロ、それぞれ1曲ずつ出入りするような面倒は避けて、ひとつ終わると立って一礼しすぐ次に移る。濃度ある。エリーゼと次のテンペストは連続演奏、ナチュラルな進行でした。
初めて訪れたホール、ざっくり大雑把な雰囲気だったが響きはやや拡散系ながらそこそこふくよかな鳴り。ふやけないのでピアノの粒立ちがよくわかる。自席では左手のバスサウンドがとてもよく飛んでくる。

6作品、ひと作品ごとに丹念に光を当ててくれて聴くほうはあらためてじっくりと味わい尽くしました。大ごとではなくてすごく小さなところから始まって気が付いたらメラメラと萌え上がっている。気張りが無くて力の抜けたところからクライマックスのビンビンいうプレイは見事だ。
悲愴の中間楽章は淡々と進む。押しなべて他の作品も同様なスタイル。こういうことに気づきをしたほうがいいのかもしれない。シンプルな熱情中間楽章などもはや枯れて炎の核が音を形作っている。
シンフォニックなスタイルが好みのワルトシュタインも、彼の手にかかると、聴くほうもそんなに気張らなくていいよ、てなもん。月光はブルーな趣きで最後は萌える。テンペストはクジャクのような羽ばたきで変幻自在、絶品でしたね。最後の締め、熱情フィニッシュで及川さん、立ちあがりました。
お見事。

アンコールの前に一言あって、ちょっとシャイな雰囲気があって、雄弁なプレイとはだいぶ距離がある。これも、音楽家。良く聴こえなかったのですが、オール・ベートーヴェン・プロだったが、アンコールは別の作曲家のものを、みたいな感じだったと思います。

充実のアフタヌーン、トンペイまで足を運んだ甲斐がありました。
ありがとうございました。
おわり


















2775- モーツァルト、アポロとヒュアキントゥス、協奏交響曲、ブルックナー、ミサ曲第3番、飯森範親、山形交響楽団、2020.2.15

2020-02-15 22:36:13 | コンサート
2020年2月15日(土)  6:40pm 山形テルサホール

ロビー・コンサート 

エリック・イウェイゼン フィルハーモニック・ファンファーレ  3

ヒダシュ・フリジェシュ 金管三重奏のためのトリーガ  6

トランペット、松岡恒介
ホルン、関谷智洋
トロンボーン、太田涼平


2020年2月15日(土)  7pm 山形テルサホール

モーツァルト アポロとヒュアンキントゥス K.38 序奏  3

モーツァルト 協奏交響曲変ホ長調K.364  13-11+8
ヴァイオリン、平澤海里
ヴィオラ、山中保人

(encore)
ヘンデル(ハルヴォルセン編曲) パッサカリアより  2

Int

ブルックナー ミサ曲第3番ヘ短調WAB.28  10-11-18-2-9-9
ソプラノ、梅津碧
アルト、在原泉
テノール、鏡貴之
バリトン、鈴木集
合唱、山響アマデウスコア

飯森範親 指揮 山形交響楽団



ブルックナーのミサ曲を聴きに来たはずでしたが、ロビー・コンサートも含め全部おいしくいただくことができました。大変に素晴らしい一夜でした。

ロビコンは聴くつもりはなかったのですがちらっと覗いたら、ブラスの三重奏をやるというので、おお、これなら聴いてみようと。
お恥ずかしながらこの2曲の作曲家のこと全く知らず、でもまあたぶんブラスゆかりの方達だろうなというぐらいの感覚。3分と6分ほどの曲、エリックの作品はタイトルの通りファンファーレ、ブラスにふさわしい作品。ラッパ群の腕も冴えわたるきれいな音の吹奏。二つ目のヒダシュは結構長くて、途中、もしかして過去にどこかで聴いているかもしれない、そんな気がしてきた。浮き沈みがあって技巧共々凝らした作品でなかなか良かったですね。金管アンサンブルでやってみたくなりますね。きっと吹いているほうが一番楽しいだろう。

ということで、始まる前からなんだかとても儲けもの、聴く気力も充実してきた。

メインプロは、飯森&山響コンビのモーツァルト、これも食指ピクですね。売り場にある彼らのモツ全を横目で流しつつ席へ。
モーツァルトのオペラ、アポロとヒュアンキントゥス、聴いたことが無い。お初で聴く。序奏だけでも聴かせてもらえばこのお得感。良質のオケサウンドで聴くモーツァルト。程よい流れ、当然、オペラまるごと聴きたくなりますね。

次の協奏交響曲はヴァイオリン、ヴィオラに同オケのメンバーを立ててハイレベルのパフォーマンスを魅せてくれました。
緩徐楽章アンダンテ、短調の憂い。ここ、凄くハートに突き刺さりました。規模の大きい曲、同オケのソリスト二人がオケと同質な呼吸で、かつ、ソロの主張が美しい。ほどほどのオーケストラ編成が身についているためか、ナチュラルな響きバランスで協奏曲風な楽しみを味わいました。


