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●科学技術ニュース●富士通、世界初!形式の異なる企業のデジタルアイデンティティー証明書を変換する技術を開発し欧州DBへの接続実証に成功

2024-05-09 10:10:03 |    情報工学
 富士通は、さまざまな業界において企業間でデータ共有を実現するデータスペースにおける、参加企業の正当性証明の相互運用性を高めるため、デジタルで管理された企業の属性情報(デジタルアイデンティティー)の証明書を変換する「IDYX Trust Interconnect」技術(IDYX:IDentitY eXchangeの略。複数の企業などに分散している個人のアイデンティティ(IDや属性情報など)を、安全に企業・個人間で流通する同社の技術)を新たに開発した。

 また、今回開発した技術の有効性を確認するため、同技術を欧州データスペースのOSSであるTractus-X(OSSのひとつであるEclipse傘下で「Catena-X」データスペースのコンポーネントを開発する公式オープンソース)に組み込み、日本企業が欧州データスペース参加するというシナリオで、デジタル庁が構築・運営するgBizID(日本の企業や個人事業主向けの共通認証システム。同実証では、アカウント発行に際し書類審査を行うことでより厳密な本人確認を行うgBizIDプライムを想定)を模した環境での認証を行い、その認証情報をもとにTractus-Xを使って構築したデータスペースに接続できることを世界で初めて確認した。

 同実証におけるOSS調査などは、NTTコミュニケーションズが協力した。

 同実証は、欧州自動車業界のデータスペースである「Catena-X(カテナエックス)」のGlobal PoCの一部である、Architectural Studyに位置付けられている。

 今回、日本をはじめグローバルで広く利用されている認証の仕組みであるOpenID Connect(OIDC:複数のサービス間で利用者の同意に基づき同じユーザーIDとパスワードを使って認証を行う仕組み。あらかじめIDプロバイダーに利用者の認証情報を登録しておき、ログインの際に発行されるトークンをサービスに渡すことでサービスの利用が可能となる)を利用して作成した企業証明書を、VC方式の証明書へ変換する仕組みを構築し、検証を行った。

 同実装を使い、gBizIDの認証を受けた日本企業が欧州データスペースに参加するというシナリオで、Tractus-Xを使って構築したデータスペースに接続できることを世界で初めて確認した。

 日本企業がVCを使うデータスペースに参加する際は、日本企業を対象とした企業証明書発行機関で企業が真正であると認証を受けると、その認証情報が本技術によりVCに変換される。変換されたVCは欧州のデータスペースに提示することで、企業確認が完了し、データスペースへの参加が可能になる。参加後も、データスペースのデータ提供者とデータ利用者の間でVCを交換し、互いの真正性を確認した上でデータ交換を行うことが可能。

 今後、同社は、「Catena-X」をはじめとした欧州データスペースに、欧州外の企業が参加しやすい仕組みを構築するため、同実証を通じて高度なトラスト技術を確立し標準化を目指す。これにより、企業が安心してデータをやり取りできる信頼性の高い世界を実現する。<富士通>
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