キリエ 10
グローリア 11
クレド 18
サンクトゥス 2
ベネディクトゥス 9
アニュスデイ 9

後半はブルミサ3。約60分の熱演。熱演だが全く余計な気張りが無い。すっきりと抜けた声とオケが心地よく飛んでくる。さわやかにしてお見事な演奏でした。
オケは対向、8-8-6-5-3、オルガンと3つのトロンボーンはかみて、合唱とソリスト4名は奥にセットアップ。
頭の3曲キリエ、グローリア、クレド、これで約40分かかる。わけても20分近くのクレド、これが核で、対訳リブレットみつつではあるのだが、やっぱり、歌がメインというか当たり前な話ではあるのだが、透明で清楚、ピッチが一本の線のようであり、ブルックナーの激性と明快な構成感。これらが合わさって理解という頭の中にストレートに刺さってくる。その前のキリエ、グローリア。ブルックナーの回転するリズムや地滑り的な弦の回し、それを支える管達も見事だ。
ここまで3曲、一服。さわやかでヘヴィー、錯綜するのはこっちだけ。ブルックナーの書法が浮き彫りになるような聴き方はいつもシンフォニーばかり聴いているからなのだろうと少し反省しながら音楽に浸ることにした。
サンクトゥスのあとの2曲がまた結構な長さで、でも、力を抜いて聴ける。短い同一歌詞ということもあって出てくる音に集中できるというところもありますね。最後のアニュスデイの印象的なストップ。指揮者がタクトを置いてスコアを閉じても拍手が来ない。耳慣れない作品ということだけではなくて、拍手はあんまりしたくないなあという全員一致の空気感がそこはかとなく漂うような、お見事な集中力とパフォームでしたね。レアなブルミサ3に心から感服。いい曲、いい演奏。
山響アマデウスコアは第一声目から透明感と力感が聴衆にストレートに伝わってくるもので、ピッチの良さとパースペクティヴ感、ブルックナーの息の長いフレーズを支え、時にブルックナー特有なリズム回しが正確に歌われる。オーケストラ演奏も同じ。オケは歌より前に陣取っているものの合唱とソロをきっちり支え切ったという印象がありましたね。これは見事な音響バランスと言えるでしょう。ソリスト4名はみなさんお初で聴きました。いずれも東北・地元にゆかりのある方々でした。合唱共々良きブルックナーを作り上げました。
感動のブルミサ3でした。


終わってからロビーで指揮者、歌い手たちのトークがあったのですが、そこに、今日当演奏会を聴いていたという今を時めくピアノの反田さんがあらわれ、ご指名で一言話をしていました。これにはびっくりでしたね。

充実の公演、楽しめた一夜でした。
ありがとうございました。
おわり




















2774- ベートーヴェン8番、ブラームス1番、飯守泰次郎、仙台フィル、2020.2.14

2020-02-14 23:08:28 | コンサート
2020年2月14日(金) 7pm コンサートホール、日立システムズホール仙台

ベートーヴェン 交響曲第8番ヘ長調Op.93 9-4-5-8

Int

ブラームス 交響曲第1番ハ短調Op.68 18-9-4-18


飯守泰次郎 指揮 仙台フィルハーモニー交響楽団


このホールで聴くのは2度目。前回は硬質なホールサウンドにびっくりしたが、その時の左寄りの席から今回はやや右寄りに座ったところ、硬さがあまり気にならなかった。ちょうどいい感じかな。

先を急ぐことのないものでオケメン達もよくわかっているのだろう。時折魅せるアクセルが効果的、弦が雄弁でお喋りベト8の魅力満開。一本の線のように張り詰めていて美しく鳴る弦、鳴れば静謐さが増幅されるという、この空気感。指揮者とオケの息はあっていると言えよう。

充実のベト8のあとはブラ1。呼吸の合い具合はこの曲でも同じ。
まずは急がない。急ぐことが無い点でオケメン一致している呼吸です。よく見えます。
それと、みなの弱音腐心から答えが出た状態での演奏と言えるもの。弱音の表現に細心のコンセントレーションでのぞみ、今答えが出ている状態。それがストリング全体の混ざりけがなくて線が美しく雄大なアンサンブルとなって実っている。聴き合いながらのプレイ。なにか清々しい。
この1番初楽章の波形はベートーヴェンの運命を思わせるし、激烈さにおいても同様。雄大なアンサンブルにくさびを打つように進むさまはのっけからこのシンフォニーの振幅の大きさをよく表していて、ひとつのスタイルとしてその主張は説得力のあるものだ。執念さえ感じさせる。
アンダンテ楽章、スケルツォ楽章は同スタイルが奏功していて、コクのある内容で噛みしめて聴くに足るもの。あらためて耳を傾ける。いいですね。
両端楽章は本当に大きい。タイミング的にも同規模となり、テンポをいじらず激烈・静寂をダイナミックに繰り返して、核心に迫ってくる演奏で、こういった興奮もあるものだと今更ながらに思うところありましたね。



譜面の無い指揮台、背もたれの無い横長の腰かけが置いてあって、飯守さんが座ったのはブラ1初楽章のあとのチューニングのときだけでしたね。
盛況な演奏会でした。ありがとうございました。
おわり